仕事が忙しい
アウラ、休日出勤しろ。
勇者ヒンメルの死から27年後。
聖都シュトラール。
大陸魔法協会創始者・ゼーリエは一通の手紙を読んでいた。弟子の弟子…孫弟子からの使い魔が運んできたそれは、必要な情報と言ってほぼ箇条書きのような内容だった。
手紙を書いた本人同様に無愛想な文面。
しかしその内容ゆえに、手紙を刻む事をゼーリエはしなかった。
「人の歴史に寄生する魔族……か」
名をナイオン。
高度な擬態と分身を可能とする魔族。
長く続いた魔王軍との戦争の間、一度も聞くことのなかった無名の魔族。
そして、
「人類史に巣食う白蟻。害虫以外の何物でもないな」
ゼーリエはそれに対する嫌悪を隠さなかった。
「しかしフリーレンよ、お前の話だけでは探しようがないな。明確な外見も代表的な魔法も特定できないのであれば、見分けのしようがない。過去の歴史を洗い直すにも限度がある、なにせ目的が分からないんだからな、今に生きている人間の何が正常異常かなど分かったものではない」
そこで、ゼーリエはペンを取る。
「だが、こういう手合いの魔族は重要な局面以外顔を出さないどころか自分の存在が周知される事すら嫌う、どんな詐欺師でも自分の手配書がある街ではリスクを考慮する。だからこれは嫌がらせだ」
「
この日、最も新しい大魔族の存在が二人の魔法使いの名のもとに聖都より発布される。
『無貌の狂魔:ナイオン』
「……それでね、ここよりもっと南の方は北よりもずっと暖かい気候で、種別こそ同じなのに全く違う生き物がたくさんいるの、面白いでしょう?」
はい、どうもナイオンです。
イかれた魔族に襲われた感想ですが、死ぬかと思いました。運良く何とかなりました。今でこそ穏やかに茶ぁシバいてますが、襲われたら余裕で怪我します、怖い。
よく分かんない話を聞かされながら、適当に返事をすることで機嫌を損ねないようにするので精一杯です。どこでもドアとか欲しいかな。
イかれてる奴は無条件で怖いもん。
「例えばほら、今飲んでる茶葉もそう。種の付け方や葉の形は北の土地でも似た物があるのに、味は全く違うの。でも私はこっちのが好き……んく、美味しいでしょう?」
「…………あぁ」
「ふふ、嬉しい。ところで手が揺れているわナイオン、混ぜなくても美味しいわよ?」
「…………あぁ」
手が震えているだけなんですけどね、と怖ぁいソリテールに合わせてひとくち。
うーん味わかんない。
こういう時表情に出ないというか表情がない髑髏面は便利ね、ポーカーフェイスってやつ?
「あの……ナイオン様」
お、リリィが小声で。どうしたのかな?茶菓子が足りなくなったかな、ほら私のをあげよう。
「んぐ…!じゃなくてっ、もぐ。なんで私達っ、もぐ。普通にっ、もぐ。…お茶してるんですかっ!」
ははは顔を真っ赤にしたリリィもかわいいなぁ。
どうしてソリテールとお茶をしてるのかだって?うん命乞いだね、私は窮地をクロワッサンで切り抜けた人をよく知っているんだ。
確かに今の状況はとても変だね、さっきまで愉快犯剥き出しだった人と一緒になってティータイムだもんね、リリィ好みの花柄のシートの上で、大柄な髑髏面と角モロだし魔族と女の子が小さくて白いテーブルを囲んでるんだもんね。
うーん我ながらミスマッチすぎる。
「口にものを含みながら喋るのはお行儀悪いよリリィ」
「ぶっとばしますよ!?!?」
いつもの調子に戻ってきたね。
「リリィちゃんはかわいいわねぇ」
「ひっ!」
でもソリテールの事は相変わらず怖いんだね。わかるよ凄くわかる、何考えてるか分かんない奴って怖いよね、奇襲とかしてきそうでさ(前科一犯)。
ところでこのお茶会早く終わらないかな、見逃してほしいな、虚栄張るのも限界かな。
まともに戦ったらボロ負けするもんな。
「
「この後?そうね……ナイオンはどこへ?」
質問を質問で返すなあーっ!!疑問文には疑問文で答えろと学校でっ、学校行ってないか──っ!
……えこれ言わないとダメ?私は君と別の方に行きたいんだよね、君のこと全く得意じゃないんだよね、紅茶に口もつけずジッと見てくるのやめない?お顔は可愛いのに超怖いんだよね、うん嘘つこう。
「…………南へ」
「じゃあ私も南に行くわ」
じゃあってなによじゃあって!
「………やはり北にしよう」
「あら、どうして?」
貴方が怖いからです。って正直に言ったら首が無いんだろなぁ〜、よし誤魔化そう。数千年生き永らえてきた話術を活かすとき。
これで、三度目。
ナイオンとの実力差はとうに理解していた。ナイオンの魔力量自体は特筆するほど多くはない、私よりも少なくて、鍛錬に換算すれば五百年にも届かない。
魔族は力を魔力で示し、はかる。魔法使いとしてナイオンは強くない、それは断言出来る。
でもナイオンが持つ強さは"戦士"の強さ。
百年やそこらではない、何千年と振り抜かれた剣技の累積。私がこれまで見てきた多くの戦士職の究極形、その手に剣が握られていなくとも、そこに死があると錯覚させられる。
未だ実物を見た事はないけれどこれは確信。それにきっと、ナイオンの剣技を見る時は私が死ぬ時……でさえ、見られないでしょうね。
そんな化け物が、気配も魔力も隠匿して首筋に剣を置いていく。これはもう強さでは測れない理不尽な現象だった。
なのに今日、そのナイオンの剣が錆びていた。
ナイオンと人間の子供が旅に出ようという話をしていたのを見ていた。そのナイオンの手に握られていたのが、間違いなく私の首を斬った剣だった。
正直目を疑った。
けれど同時に、10年前でさえ疑念にあった仮説が確信になった。
ナイオンは変質している。
魔族という種から逸脱し、これまでとは全く異なるものへ、それでいて環境に適応するように目まぐるしい速度で、『進化』している。
まるで人間のように。
贋作ではなく、本物の親子になろうとしている。
理由は間違いなくリリィと名付けられた人間の子供、ナイオンが拾った時には赤子だったもの。それがナイオンを変えたのだ。
噂が立つほどに魔族の首を出会い頭に斬っていたような魔族を、母親に。
だから私は、ナイオンの前では笑みが隠せない。
だって、こんなに素敵なもの他にないんだもの。
出来ることならずっと一緒にいて、近くで観察したい。毎日でも毎晩でもおはようからおやすみまで観せてほしい。
ナイオンは、子供の思春期というものにどうするのかしら?反抗期には?リリィちゃんに番ができたら?子供ができたら?……リリィちゃんが、死んだら?
貴方はまた子供を拾えるのかしら。
それとも、貴方の中にリリィちゃんが残って、また母親にはなれないのかしら。
私達に機能として備わっているだけの涙袋を、正しく機能させられるのかしら。
それが見たいと思って付いていこうとしたら、遠回しに断られてしまった。
けれどやはり変質しているからか10年前とは違って、ナイオンの口数はずっと多かった。
「ソリテール、私と君には明確な違いがある」
「あら、ナイオンから話してくれるの?珍しい。きっと大切なお話なのね?」
ナイオンの方から話をしてくれるのも、思えばリリィちゃんを拾ってすぐが初めてだった。
だからナイオンの話の裏に、リリィちゃんが理由にある事もすぐに分かった。その先に変わらず拒絶があることも。
「……そうだ。ソリテール、私と君の道が交わる事はむこう百年はない。私達は
……私
自分と私をまとめて魔族と言い、同一のものであるとナイオンが
人を欺くための言葉で、人に真実を与えた。
それもまるで当たり前のように、この場の三人がその事実を知っているのが当然のように。
そうね、そうなのね?
リリィちゃんは、ナイオンが魔族だと知っているのね?知っていて
ナイオンを、魔族の前に母親として見ているから。
ナイオンを正しく魔族として知りながら、正しく母親として愛して信奉して、
……それはなんとも歪で、美しいこと。
「魔族は、個として完結した魔物だ。…がそれでは種族としては成り立たない、獣であるくせに獣のように群れはしないし、番を作り生殖はすれど子は育てない。社会性も継続性も真の意味では持ち合わせていない周りを真似ただけのその場凌ぎの進化の成れの果てが今に魔族と呼ばれている魔物だ」
そしてナイオンは、魔族を否定した。
己が魔族であり続ける先を否定した。
魔族を子を育てないものと定めながら、10年育てた子供を指先が触れるほどの距離に置いている。自分で
「…それが群れて動こうというのは1000年は遅い話なんだよ」
「…………へぇ」
ナイオンは、子供のために自己を否定した。
魔族である自分では子供の傍には居られないと思ったのかもしれない、子供のために魔族としての在り方を捨て、子供の害になる魔族を拒絶している。
でもそれは例えるなら"子犬を拾った人間が子犬のために犬になる"と言っているような、気のふれた話だと分かっているのかしら。
魔族としての在り方を否定し、人間のように暮らす事は出来るだろう、ナイオンにはそれができる。だって魔族なのだから。
人間の暮らしを模倣できるから、
魔族が魔物の中で最も人間に近くなれるから、出来ることだ。種族分類としての魔族がひっくり返ることは無い。
悠久に近い寿命が縮む事はない。
ナイオンはきっと"魔族を否定し人間の傍に在る"事が、自分が魔族だから出来る事なのだとは気付いていない。
だって簡単な話でしょう?私達が魔族ではなく
だから、ナイオンのそれは矛盾。
合理性をかなぐり捨てた気狂いのすること。
……だから私はつり上がる口角を止められない。
『矛盾』を手に入れた
やっぱり、ずっと観察していたいわ。
でも人間の寿命は短いから、この機を逃したら次には死んでいるかも。今日からでも魔族と人間の旅に同行したい。でも、魔族と道が交わることは無いと言ったナイオンにタダでは同行できないでしょうね。
…でも、それってリリィちゃんのためよね?
私がリリィちゃんのためになれば、どうかしら?
……そうだ、いい事思いついた。
"魔族は"群れて動かないのよね?
「ねぇ、ナイオン」
「……なんだ」
「ママって呼んでもいいかしら?」
「ごふっ!!!!」
「ナイオン様!?」
ナイオンが茶を噴き出してむせた。
まるで人間みたいな反応、そうよね?魔族が人間の旅に同行しようっていうんだもの。でも魔族とお茶をしている時点で、人間じゃない貴方に私の考えは必ず通る。
私が"人間として"貴方達についていく分には問題ないんだものね?
「ナイオンがママなら、リリィちゃんはお姉ちゃんね?大丈夫、妹が姉に危害を加えるなんてありえないでしょう?ねぇママ?」
言うまでもなく、リリィちゃんは顔を歪めていた。それはそうでしょうね、魔族を知っているなら、騙されでもしない限り人間が魔族と共にある事はない。
でもリリィちゃんは魔族を否定し切ることは出来ない。ナイオンをただ親と思い込むのではなく、魔族と理解した上で親として接しているリリィちゃんに、魔族そのものを完全に拒絶する事は出来ない。
なぜならそれは、魔族であるにもかかわらず自分を育てた親を否定する行いだから。
だから私がオトすべきは、ナイオンのほう。
「貴方達は安全な所へ移住したいのでしょう?私なら道中魔法使いとして貴方達の力になれる、魔法でないとどうにもならない事がきっとあるわ?」
私がついていくのは、道中だけ。
そう思わせる言葉を吐く。
「それに、私はリリィちゃんの教育に悪いとナイオンは言ったけれど、ずっと見てきたから分かるわ。生活魔法と身を守る術ばかりで攻撃魔法がからっきしなのでしょう?私なら魔法の先生になれる」
ナイオンは魔法使いとしては弱い。
自分より遅い魔法を使うイメージが湧かないから。
「都合が悪くなったらいつでも斬り捨ててくれていいの、言う事は全部聞くわ。私がリリィちゃんの魔法の先生になって、ナイオンの道具になる、だから
人間を育ててきたナイオンに、これほど断りづらく甘い言葉はないだろう。
「母と姉妹は、その間私を縛る楔」
「貴方達にも、損はないわ」
私を
自らを旅路の中で母よりも姉よりも立ち位置の低い"妹"にして力関係を先に選定し、明確なメリットを示し、生殺与奪の権利を相手に委ねる。
プラスとマイナスで考えれば、圧倒的にプラスの話。相手はいつでも私を殺せるし、殺せる力を事実持っている。それでいて関係性も最も低い妹として好きに利用出来る、使い捨てにできる。私が長い間積み重ねてきた魔法の知識を好きなだけ引きずり出せるのだから。
……でも、相手が本当に人間なら、断られる話。
だって私の話には致命的な前提が抜けている。
あえて抜いて話した。
私が魔族で、リリィちゃんが人間だという事を。
さっきまで命のやり取りをしていた事実を。
相容れる間柄ではない客観的な事実を。
だからちゃんとした人間ならこの話には耳も貸さないだろう、だって魔族とはそういうものだから。一度は自分の命を狙った魔族がどれだけ耳心地のいい話をしようが、既に起こった事実は無視できない。
でも、そうでない者にはこれが通る。
その場その時の損得を前提に考え、自らの優位のためには人間にとっての嘘を平気で使う魔族という種。そしてその魔族を正しく異種族と見れなくなっている人間の子供は、魔族らしい考え方を理解できてしまう、共感できてしまうのだから。
……でも、私はナイオンがこの提案を断る姿も見たかった。そして受け入れる姿もまた、見たかった。
どちらも有りうる。
そしてどちらでも私の興味が尽きる事はない。
だから言ったでしょう?貴方達にも損は無いって。
「……いいだろう」
ナイオンは少しの思考の後、提案をのんだ。
私を恐れ、ナイオンの袖を掴んで話さないままの子供も、ナイオンの言葉に頷いた。
私にとって、それはより嬉しい方の答えだった。
提案が断られれば、魔族と人間の親子は人間らしい感性を持てていたという事だった。魔族は人間らしくなり、人間は人間のまま成長できたということだったのだから。
でも、2人は提案をのんだ。
それはつまり、まだ2人が途中であるということ。
魔族は人間になりきれておらず、人間は親に影響されて半端に魔族らしい感性をもったということ。
この先、本当の意味で人間らしくなれる可能性があるということ、何よりその過程を私が観られるということ。
歪になった魔族と、歪に育ちつつある子供。
この2つが本当の意味で共生できる可能性が、もしかしたら見られるかもしれない。
結果が破滅でも、それはそれで良い。
観察者としての研究は、先がわからないこの感覚がやっぱり楽しくてやめられないわ。
自分では出力できない、イメージもつかない展開が当たり前のように起こりうる。
……マハトがいたら、なんて言うのかしらね?
「……ただし」
あら?──っ!!!!!
「……山勘で魔力を首に集中させたか、魔力の壁…よりは盾というべきか、十分な防御性能を引き出すのに相応の魔力を固めるイメージが必要な点を除けば良いものだ。魔法の先生になるというのは偽りではないらしい、これで一つめだ」
──私の体が、吊り上げられていた。
首に、一筋の
ナイオンが目の前に居たから気づけた、直前の魔力の起こり。
ナイオンが目の前に居たから見えた、細い髪が背後の木を登って私の首に巻きついてくる一瞬を。
首を守っていなければ死んでいた、この技を離れた場所から使われたら死んでいた。
……つまり、やはり、殺意がなかった。
「どういうつもり、ナイオン?」
私は、傍の木にまるで
だからナイオン達は下に見える。両手も口も自由のまま、髪に込められた力は魔力の盾と拮抗していて、力が強まる気配もない。
私はわざとらしく両手のひらを見せて、ナイオンに問うた。私は危害を加えるつもりはないのに、と。
対するナイオンの答えは、もう出ていた。
「お前は子供の教育によくない」
一度は許容した上での、否定。
私の提案をのんだ上での、否定。
「だが、お前の能力は考慮の価値がある」
けれど、殺意の無い拘束。
ようやく状況が理解できたわ、私を試そうっていうのね?魔族らしく損益の勘定をもって、人間のように言葉に絆されて、その上で、魔族でも人間でもない半端の貴方が両方の自分で納得できるように理由が欲しいのね?
「条件は2つ。これから『呪腕』をお前に目掛けて放つ、
ぷつり。と一筋の髪が切れて、わずかな浮遊感に晒された瞬間。それを合図と言わんばかりにナイオンの影から飛び出してきた左右非対称の人間が、白面の髑髏が、私の視界を埋め尽くす。
そして、私の生涯で最も長い逃亡劇が始まった。
「途中から空気だったね?リリィ」
「……生きた心地が、しませんでしたから」
ソリテールを上手いこと遠くにやっての帰り道…じゃなくて、北に旅する通り道。
リリィとお手々繋いで歩いているナイオンです。いやぁワンチャンに賭けてソリテールを始末しようとしたら普通に防がれて死ぬかと思いました、でも生きているのでオッケーです。
頭のネジが不良品の魔族は怖いねー。
でも今はこうして、だれーもいない街道を2人でゆったり歩いてる。空は晴れてるし風は心地いい、寒いことを除けば順調なスタートだと言っていいでしょう!
さぁさソリテールなんてイカれヤロウの事なんて忘れて、楽しい旅行の再開再開。無理難題も押し付けてきたから、暫くは顔を見なくて済むでしょ。
さてこの後はどうしようか。やっぱり街には寄りたいよね、移住目的の旅でも色んなものを見て、リリィには世界を広く知ってほしいからね。
「リリィ、ここから1番近い大きな街は聖都シュトラールだが、少し遠回りをして交易都市ヴァルムに……リリィ?」
「……はぁ、………はぁっ」
足を止め、子供の火照った肌に手を伸ばす。
額に触れる、熱い。
喉に触れる、熱い。
背中は…濡れている、汗だ。
見れば目の焦点も危うい。
「…………風邪か」
そういえば荷物は纏めたが、ろくな旅支度もさせないままに出てきてしまった。今は冬だったか、もっと温かい格好をさせるべきだった。
加えて
……悠長に歩いてなどはいられないな。
「……んぅ」
「…?どうしたリリィ、袖など引っ張らずとも私は目の前に──」
「私の…私のママ……」
「………………」
すぐに、言葉は出なかった。
……ソリテール、やはり私はお前のママにはなってやれんよ。私はこの子の母なのだから。
「おいでリリィ、だっこしてあげよう」
「……ん」
「良い子だ」
母としての姿に形を変え、リリィを抱き上げる。
リリィが乳離れして以来の形で、リリィがひとり立ちして以来の行為。そこまでしてようやく再認識できた、この子はまだ幼い。
10歳など赤子にも等しい。なまじ魔法も家事も良くできる子だから勘違いをしてしまった。能力で測るのは私もまだ魔族らしいとでも言うか。
この子はまだ甘えたい盛りの子供なのだ。
「はっはっは、ソリテールに嫉妬したのかい?」
「……ん"」
「ごめんよ、私の子供はお前だけだから」
「……ならいいです」
本当に愛らしい子だ。
この子のおかげで今の私がある。
この子のおかげで私は人間らしさを取り戻せたというのに、これでは母親失格だな。
「ゆっくりお眠り、リリィ。目が覚めたら温かいベッドの中にいるよ」
目指すは、そうだね。やはりヴァルムにしよう。
あそこなら良い宿屋も美味しい甘味もあるだろう、リリィの体調が良くなったらとびきり甘やかしてあげよう。
だからもうこれ以上リリィを寒い外には晒したくないな、歩いてもいられない。
飛び抜けた速さがほしい。
……少し目立つけど、この腕に抱く小さな子に比べれば何事もないか。
『
昼間の空に、一筋の流星を。
バレンタインですってよ。
FGOイベントですってよ。
皆様のママサーヴァントは誰かしら?
私はモードレッド。