学園都市の陰の実力者になりたくて!   作:99!ファンブル!

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アニメ2期の終わり、もしシド君がキヴォトスに来ていたら……という話。

追記:わかりにくい箇所を修正しました。2/16


別世界からの使者(厨二病)

 

 

 

 

 ミレニアムの廃墟群、そう命名されている入り組んだ建造物の中や外部には、所狭しと構造から用途、それらに詳しい者でも一見で判断するに困る装置や器具が存在する。

 

 それらは優に万を超え、作った本人が誰なのかすら不明の物がその大部分だ。

 

 どのような体勢になろうと自立する人形、Loaについて述べられた書籍、猿の手のレプリカ、一万桁の掛け算のみ行える、全長100mの電卓。

 

 ざっと見たところでも、その意味や価値を図りかねる物ばかりだ。

 

 ……具体例を出そう。前述した100mの電卓など、効率が悪いどころではない。

 

 そもそも計算をするのであれば、ミレニアムにある大型PCなどでなくとも、一般的なデスクトットプ型でも、なんならノート型の端末でも1秒以内に答えを弾き出せる。

 

 ならなぜ普通の電卓は使われるか? それは、その持ち運びのしやすさと、咄嗟の使いやすさ故だ。

 

 ただ計算するのであれば、これを作る必要性は一切ない。……かといって電卓としてのメリットもない。

 

 そうなるといよいよその意味は作った本人にしか知り得ないだろう。

 

 それは他の機械にも共通するところがある。

 

 

 ……長話をし過ぎてしまった。

 

 まとめると、この立ち入りが禁じられている区域には、このような時たま理解の範疇を超えて神秘の力を行使する機械が存在する。

 

 ……幾らかばかり先の未来には、超能力を持った者達の訪れのきっかけとなったであろう物、また名も無き神々の女王と呼ばれる機械、それに付属する鍵もそれに含まれるだろう。

 

 兎も角、一種の軽いパンドラの箱とでも言うべきその場所にて、その古びた歯車は、劣化か、作動不良か、はたまた偶然か……それは神秘を持って再稼働を始める。

 

 ……呼ばれるのは、教団という組織に対抗し、陰に潜んで影を狩るもの。

 

 圧倒的な力を持ち、影の叡智を所有するもの。

 

 ……その名は陰の君主、『シャドウ』

 

 

 

 __________

 

 ミレニアムの廃墟の中の一つの施設。

 

 ……そこに突如黒い球体が現れる。

 そして一拍おいて、そこから何かがドサッと落ちてきた。

 

 その姿は黒のマントに紫の装飾。豪奢とも取れるそのコートと服の一体感は、まさしく得体の知れない人間だろう。

 

 焦りの見えないその姿は、側から見ても異常である。

 

 それから数秒後、落ちてきた人物はゆっくりと腰を上げ、立ち上がった。

 

 __________

 

 

 

 

 

「……あれ? ここは?」

 

 呆然と、僕はつぶやいた。

 

 

 謎の黒の玉が出てきたから、ここに飛び込んだらカッコいいな〜……と思って身投げしたら、どうやら真っ暗な場所に来てしまった。

 

 此処は玉の中……それとも別の場所なのだろうか? 

 

 周りを見渡すも、廊下やそれに準ずる物の上と言うことしか分からない。

 

 

 ……うーん、取り敢えず岩とかにめり込まなくてよかったと喜んでおこう。

 

 そんな事になったら、陰の実力者として示しがつかない。

 

 

 ……それにしてもあの、いかにもな感じで化け物と合体し、僕に襲いかかってきた人

 

 ……誰だか知らないけど、『陰の実力者』ムーブにおいて、それなりにいい立ち回りをしてくれた。

 

 ローズ先輩の覇王への道の手助けの一環とはいえ、『全てを理解したかのように玉に飛び込む』ムーブを行えたのは僥倖だったよ。

 

 お陰で僕の目標の一つがまた一つ達成できた。君の事は恐らく、多分、きっと、夕飯までは覚えておこう。

 

 

 ……そうしてさっきまでの振り返りをしていると、突如として電気が付く。

 

 蛍光灯と思わしき光が途切れつつも不規則に僕を照らすが、それ以外は何も見つからない。

 

 恐らく屋内なんだろうけど、それにしてはやけに静かだし、人が居た痕跡も見当たらなかった。

 

 特にそれらしき音も聞こえないので、恐らく無人なんだろう。

 

 一応、再度目を凝らし、廊下の突き当たりから自分の真下まで隈なく目を通すも、周りには特に何も見つからず、強いて言えば用途不明の機械と無機質な床だった。

 

 機械に関しては門外漢だし、床に関しては金属だろうから壊したら弁償しなきゃいけなくなると思うと、何かするのは気が引ける。

 

 

 ……と言うか僕は帰れるのだろうか? 

 

 

「……さ、最悪壁を壊せばいいしね?」

 

 そう考えて僕は思考を切り替える。

 そもそもあの変な怪物と融合して襲ってきた炎の……ファイアーさんが全部悪いんだ。

 

 もし壊して怒られたら全部あの人の所為だから問題ない。

 

 ……もうあの人故人だけど。

 

 

 

 ……取り敢えず此処が何処かは置いておくとして、みんなはどこに行ったのだろうか? 

 

 

「おーい、アルファ〜? ベータ〜?」

 

 

 声をあげて、周りに七影の名前を呼びかけるも反応がない。

 

 帰ってきたのは僕の反響した声だけだった。

 

 彼女達にはなんだかんだ僕の影の実力者ムーブを助けてもらっているし、今回も誰かしら巻き込まれていたりして、プレイに協力してくれるか調べる意味も兼ねている。

 

 ……全員の名前を呼び終えて数十秒後、やはり何も帰ってこない。

 

 聞こえて無いのか、はたまた居ないのか……まっ、それはそれで面白いし、僕の影の実力者ムーブが崩されなければどうでもいいけど。

 

 ……ただ、立ち止まっていては仕方がないので、この建物の構造をひとまず把握する。

 

 魔力をごく僅か放出し、その魔力を素粒子レベルで制御、魔力を広範囲で広げて探索を行う。

 理論は簡単だし、魔力の量はごく少量でいいので、理論上誰でも使える技ではある。……出来ている人見たこと無いけど。

 

 名をアトミックレーダー、僕の使う技でも少ない探索系能力だ。

 

 これで索敵が便利に……ではなく、隠し扉と宝箱を探し出す事が簡単になる。

 

 索敵するのに、一々索敵を行うのもそれはそれでめんどくさいし、こういう技はお宝と隠し扉とか探索系ギミックを発見するのに限る。

 

 で、肝心の人だけど……うーん、居ないだろう。

 

 それらしい反応も無かったし、やはりこの建物にいるのは僕だけのようだ。

 

 

「まぁ……歩いてれば見つかるでしょ」

 

 僕はそう考え、その機械をのらりくらりと後にした。

 

 魔力の反応からして、恐らく開けているだろう方にゆっくり歩みを進める。

 

 ……それにしても、ここどこだろ? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コツコツと反響する靴の音を聞きつつも、僕はのらりくらりと開けた場所に進む。

 どうやら天井が開いているようであり、なかなかに素晴らしい立地だ。

 

 こういう場面では、開けた場所に行って意味深な発言をするのがマナーだろう。

 誰も見ていないから……などと言ってこのロールプレイをスルーしてはいけない。

 

 転送された先の世界で一人佇む謎の影! 月光が差し込む中でその男は一言つぶやく! 『時はまだ遠い……例のモノの目覚めはまだ先か……』、彼は何を知っているのか!? 

 

 そう! こういうプレイはこういう場面で言っておくからこそ、他のムーブが後々に一層輝いてくるのだ! 

 

 ……と、そうこうしている内に着いたようだ。

 

「……」

 

 空を見上げる。

 

 

 

 着いたは良いものの、なんと空には雲がかかっているではないか。

 

 

 

 これでは月光に照らされる事ができない。

 

 …

 

 ……

 

 

 

 

「I__

 

 

 

 

 Am_」

 

 

 

 

 

 

 

 

 突如詠唱が始まる。

 

 シャドウガーデンの長、『シャドウ』、又の名をシド・カゲノー。

 ……その者の詠唱が終わった直後、空にはぽっかりと穴が空いていたそうだ。

 ___

 

 

<ミレニアム>

 

 

 

 とある部活の一室、いや、『部活になる予定』の部屋にて車椅子に乗った少女が一人。

 

 その少女の姿は大きく白で統一されており、そこに一つのシミも無い。また運動をしていないため、肌も不健康……というわけでなく、その新雪のような柔肌は、むしろその美しさを引き立てている一因なのだろう。

 

 しかしながら、彼女の容姿から一度目を引いて考えると、その異常性が顕になる。

 

 いくら資金が潤沢なミレニアムといえど、一年生が一室を与えられるなど異例中の異例だ。

 

 入学してすぐの学生に、研究室が与えらるなどよほどのことが無ければあり得ない。

 

 ……そう、()()()()()()()()()、だ。

 

 彼女は入学してから数ヶ月とすら経っておらず、むしろ一ヶ月も経っていないかも知れない。今まで経過した時間は殆ど皆無にもかかわらず、研究室を持っている。

 

 つまりそれは、ミレニアムというテクノロジーの頂点の学校からの彼女が稀代の天才である事の証明に他ならないだろう。

 

 しかし、今、その高嶺の花が、柄にもなく焦っていた。

 

 それは恥ずかしさなどを含んだものでもなく、ただ緊迫した表情でモニターやキーボードのそれらと向き合っている。

 

 それだけで現在、どれほど切羽詰まった状況であるとわかるだろう。

 

「……一瞬、廃墟に設置しておいたエネルギー測定の計器の反応が上振れました」

 

 誰に伝えるでもなく、自身の言葉で現状を一から炭で塗り潰すように独り言を口にする。

 

「いえ、それだけならまだ誤作動だったと言えるかも知れません。…………ですが、その後さらに強い力がもう一回、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 深呼吸をしてさらに口をひらく。

 

「その振り切りは私が等間隔に設置した計器の内、()2()2()5()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 一拍おいた後、その少女、『明星ヒマリ』は言葉を紡ぐ。

 

「さらに計器の異常が起きた地帯には、雲が一切ない。明らかな異常事態、……早急に対応を求められるものでしょう……」

 

 そう言い切り、ヒマリは独り言を終了させる。

 

 

 

 その顔は真剣そのもので、普段とはかけ離れたものだった。

 

 ミレニアムで起きた、キヴォトスを根幹から揺るがしかねない大事件が幕を開けようとしている。

 

 

 

 

 …………なお、この事態を引き起こした当の本人は、雲が晴れてロールプレイができると満足していたようだ。

 

 

 





シド君
必殺技を一話目で使った人。作者が口調を考えるのに苦労する。原作をリスペクトした上での発言だが、無論イカれた厨二病。

ヒマリ
まだ一年生。オカルトに興味を持って調べ始めたが、いきなりイレギュラーに遭遇して焦っている。
全部シド君が悪い。


駄文失礼しました。
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