三輪の兄貴   作:器用貧乏ならっこ

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今回筆者の独自解釈が入ってます。
できるだけ原作と矛盾のないように書いてるつもりですがが天与呪縛は如何せん情報が少ないもので…
間違ってたら申し訳ありません。

与くんの天与呪縛振り返って思ったこと
「単眼猫…人の心とかないんか?」


天与呪縛と三輪の兄貴

「それじゃ、行こうか霧矢」

 

「了解です。あ、伊地知さん。憂太と棘をよろしくお願いします。2人も任務気を付けてな」

 

「承知しました」

 

「しゃけ!」

 

「はい! 霧矢先輩もお気をつけて」

 

「じゃ、行ってきます。お土産買ってくるからな」

 

そう言って憂太たちと別れて俺は五条先生の元へ向かう。

 

「それで、本来なら打ち合わせこの時期じゃないですよね?」

 

「まあそうなんだけど今年は事情が事情だしね〜まあ任務のついでだよついで」

 

「それ絶対後者が理由でしょ」

 

まあそのついでのおかげで久々に霞と会えるのだから一応感謝していますと付け加えれば先生は機嫌良く「でっしょ〜? 僕ってば天才」と言いながら地面に呪印を刻み始めた。

 

「じゃ、霧矢だけ先に京都校に飛ばすね。1時間後くらいには僕も行くから」

 

「わかりました。必要ないとは思いますが任務頑張ってください」

 

「ま、ちゃちゃっと祓ってくるよ〜、と。これでいいかな。じゃ、また後で」

 

そう告げられた次の瞬間、俺の目の前は高専ではなく空と大地の狭間だった。

 

「うー……相変わらず規格外だよなあ五条先生の無下限呪術」

 

無下限呪術……五条家の相伝術式で効果は身の回りにある無限を現実に持ってくるというもの。戦闘においては現存する術式の中で随一と言っていいほどの強力な術式だが、六眼という特殊体質を持つ人間でないとニュートラルな無下限呪術ですら発動が困難と言われている。

 

逆を言えばそれさえあれば最強の矛と盾を持ち合わせる最強になれるという術式だ。実際術師をやってる人に最強の術師は誰かって聞かれたら満場一致で全員が五条悟と答えるだろう。

 

(でも、ちゃんと努力してきたんだろうな……)

 

術式の強さに胡座をかかず、十二分に扱えるように鍛錬を重ねてきたのは間違いないだろう。他のみんながどう思ってるかは知らないが、俺はその努力を尊敬しているし、信用している。

 

そんなことをぼんやりと考えているうちに気がつけば目的地まで目と鼻の先だ。逆さまになっていた体を空中で半回転して着地の体勢を整える。

脚に呪力を集中させて着地すると同時に前転で前方向に衝撃を逃しつつ地面の損壊も防いで……

 

「っと……我ながら完璧な着地だな」

 

見事成功。もうパラシュートなしでスカイダイビングできるんじゃないだろうか

 

「さてと……歌姫先生のところに先に挨拶しておくか……お、加茂じゃん」

 

「大きな音が聞こえたと思って来たが三輪か、久しぶりだな。交流戦以来か」

 

「だな、マジで久々だ。西宮も元気にしてるか?」

 

「ああ、新入生が入って来てから張り切ってるぞ。お前の妹とも仲良くしてるようだ」

 

「仲がいいようで何よりだよ。てか三輪じゃどっちかわかんないだろうから気軽に霧矢って呼んでくれ。俺も憲紀って呼ぶから」

 

「そうさせてもらおう霧矢。打ち合わせに来たのだろう? 話は聞いてる。学長は今いないがとりあえず中に案内しよう」

 

「サンキュー」

 

そんな風に俺は憲紀と他愛もない雑談をしながら校舎へと向かう。すると……

 

「あ、兄さん! 久しぶりー!」

 

「やっほ〜霞。電話なら結構してるけど会うのは久々だな。元気にしてたか?」

 

「うん! あ、紹介するね。この子は禪院真依。それと電話したから知ってると思うけどメカ丸。本名は与幸吉だよ」

 

「よろしく……」

 

『さっきぶりダナ。メカ丸、本名は与幸吉ダ、よろしく頼ム』

 

「禪院真依ちゃんと与幸吉くんもといメカ丸くんね。改めてよろしく」

 

「兄さんはメカ丸に話があるんだっけ? 談話室空いてるから使っていいよ」

 

「ありがと。歌姫先生は?」

 

「先生なら今は書類仕事してるよ。久しぶり三輪くん」

 

「お、久しぶり西宮〜元気そうでなによりだ。憲紀から聞いたぞ、霞を可愛がってくれてるって。ありがとな」

 

「どういたしまして、メカ丸となにか話あるんでしょ? 私たちはもう行くから気にしないでね」

 

「おう、そんじゃ談話室で話そうか与くん」

 

そう言って談話室に入り、お互いソファーに向かい合わせで座る。

 

「さてと、まず聞きたいのは君の天与呪縛の内容なんだけど……可能な範囲で話せるか?」

 

『もちろんダ、全て話ス。オレに課せられた天与呪縛は生まれつき右腕と膝から下の肉体、さらに腰から下の感覚がない代わりに、莫大な呪力出力と術式の効果範囲を得るというものダ』

 

「……なるほど……でもそれだけじゃないんだろ?」

 

『あァ、肌は月明かりに燃えるほど脆く、常に全身に毛穴から針を刺されるような痛みを感じていル」

 

天与呪縛……それはごく一部の人間に発現する一種の特異体質。禪院真希のように術式と呪力を持たない代わりに圧倒的な肉体性能を誇るフィジカルギフテッドなどが挙げられる。

 

五条先生が学生だった頃には、その完成系とも言える呪力から完全に脱却した存在が居たというが……それは今は関係のない話だ。

 

「まずは話してくれてありがとう……言いづらいことなのに隠さず話してくれて助かる。それで本題なんだが……君の天与呪縛、もしかしたら解くことができるかもしれない」

 

『……本当かどうか疑わしいナ。正直オレはまだお前を信用しきれていなイ」

 

そりゃそうだろう。いきなり話を聞かせてくれって言われたと思えば天与呪縛を解除できるなんて信じる方がバカだ。だがこちらも引くことはできない。与幸吉の術式は夜蛾学長と同じ傀儡操術。どちらも人形を媒介にして操るものでその気になれば国家転覆を単独で行うことができる……いわば『特級術師』に認定される可能性を持つ術式だ。

 

ただ、そこまでなら特段警戒する必要もない……身近に特級が2人も居て感覚がバグっているように思えるが本当に大丈夫だ。

 

問題は彼の境遇の方だろう。天与呪縛による身体の不自由を強制されられている状況というのは非常に危ういと言える。何が危ういって、その天与呪縛を解除できる存在が『呪詛師』として彼に接触してきた場合、簡単に寝返る可能性があるからだ。もし仮にそうなってしまった場合、彼の術式は傀儡操術だ。小型のロボットを作って操ることなど造作もないだろう。

 

そうなると彼の広大な術式範囲……日本全土で活動しているすべての術師の情報が丸裸になるというのと同義だ。それだけは避けねばならない。

 

「いきなり言われても信用なんかできないよな……それでも、とりあえずこれを見てほしい」

 

そう言ってメカ丸に持参したファイルを渡す。中には独自に調べた天与呪縛についての資料と専門家の見解が入っている。

 

見ながら聞いてもらって構わない。と前置きをした状態で俺は調べてきたことについて話す。

 

「正直、俺が調べた中で天与呪縛が後天的に解除された例は見つからなかった。おそらく生まれながらに刻まれた術式を変更できないのと同じように天与呪縛自体をどうにかするのは不可能かもしれない」

 

『ッ!? ……ではやはリ無理か』

 

「最後まで話を聞け。現状あくまで天与呪縛自体をどうにかするのが無理なだけで、身体を五体満足にすることは可能かもしれない」

 

『どういうコトだ……?』

 

「反転術式ってわかるか? 負と負のエネルギーを掛け合わせて正のエネルギーにする技術。そしてこれは習熟度にもよるが身体の欠損を治すことも可能だ」

 

「さらに俺の友人に反転術式を使えないのにフルオートでそれをする奴がいてな。そいつ曰く『溢れ出る呪力に身体が反射で反転術式を行使して、肉体の崩壊を防いでいるらしい』だと。これを使えばもしかしたら行けるんじゃないかと思ってな」

 

「肉体と天与呪縛は一心共同体。どちらの条件も満たすことで成り立っているものならば片方を壊してやればいい。君に課せられた天与呪縛は身体の不自由だろう? ならその不自由な身体を反転術式で作り替えてしまえばいい」

 

 

これが俺の現段階持つ情報から弾き出した与くんの天与呪縛に対する解釈だ。

 

 

「ただ、反転術式と言うのがネックでな。作り替えると言ったが、本質は治す……元の形に戻すためのものだ」

 

『つまリ……今の不自由な身体が元の身体だと認識されている時は意味がない可能性があるということカ』

 

「ああ、こればっかりは賭けになってしまう。確実な方法を見つけられなくてすまない」

 

反転術式みたいな技術じゃなくて、どこかに体を作り替える術式を持った人がいたらいいんだが……っと、誰からの連絡だ……? って五条先生からか。早いなあの人……もう任務終わったのか。

 

「そろそろ五条先生が来るみたいだから一旦切り上げよう。そのファイルは持っててくれて構わない、俺の連絡先も入ってるから何か質問があったら連絡して」

 

『わかっタ。こちらでももう一度できる限り調べ直してみることにしようと思ウ』

 

「おう、何かあったら遠慮なく頼ってくれ」

 

『そうさせてもらウ。それと、感謝すル。ありがとウ』

 

「どういたしまして」

 

そう言って俺は談話室を出て五条先生の元へ向かう。

 

「任務お疲れ様です先生。打ち合わせに行きましょうか」

 

「お疲れ霧矢〜んじゃ行こうか。そういえば天与呪縛の子と話はできたの? その子と朝電話してたみたいだけど」

 

「ええ、一応解決策というか、可能性は見えてきました。ですがまだまだ不確定要素が多いので……」

 

「天与呪縛かあ〜アイツ思い出すからなあ……」

 

「確か……天与の暴君でしたっけ? フィジカルギフテッドの」

 

「そうそう。まあ僕が勝ったんだけどね」

 

「さすがですね……それじゃ入りましょうか。失礼します」

 

「ヤッホー歌姫、お爺ちゃん。打ち合わせやろっか〜」

 

 

────────────────────────────

 

 

天与呪縛に縛られた青年はとあるミーハーの兄貴と邂逅を果たす。その出会いがどう影響を与えるかは……未だ不明。

 

 

 




Q、三輪霧矢が与くんの天与呪縛を解こうとする理由は?

A、本文で書いた通り、三輪ちゃんから話を聞いた時点で原作のようにスパイルートになる可能性や、呪詛師堕ちする可能性があると霧矢は推測しました。
もし仮にそのルートを進んでしまうと与くんが三輪ちゃんを利用して危険な目に合わせたり、口封じのために殺害する可能性が出てきます。
そうならないために先手を打って天与呪縛の解除方法を探り始めました。



3話目にして難産でした。小説書くのって難しいですねやっぱり。
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