万象、紙に綴れば   作:Mebius217

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第17話:120%の熱狂と、赫(あか)く染まる世界

 

 

 

濛々と立ち込める土煙を切り裂き、圧倒的な呪力の奔流と共に顕現したのは、ライオンの頭、山羊の体、蛇の尻尾を持つ巨大な合成獣(キメラ)だった。

 

全長はおよそ五メートル。これまでの『折紙呪法』で創り出してきたどの式神とも比べ物にならない巨大な体躯が、ズシンと重い足音を立てて校庭の地面を無残に踏み砕く。

ライオンの頭部からは黄金の鬣を思わせる鋭利な紙片が幾重にも重なって生え揃い、分厚い山羊の胴体は強靭な筋肉の隆起を呪力によって緻密に編み上げられていた。さらに、背後でうねる大蛇の尻尾が、まるで独立した意志を持っているかのように鎌首をもたげ、シューッと不気味な威嚇の音を立てる。

 

自身の能力とイマジネーションを極限まで絞り尽くして生み出した、その絶対的な『個』。

キメラは主の昂る闘争心に呼応するように、鼓膜を劈くような、天を裂くほどの強烈な雄叫びを轟かせ、眼下の五条悟をギロリと睨み下ろした。

 

 

「――これが、今の私と紙で作れる……最上級の式神です……!」

 

 

先ほど彼女が放った決死の宣言が、呪力の波となって空気を震わせる。

 

荒い息を吐きながらも、その瞳には決して折れることのない研ぎ澄まされた直感的な光を宿している。彼女は自身の最高傑作であるキメラ型の式神と共に、真っ直ぐに最強の呪術師を睨みつけるのだった。

 

 

「さらに『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』という縛りを入れたことで……術式効果を増幅させ、普段なら複数体に分けるはずの形状のイメージを、この一体に全て圧縮して詰め込みました!」

 

 

眞白の叫びに呼応するように、巨大なキメラが威圧的な唸り声を上げる。

 

 

「いつもの式神のように自立して行動するだけじゃなく……時と場所、状況を式神自身が判断して、その場に最もふさわしい形状へと自動で姿を変え続けるんです!」

 

 

その言葉を証明するかのように、キメラ型の式神は「本来あり得ない姿」という想像力の象徴とされる伝説上の特性を体現し始めた。

バサリッ! と大量の厚紙が擦れ合うような重い音を立てて、その背中から巨大な猛禽の翼を作り出す。さらに、地を踏みしめる山羊の蹄が、幾重にも紙が折り重なるガサッ、シャキッという鋭い音と共に、虎のような凶悪な爪へと瞬時に形を変えた。

術者の圧縮された膨大な想像力とプログラムにより、状況に合わせて無限の戦闘手段を選択する、まさに現時点での最強の『作品』。

 

痛みも恐怖も、この瞬間だけは完全に吹き飛んでいた。

眞白の胸の中を満たしていたのは、自らの持てるすべての技術と呪力、そして想像力を結集して「最高傑作」を創り上げたという、芸術家としての純粋で圧倒的な歓喜だった。

 

これならいける。これなら戦える。

何より、あんなにも自分に期待を寄せてくれていた五条先生に、これ以上ない最高の『答え』を提示できる――!

 

 

「これなら……あなたの期待に……!!」

 

 

()()()()()』。

血と泥に塗れた顔に満面の笑みを浮かべ、眞白が誇り高くそう宣言しようとした、まさにその瞬間だった。

 

 

「術式順転――『蒼』」

 

 

五条が、完成したばかりのキメラに向けてスッと指先を向け、欠伸が出るほどに退屈そうな、ひどく事務的な声で呟いた。

 

 

――ズドォォォォォォォォォォォォンッ!!!

 

 

その瞬間、世界が裏返ったような錯覚に陥った。

五条の指先から放たれた青色の巨大な球状の光が、空間そのものを無理矢理に吸い寄せ、捻じ切りながら、眞白の真横スレスレを通過していった。

鼓膜を突き破るような轟音と、呼吸すら奪われるほどの暴力的な暴風に、眞白は思わず両腕で顔を覆い、きつく目を閉じる。

 

数秒後。

暴風が収まり、土煙が晴れていく中で、眞白は恐る恐る目を開けた。

そして、何が起きたのか全く理解できず、間抜けな声を漏らした。

 

 

「……は?」

 

 

目の前にいたはずの、数万枚の材料と自身の全てを注ぎ込んで創り上げた全長五メートルのキメラが。眞白の歓喜の結晶であり、最高傑作だったはずのその姿が、忽然と消え失せていたのだ。

 

 

「あー、話長くて聞いてなかった。それで? 何が違うの?」

 

 

五条は、ポケットに手を入れたまま、まるで初めからそこに小石すら落ちていなかったかのように、冷たく言い放った。

 

 

「え……?」

 

 

その言葉にハッとして、眞白はゆっくりと自身の後方――青い光が通過していった軌跡へと視線を向ける。

そこには、校庭の地面が幅数メートルにわたって深く抉り取られた、無惨で暴力的な傷跡が真っ直ぐに伸びていた。

そして、その延長線上にある壁に叩きつけられ、見る影もないほどに粉々に粉砕され、ひしゃげた『()()()』の山があった。

 

圧倒的なまでの力の差。

無限の進化をするはずだったキメラは、その能力を披露する間すら与えられず、ただ理不尽なまでの『質量と引力』の前に、抵抗することすら許されず消し飛ばされたのだ。

 

どれほどの決意と工夫と縛りを込めようと。どれほどの情熱と誇りを持とうと。

彼にとっては、ただ息を吹きかければ飛んでいく「紙クズ」の域を出ないという、あまりにも残酷すぎる現実。

 

 

「……そ、そんな……」

 

 

さっきまで胸に溢れていた歓喜と誇りが、急速に冷え固まり、真っ黒な絶望へと塗り替わっていく。

眞白は両膝からガクンと力が抜け、ドサッと校庭の砂の上に尻餅をついた。

もう涙すら出なかった。ただ、カタカタと震える唇を押さえ、底知れない絶望と恐怖に染まった瞳で、目の前に立つ最強の男を見上げることしかできない。

 

 

「化け物……っ」

 

 

眞白の口から、無意識のうちに、呪いのようなその一言がポロリと零れ落ちた。

 

圧倒的な理不尽を前にして、心が完全に折れたからこその、純粋な恐怖と絶望からの拒絶の言葉。

しかし、その言葉が静まり返った校庭に響いた瞬間だった。

 

 

「…………」

 

 

五条の纏っていた、あの冷徹で底知れない絶対者としての空気が、ふっと途切れた。

ポケットに手を入れたまま眞白を見下ろす彼の顔から、冷酷な試験官としての仮面が剥がれ落ちる。

蒼く透き通る『六眼』が僅かに伏せられ、五条はひどく静かに、ただ眞白を見つめた。

それは怒りでも、呆れでもなかった。まるで、たった一人で雪山に取り残された迷子のように――ひどく傷ついたような、諦観と孤独が入り混じった、酷く『悲しそう』な表情だった。

 

 

(……え?)

 

 

その顔を見た瞬間、眞白の時間はピタリと停止した。

 

 

(なんで、五条先生が……そんな、悲しそうな顔をして……?)

 

 

考えたところで、極限状態によってすでに「半覚醒状態」へと移行していた眞白の脳は、直感と直結した異常な速度で演算を始め、即座にその理由の正体へと辿り着いた。

 

 

(あぁ……違う。五条先生は、悲しくてそんな顔をしてるんじゃないんだ)

 

 

感覚派であり、他者の感情の機微を鋭く感じ取る眞白の直感が、最強の呪術師がひた隠しにしている本質を正確に抜き取っていく。

 

 

(五条先生は……『寂しい』んだ。たった1人で)

 

 

どれだけ強大な力を持とうと。どれだけ周囲から最強と崇められようと。

彼と同じ景色を見れる者は、この世界には誰もいない。

だからこそ五条先生は、自分と同じ領域――あるいはそれに手が届き得る特異な異常性を持つ自分(眞白)を見つけ、途方もない期待を寄せてくれていたのだ。いつか、自分と同じ場所に立ってくれるかもしれないという、微かな希望を抱いて。

 

それにも関わらず、眞白は圧倒的な力の前にひれ伏し、あろうことか自身を引き上げてくれようとした彼を「化け物」と呼び、完全に拒絶してしまった。彼を再び、あの孤独な最強の玉座へと突き放してしまったのだ。

 

 

(いや……もしかしたら、それだけじゃないのかもしれない)

 

 

ふと、五条の瞳の奥に、自分ではない『誰か別の人物』への感情が重なっているような錯覚を覚えた。

 

 

(過去に、同じような何かがあったのかな……。でも、そんなのは今の私には分かりようがないし、どうだっていい)

 

 

更に、眞白の脳は演算の回転数を爆発的に上げていく。

絶望で冷え切っていたはずの心臓が、熱い血を全身へと送り出し始めた。

 

 

(違う。違うんです。私は、貴方にそんな顔をしてほしいわけじゃない)

 

 

暗闇にいた自分を見つけ出し、甘くて美味しいものが溢れるこの眩しい世界へと引っ張り上げてくれた恩人。

自身のどうしようもない狂気を肯定し、誰よりも期待を向けてくれているその人に。

そんな、今にも泣き出しそうな、孤独で寂しい顔をしてほしくはない。

 

 

(この現状を打破する『一手』を考えろ)

 

 

眞白は、自身に課した制約を脳内で瞬時に確認する。

先ほどキメラを創り出す際に結んだ「この戦闘では、この式神の他に一切の式神を作らない」という縛り。式神を破壊された今、眞白はもう新たな式神を生み出して戦うことは絶対にできない。

 

 

(ならば、どうする? 私に何ができる?)

 

(思い出せ。私が『いつもやっている』ことは何だ?)

 

(私が初めて高専に来た日、あの教室で、一番最初にやってみせたことは何だった――?)

 

 

カッ、と。

眞白の脳髄で、全てのピースが完璧に組み合わさった。

 

 

「あ……」

 

 

パチリと瞬きをした瞬間。

眞白は気づいた時には、両目から溢れていた絶望の涙はすっかり止まっていた。

呼吸を阻害するほどに彼女を支配していた腹部の激痛も、恐怖による身体の震えも、今はもう全く気にならない。

残っているのは、ただ一つ。恩人の孤独を打ち破り、その期待を遥かに超える作品を叩きつけてやりたいという、芸術家としての研ぎ澄まされたエゴイズムだけだった。

 

 

パァァァンッ!!

 

 

静まり返った校庭に、肉と肉が激突する乾いた大きな破裂音が鳴り響いた。

それは、眞白が両手で自身の両頬を全力で叩いた音だった。

 

 

「……ん?」

 

 

あまりに唐突で、そしてあまりに迷いのないその自傷行為に、五条は思わず目を丸くして立ち止まる。

眞白の頬は叩かれた衝撃で瞬く間に真っ赤に腫れ上がり、指の跡が深く刻まれていたが、彼女の瞳からは先ほどまでの怯えや絶望、死への恐怖は完全に霧散していた。代わりにそこに宿っていたのは、見る者を射抜くような、ギラギラとした強烈な『意志』の光だった。

 

 

「すみません! いつものダメなところが出ていました!」

 

 

眞白はぐっと顔を上げ、未だに内臓を焼くような腹部の激痛を精神力だけでねじ伏せ、ビシッと背筋を伸ばした。血と砂に汚れた姿のまま、五条を真っ直ぐに見据えて叫ぶ。

 

 

「私は、誰に何を言われようと……あなたが認めてくれたこの才能で、あなたの期待に応えられる様な呪術師になります! そして、そんな私自身の才能を、その期待を、可能性を! 私はもう諦めない! 絶対に、裏切りたくありません!」

 

 

それは、今朝夜蛾から言われた「自分自身の期待を裏切るな」という言葉に対する、彼女なりの明確な、そして唯一の回答だった。

自分を見出してくれた五条の期待に応えたい。けれどそれ以上に、自分自身の内側から溢れ出す「なんでも創れる」という底知れない創作意欲とエゴイズムを、もう二度と「無価値なもの」として引っ込めたりはしない。

眞白の小さな震える拳には、自身の存在を賭けた、重く鋭い覚悟が込められていた。

 

そして、眞白はスッと目を細めた。

先ほどまでの熱い叫びとは打って変わり、凪いだ海のように平坦で、それでいて氷のように冷たく、底冷えするような声色で呟く。

 

 

「……なので。私の折紙を『紙クズ』って言ったのは……いつか絶対、後悔させてやります」

 

言い放つと同時に、眞白は低く腰を落とした。

入学初日のあの日とは比べ物にならないほど、その構えは無駄なく、鋭く、研ぎ澄まされている。彼女は両の拳に、体内の残された呪力の全てを注ぎ込むように、爆発的な密度で呪力を練り始めた。

 

 

「…………」

 

 

五条は一瞬の間、そのあまりの変貌ぶりに言葉を失い、完全に放心してしまった。

目隠しの奥の『六眼』には、彼女を包む呪力の流れが、絶望の澱みを捨て去り、純粋な「肯定」と「反骨」へと昇華されていく様が克明に映し出されていた。

彼女が今この瞬間、呪術師としての「芯」を掴み、この呪いと死が隣り合わせの地獄のような世界で、堂々と背筋を伸ばして生きていく覚悟を決めたのだということを、五条は魂のレベルで理解した。

 

 

「……いいね。最高だ」

 

 

五条の顔から、先ほどまでの孤独な影が完全に払拭された。

そこにあったのは、今まで誰も見たことがないほど、心の底から嬉しそうな――まるで宝物を見つけた子供のような、無邪気で残酷な笑みだった。

 

 

「僕の生徒は、こうでなくちゃ!!」

 

 

五条の歓喜の咆哮が校庭に響き渡る。

それを合図にするかのように、半覚醒状態の脳を眞白は極限の集中状態――自身の脳の出力をさらに加速させ「覚醒」の領域へとさらに近づけていく。

 

 

(脳を回せ……! あの時、家入先生に反転術式をかけてもらった時みたいに! 視界、聴覚、触覚、皮膚を撫でる風の温度……入ってくる全ての情報を、一滴残らず演算しろ!)

 

 

視界が不自然なほど鮮明に広がり、五条の僅かな重心の移動すらも、スローモーションのように脳へ流れ込んでくる。

先ほどのキメラを創った際の「この戦闘ではもう式神を創らない」という縛り。式神を創り出せない以上、自身の生得術式である『折紙呪法』を直接的な攻撃に使う術はない。

 

ならば、残された手段はただ一つ。

術式による「創造」ではなく、この異常な「脳の演算能力」と「呪力操作」の全てを、自身の肉体を制御するためだけに注ぎ込む。

 

 

(呪力のリソースを全て身体に回す。私の頭にある『完璧な達人の動き』のイメージを……術式じゃなく、私のこの身体だけで表現する……!)

 

 

全身の筋肉、骨格、細胞の一つ一つに至るまで、呪力による精密な強制操作を開始する。

眞白は、自分という存在そのものを「最高傑作の作品」に仕立て上げるべく、爆発的な踏み込みを開始した。

 

 

(……ッ!)

 

 

踏み込みの音すら置き去りにするような異常な初速。

五条の視界から、眞白の姿が文字通り掻き消えた。

 

 

「後ろっ!」

 

 

五条の規格外の直感が警鐘を鳴らし、彼は反射的に振り返りざまに腕を交差させてガードの姿勢を取る。その直後、死角から放たれた眞白の渾身の拳が、五条の腕を激しく叩いた。

 

 

ドゴォォォンッ!!

 

「防がれた!? でも、すごい……この感じ、上手くできてる! それに世界がまるでスロー再生してるみたい!」

 

 

眞白の脳内では、自身の肉体の隅々までが設計図のように可視化されていた。筋肉の収縮、重心の移動、そして衝撃の伝達。それら全てを呪力で強制制御し、「理想の打撃」へと変換する。

脳を限界まで行使している影響で、自身に起きている現象に驚きながらも、身体から聞こえる「ミシミシ」という不穏な異音や激痛を、今の彼女は完全に「()()()()()()」していた。

 

 

「ハハッ! このスピード、禪院の爺ィと同等じゃない!?」

 

 

五条は笑いながら、眞白の猛攻を紙一重で対処していく。

眞白は休む間もなく、地面を滑るような足運びで次の一手を繰り出した。掌底、肘打ち、膝蹴り。それら全ての攻撃が、脳内の演算によって五条の回避先を先読みするように配置されている。

 

 

「いいね! 脳の演算速度が上がってるおかげで呪力操作が更に向上している。呪力の身体強化だけでここまで化けるなんて!」

 

 

五条は、眞白の繰り出す「一切の淀みがない武術」を真っ向から受け止め、その進化に瞳を輝かせる。だが、その足取りは依然として軽く、まるでダンスのステップを踏んでいるかのような軽やかさを保っていた。

 

 

「サイッコーだよ! 眞白ォ!」

 

 

五条が攻勢に転じる。

 

 

「僕の攻撃を対処できるかい!?」

 

 

笑いながら五条が放ったのは、術式による「引き寄せる」指向性を持たせたパンチの連打。回避不能のタイミング。しかし、眞白は即座に脳を回し、受ける瞬間に自身の呪力を打撃点へと一点集中させた。

 

 

ズガァァァンッ!

 

 

完全に捉えたはずの攻撃を、眞白は最小限のダメージでいなし、あるいは強引な呪力防御で耐え抜いてみせる。

 

 

「反応速度ハンパないよ! それ!」

 

 

五条は笑い続けながら眞白との攻防を続ける。五条との距離、拳の軌道、空気の震え。その全てを読み切り、身体を操作し続ける眞白。しかし、五条はそんな彼女の限界ギリギリの動きを楽しみながら、さらに一段階上の速度で翻弄し続けていた。

 

 

「何で……っ、喋りながらやって、こんなに対応できるんですか!?」

 

 

眞白は怒気を含んだ声を上げながら、さらに攻撃の手数を増やした。校庭の砂が嵐のように巻き上がり、二人の姿を隠す。

 

 

「そりゃ、カワイイ生徒の前だからね!カッコつけるさ!」

 

 

嵐のような連撃を躱しながら、五条が余裕の笑みを浮かべて放った一言。

 

 

「カ、カワイイ!?」

 

 

一瞬。ほんの一瞬だけ、極限状態で稼働していた眞白の脳の演算が、その言葉の意味に完全に占領された。

完璧に噛み合っていた思考の歯車がピタリと止まり、致命的な空白が生まれる。

 

 

「隙あり!」

 

 

五条はその刹那の淀みを絶対に見逃さない。

目にも留まらぬ速さで眞白の腕を掴み取ると、柔らかな、だが逆らえないほどの剛力で彼女の身体を空中へと大きく振り投げた。

 

 

「せっかく校庭でやってるんだ!もっと広く使おう!」

 

 

楽しげな声を響かせながら、五条は凄まじい速度で空を飛んでいく眞白の先へと、術式による瞬間移動で先回りする。

体勢を立て直す間すら与えず彼女の頭上へ陣取った彼は、そのまま眞白の腹部をめがけ、地面に向かって思い切り拳を振り下ろした。

 

 

「ぐベェ!」

 

ドゴォォォンッ!!

 

 

眞白の口から、およそ女子らしくない潰れた叫びが上がる。

地面に叩き落とされた彼女の身体は、校庭の砂地に軽くクレーターを作るほどの凄まじい威力を喰らってしまった。肺から空気が強制的に押し出され、激痛が走る。

だが、今の眞白は痛みに蹲ることはない。彼女は即座に思考からその痛みを強引に追い出し、砂埃の中から弾かれたように立ち上がった。

 

 

「なんでさっきから私のお腹を狙うんですか!?」

 

 

顔を真っ赤にして怒りを露わにする眞白。彼女はすぐさま両足に呪力を爆発的に集中させると、自身を見下ろすように空中に浮かんでいる五条に向けて一直線に飛んで近づき、その勢いのまま鋭く蹴りかかる。

 

 

「え〜?だって顔を殴られるよりかはいいでしょ?」

 

 

五条は「なんでそんなこと聞くの?」と言わんばかりの不思議そうな表情で軽く言葉を返しながら、飛来した眞白の渾身の蹴りをいとも容易く腕で防ぐ。

そして、そのまま彼女の足をガシリと掴み取ると、再度虚空へと力任せに投げ飛ばした。

 

 

「うぅぅぅわァァァァァアアアアアア!!」

 

 

上下左右の感覚が狂うほどの速度で、空の彼方へと錐揉み回転しながら放り投げられる眞白。

だが、五条はそんな彼女に対する追撃の手を緩めない。

 

 

「じゃあ、これはどう?」

 

 

空の彼方にいる眞白へ向けられた五条の指先。そこに凝縮されるのは、先ほど眞白の最高傑作である式神を一瞬で塵にした、あの忌まわしい青い光。

圧縮された引力の塊――『術式順転・蒼』が、空中の眞白に向けて容赦なく放たれた。

 

 

「これ当たったら死んじゃうやつ!!」

 

 

一瞬で粉々にされた式神の凄惨な光景が脳裏にフラッシュバックする。

眞白の生存本能がけたたましい警鐘を鳴らし、彼女の脳をさらに異常な速度で回転させた。

 

 

(私がいるのは空中!遮蔽物もなければ足場もない!どうする!脳を限界まで回して答えを見つけろ!)

 

 

迫り来る死の青光。絶体絶命の虚空。

眞白の極限状態の脳が、かつてない領域へと到達する。

 

 

「……この流れは?……ッ!イメージしろ…今の私はなんでもできる!はず!」

 

 

今、眞白の視界は、脳による超高密度の演算によって変貌していた。

ただの「透明な空気」だった空間が、温度の揺らぎ、湿度の濃淡、気圧のわずかな高低差として、網の目のように詳細に描き出される。空気の密度の違いが「点」となり、それが連なり「面」として彼女の脳に認識されていく。

 

 

(……ッ! 捉えた!!)

 

タンッ!!

 

 

何もないはずの空中に、硬質な音が響き渡る。

空気の密度の違いが作る点を、そして面を捉えるという離れ業。眞白は自身の持ち前の豊かなイメージと、覚醒した視界の演算能力を掛け合わせることで、決して踏めるはずのない「空気の面」を蹴ることに成功したのだ。

空気を蹴った反動で凄まじい軌道変更を行い、死の『蒼』を間一髪で回避する。

それは即ち、「想像できることは全て現実なのだ」という格言を、今まさに眞白が体現した瞬間だった。

 

 

「やるね〜眞白! まさか空気蹴るなんて!」

 

 

『蒼』が空の彼方へ消え去るのを背景に、目を見開き、蒼く輝く『六眼』を露わにしている五条が、心の底から楽しそうな、驚きに満ちた声を上げる。現代最強の術師でさえ予想外だったその鮮やかな回避。

 

しかし、眞白はその五条の驚きの隙すらも、自らの推進力へと変換した。

 

 

タンッ! タンッ! タンッ!!

 

 

五条が感嘆の声を漏らしているほんの一瞬の間に、眞白はさらに虚空に存在する不可視の面を連続で力強く蹴り上げた。重力という絶対の法則を完全に無視し、三次元を縦横無尽に駆け抜けるその姿は、まるで空間そのものを自身のキャンバスに書き換えてしまったかのようだった。

 

爆発的な速度を得て、一直線に五条の懐へと肉薄していく眞白。

 

 

(今の私ならできる! 思い出せ、イメージしろ!)

 

 

極限状態の脳が、自身の奥底に眠る『呪力の核心』を、その味を、精密に探り当てる。

周囲の音が消え、空間の温度が変わり、時間が泥のように引き伸ばされたかのような奇妙な錯覚。ただの呪力強化の打撃ではない。呪力と肉体、そして研ぎ澄まされたイメージが、小数点以下の完璧なタイミングで合致した時にのみ生み出される、あの絶対的な威力を。

 

 

(あの時の感覚を! あの黒色の雷光を!)

 

「シッ……!!」

 

 

眞白は肺に残った空気を細く鋭く吐き出しながら、限界まで呪力を圧縮した右拳を真っ直ぐに引き絞った。彼女の拳の周囲の空気が、異常に高まった呪力の密度によって陽炎のようにグニャリと歪み始める。

 

その尋常ではない呪力の収束と、彼女が放とうとしている一撃の『正体』を六眼で読み取った瞬間。

五条の顔から教師としての余裕が完全に吹き飛び、代わりに一人の呪術師としての、闘争本能に満ちた獰猛で歓喜に満ちた笑みが浮かび上がった。

 

 

「調子良さそうだね眞白!『オレ』も負けていられないなぁ!」

 

 

一人称が『僕』から『オレ』へと変わる。それは、五条悟が教え子に対するテストという建前をこの瞬間だけ捨て去り、一人の強者として彼女の全力に真っ向から応えるという何よりの証だった。

 

五条もまた、迫り来る眞白の拳に合わせるように、自身の右拳に規格外の呪力を極限まで引き絞る。

 

 

バチバチッ!

 

 

二人の間に、極限まで圧縮された互いの呪力が干渉し合い、空間そのものが耐えきれずに激しい軋みを上げた。まだ衝突すらしていないというのに、異常な密度の呪力同士が引かれ合い、周囲の空気がビリビリと悲鳴を上げて震えている。

 

そして、互いの拳が、まるで運命に吸い寄せられるかのように正面から激突した瞬間。

 

打撃との誤差、0.000001秒。

現呪術界において、誰も見たことのない『初の2人同時による黒色の奇跡』が降臨した。

 

 

「「――黒閃!!」」

 

 

空間が激しく軋み、ドス黒い雷光が二人の拳の衝突点から放射状に弾け飛んだ。

激突の瞬間、世界から一瞬だけ音が消失したかのような不気味な真空状態が生まれ――直後、空気を引き裂くような強烈な衝撃波が解き放たれる。

 

 

ドゴォォォォォンッ!!

 

 

腹の底に直接響くような重い轟音が校庭を支配した。

二人の足元を中心に爆発的な風圧が巻き起こり、校庭の地面が放射状に抉り取られる。凄まじい暴風が周囲の砂埃を天高く巻き上げ、視界の全てを濃密な土砂の渦で飲み込んでいった。

 

あまりの衝撃に、空気がビリビリと震え続けている。

だが、その暴風の中心で、二つの影だけは一歩も退かず、微動だにしていなかった。

 

やがて、視界を完全に覆い尽くしていた土煙が、風に流されてゆっくりと晴れていく。

 

そこには、すり鉢状に抉れた地面の中心で、数メートルの距離をとり一切の隙を見せずに戦闘続行の構えを取る眞白と五条の姿があった。

交差する二人の視線。偶然にも、両者の顔には全く同じ種類の、闘争本能を満たした『純粋な笑み』が浮かんでいた。

黒閃を放ったことによる、呪術師特有のトランス状態。

極限の集中がもたらす「ハイ」な精神状態が、二人の闘争本能を歓喜で塗り潰していたのだ。

特に眞白に至っては、生まれてから今日この瞬間まで、誰にも見せたことがないような無垢で屈託のない笑みを浮かべ、見事に破顔していた。それも両の瞳から、『()()()』をボロボロと流しながら。

 

 

(あぁ……なんて、心地いいんだろう)

 

 

黒閃を放ったことにより、両者はそれぞれ120%のポテンシャルを引き出すに至っていた。

同時に、眞白はその異常な演算能力を誇る脳の潜在能力が限界まで引き出されたことにより、図らずも「脳の覚醒」という至高の領域へと一手届いてしまっていた。

 

 

(わかる……! 今なら、あの時……家入先生に反転術式をかけてもらった時と同等に、いや、違う、それ以上に脳が回る、まわる、マワルマワルマワルマワル……ッ!)

 

 

その影響で、眞白はこの世界を恐ろしいほど心地よく感じていた。

肌を撫でる風の粒子、自身の体内を巡る血流の音、五条の呪力の微細な揺らぎ。文字通り、世界の全てが自身の掌の上にあるような、圧倒的で絶対的な全能感。

 

 

(あぁ、イメージが溢れてくる。今なら何でも創れる。いや、それ以上に何でもできる。頭の中が、情報で、アイデアで、パンパンに、膨れ上がって。創作意欲がががが…ッ、インスピレーションが、と…止まらない、止まらないいいいいいいいぃぃ……!!)

 

 

半覚醒状態と黒閃の相乗効果は、眞白の脳内にかつてないほどのイマジネーションを増幅させていた。

それはまさしく、創作を自身の命よりも愛する眞白にとって、この世の何事にも劣ることのない至高にして究極の幸福。

 

故に、眞白は致命的なまでに気づくのが遅れてしまった。

自身の視界を映す世界そのものが、べっとりと不気味な『()()』に染まりきっていることに。

 

そして、眞白の世界(脳)は止まる。

 

 

「あぇ……?」

 

 

極限の全能感と熱狂の頂点から一転。

絶望的なほどの『世界の遅延』に気づいた眞白の口から、間抜けで、ひどく掠れた声がポロリとこぼれ落ちた、その直後だった。

 

限界をとうに超え、120%の出力を強要されて完全に許容量をオーバーした脳が悲鳴を上げ、物理的に決壊する。

()()()()()()()()()()()()()』がさらに激しく噴き出したかと思うと、続けて耳、鼻、半開きの口――顔にあるすべての穴という穴から、ドス黒い鮮血が一斉に溢れ出した。

 

その様子は、まるで古いテレビの電源コードを、乱暴に引き抜いたかのような唐突さ。

先ほどまで溢れ出していたインスピレーションも、全能感も、自身の身体の感覚すらも、真っ赤な視界と共にプツンとブラックアウトする。

そして眞白は、まるで糸の切れた操り人形のように、その場にぐらりと崩れ落ちた。

 

 

ドサッ。

 

 

力ない身体が砂に沈む音が、静まり返った校庭に響くか響かないかの、まさにその瞬間だった。

 

 

「ッ! 硝子ッ!!!」

 

 

五条の切羽詰まった叫び声が空気を切り裂く。

倒れ込む眞白の身体が地面に触れるのとほぼ同時の、間髪を容れない神速の判断。

 

 

「分かってる!!」

 

 

その声に応じるように、校庭の端から鋭い声が響いた。

見ると、家入硝子がパンダの太い腕にしっかりと抱えられた状態で、猛スピードで眞白のすぐそばまで駆けつけてきていた。

 

パンダが止まるよりも早く、家入は飛び降りるようにして眞白の元へ滑り込む。砂利で膝を擦り剥くことなど一切気に留めず、顔のあらゆる穴から血を流して痙攣する眞白の頭部へ、即座に両手を力強く押し当てた。

 

 

「反転術式……ッ!!」

 

 

家入の掌から、命を繋ぎ止めるための温かく眩い光が放たれる。

しかし、掌から伝わってくる眞白の頭部の温度は、まるで焼け焦げた鉄球のように異常な高熱を発していた。

 

 

「五条!!」

 

 

家入は額にじっとりと冷や汗を浮かべ、血走った目で隣にしゃがみ込んだ五条を睨みつけた。

 

 

「お前の『目』には、今の眞白はどう映ってる!?」

 

 

蒼く輝く『六眼』を完全に解放している五条は、一切の動揺を面に出さず、底知れない冷たさを湛えた真剣な表情で眞白の体内を透視するように診察を始める。

 

 

「……脳への急激なストレスと情報過多による血圧の異常上昇で、微細な血管が何箇所も破裂してる。脳出血の疑いが極めて濃厚だ。それに、とにかく『熱』が半端ない。脳が完全にオーバーヒートを起こして茹だりかけてる」

 

 

五条は六眼に映る致命的な症状を、簡潔に、されど極めて的確に読み上げた。

 

 

「出血に熱とか、最悪のコンボで厄介だな……ッ!」

 

 

家入は忌々しげに舌打ちをすると、反転術式の出力をさらに一段階引き上げた。

脳という最も複雑で繊細な臓器の修復。少しでも反転術式の構成を誤れば、眞白の自我や記憶が完全に破壊されかねない絶望的な綱渡りだ。

 

 

「私が脳の血管の再生と止血に全神経を集中させる! 五条、物理的な応急処置を手伝え! まずは脳圧を下げろ!」

 

「了解」

 

 

家入の指示が飛ぶや否や、五条は流れるような動作で眞白の背後に回り込んだ。

彼は眞白の首の頸椎を絶対に揺らさないよう細心の注意を払いながら、自身の膝を使って彼女の頭部と肩を15度から30度ほど静かに持ち上げ、固定する。頭部を高く保つことで、頭蓋内圧のこれ以上の上昇を防ぐための完璧な体位確保。

 

 

「呼吸が浅い。気道確保と冷却を」

 

「わかってる」

 

 

五条は眞白の血に染まった衣服の胸元と襟元を素早く引き裂くようにして緩め、気道を真っ直ぐに確保して酸素の循環を促す。

さらに、家入が自身の医療バッグから放り投げた瞬間冷却パックを空中で見ずにキャッチすると、掌の力で一瞬にして粉砕・冷却状態にし、それを眞白の首元の太い動脈(頸動脈)と両脇の下へと的確に押し当てた。

 

 

「冷やせ、冷やせ……脳をこれ以上焼かせるな……!」

 

 

家入が祈るような声で呟きながら、限界ギリギリの集中力で反転術式を注ぎ込み続ける。

五条の六眼による完璧な状態把握と物理的な補助、そして家入の類まれなる反転術式の精度。現代呪術界の最高峰である二人の連携により、眞白の脳内で破裂していた血管が次々と繋がり、溢れ出していたドス黒い鮮血がピタリと止まった。

 

数分の、永遠にも似た緊迫した沈黙の後。

眞白の胸が、ゆっくりと、だが規則正しく上下に動き始めた。異常だった高熱も、首と脇の冷却、そして反転術式による修復によって徐々に平熱へと戻っていく。

 

 

「……ふぅっ」

 

 

家入は反転術式の光をスッと収めると、どっと疲労が押し寄せたように深く、長い息を吐き出した。

 

 

「……とりあえずは、大丈夫だ。一番危険な脳の損傷は完全に塞いだ。あとは身体を冷やしたまま、熱が完全に下がるまで絶対安静にしとけば問題ないはずだ」

 

 

家入は自身の血塗れになった手を眺め、現代医学を履修している者としての視点で小さく笑った。

 

 

「はぁ……現代の医学なら到着前に100%死んでるような致命的な状況で助かるなんて。本当、反転術式様様だな」

 

 

安堵の空気が流れたのも束の間。

家入の視線が、眞白の頭部から下――ボロボロになった身体へと向けられる。

 

 

「……ていうか」

 

 

家入の瞳から先ほどの安堵が消え、絶対零度の冷たい光が宿った。彼女はゆっくりと五条の方へと首を向ける。

 

 

「頭がパンクしたのは想定外だとしても……さっき黒閃を撃ち込んだこの右腕の筋肉の断裂と骨のヒビ、それに内臓まで届きかけてるこのお腹の殴打痕。どう見ても『ただの試験の範疇』を超えてるんだけど?」

 

 

家入が低い声で言いながら隣の五条をジロリと睨みつけた、ちょうどその時。

砂を踏みしめる重い足音が近づいてきた。二人が視線を向けると、そこには険しい顔をした夜蛾学長が立っていた。

 

 

「夜蛾セン。さっき頼んだ担架は?」

 

 

家入が夜蛾に尋ねる。

 

 

「あぁ、既に準備はできている。運ばせるための呪骸も招集済みだ」

 

 

夜蛾がそう答えると同時に、後ろから数体の呪骸が医療用のストレッチャーを運んできた。

五条の手によって慎重にストレッチャーへと乗せられた眞白は、静かな寝息を立てたまま、そのまま高専内の保健室へと真っ直ぐ運ばれていく。

 

運ばれていく眞白の姿が見えなくなった後。

静まり返った校庭で、家入はゆっくりと首を巡らせ、地に膝をついたままの五条を再度強く睨みつけた。

 

 

「おい、五条」

 

 

その声には、先ほどまでの戦友としての響きはなく、純粋な怒りと咎めの色が混じっていた。

 

 

「生徒が想定を超えて、楽しくなったのはわかるが……線引きはちゃんとしろ。眞白に一番詳しいのは、お前だろ」

 

 

五条という男が、自分と同じ目線に立てるかもしれない教え子の才能にどれほど飢え、歓喜していたかは家入にも分かっている。しかし、だからといって命の危険を伴う限界突破を強要していい理由にはならない。家入の言葉は、至極当然で、ぐうの音も出ない正論の説教だった。

 

 

「…………悪かったよ……」

 

 

ポツリと、五条の口からひどく沈んだ声が漏れた。

そこに、いつもの彼が纏っている飄々とした軽薄さの欠片は一切なかった。

前髪を下ろしたまま、自身の掌に残った眞白の血の感触を見つめる五条の姿は、自身の教育者としての未熟さと、あわや大切な生徒を殺しかけたという事実に直面し、露骨なほど深く落ち込んでいた。

 

 

「……私たちも保健室に行くぞ。他にもやることはあるからな」

 

 

すっかり肩を落とした最強の呪術師を一瞥し、家入は短くそう告げた。

そして二人の大人たちは、重い足取りで眞白の眠る保健室へと向かうのだった。

 

 

 

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