今回は2と1/4ギアに入ったようなモノが出来ました。トップギアはまだ投稿してませんが、らしいものは別作品に載せてます。
1ヶ月更新にちょっと遅刻してますが、まあいいでしょう。
では、ここにあげてきたのとは異なる世界へご案内。
ビル、ビル、ガラス、ガラス。日差しがどこまでも照り返す都会。
人々は電話とカバンを両手に足早にどこかへ向かう。
そんな中、ビルと人々を見上げる少年がいた。
キラキラと輝く目は空と人々を見ていた。けれども、首だけはそんな夢から覚めて欲しがった。
それは存外に早く、首の痛みと目の乾きが彼の目線をアスファルトと道に戻した。
そんな中、黒ずくめのスーツをカッチリ決めたリーマン風の男が心配そうに少年に話しかけた。
「やあ、坊や。迷子かな?」
「あくまさん?」
少年は純粋に思ったことを口に出した。ゴツゴツしていて黒いから、バイ菌っぽいから……そんな連想で口に出た。
「パパかママは?」
「んーん」
首を横に振る少年。悪魔と呼ばれた男は嘆息して、少年と目線を合わせた。
「寂しくないの?」
「うん!あくまさんがいるから!」
繰り返される悪魔呼びに苦笑いしか出ない男は時計を見やってから少年と向き直る。
「あー……」
バツが悪そうに頭をかきながら少年の目線に合わせた。
その時、彼らの後ろから別の者が来ていた。
まるで、ローマ人のような純白のドレスを纏う流麗な女がヒールを鳴らしながら彼らに近付いた。
「ぼーや、迷子?」
「てんしさん?」
またしても口をついて出た言葉。柔らかそうで、白くて綺麗、そんな連想で口に出た。
「はぁ……」「ふぅ……」
子供を見る大人は同じ答えに行き着いたようだ。
大人達はほんの一瞬『天使』『悪魔』と称された互いの姿をみやる。姿は違う、けれど苦笑いはお互いにしていた。
そして、頷いた二人は少年と目線を合わせた。
「ねえねえ、あくまさん!ねこちゃんみたい!」
「猫?ほら、そこにいるだろ?」
路地を指差した男は、ゴミ箱の蓋で寝転がる猫を少年に見せた。日射しを避けるように、それでいて興味をこちらに持った猫は黄色の目を一瞬光らせた。
「ぶるるる……」
喉を鳴らしながら、少年の足に体を添わせる。そして、頭を小さな足に擦りつけながら、
「なぁん」と一言。
「坊や、撫でてみるかい?」
「いいの?!」
「ママには内緒だぞ?」
「うん!!!」
「頭から尻尾にかけてスーっと撫でるんだ。ワシャワシャしちゃ猫さんは嫌がるからな。」
「わかった!」
猫は耳を少し外向きにして目を細めていた。
野良猫というには毛艶が良く、撫で心地はさながら織物のようだった。
撫で飽きた少年はぱちぱちと手を叩いた。
今度は女性におねだりをする少年。
「ねえねえ、てんしさん!わんちゃんみたい!」
「わんこ?それなら、アタシの後ろから来るわよ?」
主婦と散歩中の白いチワワが通りすがる。まるで、太陽が咲いているような毛並みの犬に大喜びの少年。
『天使』と呼ばれた女性が断りを入れて、犬を触る許可を貰った。
「優しく触るのよ。」
「うん!」
綿花畑のようなモフモフをその小さな手で堪能する少年。
ひとしきり触って犬と飼い主に別れを告げた。その後、
「すごいすごい!」
手を打ち鳴らして無邪気に喜ぶ少年を尻目に、男は影に溶け、女は光に眩んだ。
「あれ?あくまさん?てんしさん?」
「悠希!何してるの?!」
「まま!さっきね、あくまさんとてんしさんが」
「馬鹿なこと言ってないで、お買い物行くわよ!」
「きーてきーて!」
「はいはい、わかったから!」
少年は気付かなかった、黒い星と白い羽がその場に残っていたことを。
猫と犬を飼いたいと思いながら何年か経っていると思う日々です。多分そのうち、俳句か短歌書きます(適当)