続・魔改造ダガーでC.E世界を駆け抜けたい   作:萩月輝夜

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すごい勢いでお気に入り登録と評価されててビックリ…。
ご期待いただきありがとうございます。

シンちゃん。ポカやらかします。

其ではどうぞ。


戦いを呼ぶもの達

「なんだこいつら…!?」

 

”アーモリーワン”でザフトの最新鋭モビルスーツが開発されているとの噂を聞き付けスティング・オークレーが奪取した”カオス”のコックピットで驚愕の面持ちで目の前に立ちふさがる機体を見た。

 

上官に当たる人物から楽な仕事だ、と聞いていた。

実際に工廠に潜入して周囲のザフト兵士を味方と共に排除し、強奪に成功した後は脱出するだけだった筈なのに予定が完全に狂ったのは目の前の機体のお陰だ。

 

「こいつら…強い!」

 

奪取した機体で軍事工廠を破壊していくのは爽快感を覚えたが一変して目の前に出現した二機のモビルスーツ…データで登録されている”ザククォーリア”は自分達の乗る機体と比べれば劣る筈があしらわれている事に苛立ちを覚えた。

 

<スティング!なんだよこいつら!聞いてないぜ!?>

 

同じく”アビス”に乗るアウル・ニーダがザクのトマホークを手にしたビームランスで受け止めながら悪態を吐くように問いかける。

 

「俺が知るか!」

 

スティングは接近するもう一機のザクの攻撃をいなしながら内心で焦りを見せた。

 

(俺たちより強い…ふざけんな…!)

 

戦うために産み出され俺たちがコーディネイターよりも劣っている、だと…?!

ふざけるな、と苛立ちを示すように攻撃してきたザクへサーベルを抜刀しシールドへ叩きつける。

しかし、幾ら相手が強かろうと機体の性能までは誤魔化しきれない。相手がエースとは言え此方はセカンドステージの機体で”三”対”二”であり数的優位があるのには変わらない。

 

「なんだ…!?」

 

”ガイア”を操るステラ・ルーシェが後ろを見せた”ザク”へライフルを発射しようとしたそのときだった。

突如として飛来するミサイルに攻撃を阻まれてステラは苛立ちをみせ攻撃た方向にライフルを向けるが”ザク”のトマホークがライフルを破壊する。

その隙に上空で合体した機体が着地し身の丈以上の対艦刀を振りかぶり攻撃してきたのだ。

接近する機体にバルカン砲を放つ僚機の”ガイア”だったが蚊ほどにも聞いていないように見えるのは舞い降りた機体も自分達が奪取した機体と同じでPS装甲を搭載しているのだろう。

 

「なんだあの機体…聞いてないぞ!?」

 

『おい、スティング!』

 

「俺が知るか!くそっ…ネオの奴…!」

 

スティングはこの状況に放り込んだ上官を怨みがちに”カオス”の操縦を行いライフルを構えた。

こいつらを振りほどかないと脱出地点へたどり着けそうもない。

実際に今目の前で降り立った機体が”ガイア”と目まぐるしく交戦し手にした対艦刀を分離させ叩きつけ交わし背部のビーム突撃砲を放つが腕に保持したアンチビームシールドで振り返り様に弾き片手の対艦刀を投げつけた。

咄嗟にモビルスーツに変形した”ガイア”は大きく弾き飛ばされてしまう。その着地を狙い腰に保持していたライフルを手にして狙い定めるが”アビス”がビームを放って攻撃を阻止した。

 

目の前のパイロットだけでも面倒だ。

まだ先程の”ザク”が積極的に攻撃を仕掛けてこないだけましか、と思いながらも口を引き締める。

目の前のモビルスーツのパイロットは一筋縄では行かない、とーーー。

 

◆ ◆ ◆

 

「くそっ…!なんだってこんなに簡単に奪われるんだよ!?警備はザルかぁ!?」

 

”インパルス”を駆って目の前の同系統の機体…”ガイア”と相対するその最中悪態を吐く。

こっちの本拠地だと言うのに好き勝手に暴れさせられていることがパイロットである”クリス・アマネ”にとっては怒りのボルテージをあげることに他ならならないからだ。

 

更に強奪犯のせいで工廠はめちゃくちゃ…それに多大な被害が出ている。

放たれたビームをシールドで防ぎ手にしていた対艦刀を投げつける。その質量で大きく体勢を崩された”ガイア”をライフルで狙うが横から”アビス”に防がれてしまい舌打ちする。その最中スピーカーから飛び込んできた声に思わず耳をひそめてしまう。

 

<クリス!命令は捕獲だぞ!>

 

上官であるアーサー・トラインのその言葉を聞いていつものように反骨精神そのままで言い返した。

 

<わかってるんだろうなぁ!あれは我が軍の…!>

 

「うるせぇ!聞こえてんだよ!耳元で叫ぶんじゃねぇ!撃墜しないように極力努力する!それにしたってなんで奪われるようなーー」

 

あの機体がザフトにとって重要な機体、それはわかっている。

だからといって機体を確保するために自分が撃墜されては意味がないのをさっきから聞いていれば上の連中はアタシがどうなっても良い、という物言いに腹が立つ。

その事に言い返そうとすると女性の声が割って入った。

 

<二人とも演習中じゃないのよ!しゃべっている暇があるなら目の前の敵に集中しなさい!クリス!今は敵の無力化を!>

 

割って入ったのは”ミネルバ”艦長のタリア・グラディスだ。

これは自分と副長を叱責する声だと理解した。目の前に立ちふさがる”ガイア”がサーベルを打ち付けるのをいなしながら反撃の糸口を掴もうとするクリスに余計なことに意識を集中する暇などない。気を抜けば此方が死ぬ、それだけの事だ。

その事と”ガイア”にだけ意識を向けられるのは近くにいる”ザク”二機のお陰だろう。片一方が”アビス”を、”カオス”を押さえてくれている。

 

「(ミレニアムシリーズでアタシと同じ”セカンドシリーズ”を押さえている…?一体誰が乗ってやがんだ…?)くそっ…!”ブラスト”が使えれば…!」

 

近接戦は得意ではないのだ。コロニー内部でバカスカとビームを放つこともできない。

一先ずはあのザク達は自分の味方だ、と判断し迫る”ガイア”を相手取る。

通信を切る間際にタリアの怒声が残響のように届く。

 

<強奪隊がいるなら外に母艦がある筈です!そちらは!?>

 

◆ ◆ ◆

 

「さぁて…行こうかね?ド派手にな?」

 

「それでは隠密作戦の意味がなくなるのでは?」

 

「言うなよ。一度言ってみたかっただけだ。さて仕事だ!」

 

能面のような仮面をつけた指揮官が告げたあとに副長が冷静なツッコミをいれると笑いが起こる。

その後活気づくように暗黒の宇宙に紛れる陽炎に包まれた特務艦である()()()()()()()()()の流れを組む”ガーティ・ルー”の艦橋は動き出した。

 

「”ゴットフリート”一番二番起動!ミサイル発射菅”コリントス”装填!」

 

「イザワ機、バルト機、カタパルトへ」

 

淀みなく操艦する兵士達は皆、地球連合の軍服を着用している。彼らは地球連合に属しているものの地球連合ではない…ある男が作り出した”私兵”のような存在…”ファントムペイン”と呼ばれた部隊だった。

 

仮面をつけた男…エイブラムス・リィンベルはその襟元に大佐の階級章をつけており、この部隊を率いる人物だった。

モニターに映るナスカ級は既にこの艦艇の射程圏内に入っているに関わらず戦闘準備を終えていない。

それもその筈、この艦艇には”ユニウス条約”で禁止されている”ミラージュコロイド”が使用されているからに他ならない。肉眼やレーダーでは捕捉されない究極のステルス武装だ。

 

「主砲照準、右舷ナスカ級。発射と同時にミラージュコロイド解除。さぁて悪く思うなよ?…騙し討ち、になってしまうがこれも戦争でね?」

 

自分に良い含ませるように呟く言葉を聞いた副長のイアン・リー少佐は小さく頷いて指示を出す。

 

「”ゴッドフリート”てーっ!!」

 

次の瞬間に”ガーティ・ルー”から放たれた”ゴットフリート”がナスカ級の横っ腹を突き破り爆発四散する。

呆気に取られるその僚艦はミサイルとビームを放ちながら突っ込んでくる艦艇に驚きながらも対応するが蜂の巣をつついたように回頭して応戦してくる。

 

「あいつらが来るまで持ちこたえろよ?」

 

「モビルスーツ発進後、回頭二十!主砲インディゴ、ナスカ級!此方の砲に当たるなよ!」

 

二つ開いたハッチから電磁カタパルトで射出されるのは黒で塗装されたGAT-02L"ダガーL…ではなくGAT-04D”ウィンダムD(ディフュート)”だった。地球連合の主力機ではなく先行量産型がカスタムされ”ファントムペイン”に引き渡されており、その前身となっていた”105ダガー”の汎用性をそのままに武装面を強化されていた。

それぞれが背面に【ドッペルホルン無反動連装砲】と宙域戦闘用ストライカーである【コスモストライカー】を装備しナスカ級から発進する”ジン”や”シグー”が応戦するが、突如の攻撃に対抗しきれず火の玉に変えられていく。

戦況は圧倒的に有利だった。

 

しかし、エイブラハムの目標は敵艦の撃沈ではない。”アーモリーワン”から最新鋭の機体を奪取することにある。

そろそろか…と味方が()()をあげるのを時計を見て待った。

 

◆ ◆ ◆

 

”アーモリーワン”の軍港の置かれた司令ブースは敵の攻撃を受け蜂の巣をつついたように騒がしい。

内部から攻撃を受けた、と聞き外へ艦艇の調査に出した途端に”ナスカ級”が撃沈されたのだ。

 

「不明艦捕捉”数一、ライブラリ照合なし!同じく出撃機体もありません!オレンジ二十五マーク八ブラボー、距離三二○○!」

 

「そんな距離にか!?」

 

「ミラージュコロイド?!地球軍なのか!?」

 

「迎撃!艦を出せ!モビルスーツもだ!」

 

司令官が怒鳴るように指示を出すと慌ただしく軍港の艦艇とモビルスーツが発進する。

軍港の手前、そのときに二つの影が進路に割って入った。

”バーストストライカー”を装備した”ウィンダム・D”が手にした<ゲイボルグ>で艦橋を貫く。同時に僚機も背面の<アーキバスMk-Ⅱ>を放ち発進しようとする艦艇の脚を止めさせると玉突き事故を起こすように艦艇は爆発し係留されていた艦艇を巻き込み軍港を潰したのだ。その際に座礁した艦艇が発令所ブースを押し潰し結果的に壊滅したそれを攻撃した”ウィンダム・D”は見届けることもせずにその場から離脱する。

これも全てエイブラハムが立案した撹乱作戦だった。

 

◆ ◆ ◆

 

無視できない振動がモビルスーツに乗っていたシンにも伝わった。

 

「外からの攻撃…港か?!」

 

ビームアックスを振りかぶりながら”アビス”を吹き飛ばしながらそんなことを考えていた。

強奪隊がいるのならその回収する部隊…艦艇が外で待ち構えているのは自明の理だったことに舌打ちする。

 

「なんだってこんなことを…!」

 

シンの脳裏には前大戦と一年前の襲撃事件…”オーブ”が再び侵略者によって戦火に包まれた光景が再生される。

なんでこんなことを繰り返すんだ…!

同じ歴史が繰り返されているようでシンは操縦桿を握る手に力が入る。

目の前ではただ強力な兵器がその力をただ闇雲に振るっている光景が広がり先程降り立った機体が黒い機体と応戦しているが此方は水色の機体が白い機体へ向かおうとしているのを見て自然と足止めする係りになっている事に釈然としなかったが、”そうしなければならない”と自然に思ってしまったのだ。

 

「さっさと機体から降りてくれよな…!」

 

目の前の奪取された機体は自分の乗っている機体よりも明らかなパワーと機動性が高い、と思っているがそれでも奪った機体をこうもうまく扱っていることに強奪者の腕の高さに舌を巻く。

 

「だけど…っ!」

 

使いなれた愛機ではないにしろそれが理由でやられて良い理由にはならない。

持つべきスキルを総動員して生き残ることに全力を注ぐシンは部外者をそう評価するが敵からしてみればシンの方が異常であった。

 

 

本来であれば乗りなれていない機体を乗りこなし格上の機体を相手に一度も被弾していないその才能は師であるエアリスからきっちりと教え込まれた賜物であった。

 

無理しない、攻められるときは攻める、守るときはきっちり、背中に目をつけろ、とーー。

 

「っ!?危ない!!…っでぇえええええい!!!」

 

その最中、白い機体がアスランが押さえきれなかった緑色の機体が黒い機体に体勢を崩され攻撃を受けようとしたその瞬間を見た途端にシンは機体のスラスターを吹かして<ファルクスG7>が突きつけたビームライフルを切り裂いてその遠心力を利用し機体を叩きつけ吹き飛ばすが白い機体を守るのに意識を取られていたせいで青色の機体からの攻撃に反応が遅れてしまった。このままでは白い機体がやられてしまう…迂闊だった、と思うがもう遅い。

 

「っ!?マズっ…!」

 

後ろからアスランの”ザク”が攻撃を止めようとしたが間に合わない。

そのときだった。一つの影が後ろから差し込み水色の機体の肩バインダーにサーベルが突き刺さっていたのだ。

大きく爆発し煙の中から機体の表情が露出した。

 

「アウルっ!なんだ!?」

 

「なんだよこいつっ?!」

 

「なんだ…お前…!?」

 

それを見て驚く三人と同時に”ガイア”と対峙していたクリスは突如として割って入った機体を同じ表情を浮かべる。

 

「っ!?あれは…!?」

 

特徴的なツインアイのフェイスにブレードアンテナ…背中に突き出す二対の砲身とウィング…機体のライブラリが登録されており、自らと同じセカンドステージの機体であることを示す。

 

「ZGMF-X23S ”セイバー”…?!」

 

まさか奪われたのか!?とクリスは思ったがそれは良い意味で裏切られた。

割って入った”セイバー”は強奪された”セカンドステージ”へ向かっていくその光景は本来あり得ないものだった。

 

◆ ◆ ◆

 

『Generation

 

 Unrestricted

 

 Network

 

 Drive

 

 Assault

 

 Module

 

(Weaponry)

 

ZGMF-X23S Savior 』

 

エアリス達が乗り込んだのは”セイバー”だった。

本来であればアスランに手渡される機体をこの場で乗ることが出来たのは不幸中の幸いだろう。

しかしエアリスが不満げにしているのは彼女の”ダガー乗り”のプライドがあったからだ。

”セイバー”に乗り込んだのはラクスを絶対にこの状況から助け出す為他ならない。

 

「ったく…一体どこの誰がこんな状況を…!」

 

立ち上がるまでの準備を整えてくれた二人に感謝しつつこの状況を憂いていた。

既に工廠は破壊され式典に参加するはずだった機体はセカンドステージには相手にならず両断されるか撃墜されてしまっていることにラクスの表情は暗い。

 

「(機体の立ち上げにもたついた…やっぱりキラ君みたいにはいかないか…!)…うん!?」

 

「エアリス!」

 

「掴まっててラクス!揺れるよ!」

 

「はいっ」

 

起動した”セイバー”は新たなる主を迎え入れその命の光を灯した。

その起動した直後、目の前では”インパルス”とシンの”ザク”が絶体絶命のピンチに陥っている光景に直面した。

エアリスは短く告げて機体のペダルとスロットルレバーを押すと割って入る。

放たれようとしたビームに合わせ肩に装備されたビームサーベルを投擲したのだ。

大きく揺らめく”アビス”を尻目に直ぐ様【アムフォルタス】を”ガイア”目掛け発射しシールドで防御させると大きく吹き飛ばした。しかし背面の大型ビーム砲を発射した直後に背後から”カオス”がサーベルを抜刀し襲いかかるが直ぐ様左手に保持したシールドで受け流し蹴りを見舞わせた。

 

その光景を見たクリスとシン。

 

「すげぇ…!」

 

「流石師匠…!」

 

一度の攻撃で三機の体勢を大きく崩したそれは常人では真似できないものだった。このまま一気に形勢逆転か、と思われたが最悪の場面展開が行われた。

 

「「「「!?」」」」

 

突如としてコロニー内部が大きく振動する。それは先程の比ではない振動だ。

これは”直接の攻撃が加えられているのだ”とエアリスとアスランは理解した。

次の瞬間には自動修復機能付きのガラスが大穴が開けられていたことに気がついたのだ。

 

◆ ◆ ◆

 

「エアリス」

 

「…良いの?」

 

「ええ。大丈夫です。エアリスがいますから」

 

「そっか…了解!シン達は離脱を!私はあの機体を援護する!」

 

<あ、おいエアリス!>

 

「大丈夫!シンはカガリ達の護衛を!”ミネルバ”へ向かって!きっと議長がいるから!」

 

そう告げ上空へ飛翔する。

 

コロニーの外壁に穴が空いた。

それは強奪犯からしてみればチャンスであった。その穴へ向かい強奪した機体は大きく広がった潜孔へ向かい機体を飛翔させていく。コロニー内部の重力バランスが可笑しくなったのか軽々と飛翔する。

その道中で”ディン”が手にした散弾銃を放つが”カオス”がビームで貫き破壊した。

その後を追うように”インパルス”も飛び上がり【フラッシュエッジ】を投擲するが”ガイア”のビーム突撃銃が破壊されてしまう。牽制するように射線を隠した”カオス”が”アビス”から移動し【胸部カリドゥス】と残っていた【三連装ビーム砲】が”インパルス”を通り抜け地上に展開している”ゲイツ”と”ガズウート”を貫く光景を見てクリスの怒りが燃え上がる。同時に先程助けてくれたモビルスーツ達も攻撃に晒されその場から移動を余儀なくされていた。

しかし、その内の一機である”セイバー”は飛翔し此方の援護に着いてくれていた。

その時、シンの左方からビームが放たれ”アビス”が肩シールドで弾く。

それを見て驚いたクリスはビームが飛んで来た方向を見やると見慣れた機体が飛来してくることに頬を緩める視線の先には”ザク”…ではあるがエースの証であるパーソナルカラーに塗装された二機の”ザク”であり一機は赤い色の”ザク”ともう一機は頭頂部に一角獣…のようなブレードアンテナに両肩には二対のスパイクシールド、そして白いカラーリングが施されたZGMF-1001”ザクファントム”と呼ばれる指揮官機だ。

同じ部隊に属するルナマリアとレイ。この騒ぎで心配していたが無事だったのか、と安堵する。

レイはいつものように冷静に機体を操り手にしたビーム突撃銃で奪取された機体を牽制しながらルナマリアは威勢よく啖呵を切って突撃する。

 

「……クリス!」

 

「このぉッ!よくも舐めた真似を!」

 

二機の”ザク”から放たれるビームは被弾した三機の”セカンドステージ”を翻弄した。

 

◆ ◆ ◆

 

「こいつ…なぜ墜ちない…!」

 

”ガイア”のパイロットであるステラ・ルーシェは苛立っていた。

先程からどれ程攻撃しても撃墜できずそれでいて痛い目を見せられている。

奪った機体は既に多くの武装を喪失していることが更にその苛立ちに拍車を掛けていた。

更に追い討ちを掛けるように赤い機体…”セイバー”と呼ばれた機体は此方を翻弄する。

 

<スティング!きりがない!こいつだってパワーが…>

 

通信からは焦りの声がにじみ出ている。

 

<離脱するぞ!さっきの攻撃で脱出路を作ってくれたんだ。この手を逃すのはない!振りきれるか?ステラ!>

 

その声は届いているものの頭に血が上っているステラにスティングの声は届いていない。

今彼女の意識を奪っているのは目の前の”インパルス”だ。殺気の籠った声で言い返した。

 

「直ぐにっ…沈めるっ!」

 

そう告げ向かってくる”インパルス”と交差する”ガイア”

戦う為だけに生まれた自分がこんなわけのわからない奴にーーー!!

 

<止せ、離脱するんだステラ!>

 

「私が…こんなぁっ!!」

 

スティングの静止する声を無視して残った武装を展開し”インパルス”に突っ込んでいく”ガイア”の姿を見たアウルは皮肉げに吐き捨てた。

 

<じゃぁ…()()()()()()()()()!!>

 

そう告げられた瞬間にステラの前身に冷たい刃が突き立てられた感触が伝わる。

次第に前身が凍りつきバラバラになるようなそんな感覚が襲いかかった。

 

「シヌ…?ワタシガシヌ…!?」

 

震える声とアウルの放ったその言葉を聞いたスティングが焦りを見せた。

 

<アウル!このバカっ!>

 

<エイハブには僕が言っといてやるよぉ…”サヨウナラ”ってさぁ!>

 

そう告げられた瞬間に”ガイア”の動きが完全に停止した。

その隙を狙い”インパルス”が残った【フラッシュエッジ】を投擲するが”カオス”が割って入りシールドで弾き飛ばす。

 

<アウル、お前っ…!>

 

<だって止まんないじゃん!?結果オーライって奴だろ?>

 

<黙れバカっ!余計なことを…!>

 

「いやぁああああああああっ!!」

 

「なんだ…!?急に動きが…って待ちやがれっ!!」

 

突如として”ガイア”の動きが止まったかと思えば逃げ出すように潜孔へスラスターを全開にするのを確認し一瞬呆気に取られてしまったがスラスターを吹かしレイの”ザク”達と追跡を続行する。

 

<ええっ!?>

 

その時だった。

ルナマリアが驚きの声を挙げたのを聞いて意識を向けると”ザク”の背面…バーニア部分から黒煙を上げていた。もしや襲撃の際に何処かを被弾したのだろうか…?と考えているとルナマリアの”ザク”はどんどん高度を落としていく。

 

「戻れルナ!その機体じゃ無理だ!」

 

<下がれルナマリア>

 

<わかったわ…二人とも無茶しないでよ!>

 

二人から進言されルナマリアは不服そうにしていたが機体の状態を確認し不承不承といった感じに機体を翻し”ミネルバ”への道を取った。

僚機を見送り意識を前へ向けるクリスは逃げる機体を追いかけた。

 

◆ ◆ ◆

 

「ナスカ級撃沈!」

 

一方宇宙では”ガーティ・ルー”の主砲を受けた二隻目のナスカ級は撃沈した。

 

「右舷後方より、新たに”ゲイツ”三!」

 

宇宙港の方は先行した部隊が沈黙させてくれたようで新たに出港するザフト艦の姿はないがモビルスーツの発進は止めることは出来ない。その報告を受けたイアンは特段驚きもせずに淡々と指示を出す。

 

「アンチビーム爆雷発射と同時に加速二十パーセント!十秒!一番から四番ミサイル発射管”スレッジハマー”装填!モビルスーツ隊呼び戻せ!」

 

同時に指揮官席に座るエイブラハムがオペレーターへ問いかける。まるで出前を取るように。

 

「アイツらは?」

 

「未だです。先行した部隊がコロニー外郭へ砲撃を仕掛け脱出路を作ってくれたようですが…」

 

「ふーん…」

 

「失敗、ですかな?港を潰した、と言っても軍事工廠です。長引けばこっちがやられてしまいますぞ?」

 

「わーってるよ。だが失敗するような連中なら最初からこの作戦を立案しないさ。やるなら俺と他で事足りるしな?」

 

エイハブの物言いに特段気にしていないイアンの顔を見て席を立つ。

しかし、そういったものの流石に時間が掛かりすぎていることに指揮官として動かなくてはならないのだから。

 

「俺が出撃して時間を稼ぐ。艦を頼むぞ副長?」

 

「了解です」

 

彼は艦にいるよりも戦場でモビルスーツに乗っている方が落ち着く根っからのモビルスーツ乗りだと言うことを大戦時からよく知っている。エイハブを見送った後に座席の受話器を取り連絡を取った。

 

「大佐の”ダガー”が出るぞ!良いか!」

 

程なくして右舷ハッチが解放される。

 

<APU分離を確認、システム異常無し…>

 

カタパルトに運ばれる黒とマゼンタに塗装されたGAT-02L”ダガーL”が発進位置に移動する。

 

<”ダガーL”ストライカーパックは”エグザスストライカー”選択>

 

ガントリークレーンに運ばれたストライカーはマゼンタに塗装されたそれは嘗ての”メビウス・ゼロ”を思わせる流線型形でありその派生機…それをストライカーへ転用したものだ。

機首は折りたたまれ二対のレールガンに四つの突き出した特殊装備が設けられている。

 

<”エグザスダガー”発進どうぞ!>

 

「エイブラハム・リーンベルだ””ダガー”出るぞ!」

 

発進した機体は”流星の如く”飛び出した。

接近する”ゲイツR”達は発進していた”ウィンダム・D”を撃墜し新たに出現した”ダガー”を確認しそれぞれが銃口を向け発射するが弾道を予測していたエイハブは機体を動かし先に銃口を向けていた”ゲイツR”をビームライフルで狙撃した。その爆発が広がる前に背面の武装が四つに広がり展開されると敵機体へ向け四方からビームが降り注ぎ装甲を食い破って火の玉へ変えた。【ビームガンバレル】…本来のこの装備は嘗ての”聖女”と呼ばれたエースパイロットの為の専用装備であったがその担い手がいなくなり適正があったエイハブの機体へ搭載されたのだ。

艦橋では瞬く間に三機の”ゲイツR”を撃墜するのを見たリーは苦笑しながら上官の戦闘力に感心していた。

 

◆ ◆ ◆

 

”ミネルバ”の艦橋で部下からもたらされる戦況を聞いて気の滅入った表情を浮かべるタリアは思わず呟く。

 

「見事な手際ね…一体何処の部隊かしら…?」

 

そんなことを考えているとミネルバへ近づく赤いザクを艦橋のガラス越しに確認する。

…あれは此方に配備されたルナマリアの機体だ。煙を上げているのを見て被弾したのか?と心配になったがオペレーターであるメイリン・ホーク…彼女とルナマリアは姉妹でありオペレートする声色に緊張の色が走ったが当の本人には怪我はない、と言うことを聞いて胸を撫で下ろした。

本格的な戦闘に入る前に怪我などされたらたまったものではないだろう、と思ったのだ。

その事を確認していると突如として背後の扉が開く。一体誰が、となっているとその顔を見てタリアは思わず声を上げる。

 

「議長?」

 

そこにいたのは随員を伴ったギルバート・デュランダルだった。彼が進水式に出席すると言うのは聞いていたが避難もせずになぜここに?となっていると議長が問いかけた。

 

「状況は!?どうなっている!」

 

「…ご覧の通り、です」

 

「…ん?何故”セイバー”が起動している?」

 

工廠内部は有害ガスが発生し避難勧告が出されているにも関わらずそれを蹴って此方に来たのは安全なところにいて状況報告を待つ、と言うのは出来なかったらしい。その事を聞いてタリアは「やめてくれ…」となっていたのはこの状況で自国の最高指導者を鉄火場の中に放り込みたい艦の指揮官などいないのだから。

更にモニターには”インパルス”以外に”セイバー”がセカンドステージと戦闘を繰り広げる姿を見てデュランダルは疑問を漏らしていたのは乗せるパイロットを選択中だったからだ。

 

「すごい…なんて無駄のない動き…一体誰が乗ってるの…?」

 

その光景をメイリンが食い入るように見て呟くと全員の視線が上空を飛び回る”セイバー”に集中する。

その最中、クリスからの通信が入り響き渡った。

 

<ミネルバ!フォースシルエット!>

 

副長であるアーサーは窺うような表情を浮かべるのを見てタリアはため息を溢す。

既に画面の向こうでは潜孔へ向かって脱出を試みる三機のセカンドシリーズの行く手を阻む最後のチャンスだった。

 

「メイリン!”フォースシルエット”射出!…もう、機密も何もないでしょう?」

 

そう告げるとデュランダルは苦渋の決断で下した。

 

「ああ。…頼む」

 

「フォースシルエット射出!どうぞ!」

 

命令を受けたメイリンがシルエット射出をコールした。

 

◆ ◆ ◆

 

「ん…?なんだアイツら…?」

 

”ミネルバ”の格納庫にて先に入っていたハイネが運び込まれた機体等を確認していると配備されていない機体が入ってきた事に疑問を浮かべるとラダーからパイロットらしい人物が降りてきたのを確認し目を細める。

パイロットスーツを着用せずに降りてきた男女と一人の少年…その内の一人の面影は何処かで見たような…と記憶の中を検索しているとルナマリアが近くにいた兵士から拳銃を奪い取り突き付ける。

 

「ッそこの三人動くな!」

 

エアリスに言われた通り撤退したアスラン達は工廠内の”ミネルバ”へ接近し着艦しラダーを使いコックピットから降りると三人は銃を突き付けられていた。

 

「軍のものではないな…何者だ!」

 

ルマナリアと保安要員が銃を突き付けるとシンは両手を上げて無抵抗をアピールしアスランはカガリの前に立ち遮る姿勢を見せた。

 

「銃を降ろせ。此方はオーブ連合首長国の代表補佐であるカガリ・ユラ・アスハ氏だ。俺は随員のアレックス・ディノとシン・アスカだ。此方は進水式に参加予定でありデュランダル議長との会談中に騒ぎに巻き込まれた。避難がままならず機体を借り受けたことは謝罪しよう。議長は此方に入られた、とお聞きした。お目にかかりたい!」

 

その事銃を突き付けた兵士達とそれを見ていたハイネ、ルナマリアは困惑した表情で目と目を合わせた。

 

◆ ◆ ◆

追跡を続けるクリス達。

しかし無情にも上空に開いた孔に吸い込まれるように”セカンドシリーズ”が近づく。

そうはいかないとその光景にクリスは”ミネルバ”にシルエットを要求し”フォースシルエット”に換装した。

その光景を見たスティング達が驚愕する。

 

「装備を…」

 

「換装する!?」

 

その光景を見てエアリスが若干内心で小躍りしたのは内緒である。

機体の装備を換装する、と言うのは前大戦で猛威を振るった”ストライク”そして”ゴーグル付き”と呼ばれる機体達が其を洗練させて運用した実績があり敵味方問わず使用されているのだ。ある意味でこのシルエットシステムは理想的なストライカー運用だろう。

 

高速戦闘用のシルエットである”フォースシルエット”は逃げ戸惑う”ガイア”へ肉薄するが一歩遅く孔の向こう側…宇宙へ逃げられてしまった。

 

「くそっ…逃がすかぁ!」

 

空気と共に吸い出される機体を追いかけ”インパルス”は孔の向こうへ飛び出すのをレイが止める…が既に遅かった。

 

<クリスッ!>

 

飛び出していくレイの”ザクファントム”を見て機体を制御していたエアリスは追うか迷っていた。

機体に乗っているのが自分だけなら迷うことなく追いかけたがここにはラクスが居るのだ。これ以上は…と思っているとラクスは上目使いに此方を見る。

 

「追いかけましょう。よくない感じがしますわ」

 

「良いの?」

 

「貴女の無茶は今に始まった話ではないでしょう?」

 

「よくご存じで…さぁいくよ!」

 

そう告げ機体を進ませると暗黒の空間に出る。息が詰まりそうなその空間はノーマルスーツを着用していないからか…エネルギーは未だあるが此方にはラクスが居る。

さっさとあの二機を…と思った矢先に久々に脳天に稲妻が走った。

 

「ッ!これは…」

 

気配の先に視線を向けると先に出ていた二機のモビルスーツを相手にして翻弄する顔馴染みの機体が居るのに気がつく。あの機体から発せられている感覚…其は自分自身とよく似たものを感じ取ったのだ。

 

(あの敵は…不味い!)

 

機体のスラスターを吹かしその気配がする機体へ進路を変更した。

 

◆ ◆ ◆

 

「成る程…これは俺の落ち度かぁ?」

 

孔から脱出を果たした部隊の収容を確認した後追手の機体を見てそう漏らす。

情報になかった四番目の機体…その事で彼らが遅れたのだと予想外の事態が起きていたことに苦笑した。

エイハブは”アーモリーワン”に引っ付いていた”ダガー”を離しスラスターを吹かし急加速し出てきた”インパルス”目掛け肉薄した。

 

”アーモリーワン”を飛び出した”インパルス”は吹き出す気流に体勢を崩されながらも整え三機の機影を探すが見失ってしまう。

 

何処に行った…!とその時後から追いかけてきたレイが呼び掛けると同時にキラリ、と輝いたものが視界に入ったが遮られた正体は”ザクファントム”のシールドだった。

 

<クリス!>

 

「はっ?」

 

次の瞬間にビームを放たれたのだと気がつき周囲を警戒する。

一体何処から…!?視界にはビームが何処から来たのかもわからない…何もない空間から放たれたことに戸惑っていると彼方から彗星のようにマゼンタ色の機体が飛び込んできたのが目に入る。その姿はアカデミーでも見たことのあるザフトで恐れられている怨敵とも呼ばれる機体だった。

 

「”ゴーグル付き”…!?」

 

次の瞬間には急加速で近づいた”ゴーグル付き”は手にしたライフルとレールガンを放ち”インパルス”の横をすり抜けると同時に機体背面の<ビームガンバレル>を解き放ちクリス達を翻弄する。其に対してレイと二人で対応するが苛烈なオールレンジ攻撃は動きをどんどん狭めていった。

 

「さぁてと…その機体も頂こうか?」

 

このまま撃墜か、捕縛するか…と考えていたそのときだった。

 

「…ッ!これは…」

 

エイハブの脳天に稲妻が轟く。無意識に機体を動かすと二色の高出力ビームが空間を薙いでいく。

視線を向けると一機の赤い機体が接近していることに気がつく。そのシルエットは戦闘機のようだったが直ぐ様違う、と気がついた。

 

「可変機だと…!?」

 

此方へ向かってくる戦闘機が()()したのだ。

V字のアンテナと強奪した機体と同じツインアイを持つことから同じ機種なのだろうと推測する。

 

「五機目、だと…?これは本当に俺の落ち度、だな…ッ!」

 

手にしたライフルからビームを放ち【ビームガンバレル】全機を差し向けビームの弾幕を形成するが回避され接近を許す。

サーベルを抜刀し互いのシールドに激突した。

 

「一体誰がアレに乗ってやがんだ…!?」

 

先ほどの攻撃を自分に仕掛けられていたら間違いなく撃墜されただろう。

同じくその光景を見ていたレイも機敏な動きで回避する”セイバー”を見て目を釘付けにされていた。

一方で今の急加速で切り捨てて居た筈なのに防がれたことに驚くエアリス…いや、今のがラクスに怪我をさせない全力の十分の三程度であったのを加味しても”あり得なかった”のにエアリスは驚いた。

 

「”ダガー”…!?一体何処の誰がそんなものを…!何処の誰だあんたは!」

 

「この技量…只のコーディネイター…いや”本物”なのか?」

 

機体が交差し背後に大型の反応があるのに気がついたエアリスは目の前の敵を確認しながら横目で確認し呟いた。

 

「”ミネルバ”…!?ついに出港するのか…!」

 

◆ ◆ ◆

 

<コンディションレッド発令!コンディションレッド発令!各艦員は所定位置へ着いてください。繰り返しますーー>

 

”ミネルバ”に着艦しルナマリアに誘導されながら一先ず士官室へ向かうアスラン一行は艦内放送を聞いて驚愕する。

 

「戦闘に出るのかこの艦は!?」

 

アスランがキツく問いただすとルナマリアは困惑した表情を浮かべる。彼女自身状況を理解できていないのかも知れない。カガリが不安そうな表情で見つめているとシンが口を開いてしまった。

 

「アスランッ…」

 

その名前にルナマリアが反応する。

 

()()()()…?」

 

そう呟き返した途端にシンが「あっ、やべっ…!」と口を押さえるのを見てカガリが「あちゃ~」と頭を抱えるとその当の本人であるアスランは「シン、お前…」と怒るような呆れたような表情を浮かべている。

其を見てルナマリアは随員のアレックス…アスランを見ていた。

アスランは此方を先導していた少女ルナマリアの目が疑惑から好奇の目の色に変わっていたことに気がついた。

 

”ミネルバ”は進水式を待たずに処女航海をすることになった。

予想外の客人を乗せてーーーーー。

 




ムウが前大戦で居なくなっていないのでファントムペインの指揮官を変更しています。
オリキャラになりますが濃いキャラにしたかったので…。
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