シャインポスト Be your family   作:陽HARU

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6話

ひめちゃんが中2になった頃。

もう完全に「ティーンエイジャー」で、

小夢さんに似た大きな目と長い髪が、

鏡を見るたびに小夢さんを少し不安にさせるみたいだった。

 

学校から帰ってくると、

「ただいま」も言わずに部屋に直行。

夕飯の時間になっても「いらない」って一言。

小夢さんが「何かあった?」って声かけると、

「別に。うざい」ってドアをバタン。

 

最初は「反抗期だな」って笑ってた俺だけど、

小夢さんの顔がだんだん曇っていくのがわかった。

 

ある夜、ひめちゃんがリビングでスマホいじってる時に、

小夢さんが「宿題終わったの?」って聞いたら、

ひめちゃんが急にキレた。

 

「ママこそ! 昔アイドルやってたってだけで、

今はただの普通のおばさんじゃん!

私のことなんか見てないでしょ!

いつもパパばっかり見て、気持ち悪い!」

 

小夢さんの顔が一瞬で青ざめた。

俺はすぐに間に入ったけど、

ひめちゃんは「もういい!」って部屋に逃げて鍵をかけた。

 

その夜、小夢さんはベッドで膝を抱えて、

またあの産後3ヶ月の頃みたいに震えてた。

 

「…また、私が悪いんだ。

ひめちゃんに愛情注げなかったから、

こんな風に恨まれてる。

あの時、消えちゃえばよかったのかも…」

 

俺はただ強く抱きしめて、

「違う。お前はひめちゃんを一番愛してる。

今だって、毎日ひめちゃんの帰りを待ってるだろ。

反抗期は、親を試してるだけだよ。

俺たち、逃げないって決めたじゃん」

 

翌朝、ひめちゃんは無言で学校行った。

小夢さんは一日中ぼーっとして、

夕方、俺が「ドライブ行こう」って誘ったら、

珍しく素直についてきた。

 

ミニバンの後部座席を倒して、

小夢さんが横になって、

「…ひめちゃんに嫌われたら、私また壊れちゃうかも」

って小さな声で言った。

 

俺はハンドル握りながら、

「壊れないよ。お前はもう、壊れても立ち上がれる人になった。

ひめちゃんも、いつか気づくさ。

ママがどれだけ頑張ってきたか」

 

その週末、ひめちゃんの学校の文化祭。

小夢さんは「行かない方がいいかな」って迷ってたけど、

俺が「家族で行くよ」って決めて、

3人でミニバンに乗った。

 

車中、ひめちゃんはイヤホンつけて無視。

小夢さんは助手席で俯いてた。

 

文化祭会場で、ひめちゃんのクラスの出し物(カフェ)を見に行ったら、

ひめちゃんがエプロン姿で忙しそうに働いてる。

 

俺たちが入ってきたのに気づいて、

一瞬顔をしかめたけど、

小夢さんがそっと「…おいしそう」って呟いたら、

ひめちゃんがトレイ持ってきて、

「…これ、サービス。

ママの好きなやつ、作ったから」

って、コーヒーとクッキーを置いた。

 

小夢さんの目が一瞬で潤んだ。

 

帰りの車中、ひめちゃんが後部座席からぽつり。

 

「…ごめん。

この前、ひどいこと言った。

ママのこと、おばさんとか言って…

本当は、ママみたいにキラキラしたかったのに、

今は全然ダメで…イライラして、当たっちゃった」

 

小夢さんは振り返って、

「…ママも、ごめんね。

昔、ひめちゃんのことちゃんと愛せなくて、

ずっと怖かった。

でも今、ひめちゃんがこうやって話してくれるだけで、

生きててよかったって思うよ」

 

ひめちゃんがシートベルトのまま前屈みになって、

「ママ、産後うつだったって知ってるよ。

パパから聞いた。

…だから、ママが今笑ってるの、すごいって思う。

私も、ママみたいに強くなりたい」

 

俺はバックミラー越しに2人を見て、

「…ミニバン、買ってよかったな。

こんな風に、3人で話せる時間が増えた」

 

小夢さんが俺の手を握って、

「うん。

反抗期も、全部ひめちゃんの成長だもんね。

パパがいてくれたから、私も耐えられた。

これからも、3人で…新しいステージ、続けよう」

 

ひめちゃんが小さく頷いて、

「…うん。約束」

 

家に着いて、ひめちゃんが初めて自分から小夢さんに抱きついた。

小夢さんは少しびっくりした顔して、

でもすぐにぎゅっと抱き返して、

「…大好きだよ、ひめちゃん」

って、震える声で言った。

 

あの産後うつのどん底から、

ここまで来れた。

闇はまだ完全に消えないけど、

家族の形は、もっと強くなった。

 

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