破滅フラグしかないボンボンに転生してしまった件 〜グフに踏み潰される運命なんて、全力で回避してやる!〜《完結》   作:kiakia

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第十六話 ユウナ様の楽しい国際情勢解説! 前編

 

 

 

 

 深夜、執務室の灯りだけが、この(今は)平穏を保っている島国の静寂に取り残されている。デスクに投影されたホログラムの輝きは、俺の疲弊した目にいささか毒だが、コンパス副総裁という立場上、世界の火種の再整理は避けて通れない。

 

 

 俺の役目はテロの火消しだけではなく、その背後にある各国のパワーバランスを冷徹に管理し、オーブを、そしてコンパスを最適解へ導くことだ。

 

 

 

 というわけで今日は現状の主要国家の情勢を、最新のデータに基づき総括してみよう! いぇーい! 全く楽しくねぇ!!!

 

 

 

 

 

 さて、そんなバカな事をやってないで話を進めると、現在俺が注目している国家は理事国と呼ばれる連合主要国家である東アジア共和国、大西洋連邦、ユーラシア連邦。それに加えて宇宙の砂時計ことプラントだ。

 

 

 

 まず注目すべきは東アジア共和国だ。それまで彼らは大西洋連邦という巨人の背後に隠れ、軍事開発においては常に理事国の末席に甘んじてきた。

 

 

 

 供与されたダガーLやウィンダムを使い回すだけのお下がり受取所。それが彼らのこれまでの評価だったが、今の彼らはその屈辱的な「三位」という指定席を蹴り飛ばそうとしている。

 

 

 

 その最前線にあるのが、オーブとの水面下での協力による技術試験だ。彼らは正式に買い取った複数の東アジア仕様のM1アストレイを単なる戦力としてではなく「技術の苗床」として扱っている。

 

 

 苗床って言えばなんかエロく感じるが…………実際の所そんな可愛いものじゃない。

 

 

 

 

 彼らは現在、「東アジア共和国技術試験部隊」を正式に発足させ、各地の過酷な環境下でアストレイを文字通り使い潰すかの如き試験を繰り返している。

 

 

 その蓄積されたデータを元に、自国でライセンス生産しているダガーLやウィンダムを、より自分たちの土壌に適合した「局地戦闘仕様」へと強引に改修し始めたのだ。

 

 

 

 だが、ここからが俺の――ひいてはオーブの仕掛けた「誘導」の真骨頂だ。

 

 

 

 

 東アジアは元々大西洋連邦やユーラシア共和国と違い、領土的な野心はあまりない。最初は北海道がユーラシアに取られてるじゃねぇか!と驚いたものだが、実際の所はまずは「ブレイク・ザ・ワールド」で被災した自国の回復と、防衛用MSで守りを固めることを最優先に選んでいるそうだ。

 

 

 

 

 そんな訳で俺達オーブはといえばそこを突いて、彼らの開発系統を「徹底した自国領土内での防衛特化」へと巧妙に誘導してやった訳だ。

 

 

 もちろん最初から謀略を!なんて訳じゃなくて向こうが技術協定やアストレイの採用を望んでいると知ったが為にダメ元で行ったのが真相だが、結果的に上手くいき過ぎて全部の機体をオーブ製に!!とまで言い出す連中が出てきた時は慌ててフォローする羽目になったけどな。

 

 

 

 自国の山岳、密林、都市部に特化したセッティングを突き詰めれば突き詰めるほど、その機体は他国への侵攻という汎用性を失っていく。つまり、彼らが防衛に特化したMSを手に入れれば入れるほど、皮肉なことに他国を侵略するハードルは以前よりも格段に高くなるというわけだ。

 

 

 

 そして、この「防衛」の思想は宇宙における戦略にも色濃く反映されている。

 

 

 

 

 もともと宇宙という空間は、ザフトのジンが戦場を支配するまでは彼らにとってのホームグラウンドだった。何を隠そう、あのメビウスの後継機として開発されていたコスモグラスパーを主導したのは彼ら、東アジア共和国だ。尤も正式採用にはならず、コスモグラスパーにリソースを注ぎ過ぎたのが連中のMS開発の遅れを招いた可能性は高い。

 

 

 とはいえ、MSが普及した今でも、こと航宙機の分野において、彼らの蓄積したノウハウは大西洋連邦のそれすら凌駕する部分がある。

 

 

 

 一時期はオーブのアストレイに触発されて、専用の宇宙戦闘用MS開発に傾倒しかけた時期もあったようだが、最終的に彼らが辿り着いた解は極めて現実的なものだった。自分たちが最も得意とする「戦闘機」の技術を最新のMS戦に対応させる方向へ舵を切ったのだ。

 

 

 一時期、ダガーLを宇宙戦闘に特化させて改修しようとする動きもあったが、それも結局は取りやめになったらしい。MSという汎用機に無理をさせるより、地上はMS、宇宙は戦闘機と思い切って棲み分けさせることに決めたそうだが果たしてそれが正しい選択かどうかは神の味噌汁ってやつなんだろうな。

 

 

 

 コスモグラスパー開発で培ったノウハウを注ぎ込み、MSを翻弄するほどの手数と機動性を宇宙空間で実現する。それはある意味、大西洋連邦の陽電子リフレクターを装備したMAユークリッドがドッズライフルの前で無力化した現状に対する、彼らなりの鋭い回答なんだろう。

 

 

 

 地上の防衛特化MSと、宇宙の超機動戦闘機。この二段構えの独自路線に突っ走ってくれるおかげで、彼らは理事国の中でも、ある意味オーブにとって最も安心できる国になりつつある。

 

 

 

 他国を侵略する足を持たず、自国の守りだけに特化して牙を研ぐ隣人。これほど御しやすい、いや、信頼できるパートナーもいない。

 

 

 

 

 

 

 関係も比較的良好だ。このまま彼らが理事国における対話の窓口として、コンパスやオーブとの橋渡し役になってくれることを期待しよう。そうすれば、俺の胃に穴が開くスピードも少しは緩やかになるかもしれないしな。

 

 

 

 

 

 

 

 東アジアのデータファイルを閉じ、俺は次のホログラム――ひときわ、大きな歪みを抱えた「大西洋連邦」の領域を呼び出した。

 

 

 

 

 

 

 この国については、もはや怒りを通り越して乾いた笑いしか出てこない。

 

 

 

 

 大戦中は散々右往左往した挙句、戦後は戦後で「ドッズ・ショック」の直撃を喰らって大パニックだ。自分たちが誇っていたビームライフルや陽電子リフレクター搭載のMAが、ドッズライフルの螺旋の前ではただのデカい標的に成り下がった。

 

 

 

 ここまではいい。技術の進歩に置いていかれるのは世の常だ。問題はその後の「始末」の悪さにある。

 

 

 

 

 大西洋連邦は、ドッズ・ショックの影響で不要となった旧式の兵器群を、あろうことか中古品として世界中にばら撒きやがったんだ。

 

 在庫処分と言えば聞こえはいいが、要は負債を外に放り投げただけだ。それ自体は俺の予想の範疇だったし、経済を回すための手段として百歩譲って理解してやろう。

 

 

 

 だが! よりにもよって!!あのブルーコスモス系のテロリストにまで、戦後の混乱に乗じて兵器が行き渡っているのはどういうことだ!?

 

 

 

 

 

「最近、連中のテロが妙に盛んになっていると思えば……元を辿れば全部これじゃねえか! いや、本当、何してくれてんだよ!! 武器の引き渡し管理くらい、幼稚園児のおもちゃの片付けレベルで、いいからちゃんとやれや!!!」

 

 

 

 

 

 思う存分罵詈雑言を叫びまくった後、俺は乱れた髪をこれでもかと掻き上げ、再び椅子に深く沈み込んだ。

 

 

 

 

 捕虜にしたテロリストの多くが自国出身だった事もあり、大西洋連邦は国際的な信用を失墜させ、コンパスへの影響力を弱めている今の状況は、オーブにとっては必ずしも悪い話ではない。

 

 

 

 

 政治的なパワーゲームという観点だけで見れば、主導権を握る絶好のチャンスだ。だがな、流出した兵器が引き起こす現場の混乱は、そんな机上の空論的なメリットを数秒でチャラにするほどにタチが悪い。

 

 

 

 

 

 見てみろ、この国際社会からの糾弾の嵐を。

 

 

 

 

 

 今や大西洋連邦は「世界の武器商人」ならぬ「テロリストの兵器供給源」として、全世界から袋叩きにされている。ユーラシアと東アジアが手を取り合って「責任を取れ、クソ野郎」と公開処刑さながらの経済制裁を突きつける始末。

 

 

 挙げ句の果てに、国際会議の場では特に先日まで圧力をかけられていた東アジアの怒りが爆発。議員がカメラの前で堂々と中指を立てて「ならずもの国家」と挑発する始末だ。

 

 

 

 これに対する大西洋連邦の反応? 逆ギレして反論した瞬間に、その十倍の音量で全世界からボロカスにバッシングされてらっしゃるよ! ?いや本当やめろよ! このまま意地になって戦争とか起こすなよテメぇら!!

 

 

 

 

 当然、その余波で奴らが国運を賭けていた「次世代MS開発計画」も完全に凍結。開発資金は各国への経済制裁対策やら見舞い金に消え、コンパスを窓口に予定されていたオーブとの技術協力の窓口も実質閉鎖状態だ。

 

 

 

 個人的には「ざまあみろ」と言いたいところだが、開発が止まったところで既に流出した旧型MAやビーム兵器が消えてなくなるわけじゃないんだよ!

 

 

 

「そのツケを! なんで! 俺が戦場で払わなきゃならないんだよ!! ふざけんじゃねえぞ!!!」

 

 

 

 

 

 俺は叫びながらデスクを思い切り叩いた。

 

 

 

 

 この二週間で、俺が「アカツキ」の複座に押し込まれ、ババの殺人Gに耐えながら戦場に引きずり出された回数を覚えているか? 三回だぞ、三回!

 

 

 

 

 五日に一回はザムザザーやユークリッドと殺し合って、あろうことかその内の一回はデストロイまで出てきやがった! ふざけんな! デストロイ流出とか、ロゴスの遺産の管理すらまともに出来ねぇのかこの○○野郎共がよぉぉ!!!

 

 

 

 

 大西洋連邦がばら撒いたユークリッドやら旧型MAやらが、ブルーコスモスの手によって民間居住区を襲撃し、その度にキラやムウを引き連れて俺も出撃する羽目になりやがったよ!!!

 

 

 

 カナードも合間にテロ蜂起前の拠点を潰して回ってくれているが、それを含めるとこの一ヶ月足らずで合計五回も実戦に出る羽目になったんだぞ! 畜生が! ジオン残党並の数としぶとさを併せ持ちやがって……!

 

 

 

 隣ではババが「ユウナ様! これぞ正義の雷撃! 不浄の輩を灰にいたしましょうぞォ!!」と鼓膜を破らんばかりの勢いで絶叫し、俺の三半規管を物理的に破壊しにかかってくる。

 

 

 

 そんな地獄絵図の中、俺はただモニターの隅で吐き気と戦いながら、投降の意志もなさそうな連中に向かって「武器を捨てて降伏しろ」と何度無駄な勧告をする羽目になったか……。

 

 

 

「……もう、お粥生活は嫌なんだ。まともな固形物を、胃袋に流し込ませてくれ……」

 

 

 

 

 結局のところ、今の大西洋連邦はコンパスにおいては最早「名前と金を出しているだけのスポンサー」の一人に過ぎない。かつてロゴスという巨悪が深く根を張り、その恩恵を最も受けていた国だが、その反動による混乱と腐敗は底が知れない。

 

 

 

 結論としては、頼むから何もせず、息を潜めて大人しくしていてほしい。これ以上、自分たちの失態を棚に上げて「世界の警察」面で逆ギレ武力介入なんてし始めたら、それこそ取り返しがつかない。

 

 

 

 ……本当に、原作含めて全くいい所がねぇな、この国は。あのハルバートン提督だって、あの世で「私の守った軍はこれか」と号泣していてもおかしくねぇよ…ちょっと涙出てきた。

 

 

 





 東アジア共和国
 現在防衛に特化したMSの試験を行いつつ、新型航宙戦闘機を開発中。実のところ地球連合軍は積極的に他国に攻め込むのは大西洋連邦が主軸であった為、史実より大西洋連合にウンザリした彼らは自国防衛に特化したMSを開発中。宇宙ではドッズショックの影響でどんなシールドも貫かれる羽目になるというのなら、最初から一撃離脱な火力と回避力に特化した航宙戦闘機を主軸にしようぜ!と独自路線を邁進している。


 大西洋連邦
 本編でも大体敵役ポジで、今作品では東アジアとの摩擦に加えてコンパスが捕虜にしたテロリストの多くが大西洋連邦出身者だったり、その兵器の多くは彼らの装備だと正式に判明したせいで国内外からの猛烈なバッシングを受けており、新型MSの開発やコンパスへの人員補充も有耶無耶になる程にはグッダグダになっている。なぜ劇場版で大西洋連邦出身のパイロットや人員がいないの?というアンサーが嫌な形で成立してしまった。


 他国が大西洋連邦の人員がいるのなら戦闘を許可しないと言うレベルの信頼のなさと、モラルハザードにより軍を去る人も多く人員不足になりつつあるなどハルバートン将軍が知れば頭を抱えるだろう。

 戦後のコンパスに参加するシンとルナマリアについて。

  • 原作通り二人参加
  • 婿養子になりシン・ホークとなって参加
  • ルナマリアが妊娠して除隊しハイネが参加
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