魔法少女で終末異世界サバイバル!?   作:あまぐりムリーパー

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十一代目魔法少女ナイト
#4 このビルド意味あるパターンなんだ……


 突然現れた先代に驚きを隠せない紫乃、その先代も困惑していた。そりゃそうである。 

 

「えーっと……」

「……」

「いや、黙らないで???」

 

 困惑しきって黙り込んだ十一代目魔法少女、ナイトに紫乃は沈黙で対抗した。ダメだったらしい。

 

「で、えっと魔法少女ナイトさん、でいいんですか?」

「あ、うん。僕は十一代目魔法少女のナイトだよ。よろしくね」

「私は十二代目魔法少女のドリームです、よろしく……あれ」

 

 ナイトの差し出した手を握ろうとして、紫乃の手はそれをするっとすり抜けた。よくみると、ナイトの体は透けている。

 

「えっ、なんか触れないんですけど」

「本当だね、そういうことかあ」

「いや、勝手に納得しないで説明してもらえます???」

「それはあくまでナイト本人ではないからだろう」

 

 幽霊みたいなものか?と紫乃は黒猫の言葉に思案する。

 

「マジカルメモリーはこの世界での魔法少女の残滓、記憶にすぎない。それがどういうことか形を持っているだけだ」

「なんかよくわかんないんですけど、どういう状態なのこれ」

「本来、マジカルメモリーは魔法少女が触れると吸収される。だが今回はドリームへと吸収されずに記憶からナイトが形成されている。今までは起こったことがない現象だ」

「???要するにわかんないってことか」

「そうだ」

「ってか、これだとさっきのパワーアップの話全部なくなってない???」

「そうだな。吸収できないのであれば、パワーアップはしないだろう」

「おい」

 

 紫乃にはよくわからないが、本来紫乃に吸収されるはずのマジカルメモリーがなんかひとりでに動き出したらしい、ということだけを理解した。

 

「妙なのは、分割されていたはずのナイトのマジカルメモリーがすべてくっついていることだ」

「くっつく?」

「マジカルメモリーはさ、何個かに散らばるんだよね。四つとか六つぐらいにね。でもなんか今は全部くっついて完全な僕の記憶になってるってこと」

「へー、そういうもんなんだ」

「君、話聞いてるのかよくわからないよね」

 

 ジト目で見てくるナイトをよそに、紫乃はなんとなく考えていた。本来なら最悪六回ぐらいナイトのマジカルメモリーを拾わなければいけないのが一回で済んでるらしい。そういう意味ではラッキーか。

 

「せめてこの人も戦ってくれれば楽なのになあ。喋る人がなんか増えただけか」

「あの、一応僕は先輩なんだけど……」

「でも戦ってくれないし。そりゃあ知識とか持ってるかもしれないけど、別になんか状況有利になります?」

「君、辛辣すぎない???」

「だって、この世界で負けてる人だし」

「こいつ」

「そういやナイトさんってどんな魔法持ってるんですか?」

「切り替え早すぎるよ」

「で、どんなの?」

「……勢いがすごいなあ」

 

 紫乃の勢いに気圧されて、ナイトは持っている剣と盾をまず見せた。

 

「これが僕の魔法の一部、マジカルソードとマジカルシールド。シンプルに攻撃と防御のためのものだね」

「今はできないですけどね」

「いや、聞いたの君だよね???じゃあ、そういう君はどういう魔法を持ってるの?」

「おお、よくぞ聞いてくれました!」

「ああ、言いたかったんだね……」

 

 呆れるナイトに、紫乃は自分の魔法を説明した。それはもう、一人で駆り出されてるのにサポート役前提みたいな構成への文句も多分に含ませて。

 

「……確かに、一人で戦う分にはきつそうだからビルドはゴミ構成寄りだけど」

「急に口悪くなったな」

「でも意外とありじゃない?だって、マジカルサーチで敵の居場所見つけて、マジカルフラッシュとマジカルミラージュで撹乱、マジカルロッドで攻撃でしょ」

「ちゃんと分析してる、まるですでに魔法少女を体感してるみたい」

「してるんだけど???このスペシャルマジックに関してはいまいちよくわからないね」

「どう見てもマルチ用なんだからそりゃそうでしょ」

 

 魔法少女ドリームのスペシャルマジック、コネクトは魔法少女同士の力を繋ぐとしか説明されていない。そもそも他の魔法少女と会うこともないのに、どう使うんだよ。その答えは誰もわからないままであった。

 

「ドリームってまだこっちに来たばっかり、でいいんだよね?」

「そうですね。さっき来てさっきそこら辺のスタフティと戦ったぐらいで」

「じゃあ、全部の魔法は使った?」

「いや、マジカルロッドとマジカルサーチぐらいで他は使ってないけど」

「じゃあさ、一旦使ってみない?」

「そうだな、一度力の確認をしてみるのもいいだろう」

「うわ、チュートリアルみたいなノリの時だけ話してくるなよ黒猫」

「君って魔法の国の住人にも辛辣なんだ……」

 

 確かに自分の力を一度把握しておくのも大事だな、と紫乃は納得した。マジカルストライクの威力も含めていまいちよくわかってないし。

 

「よし、"マジカルフラッシュ"!」

「え、そんなにいきな――ああああああ!!!!!」

 

 突然、辺りを包み込むような目映い光が放たれた。あまりの眩しさに実体を持っていないはずのナイトでさえ、目を押さえつけて転げまわっている。とてつもない魔法である。

 

「眩しいいいいい!!!!」

 

 そう、使った本人にも影響があるぐらいに。

 

「そういう魔法はおおよそ出力の調整ができる。試してみるといい」

「最初から言えよ!!!」

「急に使うからだろう」

「……マジカルフラッシュ」

 

 黒猫からの正論に何も言えないまま、ようやくましになってきた目をもう一度開いて魔法を使う。少しだけ照らすようなイメージで。

 

 懐中電灯のようなイメージをしているせいか、紫乃が持っている杖の先端から光が放たれた。先程のとは違い、遠くを少し照らす程度のものだ。調整ができるのなら、意外と便利かもしれないな、と紫乃は思案した。

 

「よかった、今度はちゃんとできてるね」

「ご迷惑をおかけしました。実体がないなら眩しがるのやめてくださいね」

「理不尽!?」

「よし、"マジカルミラージュ"」

「無視しないで???」

 

 続いて、マジカルミラージュを使用する。この魔法は相手に幻を見せるような魔法、紫乃本人は効果があるのかいまいちわからない。ナイトの様子を見てみると、別の方向を眺めていた。

 

「ナイトさん、これって発動できていますか?」

「うん、二人に見えてるよ。結構便利そうだね」

 

 動いている姿のナイトを紫乃は見つめた。これでもあくまでも残滓らしい。自分も負けたらこんな風に幽霊のようになるんだろうか。いやでも、本来はそうならないらしいしな。そういえば、コネクトが魔法少女同士の力を繋ぐなら、残滓のナイトにも影響があるのだろうか。

 

 そう考えていた時に、紫乃はあることに気付いた。

 

「ねえ、ナイトさんのマジカルメモリーがくっついたのって私のスペシャルマジックのコネクトのせいじゃない?」

「どういうこと?」

「だって、マジカルメモリーでも魔法少女の残滓――つまりは一部でしょ。だったら、マジカルメモリーにも通用するんじゃない?」

「……なるほど?」

 

 紫乃の言葉にナイトはこてん、と首を傾けた。あまり意味が通じていないらしい。

 

「理解してないな???だから、マジカルメモリーの一部に触れたら他のマジカルメモリーと繋がろうとして一つになるんじゃない?ってこと。磁石みたいになったんじゃないかなって」

「……ふざけてばっかりの割に意外と賢かったりする?」

「はっはっは、しばきますよ」

 

 紫乃はファイティングポーズをとった。でもナイトは実体がないので意味がなかった。




・魔法少女ナイト

 十一代目魔法少女、剣と盾を使用する。軽装な鎧を着ている。生真面目な性格。一人称は僕。
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