この学校に転校して早二か月。
新しい友人もでき、俺はすっかり今のクラスに馴染むことができた。しかし、登下校は彼らではなく凛と花陽と一緒にしている。家が近いから、というのもそうだが何より二人と一緒にいると楽しいからだ。
そのことでたまではあるが、クラスの男子児童にからかわれることもあった。この年頃の子供たちは思春期の入り口、異性を意識するようになるのだから無理もない。だからといって、からかわれるのは好ましいものではないが。
「ねえ、今度の日曜日、三人で遊園地に行かない?」
そんないつも通りの下校途中、こう切り出したのは凛だった。
凛の提案は非常に魅力的であった。
俺にとって、遊園地は未知の世界であったからだ。両親は俺が休日であっても忙しく、友達と行くにしても機会に恵まれず、俺はこの歳に至るまで遊園地に行ったことがなかった。
「え、でも、お母さんが許してくれるかなぁ…」
花陽の言葉が躍る俺の心を現実に引き戻した。
子供だけで遠出することに両親が反対するのは、想像に難くない。
「えー……。実は、お父さんが遊園地のチケット貰ってきたんだけど、その期限が今度の日曜日までなんだ。だから、どうかなって思ったんだけど……」
既にこの三人で遊園地に行くことが凛の中では決まっていたようで、先ほどまでの嬉々とした表情は一転、今にも泣き出してしまいそうな様子へと変わった。彼女のこんな様子を見ているのは辛い、そう考えていると、無意識に俺の口が動いた。
「頑張って説得するからさ、そう心配するなよ」
「ホント!?凛、その言葉信じるからね!」
「おう!花陽も、頑張れよっ!」
「う、うん!帰ったら、まずお母さんに話してみるね!」
その日の夜、俺は両親に凛と花陽と遊園地に行きたい旨を話した。言い終わり、反対されるかと身構えていたが、意外なことにあっさり
「気を付けて行くんだぞ」
と、承諾の言葉を得られた。
翌日、二人に開口一番に両親の許可を得られてことを伝えた。
「ほんとに!?よかったぁ!凛、少し不安だったんだ。だから、すっごく嬉しい!」
「よかったね!私もいけることになったんだ!楽しみだね!」
どうやら、花陽も無事行けることになったようでホッと胸をなでおろす。やはり、この三人で遊園地に行きたいからだ。
それからというもの、俺は初めて行く遊園地が頭から離れることはなかった。ジェットコースターにお化け屋敷、テレビの中の画面でしか見ることができなかったものをついに、実際に体験できるのだ。どうやら、俺は相当楽しみにしていたらしく、クラスのあまり話したことのない人からも、
「なんか、お前、ご機嫌だな」
と、言われる始末であった。
そして、当日。予想外の出来事が起こる。