どうするかと考えるがやはりここは水魔術でいこうと思う。土魔術で下から攻撃することも考えたが高威力でなければ通じない気がする。そこまで威力を上げると気づかれるだろうな。
水を背負っているタンクから取りだし背中側から腕を伝って指先から伸ばしていく。木々の間を縫うように迂回して相手の死角から接近させていく。
ある程度接近したところで一気に伸ばして後ろ足に巻き付かせる。
突然の攻撃にもかかわらず黒狼はすぐに水のひもに対して口から魔術を放って分解しようとする。
音響魔術か、だがやらせん
魔術の構成を見抜いて相手の意図を読むとすばやく水に込める魔力を増大させつつタンクから水の供給を増やしてそれを思いきり引っ張る。
ふん!
後ろ足を引っ張られ地面を引きずられると魔術は中断される。魔術のために練り上げた魔力を四肢に込めて更に増大させると体勢を立て直し逆にこちらに素早い動きで向かってくる。
思い切りがいいな
確かに自分から接近すれば引っ張られることはない。距離を詰めてきている俺に向かって牙で近接攻撃を仕掛けてくる。
水魔術で右腕が塞がっていることを見越して右側に回って飛びかかってくる。
それの下をくぐるように身を低くして
俺は
―
水球は黒狼の牙を弾力でもって受け止める。魔力を操作して水をそのままの形で固めて牙が離れないようにする。
右腕を引きながら左の拳を繰り出して相手の胸を打つ。同時に水の弾力化をといて相手を吹き飛ばすと水紐を引いて引き寄せる。
体勢を崩しながら引き寄せられる黒狼の腹部に水を纏った拳の一撃が突き刺さる。
転がっていく獲物に追撃を加えようと接近するがその前に起き上がられて体勢を立て直される。
嫌な予感がして接近を
とっさに水魔術を解除して距離を取ろうとするが足が地面から離れた瞬間に正面から衝撃が襲ってくる。
後ろに吹き飛ばされて木の幹に背中から叩きつけられるが魔力で防御していたのでダメージ自体は少ない。
今のはなんの魔術だ?
音響魔術に似ているがなんとなく違う気がする。周囲は風が渦巻き木の葉や土が待っている。
空気魔術かもしれないな
いいデータが取れそうな予感に笑みがこぼれそうになるがそれを噛み殺して相手に向き合う。
魔力の膨らみを感じ魔力視で注視してみるとぼんやりとだが空気中に固まりのようなものが見えた。黒狼は気体の球のようなものを飛ばしてきているようだ。
また嫌な予感を感じて距離を取りつつ魔力で防御を固める。
突然、気体の球が爆発し周囲に暴風を巻き起こす。魔力密度は低いようでダメージは少ないが吹き飛ばされて後退を
その
俺は相手に見切りを付けると刀を抜く。黒狼が衝撃波を飛ばしてくるのに合わせて前進しながらかすめるように横に躱して接近すると額の中心に刃を突き立てて電流を流す。
相手は地面に倒れ伏すと動かなくなった。死んだことを確認すると刀を抜き清発の要領で血を落とすと
結構いい状態で狩ることが出来たのではないかな
黒狼は魔石はもちろんのこと毛皮がいい値段で売れるらしい。弱めの個体だから攻撃を見切ることが
今後ともいい状態で狩ろうと思ったら同じ種類の魔物を狙っていく方がいいとも思うがそれだと魔石から得られる魔術回路のバリエーションが少なくなってしまうな。
事前に情報は調べたつもりだが実戦とはまた違うものがある。うまく狩れないと判断したらいったん引くぐらいの冷静さが必要かもしれないな。
考えながら黒狼に遺体に魔力を浸透させ亜空間に引き込む。体の構造や魔石の情報を調べ上げながらベースキャンプに戻る。
そこで周囲に人がいないか確認した後、黒狼を取り出す。大きな布でくるんで棒を通して運搬しやすいようにして再び亜空間にしまう。
テントなどもすべてしまい、大きな背嚢ももう仕舞ってしまおう。普通の狩人ならいちいちベースキャンプを仕舞ったりしないとは思うが置いておくことに不安もある。
身一つになったところで自分で再整備しておいた道の手前まで引き返すと周囲に人がいないかを確認する。いないとわかると亜空間から黒狼を取り出して村まで運んでいく。
ギルドの出張所に行き魔物を狩ってきたことを伝えると解体場に通される。石造りの床に置いて棒を抜き取り布をほどいて広げる。
これぐらいの魔物はここでは珍しいらしく応援を呼んでから解体するらしい。ここの解体場は普段は駆け出しの解体士だけ在籍して、たまにベテランの解体師が来て指導をしてくれるそうだ。
別の解体所に出張して技術を学ぶこともあると言う話で今は人が少なくなっている状態らしい。
すぐに解体は出来ないことを申し訳なさそうに言われたがこちらは別に早さは求めていなかったので気にしていないことを伝える。魔力の高い魔物は劣化しにくいと言う話しだしな。
獲物を預けると魔境の中層に戻る。今度は前とは離れた場所で深層よりにベースキャンプをかまえる。
同じ黒狼でもっと強いやつが狩れればいいんだけどな
同じ種類の魔物であれば解体場の人たちもいい練習になるだろう。俺も訓練になるし。
獲物を探して森の中を探索を開始する。探索の合間に黒狼から得た情報を確認する。
魔力量を測定してみると
最大魔力量 14126
なかなか大きいな。大蛇に苦戦していた頃と比べると自分もだいぶ強くなったことが実感できる。トレーニングの甲斐があったか。
魔術回路も解析してみるとやはりあれは空気を操作する魔術のようだ。細かい部分に分けてすでに自分が持っている情報と比較する。共通部分や
音響魔術も解析すると若干の差異がある。現状、魔物から流用した魔術回路をそのまま使用している魔術もあるがしっかりと細部まで検証して人間としてもコアとしても最適な魔術を使えるようにしたい。
まだまだ足りない部分も多いが空気魔術を試してみよう。紙片を入れたガラス瓶を取り出して内部の空気を操作してみる。
おお!
かなり思い通りに紙片を舞わせることができている。まだまだ実用にはほど遠いが芽は出たな。
試しに手のひらから魔力を空気に流してみる。そして、浸透したら亜空間に引き込んでみる。
問題なく出来ている。これで窒素の利用がしやすくなるな。水を分解して得られる酸素や水素と組み合わせたりいろいろなことに使えそうな気がする。毒ガスが発生しないように気を
探索を進めていくとおぼろげながらに行動パターンとかどんな魔物がここで暮らしているのかとかがわかってくる。
その情報に基づいて探索範囲を広げたり逆に
トータルで一週間はかかっただろうか。とうとう視界に対象の姿を納めることができた。
姿は大きなトカゲとしか言い様がない。体高は50センチメートルぐらいだが体長は尻尾の先まで含めると3メートルを超えるだろう。魔力の感じはかなり大きい。圧も強めだ。だいぶ距離を開けつつ観察しているとのそのそと動き出した。
数日間行動を観察しているが結構動きは
口が大きく歯は鋭いから肉食かとも思っていたけど違ったか?
四肢の爪は鋭く、胴は太くて力強い。尻尾も太くて時折生えている下草をなぎ払ったりもする。爪や体を引きずった跡をならそうともしないふてぶてしさがある。最初はワニのようだとも思ったがワニと言うよりは恐竜といった方が正しく伝わるかもしれない。
しかし、観察を続けているとどうにも愛着のようなものが出来てしまう。狩るという目的を忘れてこのまま観察で終わっていまい兼ねない。
まあ、脅威になり得る力を持っている野生生物であるのでお友達にはなりそうもないのだが、、、
更に数日観察を続けていると事態が動き出した。動きが止まったな、と思ったら隠密歩行を行ってどこかに移動しだした。
今までと様子が違うな
緊張感を持って後を追う。距離を普段よりも開けて慎重に追跡していくとトカゲの動きが止まる。
何かをしようとしている
トカゲの注意が何かに集中していることを感じた俺はばれる可能性が低いと見積もって横側に移動して木の上に登る。
魔力を操作して手のひらを水で覆い足の裏に土を付ける。幹にくっつけて音を立てないように登っていくがトカゲに気づいた様子はない。
上の方からヤツの注目する先を確認する。目線の先を追っていくとウサギがいる。
どうやらあれを狙っているらしい。草食じゃなかった。でも雑食と言うには歯の形が完全に肉食だよな。
まあ、魔力で消化を促進させれば大抵のものは食えるのか?この世界の生き物は分類しにくいな。、、、うちの猫も肉食なのに猫草を食べていたから別にいいのか?
考えながら見ているとわずかに魔力の動きを感じる。見た目の割に
土魔術と当たりを付けて魔力視でその動きを追う。前足からウサギに向かって土の中を魔力が伸びていく。ウサギの手前で魔力線が二手に分かれて周りの土に円を描くように囲んでいく。
円が完成した瞬間、その円から何本もの土の牙が飛び出してウサギを
トカゲは魔術を維持しながら突進していき自分の魔術ごと大きな口で丸呑みしていく。
土ごといくのかよ!
あんな風に丸呑みにしたら土の味しかしないと思うのだがあのトカゲの味覚はどうなっているんだろうな? 味を気にしないのか土をうまいと感じるのか? 土がうまいなら普段から土を食ってるか、、、
トカゲは満足したのかねぐらにゆっくりと引き返していく。俺は先回りしてヤツが通り道にしている所の木の上に潜んで待つことにした。