宇宙世紀実録 補助空母〈アインシャムス〉戦記   作:WAST0101

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第四話 後編 アンティータム級補助空母<アインシャムス>

 シャミラムとディンは、母艦アンティータム級補助空母《アインシャムス》の薄緑色(エゥーゴ・カラー)の船体を視認した。

 

 コロンブス級輸送艦を改装した箱型の艦体に強引に対空砲を据え付けた姿は、お世辞にも格好いいとは言えない。だが、それでも二人には安心感を与えてくれる姿だ。

 二人は直掩をしていたマラサイ(エゥーゴ仕様)とガルバルディβの改装機(通称:ガルバルディリベイク)に合図し、アインシャムスの着艦誘導電波(ビーコン)に乗り、巨大な箱の内部へと滑り込んだ。熱を帯びた機体がデッキに固定される振動。それこそが、今日を生き延びたという何よりの証拠だった。

 

 ディンはまず、既に帰還しているザヤとレオの機体を確認。二人の無事に安心した。

 そして、シャミラムの機体のハッチが開く。整備班が二列に整列し、直立不動で出迎えるのは、一年戦争から続く”シャミラムの閲兵式”だ。油と汗にまみれた男たちの視線を、彼女は色白の肌を輝かせながら、当たり前の権利として受け流していく。

ディンはそれを横目に、ロッカールームへ急いだ。肺に残った「死の臭い」を、早く一掃したかった。

 

数十分後――第一ブリーフィングルーム

 エゥーゴの制服に長袖のシャツをあわせ、品のある30代前半の東洋系の紳士、この部隊の司令ジン・チーファン(金 祺煥)が、各MSのコクピットのAIによって生成されたレポートを見つつこう切り出した。

 

 各パイロットには各々の好みのドリンクと、カロリー回復のための非常に甘い菓子が置いてある。

 まずジンは一年戦争の頃の可愛さが綺麗さに置き換わった薄い褐色の美女ザヤと、金髪ツインテールの美少女のレオを観て

 「ザヤの狙撃は見事なものだった、きっちり出足をとめてくれた。レオも初陣の一発目で撃墜とは、伝説の始まりかもしれないな。ストレスを感じたら医務室でカウンセリングを受けるといい。」

 

 まだ息も荒いレオを落ち着かせるように、ザヤはレオのツインテールをなでた。

 

 そして、ザヤとレオと比べても一際目立つ美貌と押しの強さ、パイロットやアスリートとして理想的な体型をもち、故地であるコーカサスの雪のような色白シャミラムと自分と同じ東洋系のディンに視線を移す。

 「シャミラムとディンだが、相変わらず息のあったMAVだ。シャミラムがリゲルグの片腕を落とした一撃……四人目の“三連星”の輝きは健在だが……相手が片腕で済ましたということは、気になるところだな。」

 

 ジンはディンのリポートに一瞬引っかかるものを感じたが、表情には出さず。

 「ディンもシャミラムの副手として敵さんを葬ってくれた。」

 シャミラムは僅かに微笑みながら、ジンの言葉を受け止めた。その意味を読める人間は、この部屋にいなかった。ディンは八年ぶりの実戦の興奮を鎮めながら上官の言葉を受け止めた。

 

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