魔法少女で終末異世界サバイバル!?   作:あまぐりムリーパー

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プロローグ
#1 魔法少女ってそういうもんだっけ


 暗がりの道で、結城(ゆうき)紫乃(しの)は目の前にいるカラスの頭をした存在を見上げている。そう、カラスの頭。そこから下はスーツ姿の人間だ。摩訶不思議な存在を前にして、現実を飲み込めないでいた。

 

 突如現れた灰色の獣、それを追い払うカラス頭の何か。理解するのが馬鹿馬鹿しいのでとりあえず頭を空っぽにする。

 

「我々とともに、世界を救っていただきたいのです」

 

 カラスの口がパクパクと動いて言われると、あまり危機感を覚えない台詞だ。どうやって声出てるんだ。

 

「救う?」

「ええ、別の世界からやってきた侵略者を倒していただきたい」

「し、侵略者……?」

「我々の住む魔法の国にやってきた別世界の存在です。それを倒すために我々と契約して魔法少女になっていただきたい」

「いや待って、何か何までどういうこと!?!!?」

 

 どうやら、カラスの人たちがいる魔法の国、というところに別世界からの侵略者がやってきて、それを撃退したものの、まだ脅威は去っていないとのことだった。

 

 そして、それを解決するために魔法の国の住民との契約をして魔法少女になって欲しいとのことだ。魔法少女といえば不穏な話がよくあるが、これはもはやよくわからない話じゃない?

 紫乃は思案する。

 

「魔法少女には合計六つの魔法が与えられます。通常使うことのできる四つのノーマルマジック、その魔法少女特有の魔法であるスペシャルマジック、その魔法少女の必殺技であるマジカルストライクです」

 

 何か説明が始まった。魔法少女の扱える魔法らしい。何か、違和感がある。これ、なんというかゲームっぽすぎる。

 

「魔法少女、という存在が曖昧であるため、最近のソーシャルゲームを参考にフォーマットしました」

 

 なんでだよ。そこでゲームになるなよ。魔法少女感が薄れるだろ。

 

 だいたいなんだ、フォーマットって。魔法少女ってよくわからんなあ、せや!ソシャゲにしたろ!ってこと?

 そうはならないでしょ。いやなってるんだけどさ。

 

 そもそも、魔法の国の住人とかはありそうだけどもうちょっとファンシーだろ。なんだよ、カラス頭のスーツ人間って。不気味すぎる。紫乃は不満を内心ぶちまける。

 

「異世界からの侵略者――スタフティと呼ばれている存在に対立するため、それに特攻能力があるようにデザインしました」

 

 おお、なんかそういうところはちゃんとしているのか。ちなみに魔法少女である理由はそれっぽいかららしい。なんだよと思うものの、そういったイメージが魔法の国では重要らしいのだ。

 

「ところで、なんで魔法の国の方々が直接なんとかするんじゃなくて私のような人間が必要なんですか?」

「それは、我々には異世界からの侵略者がいる世界にいくことができないからです。向こうからやってきたやつを叩きのめすことは可能ですが、それだけです。やつらがいる世界にいって根本的に解決することはできません」

 

 自分達では解決できないから、人間と一緒に立ち向かおうとしているらしい。変身した人間ならいけるんだ、その世界。しょうがない、救いますか世界を。紫乃は決意を固めた。

 

「では、この黒猫と契約してください」

 

 とカラス頭が言うと、小さな黒い猫がやってきた。あ、さすがにそこはお前じゃないんだ。雰囲気壊れるもんな。うんうん、と紫乃は頷いた。

 

「手を出せ」

 

 喋るんかい。言われた通りに手をだすと、肉球を押されて、紫乃は光に包まれた。そう、魔法少女になったのである。ピンクの髪にフリフリの服装、魔法の杖を持った魔法少女に。

 

 さっそく、使用できる魔法を確認した。スマートフォンのような小さな端末で確認できるらしく、それを見る。四つあるとされるノーマルマジックからだ。まだ現実感のなさに浮かされて、紫乃はそれを確認する。

 

・マジカルサーチ 周囲のいろんなものを探せるよ

・マジカルロッド 魔法の球を撃てる杖をだすよ

・マジカルフラッシュ とても眩しい光をだすよ

・マジカルミラージュ 相手に別の光景を見せて撹乱するよ

 

「……サポートキャラ!!!」

 

 紫乃は叫んだ。そう、あまりにも攻撃性が無さすぎる。何がソーシャルゲームを参考にしただ。序盤はそんな使ってないけどゲームが進んでいくと使われるようになるタイプのサポートキャラじゃないか。

 

 しかも、魔法少女は単独だし。これは本当に大丈夫か?焦って、その魔法少女特有の魔法らしいスペシャルマジックを確認した。

 

・スペシャルマジック コネクト

 魔法少女同士の力を繋ぐよ

 

「…………サポートキャラ!!!?!!?」

 

 そう、どうみてもマルチプレイ用魔法である。一人なのに。そもそも書き方が曖昧過ぎる。ランダム生成でもしてるのか?

 

「ええ、魔法はおおよそランダムです」

「なんでだよ」

 

 ツッコミをいれながらも最後に、魔法少女の必殺技であるというマジカルストライクを確認する。

 

・マジカルストライク ランサーショット

 魔法のビームを撃つよ

 貫通力がとても高いのでバリアとか全てを貫くよ

 

「そこは普通なの!?」

 

 サポートキャラは必殺技も含めて、サポートなのも多いのに。

 

「マジストにはそういうサポート能力が出ることの方が珍しいですからね」

 

 マジカルストライクの略称はマジストなのか。逆に落ち着いた紫乃はどうでもいいことを思案した。

 

「もういいから、その世界に連れてってよ」

「わかりました」

 

 視界が歪んだ。

 

 目を開けると、一面が灰色になっていた。遠くには木々も見えるがすべて灰に染まっている。視認性が悪すぎる。

 

 遠くの方を眺めると、大きな城がある。そこにドラゴンのようなものが巻き付いていて、光の鎖のようなものに繋がれている。

 

 紫乃はさらにありったけ叫んだ。

 

「これ、ジャンルが魔法少女じゃなくて異世界転生じゃん!!!」

 

 転生ではなく転移である。




・魔法の国
 メルヘンチックな別の世界。カラス頭とスーツ姿の人間を合わせたような存在や黒猫のようなものがいる。契約すると魔法少女にしてくれるらしい。

・スタフティ
 別世界からの侵略者。

・魔法少女
 スタフティを倒すためにフォーマットされた存在。魔法の国の住民と契約した少女がなることができる。合計六つの魔法がランダムな能力で与えられる。
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