「あなたが前、美樹さんと杏子の戦闘に乱入してきた時に言った言葉、あれの意味がどうしても気になるのよ」
そう言ったマミを一瞥してから、討也はフムと顎に手を当て考える。
それから……。
「そもそも美樹さやかと佐倉杏子って誰だっけ?」
「いや、フルネームで覚えてんじゃん!?え、ていうかあたし名乗ったっけ?怖いわ!?」
「うん?それ前にあったときにあんこちゃん呼びした時点で気付こうな?」
「あっ」
今気付きましたと言わんばかりの杏子に呆れた視線を送ってから、討也はマミの質問に対して対応した。
「さっきの質問の答えだけなら、暁美ほむらでも答えは知ってるぞ?」
素直に答えてくれるかは知らんけど、と心の中で加えておく。
その言葉を聞いて、年長のマミはしばらく考える。
それは討也の言葉について。今までマミが討也と関わった事は少ないが、少なくとも目の前の少女にも見えるこの少年は、一度も嘘はついていない。
コイツが暁美ほむらも答えを知っていると言ったなら、まず間違いなく本当に知っているのだろう。
そのうえで……。
「私が聞いて素直にあの子が答えてくれるとは思えないわね。それに……「さっきの質問の答えだけなら」って事は、まだ貴方しか知らない情報も有るってことなのでしょう?」
このマミの回答に、人外は、へぇと感心したような声を上げる。
「中学生にしては良い読みだね。ただし、それは暁美ほむらにも言えるからね?」
つまり、暁美ほむらにしか分からない事も有るという事。例えば、《ワルプルギスの夜》なんかの出現場所とかは、アニメを見ただけの討也には流石に分からない。
「まぁ、良いか。俺もそろそろ蜂の巣を突いてみようと思っていたところだ……教えてあげよう」
その討也の言葉に、全員が内心で首を傾げる。
どうしても、使い魔から成った魔女がグリーフシードを落とさない理由を自分たちに教えることが、討也の言う「蜂の巣を突く」という表現に繋がらない。
「とはいえ……立ち話をでするような会話じゃ無いしなぁ…」
「なら、貴方の家で良いかしら?」
討也の呟きに、チャンスとばかりに言うマミ。
それを聞いた討也は思わず苦笑した。
「ついでに所在地をつきとめておこうということか?抜目ないねぇ、まぁ良いけど」
それじゃあ行こうか、と討也は少女四人を自分の住むマンションへ案内することにした。
「討也~チーズはあるのですか~?」
「そのために買い物行って来たんだけどねぇ。はいよ。あ、お前らそっちの部屋行っとけ」
ぞろぞろと入ってきた四人の少女には目もくれず、出迎えるなりチーズはあるかと問うなぎさに、取り合えず裂けるチーズを一つわたし、残りは全部冷蔵庫に仕舞おうとキッチンに足を向けながら、マミ達にリビングへ行くように促す。
「さて、使い魔から成った魔女がグリーフシードをドロップしない理由。だったっけか?……その前に、お前らグリーフシードがなんだか知ってる?」
こたつに座りながら、討也は初っ端から核心へと切り込む。
「私達のソウルジェムの濁りを浄化してくれるものだろ?そんで魔女の卵」
その質問に、何を今更といった様子で答えたのが杏子である。
対して、討也は「40点」と点数をつけた。
「じゃあ、濁りを取らないでいるとどうなるの?」
「魔法が使えなくなるんでしょ?」
ちらりと、マミの方を見てから、彼女から教わった知識で質問にさやかが答えた。
「20点。それじゃあ、魔女ってのは一体何なんだい?君達が倒しても倒しても減らないのは何故?」
「使い魔から、魔女になって数を増やしていくからじゃあ無いかな……?」
遠慮しがちに、まどかが答える。
「10点。それも確かに有るけれど……じゃあそもそもなんで魔女なんてものが生まれたの?最初の魔女はどこから生まれたんだろう?」
「「「「……」」」」
誰も答えない。答えられない。なぜなら、知らないからだ。
「なぁ、君達。こんなにも分からない事だらけなのに、今まで疑問に思ったりはしなかったのかい?」
黙り込む四人を眺めてから、討也は先程から裂けるチーズをちみちみ食べているなぎさに視線を向ける。
「さて、それじゃあ元魔女のなぎさ先生、質問だ」
「「「元魔女!?」」」
全員がその何気ない一言に驚いた。
なぎさに向けられる視線は、まるで動物園のパンダに向けられるそれと同じだったが、小学生のなぎさはそんなこと気にならないのか、裂けるチーズを裂く作業を続行している。
……単にチーズに夢中なだけかもしれない。
「ハイなのです~」
ようやく、顔を上げるチーズ大好き小学生。
「魔女っていうのは使い魔以外では何から生まれるんだい?」
「ソウルジェムの濁りが一杯になってしまった魔法少女からなのです!」
答えを聞いた四人の少女が、しばらく固まり、それから、「え?」と呆けた顔をした。
「じゃあ魔法少女から変化した魔女が、持つグリーフシードってのは何なんだい?」
「魔法少女が持っているソウルジェムが、変わったやつなのですよ~」
「なるほど、じゃあ使い魔から成長した魔女がグリーフシードを持っていないのはなんでだろうね?」
「魔法少女から変化した魔女本体では無いから、もともとソウルジェムが無いからなのです」
「うんうん、それじゃあ次は……」
完全に、二人の会話を拾うのに精一杯の四人を置いてけぼりして、その後もいくつか討也がなぎさに質問し、それになぎさが答えるやり取りが続いた。
まどマギの映画見たけどあれって続きは無いのかなぁ?