破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

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第九話 ウィンダムが何をしたっていうんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アストレイとウィンダムの演習が終了し、現場では驚きと共に概ね二つの反応に分かれている。一つは好意的にオーブ本国から派遣された整備スタッフやモルゲンレーテ社員への質問攻めだ。

 

 

 

「凄いですねあのアストレイ!ちなみにお値段の方は如何でしょうか?」

 

 

 

「そうですねぇ…あれ結構弄ってますので本国アストレイの1.3倍くらいでしょうか?とはいえウィンダムよりはお安くなるかと」

 

 

 

「あっ、私も質問して構いませんか?この機体を宇宙で運用した場合は…」

 

 

 

「溺れます。あくまで徹底的に東アジア共和国仕様に改装した陸戦機ですから。とはいえオーブでは現在少しずつオオツキガタという宇宙戦闘用主力機にムラサメを改装してそのデータとノウハウの蓄積の結果、陸戦は陸戦、宇宙は宇宙と割り切ってますよ!」

 

 

 

 などと、現場では和気藹々で和やかなムードで彼らは応対している。『オオツキガタ』は史実においても、宇宙戦闘用に特化したムラサメの改修機として開発されており、狙撃用レールガンをドッズスナイパーライフルに改装。選択兵装として雷蛇を搭載しているなど、細かな変更を加えながらも少しずつ数を増やしている機体だ。

 

 

 

 

「……良いのですか?こちらとして嬉しいですけど、そんな新型のお話なんて…」

 

 

 

「あー構いませんよ!副総裁からあらかじめ許可を得てますから!寧ろ局地戦闘MSとしての宇宙戦のノウハウもあるって証拠ですから寧ろアピールして、技術を売り込めと言われますから!」

 

 

 

 

 そんな、オーブ側が技術力を誇示しているのを苦い顔で眺めているのは主に制服組、反オーブ派閥の軍人や技術将校だ。仮にも自国の主力として運用する予定であったウィンダムを旧世代MSに撃破されるという事実は今後の防衛計画に大きな変更をせざる得ない。

 

 

 

 とはいえアストレイのカラクリに気づいた人材ももちろん存在しており、彼らは自国のダガーLやウィンダムを同じ様に強化改修できないか?或いは現在仮想敵であるプラント本国との戦いに備えた場合の是非などを盛んに議論しており、こちらもこちらで祖国の為に自身の役目を果たそうと早速各自議論を始めている様だ。

 

 

 

 

 

 

 

「……何かの間違いだ! こんなことがあってたまるか!」

 

 

 

 そしてVIPの特別観覧テラスにて沈黙を破ったのは、技術高官の椅子を蹴り飛ばさんばかりの怒声であった。彼は震える指先で演習場を指し、血走った目でユウナを睨みつける。

 

 

 

 

 最早面子を潰された彼は震える指を突き刺して、仮にもVIPであるセイラン副総裁に生の感情をぶつけているのだが。ユウナとしては(いい感じに納めて、外交問題にならない様にしてやるか…)と内心の面倒くささを堪えつつ、様々なハプニングで鍛えられてしまった心を穏やかにして笑みを浮かべてみせた。

 

 

 

 

「今の模擬戦は無効だ! ?さてはパイロットにオーブの精鋭を紛れ込ませたな? そうに決まっている! ならば、次は予備のパイロットを入れ替えてやり直しだ。それなら文句はなかろう!」

 

 

 

 

 自国の兵士をスパイ呼ばわりする見苦しいまでの足掻き。しかし、ユウナは不快感を見せるどころか、むしろ待ち望んでいたと言わんばかりに、花の咲くような笑顔で応じる。

 

 

 

 なお、正直な話(いっそスゲェなコイツ…テンプレ悪役みたいな台詞がどんどん出てきやがる)と感動までしていたのは秘密だ。

 

 

 

「おや、閣下!そこまでこのアストレイを気に入っていただけるとは光栄ですな!ええ!えぇ!もちろん、もちろん!納得のいくまで何度でもお付き合いしますよ……彼らの、本当の『声』を聞くためにね」

 

 

 

 だが、再試行の結果は、残酷なまでに同じ事の繰り返しとなる。

 

 

 

 予備のパイロット同士が交戦しようが、一度交戦した後に機体を交換して模擬戦を再度行おうが。躍起になってウィンダム側を明らかなベテランパイロットに差し替えようと、砂塵の中で膝を屈するのは常に最新鋭のはずのウィンダムだった。

 

 

 流石に最後は危うかったものの、ドッズを放つ瞬間に一切の揺らぎを見せないアストレイの銃口は、一糸乱れぬ精密さでウィンダムの駆動部を射抜き続ける。

 

 

 

 二度、三度と繰り返される敗北に、高官はもはや言葉を失い、蒼白な顔でモニターを凝視するしかなかった。同時に反対派も賛成派もその様子を見て議論を加速させ、二つの螺旋が絡まり合っていく。

 

 

 

 

 ユウナはその茫然自失とした横顔を一度だけ冷ややかに見やると、すぐさまテラスに集まっていた軍関係者や招待客、そして一部の記者たちの方を向き、マイクを片手に華やかに両手を広げるのであった。

 

 

 

『皆様! ご覧いただけましたでしょうか、我が国が誇るアストレイの勇姿を!』

 

 

 

 その声は、テラス席の重苦しい空気を一気に塗り替えるような明るさに満ちている。とはいえ高官は頼むからもう余計なことはしないでくれと最早諦めて懇願する様な目をしているが、今のユウナはそれは振りだな?とババの如く敢えて無視している。

 

 

 

「もちろん、ウィンダムが優れた機体であることに疑いの余地はありません。あの出力、あの洗練されたフォルム……。ですが、この東アジアの大地で、兵士たちがその性能を百パーセント引き出すために必要なのは、カタログスペックではなく、徹底した『現場への寄り添い』なのです。我が国のアストレイ、皆様の目には如何に映りましたでしょうか?」

 

 

 

 ユウナは茶目っ気たっぷりにウインクを飛ばし、絶妙なバランスで営業アピールを完遂する。

 

 

 ウィンダムを貶めるのではなく、「より適した選択肢」としてアストレイを提示するその話術に、周囲の技術者たちが、そして冷ややかだった軍人たちまでもが、次第に熱を帯びた視線でアストレイを見やり始めた。

 

 

 

「さあ! 私の言葉だけでは不十分でしょう。それでは、実際に戦ったパイロットの二人にも、その生の声を聴いてみましょうか! 記者の皆様も、是非明日のトップニュースのために私に続いてくださいな!」

 

 

 

 ユウナは呆然と立ち尽くす高官の腕を、まるで親しい友人であるかのように強引に、かつ優雅に取った。当然無理やりである。

 

 

「さあ、閣下もほらご一緒に。彼らの満足げな顔を見れば、貴方の不安も霧散するはずですよ」

 

 

 

 

 高官を半ば引きずるようにしながら、ユウナは軽やかな足取りでテラスを後にする。背後には、スクープを逃すまいと機材を抱えた記者たちが、列をなして副総裁の背中を追う。

 

 

 砂塵の舞う演習場へと降り立ったユウナたちは、冷却ジェルの蒸気を吐き出す二機の巨体のもとへと辿り着いた。ハッチから降りてきたパイロットたちは、副総裁や大勢の記者、そして、顔を真っ赤にした技術高官の姿を見るなり、一様に緊張した面持ちで直立不動の姿勢をとった。

 

 

 

「お疲れ様だね!東アジアのパイロットの諸君!素晴らしい動きだったよ! どうかな、実際に動かしてみた感想は?」

 

 

 

 

 ユウナが屈託のない笑顔で語りかけると、アストレイから降りてきた、立派な黒ひげを蓄えたベテランらしきパイロットが、一歩前に出て敬礼する。

 

 

 

 その眼光には、幾多の死線を潜り抜けてきた者だけが持つ、独特の重みが含んでおり。恐らく教官、教導隊クラスのパイロットなのだろうか?とユウナは予想していた。

 

 

 

「恐縮です、セイラン副総裁。……感想なのですが……自分は前大戦、第三次ビクトリア攻防戦でストライクダガーの補充兵として初陣を飾り、その後は各地を転戦し、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦にも参加いたしました」

 

 

 

 さらりと告げられたその経歴に、ユウナは引きつりそうになる頬を必死に抑えた。

 

 

 

 

(……いや、すげぇな!?あのビクトリアの地獄から始まって、最後はあのヤキンを生き残ってんのか!?そう言う奴も探せばいるだろうがよくもまぁ…)

 

 

 

 

 内心の驚愕を押し殺し、ユウナは「それは頼もしい。そんな経験豊富な貴方の意見なら、何よりも信頼できる」と、感心したように頷いて見せた。

 

 

 前大戦、特に憎悪と殺戮に染まる戦場を戦い抜いたヤキン帰りのパイロットはどの国家においても貴重な存在だ。プラントに於いても戦後、士官学校の規定を緩めてまでパイロットの確保に奔走している辺りどれだけの質の低下と人員の不足に各国が苦しんだのか。そして生き残ったパイロットが重要視されたのかは火を見るより明らかだ。

 

 

 

 そんなヤキン帰りの黒ひげのパイロットは、どこか懐かしむ様に、背後のアストレイを愛おしそうに見上げ、静かに口を開いた。

 

 

 

「自分はこれまで、ダガーからウィンダムまで連合製の機体をいくつも乗り継いできました。どれも高性能でしたが、どこか『機械の都合』に自分を合わせている感覚が拭えなかった。ですが……このアストレイは違いました」

 

 

 

 彼は一度言葉を切り、自分の大きな掌を見つめる。その手をどれだけ血で染め、どれだけの奇跡の上に今の自分が存在しているのかを振り返る様に。

 

 

「自分の動きに、機体がついてきてくれる……。言葉にすれば容易いですが、戦場においてそれがどれほど救いになるか。ライフルを放つ瞬間に一切のノイズを感じない、サーベルを抜く瞬間のシンクロしたあの感覚は、まるで自分の腕が伸びたかのようでした。ああ、MSを操縦するというのは、本来こういうことだったのだな、と」

 

 

 

 その言葉は、技術的な数値を並べるよりも遥かに重く、テラスから追いかけてきた記者たちのボイスレコーダーに刻まれていった。

 

 

 隣でそれを聞いていた技術高官は、自分が「骨董品」と切り捨てた機体をベテランパイロットが認めた事実に唇が震えている様子だ。ユウナは満足した様に感謝の言葉を述べようとするが、その前に彼は少し待って欲しいと静かに手をやる。

 

 

 

「……ですが、私一人の意見では偏りがあるかもしれません」

 

 

 

 黒ひげのベテランはそう言うと、傍らに控えていた、まだ幼さの残る若いパイロットを促した。恐らく新人なのだろう、緊張した様子であるがその青さの中にも感じられる瞳の奥の炎はユウナにもしっかりと感じとれる。

 

 

 

「彼は先月配属されたばかりの新人ですが、若者の柔軟な感性による意見も、今後の参考になるでしょう。さあ、少尉。正直に申し上げろ」

 

 

 

 ベテランに背中を押された若いパイロットは、憧れの眼差しでユウナを見つめ、深々と頭を下げる。

 

 

 

「セイラン副総裁。まずは故郷に真っ先に国際救援隊を派遣し、リビルドや物資を送ってくださったこと、心から感謝いたします。……その上で、パイロットとしての感想を述べさせていただけるなら、このアストレイは『怖くない』機体でした。ウィンダムに乗っている時は、常に機械に振り落とされないよう必死でしたが、この機体は私が『右に行きたい』と思った瞬間にはちゃんと応じてくれる。ドッズライフルの反動も驚くほど優しくて……私のような新兵でも、この機体なら仲間を守れると確信できましたね」

 

 故郷を救った英雄への感謝と、純粋なまでの称賛。記者たちのシャッター音は激しさを増し、横に立つ技術高官はもはや唇を震わせるばかりで、幽霊のように青ざめている。

 

 

 自分が「骨董品」と罵った機体は、ベテランや新兵にとっても『ウィンダムなんぞよりアストレイの方が百倍マシだわ』と言われたのと同義なのだから。

 

 

 

 

 なおユウナはカメラのフラッシュを浴びながら、聖者のような穏やかな笑みを浮かべていたのだが……その内面は冷や汗の濁流である。

 

 

 

(……やっべぇぞ…これは……!思っていた以上に好評すぎて、現場も世論も『今すぐ連邦のウィンダムを捨ててアストレイを導入しろ』って一色になりかねない!そうなればメンツを潰された大西洋連邦が黙っちゃいないし、東アジアと大西洋連邦がまたバチバチやり始める最悪の火種になる……!)

 

 

 

 

 自分の撒いた種が、予想を遥かに超える巨大な花を咲かせようとしている。ただでさえコンパス設立の際にオープンソースとして公開したドッズライフルの是非ですら、現状の各国の軍部の混乱を見ていると本当に正しかったのか?と迷う程だと言うのに。

 

 

 『防衛特化なオーブの局地戦ドクトリン』の発表の結果、東アジア共和国と大西洋連邦が本格衝突に繋がるなんて事になるのは本末転倒なのだから。

 

 

 この熱狂をそのまま契約に結びつければ、政治的な破綻を招く。ユウナは素早く頭を回転させ、記者たちに向けて優雅に手を振りながら答えてみせる。

 

 

 

 

「素晴らしい意見をありがとう。ですが皆様、誤解しないでいただきたい。我が国の技術が優れているのは確かですが、それが全てではありません」

 

 

 

 ユウナは、今にも卒倒しそうな技術高官の肩をそっと支えるように抱き寄せ、カメラに向かって「融和」を説いた。

 

 

 

「まず我々がやるべきことは、東アジア共和国が誇る既存のダガーLやウィンダムに、この『最適化』のノウハウを共有し、調整を施すことでしょう。大切なのは新旧の交代ではなく、今この大地を守っている全ての機体と兵士が、最高の力を発揮できる環境を整えること。オーブは、そのための協力を惜しみませんよ」

 

 

 

 

 オーブの目的は金でも、親切でもなく。東アジア共和国でオーブと同じ理念、同じ思想の局地戦特化MSを彼らに製造させる事による将来的にオーブ侵攻が1%でも可能性が出てきた際に、理事国の一角の弱体化を狙ったものだ。

 

 だというのに模擬戦は、演習はあまりにも成功しすぎていた。し過ぎなのだ。連合各国への刺激を和らげ、少しずつ東アジア共和国に『毒』を仕込む事が目的だと言うのに、このままでは本格的に全部オーブ製にしようぜ!などというユーラシアの仲介が台無しになるほどの空気を感じ取ってしまったのだから。

 

 

 

 

 

 

(これで……ひとまずはアストレイの全面導入っていう極論からは矛先を逸らせたはずだ。改修メインなら大西洋連邦への顔も立つし、こっちは既存機のチューニング用パーツとノウハウ料でガッポリ稼げる……完璧な軟着陸だ!……なんて言えるかなぁ!?もうこの後パイロットとウィンダムをベタ褒めしてどうにかするしかねぇな!!)

 

 

 

 

 ユウナは背中にじっとりと冷や汗を流しながらも、カメラの前では「良心的な隣人」としての役を演じきる。彼は、もはや魂が抜けたようになっている技術高官の背中をバシバシと叩き、快活な声を張り上げた。

 

 

 

 お前も逃がさん。俺と一緒に責任を果たそうぜと内心脅迫しながらだが。

 

 

 

「さあ皆様! 東アジアの平和を担う勇猛果敢なパイロット諸君を讃えて、最後に記念撮影を致しましょう! あっ、閣下もほら、そんな端っこにいないで! もっと寄って寄って、主役の一人なんですから! 記者さんも、最高の角度からお願いしますよ!」

 

 

 無理やり中央へ引きずり出された高官の、引きつった「死んだ魚のような笑顔」と共に、無数のフラッシュが北京の夕闇を白く染め上げた。

 

 

 表向きはオーブの支援と東アジアの自立、そして連邦機との共存を謳う、極めて平和的で、政治的に正しい結末――に見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日談を述べるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 だが、案の定。事態はユウナの目論見通りには進まなかったのだ。なんせ翌朝の新聞各紙が「骨董品アストレイ、最新鋭ウィンダムを圧倒」「現場が求めていたのはオーブの『誠意』だった」と、ユウナのリップサービスを文字通りに受け取って、なんなら更に解釈を肥大化させた上で大々的に報じてしまったのだ。

 

 

 

 それもどんどん悪化する形で、日を追うごとに報道は加速。ついには国営メディアに特番が組まれてしまう程には。

 

 

「……嘘だろ、何でこうなるんだよ」

 

 

 

 ユウナは執務室で、山積みになった報告書を前に頭を抱えた。

 

 

 

 オーブとしては、アストレイが「そこそこ」評価され、将来的に数機でも追加発注に繋がれば御の字……程度に考えていたのだ。

 

 

 

 しかし、蓋を開けてみれば現場のパイロットたちからは「改修なんて中途半端な真似はやめろ、さっさとアストレイを全機導入しろ!」という熱狂的なコールが鳴り止まない。

 

 

 

 

 さらには「今まで大西洋連邦の言いなりで、我々の命を守る『最適化』すらしていなかったのか?」という軍上層部への不信感が爆発。東アジア共和国全土で、連合製兵器に対する懐疑的な空気が蔓延してしまったのだ。

 

 

 繰り返し説明するがこれは東アジア共和国が完全に悪い訳ではない。中立国故、オーブは極端な局地戦闘ドクトリンを採用しているが、東アジア共和国はそう言うわけにはいかない。

 

 

 前大戦でプラントにマスドライバーごとカオシュン基地を占領された経験のある東アジアにとって、統一化されたマルチロール機である大西洋連邦製のMSで侵攻と防衛を同時にこなそうとするのはなんら間違いではないのだから。

 

 

 

 そんな東アジア共和国側が混乱する中、当然メンツを丸潰しにされた大西洋連邦側も黙ってはいない。

 

 

 

 

 「我が国の最新鋭機を、意図的に『旧式』と比較して貶めたのではないか?」「不当な比較による市場独占の疑いがある」という、もはや難癖に近い抗議文が、特使を通じて毎時間のようにユウナの元へ届けられる事になってしまう。

 

 

 その結果、ユウナは、隈の浮き出た目で栄養ドリンクを煽り、新たな弁明資料の作成に取り掛かるハメになったのだ。大西洋連邦には「あれは限定的な環境下での特異なデータだ」と言い訳する羽目になり。

 

 

 東アジアには「改修こそが最も迅速な戦力向上。ひとまずは焦らず計画通りに技術試験部隊による運用を」と宥め、四方八方に頭を下げて回る姿はオーブの影の支配者や、副総裁というよりはコールセンター職員の様であったという。

 

 

 

 

「……あー、もう! 融和を説いたのはどこの誰だよ! 俺か! 俺だったなぁ!!!」

 

 

 

 

 なお、後に払い下げMAによるテロリストによる被害が拡大しつつあると判明した際、世界中が大西洋連邦を非難し、国際的な信頼の失墜と発言力の大幅な低下に繋がったのだが……。

 

 

 

 その裏にはオーブがこの時の抗議文への反撃として、真っ先に世界中に羞恥的な情報をばら撒いたと言う噂が各地で囁かれる事になったのだが……ユウナ曰く事実無根である。恐らく、きっと、多分。ユウナは関わっていないんじゃないかな?

 

 

 

 

「寝たい……。一時間でいいから、ドッズライフルの回転音を気にせずに眠らせてくれ……」

 

 

 

 

 こうして、ユウナの睡眠時間はさらに削り取られていく。ドッズ・ショックによる螺旋の旋風は、彼の安眠という名の平和を、真っ先に貫通してしまったのであった。

 

 

 





・ドッズショック

 オーブ側がドッズライフルなどの技術をオープンソースにした理由は

・コンパス設立が決まった以上、整備や運用のために参加国である大西洋連邦とプラントに技術を説明する責務もあり。仮に理事国で暴走した事が何度もある大西洋連邦にだけ技術を伝えるのは危険過ぎる。それならばいっそオープンソースにする事で大西洋連邦やプラント一強の環境にならない様にする必要があったり。

・オーブ側がM1アストレイの開発から始まった戦闘教義的には自国が最も先進的なドッズ運用国家でありドッズ技術が広まったとしてもアドバンテージがあり。更に何処ぞの汚ねぇドラえもん経由でエース機や量産機に至るまでアンサーを用意できる環境になりつつあったから。

 など他にも色々と理由があったりします。とはいえまさか大西洋連合が極端にMAを紙風船呼ばわりして一気に処分をした挙句、MAの多くがテロリストに流れるなんて事は予想外であり、管理どうなってんだこいつら!?とブチギれる事になるでしょう。この辺りも劇場版SEEDを知らない故の問題でもありますが。


・東アジアの選択
 山吹色のお菓子大好きな閣下は別として、じゃあ局地戦専用に改修しなかった東アジア共和国が無能であるかと言えば大きな間違い。

 そもそも東アジア共和国はボアズをザフトにパクられるわ、カオシュン基地を制圧されてマスドライバーを奪われるわ、サイクロプスで丸々艦隊が吹き飛ぶわと一次大戦に散々な目にあっており、敵対国家への侵攻を主目的として開発された大西洋連邦系列のMSを主軸にするのは何らおかしくありません。

 だというのに想像以上にアストレイとウィンダムの対決に脳を焼かれた関係者は多く、ユウナがこれ不味くない…?思った時にはもう手遅れ。今後は試験部隊が設立されるでしょうが、絶対相当な規模でどんどん拡大化させていくでしょうね。

 次回は劇場版で人気のハインラインさん登場回。この人口調が難しいのですが、執筆していますのでお待ちくださいませ。そろそろアグネスも出るよ!

 戦後のコンパスに参加するシンとルナマリアについて。

  • 原作通り二人参加
  • 婿養子になりシン・ホークとなって参加
  • ルナマリアが妊娠して除隊しハイネが参加
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