破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

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 SEED FREEDOM編を描くに辺りどうしても描写せざる得ない、ドッズライフルが与えた世界への影響。ハインラインやアグネスのファンは少々お待ちくださいませ。


第六話 ドッズ・ショック

 

 

 

「……何だ、これは。本当にオーブの連中は、我々と同じ物理法則の世界に住んでいるのか?」

 

 

 

 プラント、大西洋連邦、その他各国の技術省や軍司令部にオーブ連合首長国から送られてきた一通の技術公開データ。それは各国の軍部において戦後最大規模の衝撃を与えていた。

 

 

 

 後の歴史家たちが「ドッズ・ショック」と呼ぶことになる、軍事ドクトリンの完全なる崩壊と再構築の始まりである。

 

 

 

 公開されたのは、コンパス設立に合わせ、オーブが「共通規格の次世代武装」として提示した一兵装のデータに過ぎなかった。その名は、ドッズライフル。

 

 

 

 それはかつて実弾兵器が歩んだ「ライフリング」という古の概念を、質量をほぼ持たないはずのプラズマの奔流に強引に持ち込んだ、狂気の産物だ。

 

 

 バレルの内部で粒子を回転させ、ビームをドリル状に超高速回転させることで、フェイズシフト系列やラミネート装甲すらも物理的に削り取り、陽電子リフレクターの磁場すらもねじ切って貫通する螺旋は各国のMS運用に大きな衝撃を与える事になる。

 

 

 

「これまで我々が積み上げてきた盾の概念が、この一挺でゴミ屑になったということだぞ……!」

 

 

 

 大西洋連邦の将官が震える手で資料を叩きつけた。彼らが心血を注いだ陽電子リフレクター搭載MAも、この螺旋の光の前では無力に等しい。

 

 

 振り返れば、予兆は第二次オーブ解放戦の時点ですでに存在していたのだ。当時、対ロゴス連合軍は圧倒的な物量を以て小国オーブへ侵攻したが、結果は惨敗。その中で、連合軍を最も愕然とさせたのは、最新鋭のMA――ゲルスゲーやザムザザーの異常なまでの未帰還率の高さだった。

 

 

 

 鉄壁を誇る陽電子リフレクターを「飴細工のように」貫かれ、轟沈していく巨大MA。連合側はかろうじて戦場から回収した、オーブ軍の特殊なライフルの残骸を血眼になって分析する。

 

 

 

 

「……駄目だ。やはりコアブロックへの、アクセスは不可能か」

 

 

 

 暗い研究室で、当時の技術者たちは絶望的な溜息を漏らしていた。そのライフルの心臓部、中核ブロックに外部からわずかでも干渉しようとすれば、即座に内部回路が物理的に焼損・破砕する仕組みになっていたのだ。

 

 

 それは単なる自爆回路などという生易しいものではない。記録媒体の分子構造そのものを熱融解させ、解析の糸口を一切残さないという、執念すら感じる異常なレベルのデータ除去対策が施されていたのである。

 

 

 この徹底した隠蔽こそが、各国の疑念をさらに深める事になり、その結果彼らがたどり着いた答えはプラントと全く同じ結論だったという。

 

 

 

 

 

「磁気中和……あるいは、位相干渉による中和か?」

 

 

 

「いや、陽電子リフレクターの反発膜を局所的に減衰させる、未知の干渉波形を生み出しているに違いない」

 

 

 

 

 

 連合の技術者たちは、プラントの設計局と同じく、その未知の技術の正体を「複雑な波形干渉」や「特殊な反物質制御」の類だと推測していたのだ。

 

 

 

 

 ハイテクの極致であるリフレクターを破るには、それ以上に高度で複雑な理論――例えばナノ秒単位での位相不整合を突くような、天文学的な演算が必要だと信じ込んでいたのだ。

 

 

 それはコーディネイターもナチュラルも関係なく、ある意味MSの開発者にとって知識が有ればあるほどその本質を複雑怪奇に考えてしまう、一種のジレンマであると言えるのかもしれない。

 

 

 

 技術者達がこの様な混乱に陥った理由の一つとして、彼らは陽電子リフレクターを攻略したと言う部分に着目し過ぎてしまい、一般的なウィンダムやザクウォーリアがシールドごと破壊されてると言う部分への着目が疎かに陥っていたのも理由の一つであろう。

 

 

 

 

 だが、今回コンパス設立に合わせてオーブによって開示された真実は、彼らの想像を遥かに超えて……あるいは、拍子抜けするほどに「下回って」いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただ、回しただけだと……?」

 

 

 

 

 

 資料を読み進める技術者の声が、恐怖に震えていく。複雑な干渉波形などではない。ただ、ビームそのものをドリルのように回転させ、物理的な「掘削力」を与えただけ。

 

 

 そのシンプルすぎる、しかしコズミック・イラの物理学の盲点を突いた暴力こそが、世界が誇る鉄壁の盾を無価値に変えていた。

 

 

 

 

「ドリルで…貫通力を……?」

 

 

 

 端末に映し出された設計図を読み進める技術者の声が、絶望と恐怖に震える。そこに記されていたのは、量子物理学の難解な数式などではなかった。

 

 

 

 ビームを構成するプラズマの奔流に、実弾兵器の「ライフリング」という、いにしえの概念を無理やり適用させる。磁界をローリングさせ、高密度に収束されたエネルギーを超高速でスピンさせる。

 

 

 

 その結果生まれるのは、干渉波などというスマートなものではなく、対象を「抉り、削り、ねじ切る」という、原始的なまでの物理的な掘削力だったのだ。

 

 

 

 陽電子リフレクターが「面」で受ける斥力ならば、その点を「穿つ」ように回転を加えれば、磁場の反発膜は剪断され、その強固な鎖を容易く引き千切る。まさに余りにも単純であり、だからこそ彼らが到達出来なかった選択肢をオーブは、そして影の支配者と称されるユウナ・ロマ・セイランは提示したのである。

 

 

 

「……我々は、最先端の盾を破るために、同じく最先端の『相殺波』を探していた。だが、オーブは……モルゲンレーテ社は、我々の盾をただの『壁』として扱い、それをドリルでぶち抜く方法を完成させていたというのか……!」

 

 

 

 

 シンプルすぎる。製造も改造も現存のものを流用すれば良い。だが、それゆえに回避も対策も不可能だ。

 

 

 

 この技術が公開された瞬間、世界中の「装甲」の価値は暴落した。どれほど厚く塗り重ねようが、どれほど複雑な電磁装甲を張ろうが、ドッズの螺旋はそれを「摩擦抵抗」としてすら認識せず、最短距離でコクピットを貫通してしまうのだ。

 

 

 

 彼らは躍起になって提供されたデータによってドッズライフルを制作し、試験を行った。対ビームシールド、ラミネート装甲、フェイズシフト装甲、ビームシールド、陽電子リフレクター……その全てにおいて比較的安価なドッズライフルは貫いていく。

 

 

 辛うじてゲシュマイディッヒパンツァーとアンチビーム爆雷のみがドッズライフルに有効だと判明したものの、前者は高価な上に量産に向かず。後者は大規模運用でなければ効果を発揮できない。主にMSの運用が想定された現場においては「扱いづらい」ものばかりが結果を出してしまったのだ。

 

 

 

 

 のちに 「ドッズ・ショック」と記されるこの事変は、単なる新型兵器の登場ではない。

 

 

 

 

 「防御すれば耐えられる」という戦場における生存の前提条件を根底から破壊し、全国家を「回避不能な死」という恐怖のどん底に突き落としたのである。

 

 

 

 この事態がもたらした衝撃は、かつて旧世紀の地球史において、英国戦艦「ドレッドノート」が既存の全戦艦を一晩にして旧式化させた「ドレッドノート・ショック」を、質的にも絶望感においても遥かに凌駕していた。

 

 

 

 

 かつてのドレッドノートは、それまでの「多種多様な砲を積み、近づいて殴り合う」という戦艦の設計思想を、「統一された巨砲による遠距離からの一斉射撃」へと塗り替えた。それはあくまで「戦術と効率の洗練」であり、より大きな大砲、より厚い装甲を持てば対抗できるという、力学的な競争の範疇に留まっていたのだ。

 

 

 

 

 しかし、ユウナ・ロマ・セイランが世界に突きつけた「ドッズ」の螺旋は、その競争の土俵そのものを物理的に叩き割ったのだ。競争など意味もない。攻撃力においての到達点と言えるゴールにたどり着いてしまったのだ。

 

 

 

 

「ドレッドノートは戦艦の王者を決めたが、このドッズライフルは『装甲』という概念そのものを歴史から抹殺した……」

 

 

 

 

 大西洋連邦の技術将校は、震える手で報告書を閉じた。これまで、フェイズシフト装甲の電力を高める事や、専用の盾を製造する事、陽電子リフレクターの出力を上げることこそが、兵士を死から遠ざける唯一の解だと信じられてきた。

 

 

 

 だが、ドッズライフルの放つドリル状のプラズマ奔流は、装甲が厚ければ厚いほど、リフレクターが強固であればあるほど、それを「食いつきの良い土台」として利用し、凄まじい掘削エネルギーへと変換する。

 

 

 

 防御側の努力が、そのまま自らの死を早めるエネルギーに変わる。この「防御の無価値化」こそが、ドレッドノートすら成し得なかった真の恐怖であった。

 

 

 

 

 この日から、全世界の軍事ドクトリンは、血を吐くような再編を余儀なくされたのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 「耐えられる盾」が存在しない、もしくは高価すぎて量産に向かない以上、重装甲機はただの「高価で鈍重な棺桶」に過ぎない。各国は積み上げてきた最新鋭機の設計図をゴミ箱へ放り込み、なりふり構わぬ「極限の回避機動」と「一撃離脱」への運用思想に舵を切らざるを得なかった。

 

 

 

 装甲を極限まで削ぎ落とし、その分をすべてスラスターと高出力ジェネレーターに回す。当たらなければ死なない、当たれば即死。そんな、綱渡りのような戦場が幕を開けたのだ。

 

 

 

 それは既にオーブがM1アストレイを開発していた時期に採用してきたドクリトン(戦闘教義)であり、ある意味世界がオーブと同じ道を歩むしかない、歩まねばならないと定められた歴史的な瞬間であったのだ。

 

 

 

 かつてのドレッドノートが新たな大艦巨砲主義を加速させたのに対し、ドッズ・ショックはMSそのものの定義の均一化を招いてしまった。

 

 

 

 どれほどの巨大MAであっても、一挺のドッズライフルを持つ量産MSの前に、その絶対的優位性は消失する。この圧倒的な「死の公平性」が、皮肉にも世界に、エースパイロットやオーブの技術力の最前線と言える「コンパス」という秩序を作る上の巨大で強力な鎖となったのだ。

 

 

 

 

 

 歴史家達はのちにこう記す。

 

 

 

 

「ドレッドノートが戦争の形を変えたのだとすれば、ドッズライフルは『これまでの戦争の理屈を終わらせた』のだ。その螺旋の引き金を引いたのは、オーブの若き『ドラえもん』――ユウナ・ロマ・セイランという一人の男であった」と。

 

 

 

 

 のちにそう語り継がれることになる歴史の記述を、当のユウナは執務室の端末で見つけ、頭を抱えて絶叫したという。

 

 

 

 

「なんで『ドラえもん』なんだよ! 他に例えようがねぇのか!? もっとこう、『螺旋の魔術師』とか『次世代の預言者』とか、あるだろ!? 誰だよ、公式記録に猫型ロボットの愛称を混ぜた奴は!」

 

 

 

 

 だが、彼の絶叫とは裏腹に、世界は「ドッズ・ショック」がもたらした冷酷な力学によって、音を立てて少しずつまた一つずつ変質していく。

 

 

 その改革はユウナも知らない。知るはずもないSEED FREEDOMの前日譚を描き始めていくのであった。

 

 

 





・ドッズライフル
 ドッズライフルの優れてる利点は攻撃力だけではなく現存のライフルを改造すれば、ビーム兵器を使えるMSであれば運用可能だと言う事。つまりそれまで「矛」と「盾」のやり取りが成立していた世界にて。

連合「盾なんてダッセーよな!」

プラント「帰ってドッズライフル量産しようぜ!」

 なんて世界が冗談抜きで訪れてしまう事に。勿論C.Eの技術者達も各陣営はドッズライフルの解析と有効的な防御兵装の開発に取り組んでいるものの、もはや戦争は一撃必殺!盾なんて捨ててかかってこいよ!な時代を作り出す羽目に。その螺旋は戦場のみならず外交にも影響を与えていき……。


 なおC.E.世界にもドラえもんは放送してます。

 戦後のコンパスに参加するシンとルナマリアについて。

  • 原作通り二人参加
  • 婿養子になりシン・ホークとなって参加
  • ルナマリアが妊娠して除隊しハイネが参加
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