続・魔改造ダガーでC.E世界を駆け抜けたい   作:萩月輝夜

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甦る亡霊

”ドミニオン”に戻ったシンは急いでロッカールームに入り自らのパイロットスーツに袖を通す。

白と赤を基調とした【B.L.U.E.M.】のシン専用のスーツだ。

 

「急げ急げ…!」

 

艦内のアラートが鳴り響きロッカールームから格納庫へ向かうエレベーターへ飛び乗り扉が開くと整備兵達が最終チェックに世話しなく動き回り指示を出す。

 

「あ、シンッ」

 

エレベーターから出たシンへ声を掛けながら近づく少女が一人。

長いブロンドは編み込み短くしており年齢はシンと同い年位だろうその人は作業服を着用している整備兵のティナ・ハミルトンと言う。

 

モビルスーツへ向かう途中その事に気がついたシンが手を差し伸べ慣性で飛び越えそうになる少女を受け止める。

 

「っと、と、と…危ないなぁ。お前、そう言えば宇宙でははじめてだっけ」

 

受け止めるとそのティナは頭に疑問符を浮かべた。

 

「……あれ?大佐は?」

 

そう問いかける少女にシンは素直に返答する。

 

「え、聞いてないのか?今”ミネルバ”の搭載機で先に出撃してるぞ?」

 

そう言われ整備班の少女は「えぇ!?」と頭を抱えながら叫ぶ。

 

「そんなぁ!?大佐の機体が最終調整中だったから私が丹精込めて整備した”ダガー”があったのにぃ!」

 

そうブー垂れる少女の視線の先には戦後マイナーチェンジされた01ダガーである”01ダガーL”…ではなくサンドグレーの肩と脚部、胴回りにスラスターとミサイルユニット、増加装甲が取り付けられた重装備型(スタークダガー)が鎮座していた。

其を見てすこし呆れ気味…と言うか引き気味に返答した。

 

「す、過ぎたことは仕方ないだろ…其よりも俺の機体の整備は終わってるのか?」

 

当然、と言わんばかりに少女は親指を立てた。

 

「あ、其は勿論バッチリ、いつもの二割増しに気合い入れて整備したからね!」

 

「サンキュー!」

 

そう言ってシンは少女を待避スペースに押し込む反動で機体へ飛び込むと後ろから少女の声が届く。

 

<壊したら承知、しないからねぇー!>

 

そう告げる少女へ「わかってるって!」と返し解放されたコックピットへ飛び込み背を預け機体を立ち上げる為に起動ボタンを押し込む。

 

(今回オルガさん達は地上にいるからな…頑張らないと!)

 

OSが立ち上がる。

 

General

 

Unilateral

 

Neuro - link

 

Dispersive

 

Autonomic

 

Maneuver

 

(Synthesis System)

 

”ドミニオン”のモビルスーツ隊は本来主力部隊である”ブルーム隊”が務めているがそのメインであるオルガ達"が今現在新型機受領のため”アーリントン基地”へ降りている為不在となっている。

その為第二部隊が今回作戦に参加する。一応のシンの所属と預かりはエアリス付けとなっている為その指揮下となる。

 

「頼むぜ…”ガンダム”…!」

 

シンもまたOSの頭文字をとって”ガンダム”と呼ぶ。

 

<APUシステムオンライン、システムを起動を確認GAT-RX18/A”バーゼラルド”発進スタンバイ!>

 

”ドミニオン”に新しく配属された女性オペレーター、赤いセミロングが特徴のコレット・レミィのアナウンスが響く。

 

”GAT-RX18/Aバーゼラルド”

 

其は前大戦で多大な戦果を上げたGAT-RX08/1A”ディスペアー”のデータを反映して作られた機体でその性能はベースとなった機体を上回る性能を誇る。

”ストライカーシステム””アーマメントシステム”を標準装備しサバイバビリティの向上を目標にVPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲を備え”ディスペアーにも搭載されていた”分離戦闘機”コア・ジェッター”を有する高性能機体だ。

本来であれば【B.L.U.E.M.】のフラグシップ機、エアリス専用機として建造されたこの機体だったが其は運命の悪戯か、シン・アスカの専用機として運用されることとなり頭部パーツはゴーグルフェイスではなくV字アンテナにツインアイ…”ガンダムタイプ”へ変更されているその機体が今クレーンによって機体が持ち上げられ電磁カタパルトに接続された。

 

<ストライカーは”アルファ”アーマメントは”type2nd”を選択します>

 

発進位置まで移動した”バーゼラルド”へガントリークレーンで運ばれた”アーマメントを装着しライフルとシールドを装備する。

 

右舷のハッチが解放され出撃を…となったが発進前に管制官より状況変化が知らされる。

どうやら”ユニウスセブン”にて謎の武装組織から襲撃に遇い戦闘に発展している、と。

そこでは既にエアリス達が応戦している為支援しつつ破砕作業を行え、というのは厳しい状況であると判断するのは容易であった。

艦長であるナタルから檄が飛んだ。

 

<厳しい作戦となる。しかし、やることは変わりない。あれを砕かねば私たちの帰る家がなくなってしまうからな。………総員全霊で事に当たれ!アスカ特務少尉、頼むぞ>

 

「了解!(そうさ…あれを砕かなきゃ…地球にいる父さんや母さん…マユが…!)」

 

シンは操縦桿を握る手が強くなった。

あんなものを地球に落とすのを許してしまったら島国であるオーブは致命的なダメージを受けてしまう!

其だけではない地球には多くの人々が住んでいるのだ。そんなこと、許せる筈がない…!

 

先んじてそれぞれ”バーストストライカー”と”コスモストライカー”を装備した01ダガーL”(【B.L.U.E.M.】採用カラー)が破砕装備である【ブリオネイク】を装備し出撃する。

そして、最後にシンが出撃した。

 

<アスカ機”バーゼラルド”発進どうぞ!確りね!>

 

コレットからの励みの声を掛けられると同時にシーケンスが青に変わりシンはスロットルを押し込んだ。

 

「了解!シン・アスカ、”バーゼラルド”行きますッ!!」

 

虚空の宇宙へ”ダガー”の名を受け継ぐ”バーゼラルド”が鉄灰色がヴェールを脱ぎ捨てトリコロールに色づき飛翔するとその眼前の景色では炎の華が散るのを確認しスラスターを吹かせた。

 

◆ ◆ ◆

 

各国の工作破砕隊が入る数刻前…。

 

「しかし…こうして改めてでかいな!」

 

<当然ですよ…ボクたちも同じ場所に住んでいるんですから>

 

ザフト軍先遣隊であるジュール隊の母艦”ボルテール”以下から発進するのは破砕装置である【メテオブレイカー】を伴った”ゲイツR”達と二機の”ザクウォーリア”は其々がパーソナルカラーである黒とエメラルドグリーンに塗装された機体が”ユニウスセブン”を小隊を率いて進んでいた。

 

「其を砕け、ってのがどれ程重大な仕事なのかを理解したってことさ」

 

黒いザクに乗って軽口を叩いていたのは金髪の青年の名はディアッカ・エルスマンだ。

 

<あまり喋っていると”隊長”にどやされますよ?>

 

その言葉に困った笑みを浮かべながら反応するのは緑色のミディアムヘアーの女性、ニコル・アマルフィと言う。

 

<聞こえてるぞニコル!ディアッカ!…ニコルは兎も角としてお前は先の見通しが甘いんだ、ヘラヘラしてないでもっと危機感を持て>

 

叱責、というよりも気のおけない者に対するぞんざいな口調に思えた。

案の定、と言うか予定調和か二人の”ザク”だけでなく”ゲイツR”のパイロット達にも聞こえるように”ボルテール”の艦橋から声が響く。艦橋から声を飛ばすのは先の二人と同じような年齢でありながら白服…指揮官の青年の名はイザーク・ジュールと言う。

 

「…なんか、お前にだけはいわれたくないんですけど?」

 

<ボクもディアッカに同意見です>

 

<どういう意味だ貴様らぁ!?>

 

息を合わせて「お前が言うな」と告げるとカッとなるイザークの追求を二人は手慣れた感じでそらした。

 

「いいぇ?なんでも御座いませんよ”隊長”どのぉ?」

 

<なんでもありませんよ。”ジュール隊長”?>

 

<こんなときだけ”隊長”呼ばわりするな!!>

 

三名のやり取りを聞いていたクルーとパイロット達は「また始まった…」と笑みを堪えて見守り聞いている。

特に”ゲイツR”のパイロット達は新兵であり今回の出撃が初に近く緊張していたが解きほぐされていたのは幸いだったかもしれない。

 

<貴様らは…ったく。取りつけ急げよ。”プラント”だけでなく”オーブ”や【B.L.U.E.M.】も援護に来る。時間が無限にある訳じゃない。先鋒として手際よく動け。其に監視隊との通信が途切れているんだ。そちらの調査も行わねばならんし何があるかは分からん。十分に注意しろ>

 

イザークの言うことも確かだ。

確かにこの”ユニウスセブン”が動き出したタイミングで監視駐留部隊との連絡が途絶えたのは何か嫌な予感がしていたが今この場所で特段変化はない。だが其が逆に不安を煽った。

 

「わかってるさイザーク。」

 

<了解です。イザーク>

 

”ユニウスセブン”へ到着すると同時に右翼後方から接近する熱源を関知し確認すると其がオーブの機体であることを確認した。

 

”MVF-M12オオツキガタ”の複数機体を確認しその中にある一機は見たことのないシルエットをしている。

隊長機だろうそれは嘗て戦友が搭乗していた”イージス”に酷似したそれは青と白のカラーリングを施されている。

そしてその機体からの通信越しに聞こえる声にディアッカは無意識のうちに警戒レベルを下げていたのはよく知る人物だった為だ。

 

「此方オーブ宇宙軍第一艦隊所属、キラ・ヤマトです。ザフト軍聞こえますか?」

 

「!よぉ、キラ。久々だな」

 

<久しぶりです。キラくん>

 

「ディアッカ?!それにニコルも?」

 

通信に応答した人物に驚いたキラはまさか彼らがこの作業に駆けつけた部隊だとは思わなかったからだ。

それを汲み取ってディアッカが返答する。

 

「ああ。破砕作業に俺たちが駆り出された、ってわけ。しかしキラが来てくれたら頼もしいぜ」

 

<ええ。その通りですね>

 

その事に関してはニコルも同意した。

そしてオーブとザフト”ジュール”隊が合流しディアッカは副官ポジにいるため現場にいる兵士達へ喝を飛ばした。

 

「よぉし!お客さんのご到着だ。”プラント”の兵士として働き様、見せつけてやれ!」

 

そうディアッカが告げると”ジュール隊”の兵士達が「了解ッ」と勇ましく叫び地表へ向かい工作隊が【メテオブレイカー】を設置し起動させようとしたその時だった。

 

四つに区分けしたポイントの一つの内の”ゲイツR”がビームで撃ち抜かれ爆散したのだ。

部隊の動きを見ていたニコルが気がつき声を上げる。

 

<敵襲です!ディアッカ!>

 

そう報告を受けるや否や対応は早かった。

 

「なんだとッ!?…くっ!スリーマンセルで行動!【メテオブレイカー】を守りつつ後退しろ!ニコル!」

 

<了解!小隊各機体は防衛体勢で応戦せよ!>

 

一方キラ達の部隊も攻撃を受けていた。

 

<准将!これは…!>

 

<二時の方向から正体不明機!准将!>

 

オーブ軍の兵士が驚き戸惑うがキラは指揮官として指示を冷静に下す。

 

<散開!対象物防御陣形で対応せよ!全機体武器使用許可自由!>

 

<<<<<了解!>>>>>

 

キラの機体は敵の攻撃を回避し変形し突撃する。

素早い軌道を描き”ジン”の目前で変形の回転と同時にサーベルを展開し頭部と武装を切り捨て通り抜ける。

 

「一体彼らは……!?まさか、彼らが”ユニウスセブン”を…?」

 

キラは向かってくる所属不明機を見ながらそう思案する。

そうであるのならあらゆる辻褄が合うからだ。

 

「…ッ!」

 

近づいてくる”ジン”の手足を奪っていると突如として同じモノアイ機体が飛び出しサーベルを振るってくるのをシールドで受け止め切り返す。見たことのない機体だ。

しかし、目前としている不明機は距離を取りライフルを撃ち返してくる。

反撃された…!?今ので無力化できなかった…と目の前の敵がただ者ではないことを知らせている。

 

「させないッ」

 

ここには居ない最愛の人達の事を思い浮かべながらキラは目の前の敵を無力化することを最優先として行動する。

 

一方でも指示を出し素早く工作隊の後退を援護するために二機の”ザク”は其々の武装を展開するとアラートが鳴り響き自分達の方向にまでビームによる攻撃が飛んできた方向へ意識を集中すると続けざまにビームライフルを発射し飛び出す

 

攻撃されている!?

 

見慣れた機体と()()()()()()機体が迫ってきた其は二人にとって既視感が強いものだった。

一機は黒と紫を基調とし機体各所に増加されたブースターと背面のウイングスラスターが目につくがその頭部パーツから外見を判断することは容易かった。

 

”ジン”だ。本来友軍である機体が何故、此方に攻撃を仕掛けている?

その事で脳裏を疑問が埋め尽くすがそのとなりにいる機体は”ザフト”であって”ザフト”ではない機体が近くにいた。

 

「なんだ、あの機体”ジン”?……それに正体不明機、だと…!?」

 

登録されているデータベースにはない。”ジン”に連なる系譜の機体だろう其は機体各所は重装備を施し嘗てイザークが搭乗していた”デュエル”アサルトシュラウドのような増加装甲のようで”ゲイツ”に似ているその機体の各所にはスラスターを増設し機動力は今自分達が搭乗している”ザク”よりも機敏に動いているのは実際に自らの機体”ガナーザクウォーリア”のM1500高エネルギー長射程ビーム砲【オルトロス】を構え放つが回避されてしまう。

 

「下がれッ!一旦は下がるんだッ!」

 

指示を出し撤退した工作隊を追うように黒紫のジン達が迫り一機、また一機と破壊していき【メテオブレイカー】も破壊されていく。その護衛についていたオーブのモビルスーツも重装備のゲイツに破壊されていく。

破砕装置を所持している此方の機体を狙い攻撃している。

丸腰の”ゲイツR”では連中に対応できない!報告を受けたイザークは指示を飛ばした。

 

<”ゲイツR”のライフルを射出する!ディアッカ、ニコル!工作隊を守れ!>

 

報告を受け叫ぶイザーク。母艦からの通信からノイズ混ざっていたのは宙域にNジャマーが散布されているからだ

 

<直ぐに俺も出る!”ミネルバ”と【B.L.U.E.M.】も来る!持ちこたえろ!>

 

「ッイザーク!オーブ軍も此方の正体不明機を応戦する!」

 

イザークの声にキラが反応すると驚きを見せるが今の状況を打破できる力として最大のものだと言うことに気がついた。

 

<キラ・ヤマト!?…頼んだぞ!>

 

直ぐ様通信を切りイザークは自らの愛機へ向かう。

その最中ディアッカ達も正体不明機達の攻撃を受けて応戦する。

 

「ちっきしょう!」

 

<一体なんなんですかあなた達はッ!>

 

隣にいるニコルの”ブレイズザクウォーリア”が迫る敵機へ攻撃を仕掛ける。

ディアッカはその光景を見て怒りと焦燥に駈られた。

何故、俺たちの邪魔をする…!?こいつらは何者なのだ!?そうこうしている内にも”ユニウスセブン”の高度は下がり地球へ落下しようとしていると言うのに!

そのとき、彼の背筋にうすら寒いものが這い上がる。まさか、こいつらが”ユニウスセブン”と派遣監視団を…?

安定軌道にあり動く筈のない”ユニウスセブン”が動き出した…何故動いたのかを誰もが疑問を抱いた理由をここで得たのだ。

 

「くそっ…!どこのどいつだお前らッ…!」

 

ディアッカは毒づきながら応戦する。

 

◆ ◆ ◆

 

「おいおいこれが今のザフトの状況かよ…温いなッァ!」

 

【メテオブレイカー】を守る”ゲイツR”は正体不明のモビルスーツの攻撃を受け爆散した。

立ち塞がる敵の練度の低さに嘆き、いや怒りを見せそう告げる男は深紅のザフトパイロットスーツを着用しており年齢は二十代後半のその男はアッシュ・ヴァーサダイトと言う。

コーディネイターでありそしてメイアが率いていたザフト第一防衛師団に所属していた彼ら含むザラ派コーディネイターが”ユニウスセブン”を動かした犯人である。

 

また一機、また一機と射的の的のように撃墜されていく”ゲイツR”。

その機体を屠っていく彼らが操る機体は”ジン・ハイマニューバ弐式”は近代改修された”ゲイツR”と同等以上の性能を誇り乗っているパイロット達は開戦から操縦経験を持つベテラン達であり新兵達とは比べ物にならない。

 

「まだまだやれそうな奴はいるみたいだが…ってオーブの機体もいやがるな」

 

同じく迎撃しようとする”ゲイツR”を腰から引き抜いた発振器からビームサーベルを出力、胴体を引き裂き【メテオブレイカー】と”ゲイツR”を守ろうとする”オオツキガタ”を共々宇宙の藻屑に変えるアッシュが駆るモビルスーツは本来”存在しない”機体だ。

 

”ZGMF-G800/S ガルド"

”ジン”や”シグー”そして”ゲイツ”と同じように鶏冠のような通信ブレードを備え背面のウイングバインダーとモノアイを備え全体的なシルエットはザフトのアサルトシュラウドを纏っているような姿だ。隊長機は通信ブレードが長く一般機は短い。

戦後にザフトが”ゲイツ”の次期量産機として”ザク”とのコンペを行って破れた機体でありそのデータを彼らが属する組織がその後データを奪い削除した、という経緯がある為ディアッカ達が知らないのも無理もない。

敗北した経緯は”ザク”との違いは汎用性の差、難があり”ユニウス条約”での運用に向かない機体だったからだ。

そしてこの”ガルド”は通常では一般量産機では撤廃されているPS装甲を搭載し作戦時間延長のためコンデンサの増設とプロペラントタンクを装備している。

 

しかし、実際にはその機体性能は現行の”ゲイツR”と”ザク”を上回りパイロットの腕も相まって凄まじいものだ。

後退しようとしている”ゲイツR”を手にしたビームライフルと背面のレールランチャーが火を吹き射貫き迫り来る”ザク”のシールドを焼くビームサーベルにディアッカの”オルトロス”を寸前で回避できるほどのスラスター推力を誇る。

それらは全て前大戦で活躍した”ZGMF-X14A(ジャッジメント)”や”ZGMF-X13A(プロヴィデンス)”からフィードバックされた技術を使い改良されたものを搭載しているからだ。

 

「仲良しこよしで一緒に平和の歌を歌いましょう?ってか?甘ちゃんどもがよぉ!」

 

烈迫したアッシュの叫びを上げながらまた一機、と”ゲイツR”と”オオツキガタ”が破壊されていく。

所詮は仮初めの安寧を受け入れた敵対するもの達を馴れ合いを良しとし、平穏でぬくぬくと生きる。

()()()()()()()()()()()()を終わらせる?理解が出来なかった。

まぁ、両者が滅んでしまったらそれこそ意味が失くなってしまうからある程度”引き際”が必要だろう。

今回の落下事件も”ザフト”とやら”コーディネイター”のプライドを守るため、だと他の幹部達は宣っていたが…まぁ俺には関係ない、遊ぶ場所を用意してくれた事には感謝しているが。

そしてナチュラルとコーディネイターに良い顔を見せる二枚舌の国家のオーブも参加している事に口角がつり上がっていた。

 

目の前のエースが乗っているだろうモビルスーツとの戦闘に興じながらアッシュは舌舐めずりした。

 

「楽しいことになりそうじゃねぇの…!」

 

◆ ◆ ◆

 

応戦するディアッカ達。

しかし襲ってきたモビルスーツを捉えることはできずに次々と部隊のメンバーがやられていく。

 

「くそっ…!一体何なんだコイツらは!?」

 

【オルトロス】を構え発射するが寸でのとこで回避されてしまうのはあの正体不明のモビルスーツの性能とパイロットの腕があるからだろう。そしてニコルの射撃を回避し接近しサーベルを”ザク”のシールドを焼く

 

俺やニコルの射撃が回避される、だと…!?

 

其は決して自惚れではない。

彼やニコルは今は一般隊員と同じ扱い、”緑服”を纏ってはいるがあの地獄のような前大戦を生き抜き戦い抜いた嘗て”赤服”を着用する資格のあったエースだ、という自負があったからだ。

 

<かなりの手練れです、ディアッカ!このままでは…!>

 

なんとか【メテオブレイカー】を守り続けていた”ゲイツR”の前にいたディアッカとニコルの機体の間を抜けた正体不明機が撤退する工作隊の”ゲイツR”を破壊するためにライフルを構えるのを見た。

 

その時自分達の後ろから放たれたビームが保持していた正体不明機のライフルを撃ち抜き破壊した。

続けざまに頭部を破壊し距離を取らせるのを確認しディアッカとニコルに通信が入る。

 

<工作隊は破砕作業を続けろ!このままでは奴らの思う壺だぞ!>

 

鋭い声で指示を出したのは”スラッシュザクファントム”を駆るイザークだった。

部隊長であるイザークの機体は青で彩られたパーソナルカラーの”ザクファントム”でありその背面に背負うのは接近戦重視のビームガトリングと【ビームアックスファルクスG7】を備えた”スラッシュウィザード”を装備している。

 

指示を受け”ユニウスセブン”へ向かう”ゲイツR”を追うように”ガルド”が正面から突っ込んでいくがビームライフルの精密な射撃が胴体を捉え爆発させる。

イザークの到着によって浮き足立つ工作隊は落ち着きを見せるがその安堵も束の間ですぐさまコックピットに警告音が響き渡る。其を視認する前に無数の光条が攻撃を仕掛けてきていた”ジン”と”ゲイツR”諸とも無差別に破壊し更には設置が進んでいた【メテオブレイカー】をも破壊してしまった。

 

戸惑う三人の前に熱紋が照合され其が”友軍機”であることを示すが正確には嘗てそうだった機体だと。

 

<”カオス””アビス”、”ガイア”だと…!?>

 

「”アーモリーワン”で強奪された機体が何故!?」

 

イザークが驚きの声を上げるとディアッカは困惑する。あれは”ミネルバ”の追撃を逃れた筈の部隊が何故、この戦闘に介入するのか?

しかし、敵として此方に攻撃を仕掛けるのは明らかで応戦するしかないのにただでさえ正体不明機達から攻撃を受け破砕作業に遅れが出ている。

 

三人は工作隊を守るために迫り来る銃口を新たに出現した三機と正体不明機達へ向け迎撃する。

三つ巴に入り乱れる戦場で漸く設置を完了した【メテオブレイカー】を狙い”ジン・ハイマニューバ弐式”達が手にしたビームカービンを放とうとした、その時。

 

<なんだッ?!>

 

発射の寸前に撃ち抜かれ爆発するビームカービンに続けて”ジン”にビームが撃ち込まれ爆発し一瞬にして無力化しイザーク達の前に流星のように軌道を描き機体が現れる。

敵か!?と思われたその機体は【B.L.U.E.M】を示す八花弁のマーキングを肩に乗せたトリコロールの”ガンダムタイプ”だった。

 

「此方【B.L.U.E.M.】所属”バーゼラルド”、援護します!」

 

◆ ◆ ◆

 

「…!?ちぃっ!アイツらッ…!」

 

”ミネルバ”から発進したクリスはジュール隊を襲う見慣れた三機がいるのを確認しカッと血が頭に上る。

自分の軍の機体を乗っているエアリスの事など頭から消え去っていた。

性懲りもなく味方を殺してアタシ達の邪魔をするのか!

 

今日こそ決着をつけてやる、と息巻き機体を彼らの方へ進ませるとルナマリアが驚きの声を上げる。

 

<あ、ちょっとクリス!>

 

<クリス!俺たちの目的は破砕作業の支援だ!戦闘じゃないんだぞ!>

 

ハイネの叱責が飛ぶ、しかし其を無視してスラスターを吹かす。

 

「分かってるよ隊長!だけどアイツらが撃ってくるんだから応戦しないと工作隊の連中が無駄死にするだけだ!」

 

そう反論し襲ってくる例の三機に向け機体を進ませると同時にルナマリアはハイネへ報告する。

 

<ああッ!?クリス!もうっ…隊長!クリスの援護に向かいますっ!>

 

そういってルナマリアも機体を進ませてあの三機達のもとへ向かうのをハイネは「アイツら勝手に…」と嘆くが彼女の言うことは尤もであったが隊長である自分に従わない素振りを見て「またか…」と頭を抱えたくなったがその時”セイバー”に乗るエアリスから通信が入った。

 

「ヴェステンフルス隊長、敵は彼女達に任せて此方は破砕作業を進めましょう。もう間もなく”ドミニオン”からも破砕装置を伴って出撃します」

 

<ああ、そうだな…レイ、良いか!>

 

<了解しました>

 

工作隊がいる”ユニウスセブン”へ向けレイと共に機体を進ませると視界に映るシンの”バーゼラルド”と01ダガーLの姿を確認し【B.L.U.E.M】とオーブ、そして見慣れた機体を確認したハイネが驚きの声をあげる。

 

<なんだ…!?襲ってる連中は”ジン”を使ってやがるのか?>

 

その言葉を受け確認すると熱紋と視界に映る機体は従来の形が変わっているが”ジン”が此方の味方を襲っている。

其よりもエアリスはもう一機の機体の姿を見て驚きの声を上げる。

 

「あの機体…!どうしてここに…!?」

 

その見た目はエアリスにとって非常に心の中に苦々しいものが広がるのは自分達の部隊を襲った例の武装組織の機体だったからだ。

 

(まさか…奴らがこの”ユニウスセブン”を動かした?)

 

だとすればこの落下事件を引き起こしたのがあの一団と関わり…いや直接のやり取りがあるとするならあれはザフト…コーディネイターの部隊かもしれない。

 

(結局は”ザラ派”の仕業ってことか…!)

 

あの一つ目の巨人に部下達がやられた苦い事実がある。

仇を討ちたい所ではあるが今は破砕作業を進めなくては…!エアリスは自分の心を割りきり操縦桿を強く握る。

此方に気がついた”ジン”が攻撃を仕掛けるが所詮はマイナーチェンジ…セカンドステージの”セイバー”の敵ではない事は明らかでありサーベルを抜刀しすれ違いざまに頭部と腕を切り裂き無力化する。

 

機体を翻し今自分がやるべき事を為すために”セイバー”を借り受けたのだ。

ハイネ達はイザーク達のモビルスーツを援護している。一先ずは【メテオブレイカー】を設置しているザフト軍を守っているオーブ軍の元へ向かう。

 

「あ、あれは…!?どうしてあの機体がここに…?」

 

襲いかかる”ジン・ハイマニューバ弐式”複数機を一機で機体に搭載しているであろう”マルチロックオンシステム”手足、カメラ、武装を複数機撃ち抜き無力化し件の正体不明機と戦闘しているオーブのモビルスーツ…”エクリプス”から派生した”MVF-M13X ライジング”…キラ専用の機体がそこにいた。

 

「…ッ!」

 

正体不明機は手練れらしく切り結んでいると背後のジンが【メテオブレイカー】を破壊せんと抜けていくのに気がついたエアリスは機体を変形させ飛翔し攻撃せんとする機体を【アムフォルタス】で撃ち抜き破壊させる。

 

その事に気がついたキラがサーベルと脚を用いて”ガルム”を吹き飛ばすと援護するように紅い機体が高出力ビームで牽制し距離を開かせた。

 

「なんだ…ザフトの機体…ガンダム?」

 

変形しその姿は”ガンダム”…しかし予想外の声が飛び込んできた。

 

<キラくん!>

 

「ッ!?その声…エアリスさん?」

 

モニターに映し出される彼女の姿は”ザフト”のパイロットスーツを着用し機体に乗っていた。

何故そんなことに?確か”プラント”の新造戦艦の進水式にカガリと共に出席していた筈だ。

そんなことを考えていると”スサノウ”からカガリとアスランが移乗し戦闘支援に入る、と言うことを知らされ進水式の最中に搭乗したのだろう、と推測した。

 

<話は後にしよう。先ずはコイツらを無力化するよ!>

 

「はい!」

 

並び立つ”赤”と”青”。

一先ずは目の前にいるこの世界を崩壊させようとするこの”遺物”の阻止を優先せんと動き出した。

 

◆ ◆ ◆

 

「”ユニウスセブン”更に降下角一・五!加速四パーセント!」

 

「”ジュール隊”及び【B.L.U.E.M.】とオーブ軍が”カオス””ガイア””アビス”の攻撃を受けています!」

 

「これでは破砕作業に専念できません!艦長!我々も”ボギーワン”を!」

 

アーサーがじれた様子でタリアヘ攻撃許可を求めるが当の本人は難しい顔をして考え込む。

故あって口を開くと議長へ問いかける。

 

「議長、現時点で”ボギーワン”をどう判断されますか?」

 

唐突な質問にデュランダルはその意味を計るように彼女を見やる。返答がないまま続けざまに質問した。

 

「海賊と?其とも地球軍…”ブルーコスモス”と?」

 

「ううむ…難しいな。私は()()()とはしたくなかったが…」

 

「どんな火種になるか分かりませんものね?」

 

その状況を固唾を呑んで聞いていたアーサー達。

 

「だが、状況が変わった」

 

デュランダルが決意して告げると言葉を引き継ぐようにタリアが続けた。

 

「ええ。彼らが自らを地球軍、其に準ずる部隊だとするのならばなんの意味を持ちません」

 

「逆に我々があの”ジン”と正体不明機を庇っているように思われかねんか…」

 

「そんな!」

 

アーサーが心外そうに声をあげるがタリアがたしなめる。

 

「仕方ないわ。あなただってあの機体が”ダガー”だったら関与している、と思うでしょう?」

 

確かに、とクルーの皆は思った。

襲撃を仕掛けてきている部隊が”ダガー”ならば地球連合軍を疑うのは無理もない。

しかし、今”ドミニオン”から出撃した”01ダガーL”達とも戦闘を繰り広げている其もまた彼らと”ボギーワン”との関係を否定する証でもあったからだ。

 

「…艦長。”ボギーワン”とのコンタクトをとれるか?」

 

「国際救難チャンネルならば」

 

「ならば頼む。彼らには我々は”ユニウスセブン”落下阻止のために行動している、と」

 

「はい」

 

◆ ◆ ◆

 

「リヒト機被弾!帰投します」

 

「アルマ機シグナルロスト!」

 

「ヤザワ機敵モビルスーツを撃破。アポロ小隊と合流しザフト軍破砕部隊と作業開始しました!」

 

”ドミニオン”の艦橋で刻々と戦況が報告されるのを受けとるナタルは苦い顔色を浮かべた。

 

(展開が遅すぎる…原因は此方ではなく正体不明の部隊、か…)

 

モニターの向こうに広がる戦闘の状況…出撃したモビルスーツの行動を阻んでいるのはライブラリ登録のない一つ目の巨人達、そして”ガンダム”達だ。

そして後方に控えている所属不明の艦艇はその造りから連合系統…”アークエンジェル”級であることにナタルは薄々だが気がついていた。

 

(ブルーコスモス?だがそうであれば何故此方の邪魔をする?此方の行動を知らぬ筈はない…”ミネルバ”とこちら側から呼び掛けていると言うのに反応がない、まるで”見届ける”ような行動が不気味だな…)

 

まるでこの状況を見るためだけに出てきた艦艇と部隊を見てナタルは指示を出す。

時間がない。これ以上手間取れば阻止できるものも阻止できなくなってしまう。

 

「対空監視厳に。”アンノウン”のデータ収集を継続。モビルスーツ隊へ通達。正体不明モビルスーツとガンダムタイプは敵として判定。モビルスーツ迎撃にはレインズ大佐とアスカ特務少尉任せておけ。他は別部隊と協力し破砕作業へ急げ、とな」

 

「了解!」

 

こと戦況においてはこちらが有利だ。

オーブもエース部隊である第一宇宙軍を差し向けザフトも”ジュール隊”が動いている。

が、しかしナタルは表情を険しいままから変えなかった。

 

刻一刻と、確実に地球に向け”ユニウスセブン”は落下を進めている。

時間はもう余り残されていない。

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