「…父は、大統領はどう言った判断を?」
ザフト軍の制服を着用する四十代程の男の宣言…”ネオ・ザフト”と名乗る組織の声明が全世界の放送局をジャックしてそれを放映していた。
無論その放送を妄言として切り捨てる国家は何処にもいないのは事実”ユニウスセブン”の破片は落下し”大西洋連邦”内部、そして各地へダメージを与えたのだから。
茫然とするクルー達を尻目にエアリスは冷静に画面向こうのアズラエルへ問いかけるそれをアズラエルは真面目な表情で受け止め座っている革張りの椅子をクルり、と回した。
「…大統領はこれを受け極めて悪質な敵対勢力として彼らをテロ組織として断定するでしょう。我々にも対テロ即応部隊として出動命令が通達されると思いますが…」
極めて悪質な”敵性国家”ではなくなく”悪質なテロ組織”と来たかとエアリスは少しだけ安堵した。
そう言葉を区切りクルり、と再び正面を向く。
「このテロ行為に関して”プラント”が関わっているのではないか、という声が大きくなっていましてね…そしてその矛先は”コーディネイター”の市民へ向けられています」
「…ッ」
やはりか、とエアリスは苦虫を潰す。
”ユニウスセブン”の落下被害は確実に自分の想定よりも軽微…と言えどもそれは
それを地球の全てが許す筈がない、尚且つそれが
「”プラント”側はそれを否定するでしょう。ですが…
そういってアズラエルは入手したであろうモビルスーツのデータ…”ガルド”呼ばれた因縁深いその機体が”プラント”で生産されていた事が記載されている。端から見れば”プラント”が関わっている、とそう言っても差し支えない…がそれが目的だろうと此を画策したモノ達へ悪感情を向けた。
「…あの声明を受けて地球各地でコーディネイターの排斥運動が起こっています。幸い此方の”デトロイド”や”アーリントン”周辺地域では大きな動きはありません。ですが…」
アズラエルがそこで言葉を区切る。画面越しに私を見たのは言葉を待っているからだろう。
そこでエアリスは今後起こることと今、別の思惑で動く”組織”の動きを告げた。
「連合内部で動きを見せている、と」
「ええ。貴方たちが入手してくれた”ユニウスセブン”宙域で見た、とか言う戦艦は別の企業で作られているとは言え連合内部で建造されている”アークエンジェル級”戦艦…条約をガン無視した機能付きですよ。恐らくは”アーモリーワン”を襲った謎の”連合兵”の部隊…”ファントムペイン”の母艦でしょう。うちとしてもこんなものを表に出されたら面倒なことが増えます」
そう告げアズラエルは手元を操作し画面に表示するのは”ガーティ・ルー”のデータだ。
よくぞここまで…と言葉が出掛かったが軍産複合理事を務める彼の立場からしてみれば調べることは造作もないことなのだろう。
まぁ、私はそれ以前に知っていたがとエアリスは思いながら画面向こうの男を見た。
「この状況を利用してコーディネイターを殲滅したい…と考えるのは十中八九”ブルーコスモス”でしょうね。今はその椅子に座っている企業連盟…ロゴスの首魁であり貴方の後釜に勝手に座った”ロード・ジブリール”…そして目障りな【B.L.E.U.M】を消したい…今や私たちは”コーディネイター”と”ナチュラル”を結ぶ架け橋、ですからね」
そう告げるとアズラエルは驚いた、といった表情を浮かべた。
「ほう?そこまで知っていましたか。流石ですね」
「…難しいことでもないですよ。彼が今”ブルーコスモス”の椅子に腰掛けているのは知っていますから。予想ですが…”ネクロシス”を作ったのもそれが理由でしょう。それよりも月基地”アルザッヘル”に動きは?」
月の”プトレマイオス”基地が前大戦で消失した後に本拠地として扱われているのが”エンデュミオン”でありそれに続くのが”アルザッヘル”そして資材基地である”ダイダロス”だ。
(この世界で”レクイエム”を建造を決意してるかもな…面倒だ)
「いや、未だです。が…彼処は”ブルーコスモス”の息が掛かった第三、第四宇宙艦隊が泊地としています。それに関してはエンデュミオンが見張っています。問題はない、と信じたいですね。先生も敵性組織の”アレ”が暴れるようであれば殲滅せよ、とお達しが来る筈です。」
戦後に左官と将官訓練をさせられた。あれはもう二度とやりたくない。睡眠学習は流石の私も遠慮したいところだ。
戦後間もなく尚且つ戦後に失われた戦力保全を行い復帰させた味方同士で潰し合うと言うのは不毛な戦い、と断言できるだろう。
「(艦もモビルスーツも人も…金が掛かっているんだ貴重な資源等をそう簡単に使い潰されてたまるか)そうですか…”プラント”との関係は?どうなりますか」
「【B.L.U.E.M.】としては友好関係ですが大西洋連邦としては微妙なところですね。デュランダル議長の表明次第、と言ったところ…大統領も大っぴらに彼らと敵対したいわけではないのですよ。再び敵対する、となれば再び火蓋を切らねばならなくなります。此方の情報筋では”プラント”は友好的に此方へ協力を
「…結構です」
そういうアズラエルの言葉を聞いてと苦々しい息を漏らす。きっと国家予算の数十倍…が消費されているのだろうと想像に固くない。
「貴方たちは司令部の指示に従い行動してください。新型機を受領したオルガ君達は慣熟訓練を既に終わったらしいのでアーリントンへ向かうと思いますが…一先ずは”オーブ”でお世話になっていてください。ああ、そうだ。其に最終調整が完了した、と通達がありましたので貴方の
ユニウス落下時に間に合っていれば…と思ったがたらればの話であることを思いだし振りきる。
取り合えずはオーブでバカンスしててくれ、というニュアンスでエアリス達に告げた。
ついでと言わんばかりにエリカとの新モビルスーツの会議とマユがこっちの帰りを知っていることに苦笑しながら画面に映るアズラエルヘ二人は敬礼し答える…前にアズラエルへ考えていたことを提案して見せた。
「理事」
「なんです?」
「オルガ達を”ロゴス”…ジブリールの近辺の捜索部隊として結成させることは出来ますか?」
突然の提案に面食らうナタルだったがアズラエルは「ほぅ…?」と面白そうな提案だと受け止め話を促した。
「続けて」
「…では失礼して。”ロゴス”…ジブリールは私や理事を消したい筈です。そうなれば私設軍である”ファントムペイン”が此方を狙ってくる確率は高い…それを逆手にとってオルガ達にはその裏を突いて情報収集する任務に就かせたいのですが」
如何せん情報が少なすぎる…と言うか予想外の事が起こりすぎているため情報収集する部隊が欲しい。
オルガ達は強化人間ではなく戦闘だけが得意…と言うわけではない。私と一緒に潜入工作や情報収集の訓練を行っているので問題ない筈だ…心配だけど。
「”ファントムペイン”の主力部隊は私とシン達で対処できるでしょう。ジブリールの主力を削いで情報を得る…動ける部隊があるなら二つに分けるのは合理的だと思います」
そう告げるとアズラエルは納得した素振りを見せる。
「なるほど…それも一理ありますねぇ。……分かりました。オルガ達は別動隊として編成します。アンジー少将には此方から連絡を。あなた達は戦闘部隊として”ネオザフト”討伐に向け準備を進めてください」
「了解。…それとお父様と総裁へ。身辺警護のレベルを引き上げておくように、と念を押しておきます」
その言葉にぎょっとするナタルを尻目にエアリスは酷い真面目な表情でいることにアズラエルも苦笑しながら頷いた。
「…ええ。警戒を引き上げておきます」
「では」
そう告げ通信を終えると艦橋内部には微妙な空気が流れていたが気にせずにエアリスは艦長席に座るナタルを見上げた。
「また、一波乱来そうですね」
「…そうだな。一先ずはアスハ補佐官より補給と整備を受けられるよう手配をしてくれたようだ。手回しが早い」
ナタルが苦笑するのは無鉄砲だった時期を知っているからだろう。そうなるのも無理はない。
「シンの”バーゼラルド”のメンテナンスもあります。直ぐにでも”モルゲンレーテ”へ向かうわ」
「頼む。受領後各ストライカーとアーマメントの積み込みもあるだろう。進めておく。艦橋より各員へ通達…作業に掛かれ」
そう告げるのを聞いてエアリスは頭痛と胃痛の種が増えたことにため息を吐いたのを見て思案する。
(…”原作”じゃあこんな組織はいなかったのは私がいるから?)
思わず歯軋りしたくなったがその動作を取り止め思考する。
(仮に…デュランダルがこの事案に関わっているとするのならラクスの方で知らない筈がない…となれば原因は
詳細すぎるデータに全てが”プラント”が装備提供をしていたという全てにおいて
(となれば裏付けは必須か…しかし、事態がどう転ぶか分からないから部隊を離れる訳には行かないな)
思案しつつ一先ず”モルゲンレーテ”へ顔を出す準備を進めた。
◆ ◆ ◆
「アスラン…」
夕刻頃アスハ邸の一室。
アスランに宛がわれた私室に議会が終わり訪れたカガリは部屋の扉を開くと小さな光が覗き込むのを確認し室内へ視線を向けるとその光源が置かれたモニターでありその映像をみて立ち尽くすアスランの後ろ姿を確認し室内に入り込んで後ろから声を掛ける。
「…カガリ、か…もう、議会はいいのか?」
その声に覇気がないのは当然だ。
その声明が自らが属した軍でありその理念が嘗て世界を滅ぼそうとした父パトリックとあのメイア・シヴァの名を語り世界へ宣戦布告したのだから。
同胞が…あの”ユニウスセブン”を落としたと言う事実はアスランの心に深い影を落とすのは必然だった。
「……」
意気消沈しているアスランをみたカガリはモニターを操作し電源を落とす。
その宣戦布告に対して連合が声明を発表するニュースに切り替わったが無視して彼の手を取って力強く引っ張った。
突然の事にアスランは驚くが自分の手を握った少女の表情は前髪隠れて見えなかった。
「…いたっ!お、おいカガリ…何をするん…だ…」
「…飯、食べに行くぞアスラン!」
「え?」
「私の奢りだ…うまい肉食べに行くぞ!キラもエアリスやカリダ叔母さんもハルマ叔父さんも誘って…だから…」
カガリの言葉を聞いてアスランはハッとする。
彼女は俺のために無理矢理に元気を出させようとしているのだと気がつきカガリに声を掛ける。
「お前が…親父さんの事を一人で全部背負うのはやめろよな…私にも背負わせろ。お前は一人じゃないんだから」
その彼女の気遣いが何よりも嬉しくて同時に申し訳なさが混在していた。
惚れたやつの弱み…ではないがアスランは嬉しさのあまり彼女を抱き締めていた。
「え、ちょっ…アスラン…!?」
「すまない…お前もオーブの事でいっぱいいっぱいなのに…」
「いや、だからって急に抱き締めることは…」
「すまない…」
「それしか言わないし……いいよ。もう」
「すま」
カガリが口を開こうとしたアスランの唇を人差し指で止めた。
「そこはありがとう、だろ?」
「…ありがとう」
抱き締められたことに不満げだったがアスランの不器用な優しさに不意に笑みが溢れた。
(お前だってイッパイイッパイだろうに…あの時と一緒でほんと頭ハツカネズミみたいだな)
そんな不器用な優しさが心地よくついつい頼ってしまっていた。それはお互い様であった。
「しかし、連合がテロ組織に対する対抗策として同盟案を出してくるとは…」
「ああ。議会は大荒れだよ」
戻ってきてすぐに議会場へ通されたカガリとアスランは地球での被害状況を聞かされ顔をしかめたそれに追撃するようにザフト軍残党…ネオザフトと名乗る組織が今回の事態を引き起こしたことに世界各国…特に大西洋連邦とプラントがその動向に強い動きを示していた。
「議会の中には大西洋連邦との同盟を示す動きもあるが…国を焼いた相手だ。議会はともかく国民感情や軍の兵士達には到底受け入れられないだろう」
「だからこそアズラエル総帥やエアリス達の部隊が矢面に立つ、と言うことか」
議場で上がったのは連邦大統領であるマクシミリアンからの提案として連合軍として安全保障同盟ではなく一部隊【B.L.E.U.M.】との行動提携と言う話になっていた。
「エアリス達ならオーブとしても受け入れることが出来るだろうな」
「言葉の妙か…」
オーブ市民や軍の兵士達は【B.L.E.U.M.】の活躍はC.E71の”オーブ解放戦”や第一次連合・プラント大戦のその後主権を回復した手助けをしたことで知られていた。その際に何故かキラの想い人であることを周知され二人ともにある意味で神格化され掛けていたのはキラはカガリの兄妹であり特許のOSライセンスで国を買い戻しマスドライバーを建造、エアリスは連合統治時に軍事アドバイザーとオーブ軍の能力向上と治安統治に務めオーブと言う国に尽力したためだ。無理もない。彼女は人気者であった。
「”連合はダメだが”エアリス達は良いと…大人気だな二人は」
「どっかの氏族がキラを政界入りさせようと画策してるらしいが…私がさせんよ」
アスランの言葉にカガリが苦笑する。セイランがキラを敵視しているのは国を取り戻した文字通りの”英雄”であるためと隣にいるアスランの親友だからだろう。そして軍の将官としての力があるキラと政治家として活躍するカガリの武政を兼ね備えている事に危惧しているのかもしれない。
「(セイラン…と言うかユウナが暴走しなければ良いが)それにしてもキラ達が結婚するまでにはまだまだ時間がかかりそうだな」
そうカガリが告げるとアスランは内心で「それを言ったら俺たちも同じじゃないか…」と苦笑していた。
◆ ◆ ◆
湾口ドックから借り受けた車両に乗り込みシンは”バーゼラルド”へ搭乗し操縦し”モルゲンレーテ”に到着した。
いつぞやの時のようにゲートが開きキャリアーに”バーゼラルド”を納め車両から降りると小さな影がエアリス目掛け飛び込んできたのだ。
「エアリスさ~ん!!」
「うぉっとと…元気だったマユちゃん?」
「はいッ!逢いたかったですぅ~(はぁ~~ッエミリアさんだぁ…好き…すぅ~~~~~ッ!!)」
腰の辺りに飛び込んできた大きめのモルゲンレーテの制服を着用する小学生程度年齢の黒髪のおしゃまな少女…その実は天才エアリスの弟子である技師マユ・アスカは正式なスタッフの一員だった。普段は小難しい文章や設定を弄っているが今日ばかりは敬愛し姉として師として慕う彼女が戻ってきたことで子供らしさを全面に出し甘えている。
抱きつきエアリスの胸の辺りの身長しか未だ無いマユはその全身を埋め胸元に顔を沈めて体臭と清潔さが現れた制服の匂いを鼻腔に吸い込み若干のトリップを決めていたが当の本人は苦笑しつつ抱き締め返して頭を撫でて少しだけしかった。
「こらっ…実の兄が帰ってきてるのに私に真っ直ぐ来るのはダメじゃない。ちゃんとお出迎えしないと」
「はぁ~い……あ、お兄ちゃんも帰ってきてたんだお帰り」
御座なりな出迎えに苦笑するシンだったが毎回恒例となりつつあるマユの反応に少しだけ頬をひくつかせるだけで特に小言は言わなかった。
「おまっ……だんだん扱いが雑になってきたなマユ…こっちは津波大丈夫だったか?」
そう質問されマユはエアリスから離れて小さく頷いた。
「うん。こっち側は大丈夫だったよ。津波の被害はどっちかと言うと群島エリアの方が酷かったらしいからこっち側は被害がなかった」
「そうか…何もなくて良かったよ」
「うん。お兄ちゃんが破砕作業に参加する、って聞いたときは驚いたけど…ってお兄ちゃん?」
シンと会話していたマユがエミリアに抱きつきながら直ぐ近くにあるカーゴに納められた”バーゼラレド”を見上げると声色が変わりジト目で見始めた。
「な、なんだよ…」
「随分と手荒に扱ってくれちゃったみたいだねぇ…”バーゼちゃん”ガタガタだよ?エミリアさんならこんなことになってないとマユ、思いますー」
カーゴに納められた電源を落とし鉄灰色となった機体には至る所に装甲表面が傷つき欠けている場所もあり満身創痍、と言える状態になっているのを指摘されシンはバツの悪そうな表情を浮かべた。
「俺と師匠を比べるなよ!…ったくどんどん兄への尊敬が無くなっていきやがって…」
「…まぁ無事に帰ってきたからよしとしますか。ほら行くよお兄ちゃん、こっちこっち!」
「あ、ちょマユっいきなり走り出したら危ないだろ」
エアリスから離れシンの手を握って工場内部へ駆け出していく姿を後ろから見ていた少女は見覚えの無い光景に懐かしさを覚えると同時に少しだけ悲しい気分となっていた。
「…素直じゃないねマユちゃん。…まってよ!二人とも」
◆ ◆ ◆
モルゲンレーテ地下整備ドック
「お帰りなさい大佐。とんでもない時に巻き込まれたみたいですね」
「ええとんでもない宇宙旅行になりましたけど…”バーゼラルド”とシンが仕事をしてくれましたので」
「大佐もそうだけど…准将も大変ね」
地下ドックに到着しエリカが出迎えここまでの経緯を説明すると苦笑されたのは行く先々で面倒ごとに巻き込まれる若い二人が矢面に立つのはどうにかなら無いものかと子を持つ母としてはそう思ってしまうのは仕方の無いことだった。
「…さて、と。話はこのぐらいにして着いてきて頂戴。マユさん」
「分かりました。エアリスさん此方です!」
「はいはい。ありがとう」
先に動き出したエリカに続いて移動するエアリスはマユに手を引かれてその後を着いていくと二十メートル以上ある鋼鉄製の扉の前に移動して端末を操作してその閉じられていた扉が開かれその内部が露になる。
「…これが」
「師匠の機体…」
「ええ。貴方が機体図面を引いて私たちモルゲンレーテが建造した新機体よ」
「はいはい!マユも頑張りました!」
「ありがとうね」
ぴょんぴょんと跳ねて手を上げるマユ。事実弟子となったマユも設計に大きく関わっていた。
そんなマユの頭を撫でて目の前にあるものを見上げた。
エアリスの目の前に佇むのは鉄灰色の威容…特徴的な頭部パーツ…その見た目は地球連合軍正式採用機体である”ダガー”…だがその見た目は従来のものとは大きく異なっている。
カメラのバイザーは鋭角的でその奥にツインアイを覗かせ指揮官機なのかブレードアンテナは四本に増設されてTP装甲によりカラーリングは白と濃蒼で塗装されており肩には”魔女と八枚花弁”がマーキングされており機体全体の雰囲気は前大戦で伝説的な働きを見せた”ディスペアー”に似ている。
機体各所に設けられた接続部分と背面のプラグは”ストライカーシステム”と”アーマメントシステム”を併用することが可能であることを窺わせ付き出したブロック部分は可変システムを搭載しているのを想像させる【B.L.E.U.M.】の最新鋭機体だ。
「GAT-RX10S”アームドダガー”…完成したわ。専用ストライカーとアーマメントも完成して搬入できるわ。本来なら”バーゼラルド”より先に完成する筈だったのだけれど」
「仕方ありませんよ。急遽仕様変更になってしまったのですから。無理を言ってすみません」
「気にしないで。此方も”ムラサメ”の洗いだしや准将の”ライジング”の基礎スペックの向上に利用させてもらったし。お互い様よ」
そういってエリカは苦笑して見せる。本来ならアズラエル財団で建造する予定の機体だったが政治的なやり取りがあったためこのオーブで建造することとなりその経緯は割愛することとしよう…。
「(これからのこともある…この機体は必要になるだろうね。)エリカさん。ストライカーとアーマメントの積み込みと最終調整をお願いします。それとシンの”バーゼラルド”のメンテナンスを」
「わかったわ。マユさん手伝ってちょうだい」
「分かりました!」
作業員達が機体搬入とメンテナンスの為に動き回るのを尻目に機体へ向かうタラップへ乗り込みリフトを上昇させハッチを解放させ機体へ潜り込みシートに背を預けた。
「頼むよ…ダガー」
そしてそれはまた新たなる戦いへ合図でもあった。