多分心の中のドブカスくんが(最高速度で書き上げたる!)
とやる気を出してくれたんですかね…嬉しい限りです。
それと渋谷事変を久々に読み返しましたが、面白いですねやっぱり
「三輪くん……来ていたんですか」
「伊地知さんから五条先生が封印された、と連絡を貰いまして。それにお世話になった人が危ない状況で動いているのに、のうのうと過ごせるほど、俺は肝が太くないですよ」
そう言って霧矢は七海を床に下ろす。
「三輪くん……すみませんが虎杖くんをお願いします」
「謝らないでください七海さん。大丈夫です、あとは任せてください」
そう七海に告げ、霧矢は魂を弄る特級呪霊──真人に目を向ける。
すると真人は何かを思い出したかのように
「三輪霧矢!」
と霧矢の顔を見て叫び、『無為転変』で殺そうと素早く近づく。
「なんで呪霊の癖に俺の名前知ってるんだよ。キッショ」
そう言って霧矢は近づいてきた真人の腕を躱し、後ろに下がって顎を蹴り上げ、そのまま腹を蹴飛ばして真人を遠くへ吹き飛ばした。
その後すぐに霧矢は七海を反転術式で応急処置を施し、一緒に渋谷に来ていた星綺羅羅へと声をかける。
「綺羅羅、七海さんを家入さんの所まで運んでくれ。それが終わったらそのまま待機だ」
「おっけー。それと金ちゃんから、もうすぐ渋谷に着くって連絡があったよ」
「了解。ありがとう綺羅羅」
「霧ちゃん。絶対に死なないで、気をつけてね」
そう霧矢に告げた後、綺羅羅は七海を担いで家入の所に向かった。
「さてと、君は虎杖悠仁くんで合ってる?」
霧矢は現状に戸惑いを隠しきれていない虎杖へ声をかける。
「ああ、それよりアンタは?」
しかし彼も一端の呪術師。すぐに切り替えいきなり現れた霧矢へ質問を返す。
「悪い、自己紹介がまだだったな。俺は三輪霧矢、今は停学中だが呪術高専東京校の3年だ」
そう話す霧矢の目線の先には、既に復帰してきた真人がいた。
真人は既に体勢を整えていつでも動けるように構えている。
それを見て虎杖は霧矢に真人の情報を開示する。
「霧矢先輩。あいつには通常の攻撃は効かない、でも俺ならアイツに攻撃が通る。だから……」
「オッケー。なら虎杖くんがオフェンス、俺はサポートでいこう。何か気をつけることはある?」
「アイツの掌には絶対に触れないで、それとアイツは自分の体を変形して攻撃してくるからそれも注意して欲しい」
そう虎杖が霧矢に忠告して真人と向かい合う。
「ボソボソボソボソと、作戦会議はもう終わったか? ビビってないで早く来いよ!」
そう真人が二人を挑発し、二人に向かって走り出す。
それが開戦の合図となった。
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2018年10月、渋谷事変までおよそ1週間ほど前。
夏油傑と、真人ら特級呪霊たち。彼らは渋谷事変に向けて海の見える砂浜に腰を下ろして会議をしていた。
その最中、真人がこんな質問をした。
『ねえ夏油。五条悟以外で注意した方がいい術師って居るの?』
真人は砂の城を作りながらそう夏油に問いかける。
『うーんそうだね……来るかどうかはわからないけど”彼”には注意して欲しいかな』
『”彼”って?』
『三輪霧矢。ー現代最速ーなんて呼ばれてる一級術師だよ』
『へえ〜。強いの?』
『うん。現在日本にいる術師の中じゃ、五条悟に次いで強いと思うよ』
そう言って夏油はテーブルに置かれたサイダーを飲み干した。
『それで、その三輪とやらは儂等と比べてどれくらいの強さになるのだ』
『高専側の術師としてはかなりの上澄みだよ。特筆すべきは近接戦闘かな。それについてはかなりのものだけど、君たちは彼と相性が良いから、そこまで苦戦はしないと思うよ』
『ふーん……でもそいつは高専所属なんだよね? なんで来るかどうかはわからないの?』
『まあ今は高専を停学処分って形で追い出されてるからね。少なくとも五条悟を封印する時は渋谷周辺にはいないと思うよ。だけど時間が経ったら来る可能性もあるから、接敵した時は十二分に気をつけてね』
『停学処分……ってことはもしかして夏油が何かしたの?』
『そっ、さっきも言った通り別に彼の戦闘力は君たちにとってはそこまで脅威じゃない。だから彼が居ようと居まいと五条悟の封印は確実にできるけど、彼は獄門疆の封印を解ける可能性があるからね』
『だから夏油が獄門疆を移動させるまでそいつには来てほしくないってこと?』
『そういうことだよ。流石に封印を解かれてしまうと困っちゃうからね。まあ、万が一のために足止めとして呪霊を配置しておくから、心配はいらないよ』
たはー。と夏油は微笑みながら新しいサイダーを取りに向かっていった。
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そんなことを思い出しながら真人は改造人間を使って、中距離から確実に攻める。
夏油の忠告通り、近接戦闘はあまり仕掛けず、改造人間主体で戦う予定であった。しかし……
(話には聞いていたけど、思っていたより遅いな。夏油の過大評価か?)
真人はそう考える。現在構図は一対ニ、もちろん真人が一の方だ。
先ほど本人が虎杖に言っていたように、真人に攻撃が通る虎杖をメインにして、サポートに霧矢は回っていた。だがそれを鑑みても明らかに霧矢の動きは遅かった。
理由はわからない、だが霧矢の持ち味であるというスピードが活かされていない今、殺すには絶好のチャンスである。
(中距離からしか攻撃できないと思ってるだろ! そこを一気につく!)
「『多重魂・撥体』!」
混ぜ合わせた魂の拒絶反応によって起こる質量攻撃。
真人はそれを陽動に使い、霧矢たちが攻撃を避けている間に彼らの死角へと回り込む。
そのまま真人は一気に霧矢へ距離を詰め、『無為転変』を発動しようと手を伸ばした。
しかし……それは悪手である。
「改造人間はもう止めか?」
「チッ!」
霧矢は真人の接近にいち早く気づいた。
接近してきた真人の攻撃を正確に捌き、真人に直接攻撃を通すことのできる虎杖が上手く動けるように完璧なサポートを霧矢は流れるような動きで行っていた。
それについて真人は分析する。
(違うな……動きが遅いんじゃなくて、虎杖の速度に合わせて動いてるのか! だからコイツらは見計らったかのようなタイミングで同時に攻撃することができる。それに対して俺は上手くその攻撃を捌くことができず、反撃の勢いも下がる。逆に向こうは俺の攻撃を的確に捌ける。それもこれも全て……)
「舐めやがって! 三輪霧矢!」
「舐めるわけねえだろ」
そう言って霧矢は真人の頭を掴み、そのまま自身の掌で触れ、術式を発動させようとする。
それを察した真人は嗤う。
「オマエ話を聞いてなかったのか? どんな術式だろうと、魂を捉えられない限り俺に攻撃は通らないんだよ!」
「どうだろうな」
そう言って霧矢は反対の手で指を鳴らす。
「術式反転『
『延引』……その効果は相手の演算速度を低下させるというシンプルなもの。
これには元々『対象の呪力量や出力によって、使用した時の自身の呪力消費量も変動する』というリスクを負っており、呪力量の少ない霧矢にとっては、あまりにも致命的なものであった。
しかし霧矢は、『延引』の効果を対象の演算装置──人間で言えば脳に該当する部分。そこのみに効果を絞ることで術式対象の限定化に成功。
そして”その限定化によって本来得られたはずである効果度の上昇効果。それを無くす代わりに呪力消費量が変動しないようにする”という縛りを自身に課すことで、術式反転を使用した時のリスクを無視して使用することができるようになった。
そしてこの術式対象の限定化によって対象となった”演算装置”は、真人にも存在している。
故に、本来魂を捉えなければ術式の効果を通すことのできない真人に対しても、有効打となった。
(何が起きた……!? アイツらの移動速度が速く……いや、俺の身体機能が低下したのか!)
真人は霧矢の術式の詳細を知らない。
よって如何に真人と言えども、知らないものには対応できない。
そしてそれは少し離れた場所にいる”分身”に対しても同様であった。
霧矢と虎杖の二人は知らないことだが、二人が本体の真人と交戦している最中に、分身ではあるが釘崎野薔薇も同じように真人と交戦していた。
霧矢の術式の効果は対象の演算装置、つまり対象が同じ演算装置を使用している場合はそちらにも適用される。
真人は魂を分離させて分身を作成する。操作は独立して各々が行うが、使っている演算装置は同一のものである。
よって霧矢の術式の効果は分身にも発生する。
それによって出来た隙を釘崎は見逃さない。
(「『
「ガハッ!」
(内側から釘……!? これは……あの女の術式の……!)
「虎杖くん!」
「応!」
そう大きく返事をしたのは虎杖悠仁。
真人は霧矢と虎杖の連携で揺さぶられ、先ほどの釘崎の共鳴りによって大きな隙ができていた。
これにより、虎杖は一世一代のチャンスを逃すまいと極限まで集中力を高める。
真人は強烈な予感を感じた。
(この一撃はマズい……!)
そう考えた真人は身体を変形させ、打撃の瞬間をズラそうとする。だが、
(術式の余韻が……あのクソ女!)
共鳴りの効果がそれを許さない。
全ての条件は整った。この一撃に虎杖悠仁は
「『黒閃! 』」
戦闘開始から僅か3分12秒後。渋谷駅に最初の黒い火花が散った。
Q、前話で真人の腕を斬り落とした刀は使わないんですか?
A、仮にその場合、刀を使う霧矢に対して、徒手空拳の虎杖では大きなリーチの差ができてしまいます。
まあどこぞのゴリラならそれでも連携はできたでしょうが、あいにく霧矢はそんなことはできないので…
なので霧矢は刀を使いませんでした。
(あと作者の表現力ではそこを上手く書くことができないのも理由の一つです)
ちなみに金ちゃんが遅れてる理由ですが、足止めとして用意されていた呪霊を祓ってます。
いわゆる『俺に構わず先に行け!』ってやつですね。そのうち渋谷に来ます。