"G"の為に面倒なやつをグッチャグチャにしようとしている殺人鬼と、殺人鬼をぐちゃぐちゃ()にしたい女の子の物語   作:虚憂

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しかしガキの相手はまだまだ未熟

 この世界は、俺が死ぬ前にプレイしたことのあるゲームによく似ている。

 名前は……『慰みの天使』? とかなんとか言う。

 俺好みのヒロインいるからやれ、と半ば強制的にやらされたんだわ。

 

 形式としては非常にシンプルなゲームだったかな。

 1人のヒロインに1人のボスとその配下がちらほらいて、基本的には学園と呼ばれる場所でイチャイチャしながら過ごすってな感じ。

 

 さっき地獄に出荷したブタ野郎もその1人だな、対応するヒロインはあいつの妹様。

 あんな奴だから勿論妹にも虐待してて……ま、そこら辺はおいおい。

 ブタ野郎は解体した以上もう用はない、俺の目的に必要なのは別の奴にあるからなぁ。

 

 

「着いたぞ俺のアジト」

 

「……わ」

 

 

 結局、このガキを降ろす場所を失った俺は一応の家まで連れて来ていた。

 どっかで捨てられたら早かったんだがなぁ!

 

 

「きたない」

 

「うっせぇ」

 

 

 こんなもんだろ、ガサツな男の一人暮らしなんざ。

 腐ったもんとかないから単純に汚いだけなんだ、マシな方マシな方。

 

 

「確かに?」

 

「わかったんなら、ほら足出せ足」

 

「?」

 

「そのまま歩き回られたら余計汚くなるだろうが、とりあえず洗ってこれ巻いとくんだよ」

 

「……包帯?」

 

 

 どっかで盗ったもんだったが、俺が怪我しないもんで使い道がなかったんだよなこれ。

 ちょうどいい。

 

 

「足跡消したら、不都合なことがなくなるから」

 

「そういうことだ……よし、さっさと失せろもう用はねぇし」

 

「いや」

 

 

 畜生ぽけっとした表情でしっかりと断りやがる。

 

 

「殺してくれたら、離れる」

 

「死んだらそりゃあ離れるわなぁ物理的に」

 

「うん」

 

「だが俺にお前を殺すつもりはねぇ」

 

 

 俺別に快楽殺人鬼じゃないし。

 つーか無表情無感情のガキ殺したい奴っているのかね。

 

 

「……トケイソウ」

 

「ハ?」

 

「私の名前」

 

「偽名だろ舐めんな」

 

「うん」

 

 

 うん、て。

 何がしたいんだ?

 

 

「明らかな嘘を吐いたら、殺してくれるかなって」

 

「人を何だと思ってんだおい」

 

「……殺人鬼?」

 

「間違ってねぇな」

 

 

 なるほど殺人鬼に舐めた態度取れば怒るんじゃねえかってか、賢しいガキ。

 

 

「どうしてそんな死にたがる、奴隷主だったブタ野郎はもういねぇだろうが」

 

「死は、救済だから」

 

「ハ、ガキの癖に達観してんねぇ」

 

 

 問われてすぐにその答えが出てくる辺り相当キマってやがるな。

 やだねぇ、キャッキャうふふのエロゲの裏がこんな殺伐としてるなんてさぁ。

 

 まあ外伝作大体こんな感じなんだけどこのシリーズ。

 

 

外伝(それ)じゃダメなんだわな、うん」

 

「……どういうこと」

 

「何でもねぇ、ほらそこら辺片付けんぞ!」

 

「わかった」

 

 

 俺とトケイソウ……じゃねぇんだろうけどまあどうでもいい、ガキで部屋の片付けを始める。

 

 

「でも何で」

 

「あ? お前が言い出したんだろ、手伝わせろってよ」

 

「……あ」

 

「だから寝床なり何なり使わなきゃなんねぇんだろうが」

 

 

 ここ一部屋しかねぇの、俺しか住む予定なかった廃墟だから。

 

 

「今逃したら何されるか分かったもんじゃねぇ、だからお前も俺と共犯にする、理解したか?」

 

「うん」

 

「逃げるんなら今だぜ」

 

「逃げたら、殺す?」

 

「それしか頭にねぇのかよ、面倒だからパスだ」

 

 

 逃げたんなら逃げたで拠点変えたりするだけだし。

 その手間を無くす為に協力させようとしているんだけだ。

 

 

「意外と、頭がいい?」

 

「意外とって何だ」

 

「あの人、殺す時はそう見えなかったから」

 

「ふん、あんなのいつもやってる訳がねぇだろうが」

 

 

 いつもあのテンションじゃ疲れるだけなんだが?

 あれはそういうキャラ作りみたいなもん。

 

 

「どうして」

 

「ハ、その方が印象に残んだろ」

 

 

 俺の目的は、本編にGの烙印を付けること。

 だから積極的に主人公様には関わりに行くし何なら奴とヒロインを殺す……かもしれない。

 

 そこは奴の通るルートによるわな、まあグロいスチルなり描写なりを量産してやろうって魂胆だ。

 

 

「……変なの」

 

「お前にどう思われようが関係ねぇわな」

 

「ひどい」

 

「酷けりゃ酷いほど良いんだよ、俺にとってはな」

 

 

 酷い方が俺の目的には近付けるな。

 ……しっかしこんだけキャラが立ってるガキ、本編で見たことあったら何かしら覚えてる筈なんだが。

 

 あの時ブタ野郎に殺される予定だったかぁ?

 いや、ブタ野郎なら殺さず嬲るな、あのロリコンなら。

 

 てことは、被害者として片付けられた廃人達の1人か、分からねぇな。

 

 

「……私のスキル、聞かないの?」

 

「あん?」

 

「レアスキル、だよ」

 

 

 そう言えば奴もこいつ見て俺に勝てるかもって思ったんだっけ。

 確かに強そうだがな。

 

 

「どうでもいいわそんなもん」

 

「え」

 

「ヒョロヒョロのガキなんかに強さを求めなきゃならんほど俺弱くねぇんだわ、自惚れんなよ」

 

 

 何驚いてんだ?

 スキル使う気満々に見えたか俺が。

 

 

「レアスキルだろうが何だろうがお前が使いたきゃ使え、俺は心底どうでもいい」

 

「……」

 

「元々1人で居るつもりだったんだから当然だろ?」

 

 

 お前が無理矢理着いて来なかったらこうはならんし……変な要素入れてただでさえ大雑把な計画がもっとしっちゃかめっちゃかになっても困る。

 いらん。

 

 

「変なの」

 

「変じゃなかったらこんなことしてねー」

 

「そっか」

 

「そうなんだよ」

 

 

 そう言ってまた、ガキは黙々と作業を再開し始めた。

 ……ほんっと表情に出ないんだな、何も分からん。

 

 

 

 

「あ、本……」

 

「読みたきゃ読め、俺はもう飽きた」

 

「いいの?」

 

「余計なことされるぐらいならこの部屋のもん使われてた方がマシだわ」

 

「……ありがとう」

 

「ふん」

 

 

 

 

「……きたない、ね」

 

「殺して着の身着のまま帰って来るからな」

 

「血、全部殺した人の?」

 

「ああ」

 

 

 

 

「名前なんて言うの?」

 

「お前はなんて言うんだよ、ガキ」

 

「……エレイン」

 

「俺はリヴェンだ、好きに呼べよ」

 

 

 

 

「……やっと片付いた……」

 

「そうだな」

 

 

 血の付いたもんを粗方捨てればあら不思議、わりかし綺麗な部屋になるもんだ。

 意外と広かったんだな。

 

 

「ああ」

 

「?」

 

「この部屋で待ってろ、本でも読んどけ」

 

 

 確かスラムに、俺じゃないのに殺された親子の家があった筈だ、比較的最近。

 ……ちょうど、こいつくらいのガキがいたとか。

 

 

「どこ行くの?」

 

「スラム。盗るもんができた」

 

「何を、取ってくるの」

 

「服だよ服、そのきったねぇ服ずっと着てるつもりか?」

 

「あ……」

 

 

 今気付いたらしいな。

 そうだ、着続けるにしろ捨てるにしろ、この場所にガキの服なんざ置いてない。

 素っ裸で過ごしてぇか? んな訳ないよな分かったろ。

 

 

「着いて行っても、いい?」

 

「あ? 今俺待ってろって言ったよな」

 

「……」

 

 

 じい、と俺を見つめるガキ。

 ……連れて行かないと困る、ってか?

 

 

「俺お前の便利な道具じゃねぇが?」

 

「わかってる、でも……お願い」

 

「……妙な真似すんなよ」

 

「うん」

 

 

 そうして俺は、おそらくこいつの思惑通りに事を運んでしまっているのだった。

 ……別に殺すつもりはねぇんだが、ほんっと厄介だなぁ!

 

 

「名前」

 

「あ?」

 

「名前教えたのに、呼んでくれないの?」

 

「脈絡もねぇし理由もわからねぇんだが、どういうつもりで言ってんだお前」

 

「なんとなく」

 

「はぁ……じゃあレイ、これで良いか?」

 

「うん、よろしく。ヴェン」

 

「あ?」

 

「好きに呼べって、言ったでしょ」

 

 

 ……本当にどういう神経してるんだこいつは?




不思議な能面少女に気圧される殺人鬼の図
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