学園都市の陰の実力者になりたくて! 作:99!ファンブル!
ヒマリが謎の声を流してから少し、謎の光への対策について議論がまとまりつつあった。
「……ええ、ではドローンなどの機械兵器によって偵察を行い、その上でエンジニア部製のバリアを装備させたC&C……00を突入させる……ということで問題ありませんね?」
「……ああ、偵察によって今回の犯人を確認できなければそれでよし。…そもそも、半ば不可侵領域の地域だ。藪蛇をわざわざ起こす必要もあるまい。だが、もし敵影が確認出来た場合エンジニア部のバリア……一回展開したらそのままの完全使い切りとはいえ、性能は通常の物より高い……脱出は可能だろう」
沈痛な面持ちで進行する会議は、声の正体を探る方向へと転換していた。
経緯としては、謎の声の発生場所が、ちょうど紫の光の発生場所と断定される場所と同位置だったことから、関係性が極めて高いと判断された事に至る。
そんな中、明星ヒマリはその頭脳を活かして様々な可能性を追求していた。
(あの光の正体は? 現時点で私が所持している知識の中に、アレと同様の威力とその条件を満たすモノは該当しない。
となるとアーティファクトや……もしかするとデカグラマトン?
……ですが、雲だけを吹き飛ばした理由が分からない。警告の意図? だとすると納得できますが、わざわざ自身の手札を明かす必要も無い……)
深く思考に没頭するが、それらは全て外れである。
真相は、
しかし、事前情報無しでそこまで辿り着ける筈もない。
ヒマリの考えは至ってまともなのである。
そんな思考を続ける中、会議の中で一つ声が上がった。
「書記の調月リオです。……発言宜しいですか?」
緊急事態においても冷静で、いつものように役職名をあげて発言をする。
「さっきから、『謎の声の人物』や『紫色の光』と呼称し続けているけれども……いささか非合理的ではなくて?
…………これからの作戦でも、相手の名前が統一されていないと、いざという時に致命的な間違いを起こしかねない……よって、それぞれ名前を決めるべきではないかしら」
「……なるほど、確かにそうだ。……して、その名前は何にする?」
メンバーの一人が納得したようにリオに対して質問をするが、帰ってきた答えにその場の半数は凍りついた。
「ええ、考えてあるわ……声に関しては『ヴォイス』、光に関しては『パープルライト』で良いのでは……」
「やめましょう」
「やめるべきだ」
「やめよ?」
「……体調悪いのかい?」
ヒマリを筆頭にその提案は却下される。
……筈だったが、代案も無いのでそのまま採用された。
__________
それから数分後、作戦もまとまりミレニアムから急発進したドローンの編隊だが、光の発生源。
___『パープルライト』(笑)の発生したであろう場所に近づくと、何故かドローンが落とされている事が分かった。
それが意味するのは、ミレニアムの虎の子……『C&C』の出撃に他ならない。
『あ、あーコチラ作戦本部、聞こえていますか?』
「問題ねぇ……聞こえてるよ」
メイド服の上にスカジャンを着ている、なんともミスマッチな格好の少女は、通信先からのヒマリの透った声に返事をする。
『今回の作戦に関しては……薄々わかっていると思いますが、十数分前発生したあの光……『紫の光』通称、『パープルライト』の調査です。また今回の調査ではバリアの携帯と常時展開が義務付けられています。それほど死の危険があると考えて下されば……』
「問題ねえよ……大体いつも何かしら、少ないながらも死の可能性があんだ。……今更変わんねえよ」
そう言ってその少女、美甘ネルはニカっと犬歯を見せる。
……が、それはそうとネルは一言ヒマリに言葉を返す。
「ただ、パープルライト?ってなんだ?こう……もっと良いやつなかったのか?」
『……そうですね、まあ、この作戦が終わった後にまた考えましょう』
そう言って、美甘ネル___一年生にしてC&C最強の生徒を載せたヘリは飛び立った。
____________
ブロロロ……とプロペラ音を立てて、数百kmは出ているであろうヘリは急激に現場に近づいている。
内部ではバリアの展開状況を確認し、銃のマガジンや射出状況を確認するなど、その空気はより緊迫した物へと変化する。
オペレーターとして臨時採用されたヒマリも、その才能を余す事なく発揮して美甘ネルのサポートを最大限行なっていた。
『……ええ、バリアの起動、及び反応を検知しました。正常に動いている……筈です』
「そうか…こちらも銃の動作に問題はない。その他装備にも異常はなかった」
『分かりました。では……そろそろですね。……こちらも作業に集中するため、最低限しか言葉を返せなくなります。……何か言いたい事は?』
そう聞かれるとネルは暫く考えて、やはり一言、言葉を発した。
「……今回の作戦対象に名前つけた奴とサシで話させてくれ」
そう言うと、彼女は音を立てて降下して行った。
__________
<ネル視点>
降り立ったそこは、エネルギー発生源と思われる位置から500mほど離れた距離だった。また、それより先はドローンの反応が潰えた場所でもある。
それを把握したあたしは一層警戒をして近辺を歩いて行く。
……が、何も起こらない。
「どう言うこった?」
聞いていた話によると、ここあたりでドローンが落ちた事は確定している。
しかし、それらしき攻撃も見当たらない上、その残骸すら見当たらない。
「こちらコールサイン00……ドローンは確認出来ず……引き続き探索を進める」
調査任務であるため、一応報告だけは行なっておいた。
その後も着実に周囲を警戒して一歩、また一歩と歩を進めて、ドーム手前まで来る。
……何かおかしい。事前に聞かされていた危険度とは打って変わって何も起こらない。
しかし中学の時から培ってきたあたしの勘が、警報を掛けている。
「……おい、オペレーター?ここであっているよな?」
『はい、ドローンが消滅した座標の中心地点、パープルライトの発生源と掛け合わせても間違いありません』
「……わかった。コールサイン00突入を開始する」
なんにせよ、あたしがここに入らなければ始まらない。
……まあ、脱出はできる様にするか。
そう考えつつも、拭いきれない不安を抱えながら、あたしは吹き抜けのドームに繋がるゲートに踏み込んだ。
_______
……中には崩れ落ちた瓦礫とガラス片が、そこかしこに落ちている。
中心には一際大きく盛り上がった山、その頂点には神秘的で冷ややかな月光が差し込んでいた。
そして、月光により引き延ばされた陰を持つ得体の知れない人物があたしの前にいた。
「……………」
……立ち振る舞いを見ただけで分かる。
普通のやつならぶん殴って捕縛してるが……今回は事件が事件だ。オペレーターにも慎重に取り組むよう言われてるし、無闇に戦闘する訳にも行かない。
また、今の時点では敵味方がわからない。とりあえずあたしは見上げる形で無難に話しかける事にした。
「………ここは『廃墟』だ。立ち入りが禁止されているはずだが、なんでここにいるんだ?」
「…………」
返答はない。逆光になっているのに加えて、この暗さからは顔すら確認できない。
「なあ……ここあたりでパープr……じゃなくて、紫色の光が出たのを見たか?」
「…………………」
適当に質問をぶつけるも、無回答だ。
「……じゃあ、発信機を壊したのはお前か?」
またしても無回答だ。
……これだとどうしようもない。
いっそ襲いかかってきてくりゃ、正当防衛で倒せるかも知れないが……
現時点だとあたしが出来ることは限られてくる。
「質問を変えよう………あんたは誰だ?」
「…………我が名はシャドウ…陰に潜み、陰を狩る者」
やっと口を開いた。
耳に入ったその声は抑揚が無くて事実を淡々と告げるが……
……それにしてもなんとも不気味だな。
そう考えつつも、あたしは新たに質問を繰り出す。
「陰ってなんだ?思いあたる節もないんで、答えてほし……」
ズンンンンンンン!
……瞬間、あたり一体に凄まじい力が迸る。
「なっ!?」
その力の正体は分からない。だが、これはパープルライト……いや、紫の光と同じ力があたりに振り撒かれている。
それに対してあたしは、即座に愛銃のツイン・ドラゴンを構えた。
………自分に冷や汗が滲んでいる事も知らずに。
「テメェ!何考えてやがる!それがなんだか知らねえが、これ以上何かするなら撃つぞ!」
「……………」
口先で脅しを掛けてみるも、シャドウと名乗った人物は力を止めない。………それどころか、力がさらに強まっている。
その極紫の光は、今でなければ興奮できもしただろうが……
「……」
今となっては未知の兵器に等しい。
その危険性を感じたあたしは、両手の銃を発砲しつつ、瓦礫の上の人物に距離を詰めようとする。……が、突如、何かが固いものに触れた様な音が鳴った。
ガーン!
一瞬にして衝撃が体を突き抜ける。
……遅れて聞こえてきたそれは、銃弾が跳弾した音…では無く、シャドウがバリアに対して剣を切り付けた音だった。
「っ!?いつの間に!?」
(あたしの眼を持ってしても何も見えなかった!?)
この現象に驚愕しつつも、急いでその場所からバックステップで距離を取る。
これ程の手だれ、間合いの中に立ったままは考えている以上に危険だ。
……運よくバリアがあったから良かったが、もし無ければ確実に一撃は貰ってたな。
冷静に分析しつつも、先ほどの攻防にて明確な実力差を実感する。
「………ほう、今のを防ぐか……… 何あのバリア!カッコイイね!」
攻撃がバリアで防がれた事を、少し驚いたかのようにシャドウは口にした。
しかし、その声には耳を貸さずネルは必死に策を巡らせる。
……が、それも強制的に中断させられる事になった。
「……だが、その程度の外付け……我の前には芥に等しい」
そう言うと、シャドウの姿が消える。
「つっ!?」
さっきの経験から、あたしは咄嗟に半歩隣にずれる。
瞬間、シュン!……と音がなり、元々いた場所にちょうど剣が突き出されていたの確認する。
「なんつう速度してんだ!?」
思わず声に出るが、そこから反撃とばかりに体重の移動を利用した蹴りを打ち込む。……しかし、シャドウはその攻撃はものの見事に剣にてそれを弾く。
「ッツラ!」
ダダダン!!と隙をみて撃ち込む銃も、銃声と硝煙を上げるだけで、全てが躱されるか受け流される。
……銃弾を受け流すってなんだ?
いや、気にしている暇はない。
激しい攻防戦の最中、ネルはその強靭な体躯を活かして縦横無尽に攻撃を仕掛けている。
それは接戦の様だが、戦っている本人のネルはその異常性に気づいていた。
(まずいな、そもそも均衡している様に見えるが……
そんな焦りを感じつつも、攻撃の手を緩めはしない。激しい動きにより、隙を生ませまいとしているのだろう。
しかし、シャドウは極めて平坦な声でネルに声をかけた。
「……見事だ…では、こちらも動こう」
……瞬間、ネルの視界からシャドウが消えた。
死角に入ったか、はたまたとてつもない速度で動いたか……いずれにせよ近くに居たはずのネルの視界から、シャドウは消えた。
「どこにーー!!」
ネルが視線を別の向きに変えた瞬間__
ガーーン!
またしても衝撃がネルに走る。
……バリアに再び剣が叩き付けられていた。
しかも、今度はその衝撃が強くなっている。
ネルは慌てて距離を取ろうとしたが、もう遅かった。
「言っただろう?……芥に等いと」
シャドウはさらに力を掛け、バリアはガガガ……と異音を発する。
「やばっ__!」
察したネルは回避に移ろうとするが、行動は間に合わない。
__刹那、シャドウは更なる力を掛け、バリアに更なる負荷を加えた。
ガッシャーーン!
音を立てて青い膜は破壊される。
そして、その勢いで振るわれた漆黒の剣は、美甘ネルを吹き飛ばすに十分な力だった。
「グハッッ!」
ドオオオン!
勢いよくネルは吹き飛び、瓦礫の山に体を埋めた。
______
「……良く耐えた物だ……その頑丈さは元からか?」
バリアによって攻撃が防がれた時の様に、感心した声でシャドウはネルに声をかける。
「てめえ……あとで………覚え……とけ」
荒い息で横たわっているネルは、目線と声に力をこめてシャドウに声をかける。
それに対しての返答か、シャドウもまた口を開く。
「……聞くだけで精一杯の筈だ……骨も数本どころか、十数本砕けているだろう……その意気を買って、今宵は見逃す」
そう言って会話を打ち切り、シャドウはネルに背を向ける。
「ま……て……何が……目的…だ」
しかし、ネルは再度シャドウに質問を投げかける。
それに少し、シャドウは考える素振りを見せてから、言葉を返す。
「我は陰を狩る……その時に備えて、方舟を守るのみ」
そう言うと、踵を返して何処かに歩いて行く。
「ク…ソ……が……」
ネルは去り行く姿に銃口を向けるも、意識が遠のき、引き金から指を離した。
シャドウ
なんかロールプレイ中に人が入って来て、色々言ってた。
……ドローンをノリで壊して回収してたの怒ったのかもしれない。
と言う感じで、困ったところを実力者ムーブでうやむやにした。
ロールプレイは結果的に上手くいった!と有頂天になっている。
A級戦犯
ヒマリ
ネルが倒された事に驚いて、危機感を抱いて焦ってる。
シャドウについて調べるも、何も出てこないことにショックを受ける事になる、一般通過超天才清楚系病弱美少女。
ネル
本日の不遇枠。
三年生の時に比べると実力は落ちるものの、普通にC&Cでも最強。
シャドウに勝手に勝負を挑まれた。苦労人。
00に傷をつけた落とし前はつけてもらうからな?
とりま一旦の区切りとして原作の開始前までのプロットは大まかにできていますが、それ以降は完全にフリーです。
なんで、色々時間かかると思います。