圧縮断熱により機体が真っ赤に燃えている”セイバー”はモビルアーマーへ変形した。
「突入角度調整、排熱システムオールクリーン。対熱シフトオン…姿勢制御コントロールシステムオン、FCSニュートラル…」
キーボードを片手で高速に撃ち込み暴れる操縦桿を握りしめるが嘗ての”実績”がフラッシュバックし汗が吹き出してくるが汗をメット内部から出すためにキーボードから手を離しバイザーを解放すると玉のような汗があふれでる。
汗は自動朽廃システムにより一旦機体内部に格納されるのを確認する前に直ぐ様機体制御に集中する。
「”セイバー”は元々大気圏を突入できるんだ…落ち着け、私…!」
そう自分に言い聞かせるように呟くエアリスは機体内部の様子を注視する。
”セイバー”の機体内外の温度はじわじわと上がっていくが元より大気圏突入を可能としているポテンシャルを持っているしあの件以降大気圏突入の訓練をこなしていたがそれでもあの時は気を失っていたとはいえトラウマはトラウマだった。それでもやるのがエアリスなのだから。
実際にエアリスの操作によって機体は気流に乗り安定した突入姿勢を取っていた。
「”ユニウスセブン”は…!」
リアカメラの映像を確認すると戦艦三隻が艦主砲と特装砲を用いて未だに破砕作業を行っているのを確認し一番大きい破片は既に半数以上が砕かれていたのを確認し安堵するがそれでも残っている破片が地球に落下すれば津波は免れないだろう。
「だが…それでも原作より被害は押さえられるが…完璧じゃないとは…!」
大体そもそもそんなことが起こらないようにラクス…もといクライン派と協力し”プラント国防軍”…ザラ派ザフト軍を押さえていたと言うのに今回の謎の部隊…十中八九戦争を継続したい連中だろう。それにあの謎の機体…アレからは嫌な感じがしていた。
「…今度あったら絶対に撃墜して軍事法廷にしょっぴいてやる…」
そう呟きながら飛行し降り注ぐ破片を避けながら青い水の星へ降下するために意識を集中していると下方、または前方に”ライジング”と”バーゼラルド”、そして”インパルス”が無事に降下しているのを発見し安堵する。
”ライジング”はもちろん”バーゼラルド”は彼女が基礎から作り出した機体であり大気圏突入に問題ないが実際にその目で見るまでは安心できていなかった。
そして”インパルス”にはあのクリスとか言う少女が搭乗し操っていたが技量的に初期シン位だろうから確りと突入しているのを確認し安堵した。女伊達らに”赤”は纏っていない、と言うことか。
「流石に私が作った機体にシンが乗っていれば無事に突入できるか…と言うかキラくんの機体が余りにも”エクリプス”に似すぎてないかい…?大丈夫?」
”フリーダム”…前大戦で活躍した機体は戦後にラクス達”ファクトリー”に預けられた、と言うのは聞いていた。
流石にオーブ所属となっているキラに強奪したとはいえ元々”プラント”の機体をおいそれと貸し出す事は出来ないから
「…は?シルエットから煙が…ってええぇ?!」
ふと気がつくとモニターに映る”インパルス”がぐらついた、かと思ったその瞬間に背面スラスターのシルエットから煙が吹き出す。
「不味い…!」
スラスターを吹かし機体制御を失い掛けている”インパルス”へ近付いた。
「くそっ…推力低下!さっきの攻撃でスラスターがイカれたのか…!?」
”インパルス”のコックピット内部にけたたましいアラートが鳴り響き計器の数値がみるみるうちに変化していくのを見て流石のクリスも焦りを見せる。機体のスラスターが使えなければ大気圏を無事に突破したとしても高度15000から海面に墜落したら幾らVPS装甲を搭載した機体が無事でも中の人間はお陀仏になってしまうだろう。
どうする…?と必死にこの状況を打開するために頭を巡らせるがそれを中断する声が響いた。
<クリスちゃん…クリスちゃん!>
ノイズ混じりの酷い声に気がついたクリス。それは今”セイバー”を駆っているエアリスだ。
「ッ…この声…エアリスあんたか!?」
<待ってて!今機体を寄せる…>
驚きと同時に少し安堵を覚えている自分に少しだけ嫌気が差したがエアリスは当然そんなことは知らない。
彼女を見つけたエアリスは巧みに機体を制御しつつ推力が低下する”インパルス”の下に潜り込みフライングボードの役割を果たそうとするが声をあげた。
「バか野郎止せ!幾ら”セイバー”の推力でも二機分の落下エネルギーを…」
<黙ってなさい!目の前で死なれるのが一番ムカつくのよ!>
「なっ…!?」
クリスの叫びを無視しエアリスは怒鳴る。あの大人しそうな雰囲気からは想像できない怒気に満ちた声に思わず黙ってしまう。
<…もう、見捨てるのは御免なのよ…!>
「何を…言って…」
<さぁ掴まってなさい!カタログスペックならモビルスーツ一機分運ぶなんて目じゃないんだから!>
クリスはコックピットが大きく揺れるのを感じた。
機体が”セイバー”に接触し機体を操作しマニュピレーターを用いて掴み固定するのを確認すると外を見る。既に成層圏に突入し青い空が見えている。
(フライングアーマーと同じ要領で空力制御…!機体の姿勢制御を手動で操作し脚部スラスターの出力を二十へ…!)
キーボードを操作しエネルギー分配と機体各所の可変翼を微調整し機体の重量バランスを操作しついに機体は安定し飛行を継続することに成功した。
「ふぅ…」
成功させる、とは言った手前緊張はするもので安定した機動を確認しエアリスは胸元を緩める。
胸元に籠っていた熱があふれでているのかと錯覚するほどにむわり、とした熱が顔に当たり今すぐにでもコックピットを解放したかったがそんなことをしたら唐突な気圧変化で機体が重量バランスを崩し二機とも海面に叩きつけられるだろう。
<マジかよ…成功させやがった…>
クリスの呟きが通信に入ったので返答する。安心は未だ出来ないのだから。
「安心は未だ出来ないよ。母艦が近くにないんだ…機体が無事でもエネルギーがなくなれば翔べなくなる」
そう言いながら捜索するが大気圏を突入直後の事だ。センサーが未だ十分に使うことが出来ていない。
<…そうだな。悪い…それと…ありが、とな>
ノイズ混じりのモニターに写し出される少女が頬を赤らめて感謝を述べるのを確認したエアリスは笑みを浮かべる。
「…どういたしまして。でもそれは無事に着艦できるか祈っておいて」
<あ、ああ…>
◆ ◆ ◆
三隻の母艦は高度限界ギリギリでの破砕作業を試みた。
決着として直径四キロメートルあった破片は四つに分かれ砕かれ細分化したが残り一つがその半分…五百メートル程の大きさになり地上へ、地球へ吸い込まれていく。
これ以上の作業は不可能だった。それぞれの艦艇は搭乗員達の命を守るために作業を終え大気圏突入を進める。
暫くして赤熱化した宇宙空間から青と白の境目…地球の制空圏へ突入したことを告げる。
「艦長、空力制御が可能になりました」
未だにビリビリと震える艦の艦橋でタリアはその振動に負けない圧で告げた。
「主翼展開。操舵慌てるな」
「主翼展開。大気圏内推力へ移行します!」
”ミネルバ”はその翼を開き風に乗る。そして減速していき艦艇の揺れが収まっていくのを感じとりタリアはホッと息を吐く。クルー達は良くやってくれたとあの”アーモリーワン”からの初陣から大気圏突入するとは思っても見なかったのは自分含めこの”ミネルバ”クルーも思ったことだろう。少ししてタリアは顔をあげメイリンヘ問いかける。
「通信、センサーの状況は?」
「ダメです。落下破片の影響で電波状況が…」
舞い上がった粉塵とガスでレーダーが死んでいるのだろう。その事にタリアは小さく舌打ちする。
「わかっているわ!レーザーでも熱探知でも良いから”セイバー”と”インパルス”を探して!」
指示するとタリアの後ろにいるラクスが祈るようにしているのをメイリンとアーサーが目撃しハッとする。
「…彼らも無事に降下していると…?」
「平気で各艦の艦主砲を撃っていて何を、と思うかもしれないけれど…信じたいわ」
二人の運を。そして彼女らがベストを尽くし巻き込まれ燃え尽きていないことを。
実のところタリアは二人が生きているとそんな風に思えたのは彼女達が運と実力…そして幸運の女神に守られているとそんな気がしていたからだ。
だがもしも彼女らが生き延びていたとしても早急に見つければならないのは最悪の状況に瀕しているかもしれないからだ。
「センサーに感!」
暫くしてバートの声が艦橋に響く。その声に期待しないものなどいなかった。その声に反応したはラクスも同じで閉じていた目蓋を開くその瞳は潤んでいるようにも見えた。
「七時の方向、距離四○○○!これは…”インパルス”?いや…」
「光学映像、最大望遠で出せる!?」
「はい、待ってください!」
矢継ぎ早にタリアが問いかけるとメイリンが正面モニターを操作し映像を出力する。
モニターが点灯すると同時に艦橋に歓声が広がった。
モニターの中には背面スラスターが破損し飛行できなくなっていた”インパルス”を受け止めるように”セイバー”が下に潜り込んで飛翔している姿が映し出されていたからだ。
「エアリスっ…!」
その姿に思わず立ち上がりラクスが声を詰まらせたように安堵し組んでいた手を解き胸に当てている。
「おお…!二機とも無事だ!」
自分の事のように喜ぶアーサーを見て苦笑する。”セイバー”に乗っているのはあの憎き【彗星の魔女】…と言うことを忘れているのではないか?と思ったがタリアも同じくこの作戦で彼女の人となりは理解しているので彼のように喜ぶのは無理もない。人種を越えてこういう風に喜んだり出来るのが彼の長所だろうと評価できた。
「アーサー、発光信号で合図を。このままじゃ二機とも海面に激突してしまうわ。マリク、艦を寄せて頂戴。」
「はいっ」
「発光信号…”ミネルバ”か!」
”インパルス”を乗せていた”セイバー”が前方に上る信号を見つけて声をあげた。無事である同時に自分達が海面に叩きつけられないことを安堵した。
「助かったのか…」
同時に”インパルス”のコックピットでクリスも息を吐いた。機体がガクリ、と動いたのを確認し離していた操縦桿を手に取るとこちらに向け滑ってくる”ミネルバ”と”セイバー”が相対距離を合わせ後部甲板へ着陸体勢を取ると着艦と同時に”セイバー”が変形した。”インパルス”も振り落とされないように機体の残ったスラスターを使い膝を付いて着陸に成功した。
タリアが指示を出そうとするとバートが報告する。
「直上より反応あり…これは…”ライジング”と”バーゼラルド”です!」
「あの二機も破砕作業を続けていた…?…このまま放り出すわけにはいかないわ。あの二機へ光信号で着艦許可を。マイク、あの二機が着艦後当艦は着水体勢に入る!」
モビルスーツデッキに着艦する事を連絡するとラクスは着席しようとしていた。
落ち着いてから…と言う本能より理性が勝った姿を見て「気にせずに向かってよろしいですよ」と視線を向ける。
ラクスはその視線を受けて驚く表情を浮かべ座り掛けた身体を翻す、その前に一礼しモビルスーツデッキへ駆け出すように走っていったのを見てタリアは微笑ましいものを見る目で見送った。
◆ ◆ ◆
「なんとかなった…」
”ミネルバ”に拾われ事なきを得たエアリスはコックピットで息を吐く。”インパルス”も無事なようで”セイバー”と同じく格納庫にワイヤーで固定されていた。
「…ん?”ライジング”に”バーゼラルド”…?一緒に格納されてたのか…良かった…」
共に破砕作業を行って大気圏を突入していた二機も無事に回収されていたことに安堵し一先ず機体のコックピットハッチを解除しラダーを掴み降りる。
「エアリス!」
「…ラクス!?どうして…」
降りると同時にラクスの声がデッキに響き渡る。”インパルス”から降りたクリスはラクスの姿をキャットウォークにその姿を確認しムッとしたがそれよりも当の本人が驚いた表情を浮かべていた。
「貴女が…キラが戦っているのに自分だけが安全な場所に逃れるなんて出来ませんわ」
困惑するエアリスだったがラクスの言葉を聞いて仕方ないな、と困った笑みを浮かべていると艦体が大きく揺れる。
体勢を崩そうとするラクスを受け止めると同時に周囲のクルー達が色めき立った。
「な、なんだ!?またなにか…」
「衝撃波だ。地球一周してきた最初の落下の衝撃だ。大丈夫だ。規模は小さい」
冷静に指摘したのはザクから降りてきたレイだ。その指摘にクリスはハッチの外を見る。この船の外で落下した”ユニウスセブン”の破片がどれ程の被害をもたらしているのか…想像もしたくなかった。
その間にも”ミネルバ”は着水に向け降下していた。海面に近付くにつれて影は大きくなり接触した次の瞬間大きな水飛沫を上げて突き進みながら減速していく。
<警報!総員着水の衝撃に備えよ!>
艦体は大きく揺れその衝撃に耐えるようにクルー達はシートベルトや物に掴まり体を固定する。
艦は海面を切り裂きながら突き進むそれは永遠のように感じられたが暫くして”ミネルバ”は完全に着水を決めた。
<着水完了。警報解除>
アーサーからの艦内通信によってクルー達は安堵の息を吐いた。シートベルトをはずし立ち上がる。
<現在、全区画浸水は認められないが、今後も警戒する。ダメージコントロール要員は艦底下部区画へ>
ハンガーにいた整備兵達が道具を伴って下へ向かう通路を歩きだし一部クルーは艦の外へ出て思い思いに始めての”地球”への感想を漏らす。
「地球の人々は…大丈夫でしょうか…」
「私たちはやれることをやった…だけど、さ…また、争うのかな…?」
「エアリス…」
悲しそうな表情を浮かべ隣にいるラクスへ視線を向ける。
「…」
ラクスはエアリスの言葉を静かに聞いている。
「未だに禍根に囚われた連中がまた……手を尽くしたと言うのに…」
悔しげに拳を握る。ラクスはそれを包み込むように掌を重ねた。
「それでも貴女達は必死に戦いましたわ。それをわたくしは見た…皆様への真実を伝えるのはわたくしどもの仕事です」
「ラクス…」
「一先ずは…休んでくださいなエアリス…”アーモリーワン”からずっと戦い詰でしたから。わたくしもこれから忙しくなりますし…今のうちにキラに逢っておきます」
「…ありがとうラクス。うん、そうだね…」
そう告げラクスは艦内へ戻っていく。彼女も”プラント”の一員として矢面に立つことになるのだろう。
「……曇り空、いや日が差してる…海の向こうは……どうなってるかな」
曇天、いやそれでも雲の切れ間から日が差しているのは希望だろうか?と詩的な感想を述べるエアリス。
ザフトレッドのパイロットスーツの胸元を開け身に付け吹き付ける潮風を受け亜麻色の髪を靡かせて海の向こう光景を幻視し被害を朧気に感じ取っていた。
(やっぱり沿岸部の被害が大きいか…それでも私たちはベストを尽くした…とはいえ犠牲になった者達の事を考えれば…そんなことは容易く言えないか)
拳を握り遠くを見つめる。
阻止できるところは阻止した。アスランへザラ派の言葉を聞かせることは阻止できたがだが実際に
「………(エミリア)…」
「エアリスさん…」
声を掛けられハッとして後ろを振り返るとオーブ軍のスーツを着用したキラが後ろにたっていたことに気が付き暗い感情を一旦奥へ押し込めた。
「どうかしましたか、”ヤマト准将”」
「ええと…その…」
公的な呼び方で返答すると困ったような表情を浮かべるキラ。その表情を見ているとなんだか後ろ暗いのが薄まっていくのを感じ取り思わず意地悪したくなってしまった。
「…冗談です。久しぶり、”キラくん”?」
自然と笑みが溢れてしまうのは我ながら現金だな、と内心で苦笑してしまう。
実際にキラと逢うのは約一年ぶりとなるからだ。
「本当に…お久しぶりです。エアリスさん…でもどうしてザフトのパイロットスーツを…?」
「”ユニウスセブン”で説明したと思うけど…」
「いやそうですけど…その…」
キラがもごついているのを見て怪訝に思ったがその表情の赤らみと視線が
「どこを、見てるのかなぁ…キラくん?」
「あ、いえその…ザフトのパイロットスーツもとってもお似合いです…」
「…一応軍務中なの分かってる?普・通にセクハラだからね…」
エアリスは無意識だろうが前屈みに腰に両手を当ててジト目となって見つめると再び顔を真っ赤にして慌てふためく姿を見てクスりと笑う。
「ああ、いえ、その…」
「ぷっ…あははっ…冗談だよ。キラくん」
そう言ってエアリスはキラに抱きつく。キラもまたエアリスを抱き締め返した。
「ありがとう…」
「…あら、わたくしを除け者にしてお楽しみですか?」
「「!?」」
突如として後ろから声を掛けられ二人はバネのように離れた。振り返ると笑み…と後ろにナニかが浮かんでいるかのように思えるラクスがソコにいた。
「ら、ラクス…」
「あ、いやこれはその…除け者にしてキラくんに抱き締められたいなーとか思ってないよ~」
「うふふ…エアリス。本音が駄々漏れですわよ?」
「あ」
「全く…」
「仕方がないですわ」とため息を吐いてラクスは近付き二人を抱き締めた。
「漸く三人で逢うことが出来ました…キラ、エアリス」
「うん、そうだね」
◆ ◆ ◆
「けど本当に驚きましたわ…まさかキラが破砕作業に参加しているとは…」
「うん。”へリオポリス”の基地にいた時に行政府から連絡があってね…丁度動ける部隊が僕の所だけだったんだ」
「そうだったんだ…」
「でも驚いたよ。二人とカガリが”アーモリーワン”で進水式に出るとは聞いてたけど…まさかザフトの機体と戦艦に乗っていたなんて思わなかった」
談話室にて腰を据えて会話する三人はそれぞれの経緯を話していた。
「まぁ…成り行きでね。まさか、”ダガー”以外の機体で大気圏を突入するとは思わなかったけど」
「大気圏、突入…」
「大丈夫。今回はPS搭載機だったから…本当は”ダガー”でしたかったけどね」
残念、とそう言いたいように首を横に降るとキラは苦い顔を浮かべるのは二年前の事を思い出しているからだろうそれを横目にエアリスは真面目な表情を浮かべ会話を続けた。
「…それに”ユニウスセブン”で出会ったあの謎の部隊…一年前に【B.L.E.U.M.】を襲った機体と同じだった」
「っ!?まさか…」
キラはその場に居合わせてはいなかったが報告として聞いていた謎の部隊…それが今回の”ユニウスセブン”落下に関わっている?
「確証は持てないけど…私の直感が告げている」
ラクスとキラ…二人を前にしてその言葉を告げるのは酷だった。
しかし、それは妄言でも虚言でもなく”真実”であることを後に知ることとなる。
「…アレは”コーディネイター”の部隊だ」
◆ ◆ ◆
L3暗礁宙域。暗闇に紛れるように数隻の戦艦が集結していた。
<…作戦は成功したようだな>
「ああ。落下阻止はされたが”種”は撒いた…直に芽吹くさ」
<あとは議長閣下と同胞を解放するだけだ…我々コーディネイターが選んだあの行動こそが真実なのだ、とな>
また始まった、とアッシュは呆れた感情を殺し通信を続ける。
「…そっちに関しては任せるよ。上手く行くことを祈ってるぜ。それと完了したら暗号通信で伝えてくれ」
<ああ…了解した。我らコーディネイターこそが真に選ばれた”人類”であるとナチュラルと目を曇らせた同胞に知らしめるのだ…>
そう通信を終えた後真っ黒になった画面を見てアッシュは噛み殺していたアクビを隠すことなく行い退屈そうな表情を浮かべクルーへ声を掛ける。
「…ったく退屈なんだよお前の御託はよぉ………んで各種状態は?」
「モビルスーツに関しては損耗分は補充を”プリペンダー”より回してもらえるようです。装備弾薬の補給も間も無く完了するとのことです」
「あんまり遅いと”プラント”にいる連中が”無駄死”にしちまうからなぁ…急げ、って言っとけ」
「了解しました」
そうして人を払った指揮官室にてアッシュは秘匿回線を開く。
<………。>
「ええ。無事に完了しました。彼らは任務を全うしてくれました。証拠もそちらの部隊が抑えたでしょう…開戦に至る理由なら腐るほど思い付くでしょう?”テロリストを匿っている”とね…ええ。良い機体達です。流したデータを足がつかないようにそちらで建造していただきました。そっちの技術者にはお気の毒ですが。”ナチュラル達”の憎しみを燃え上がらせるにはお誂え向きです。ええ…では…”盟主”殿」
通信を終え真っ黒になった画面に男の狂暴な笑みを浮かべる。
「どいつもこいつも…利己的で…最高だな…はははっ…あはははははっ!!」
人知れず悪意の萌芽が芽吹き花開こうとしているのだった…。