いつも通り手が滑りました。
今回は今までとは毛色と経路が違うので、アクセントになったら嬉しいです。
小さい頃、ウサギはピョンピョンと鳴くと思っていた。
漫画を読んでも、図鑑を読んでも当然そんなことは書いて無い。
学校で飼っていたウサギはキャベツをもしゃもしゃと食べていて鳴いているところは見たことが無かった。
食べ終わっても跳んで休んで跳んでの繰り返しだった。
赤ちゃんが産まれたこともあった。赤くて小さくて弱そうで守らなきゃいけないとも思った。
けれど、『触らない方が良い』と先生は言った。
『なんで?』と聞いても先生はどこか苦しそうに『いいから』としか言わなかった。
それでも時々、可愛さに思わず触ってみたいとも体が動くことがあった。子犬や仔猫に触るようになでたいだけだった。
そう思ったけれど、僕は自分より小さいはずの生き物が少し怖かった。
ビビりだったと言えばそれまでだけど、命懸けの抵抗が当時はなんとも言えない感じがして怖かった。
当時の倍の時が経って、とある人と会話していた。
何気ない雑談の走りにチラリとウサギの話題が出た。
「私、ウサギあんまり好きじゃない」
「なんで?」
可愛い生き物という認識をマイナスの言葉で少し削られた。
けれども、聞いてみよう。彼女には彼女なりの考えが、感じ方があってそう言うのだろうから。
「目が赤いのが怖いっていうか気持ち悪いっていうか……とにかく、目が嫌なの」
なるほど、口と心がシンクロする。
あの日、僕が怖かったのはウサギの態度と自分を守るその目もあったのかもしれない。いや、子供を守る親心もそうなった要因の一つだろう。なにせ、人の匂いがついたウサギの赤ちゃんは親の手にかかることになるのだから。
発想が少し飛んだ。
それは彼女の考えや感覚であって僕のではない。それに、怖いからと言って嫌いとまでは言ってない。
「そっか」
「でも、アニメとか漫画のウサギは可愛いと思う。」
「怖くないから?」
「それもあるけど、触れないから。」
「面白いね」
絵に描いた餅、ならぬ触れぬ次元の兎ときた。
こちらが害する意思、こちらを害する意思が皆無なものであれば、怖くないというのが彼女の結論だった。
犬を実家に待たせてる彼女からすれば、人懐っこい態度がない生き物は害意ある獣なのだろう。
その結論も感覚も依然として彼女のものだ。
僕の心のウサギは元気に草を食べていた。そのほっぺをつつきたくなるほどに。ニンジンも美味しそうに食べている。丈夫な歯だと褒めたくなるほどに。
僕の心の牧場は、燦々と照りつける太陽が微笑みながら微睡むことを赦してくれる。
今回は日常っぽいものを書いてみました。
それはそれとして、最近もつ煮にハマりました。
そして、炒飯を作るようになりました。炊飯もね。
では、また次回。