亀更新でごめんなさい…
それと余談ですが『むたみわ』からしか摂取できない栄養素があるのではと最近考えるようになったんですよね…
呪術高専東京校。とある日の休み時間にて
『霧矢の術式ってなんかコンピューターみたいだよね』
『コンピューターですか?』
『そっ、だってさ、街行く人に【高速で演算するって聞いたら何思い浮かべる?】って質問したらどうなると思う?』
『まあ……大抵の人はコンピューターとか、電卓って答えるでしょうね』
『でしょ〜? だから霧矢が領域を習得したら、効果はコンピューターみたいなものになるかもしれないね』
『なるほど……なんか納得できるようなできないような……』
『まあそこはほら、解釈の仕方だよ解釈の。難しく考えないで自分の感覚に従いなよ』
『自分の領域は自分の心象風景を映し出したものだからね。イメージが大切だよ』
『じゃあセンセー、金ちゃんの心の中はギャンブルでいっぱいってこと〜?』
『金次の領域は特殊だからねえ〜。でもギャンブルでいっぱいなのは間違い無いでしょ笑』
『いやセンセー、綺羅羅、俺だってギャンブル以外にもちゃんと考えてるからな!?』
『じゃあ例えば?』
『そりゃ、新台入荷楽しみだなとか、今日はこの馬が熱いなとか色々……』
『やっぱりギャンブルのことばっかりじゃん! 嘘つき〜!』
『あーあ、金次が綺羅羅泣かせちゃった〜』
『ぐぬぬ……そうだ霧矢! なんかいい感じに言い訳言ってくれよ!』
『ギャンブル中毒者につける薬はないぞ金次』
『ガーン!』
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(領域はイメージが大切、自分の術式をコンピューターのようにイメージして効果を拡張する!)
「領域展開! 『
『改加演築』……基本的な効果は領域内に存在する呪力を帯びた存在の情報を数値で表し、霧矢の脳内に表示するというもの。
そこから、相手の情報を改変・もしくはそれに演算で弾き出した要素を追加すること。
領域内のみで発動するプログラムを構築し、それを術式対象の肉体に強制させること。
これら2つのどちらかを必中効果として使用することができ、使用しなかった方は自分、または一度領域内で触れた相手のみに効果が適用される。
(身体が……動かないっ!)
霧矢は『その場から自分で動くことができなくなる』というプログラムを構築すると同時にそれを呪霊に強制させた。
(なんて強力な拘束力! その場から足を進めることはおろか、指の一本を動かすことさえ叶わない! 呪力を練ることは出来ますが……)
現在呪霊の術式は焼き切れている。呪力操作は可能だが、呪霊は簡易領域などの領域対策を習得しておらず、呪霊になす術はない。
だがそれは、霧矢も同等であった。呪霊の領域に辛うじて耐え、死に際で呪力の核心を掴み領域を展開したはいいものの、反転術式を使うこともできておらず、ゆえに傷が深く痛みでその場から動くことは出来ていない。
(向こうは先ほどから動いておらず、傷も治ってはいない。それに加えてわたしをこの場に留めただけで攻撃をしてこない……なにか縛りがあるのでしょう。ならばここは術式の回復を待ちます!)
呪霊の考えは当たっている。霧矢の領域は必殺効果が付与されていない必中のみの領域。動きを封じるプログラムを組んで行動を強制させることはできるが、プログラムによって呪霊に直接攻撃を与えることは不可能である。
よって直で叩くことが霧矢の取れる唯一の攻撃手段なのだが、先ほどの戦闘で大きく消耗しており、領域展開をしたことで呪力も残り1割ほどしか残っていない。
まさに絶望的と呼ぶに相応しい不利的状況。ただ、それでも霧矢は諦めてはいない。
霧矢は前進する。呪霊が術式を回復させる前に叩き潰すために、最高速度で勝負を仕掛ける!
(ッ! その傷でまだ動くというのですか! ですが先ほどのあちらの攻撃はわたしにダメージをほとんど与えていないかった。それならばあちらがわたしを祓うよりも、わたしの術式の回復の方が早い! 攻撃を耐え、術式が回復すると同時に最大火力を叩き込む!)
その考えは決して間違いではないが、呪霊は戦闘経験が浅かった。ゆえに霧矢の実力を見誤る。
それに呪霊は知らなかった。誰にでも微笑む黒い火花の存在を。起死回生の一手の存在を!
対して霧矢は確信していた。黒い火花が自身に微笑んでくれると!
『黒閃』…… 打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪み。
威力は平均で通常の2.5乗。黒閃を狙って出せる術師は存在しない。
だがしかし、黒閃を経験したものとそうでないものとは天と地程の差がそこにはある。
打撃との差0.000001秒以内に呪力が衝突した瞬間、空間は歪み、呪力は黒く光る!
「『黒閃!』」
その黒い一撃は惜しくも呪霊を祓うには至らなかった……
だが、黒閃により霧矢は……120%の
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呪霊が術式を使用し、自身を後ろに吹き飛ばす。
(危なかった……! 呪力強化を一点集中させてこのダメージ!)
(距離を取ったな……俺が近接しかできないことを理解したのだろう。拘束は効いているから、あいつは動くことができない。術式で自分を後ろに吹き飛ばして衝撃を和らげたのか……)
(おそらくあちらの攻撃手段は近接のみ……それに先ほどと違ってわたしの術式はもう回復している。ならばこのまま距離を取って迎え撃つ!)
(あいつは俺と違って中遠距離でも攻撃ができる。かと言って馬鹿正直に突っ込めばカウンターを喰らうだけ……)
だが、霧矢は先ほどの黒閃でより綿密な呪力操作と、結界術の高度な運用を可能にしていた。
(初めてです。わたしがここまで追い詰められたのは! 最後の手段を使うしかありませんね)
(もうこの手段しかない。一か八か、これで決めるしかない!)
(おそらくあちらは先ほどの速さと同等か、それ以上で向かってくる。加えて先ほどの攻撃でわたしは随分痛手を負った。ならば……)
(あいつは動けない。よって俺を近づけて確実に殺すために至近距離で技を打ってくる。だから……)
呪霊と霧矢の思惑は奇しくも一致する。
⦅一撃必殺! 攻撃を喰らう前に最大火力で叩き潰す! ⦆
刹那、霧矢は目にも止まらない速さで駆ける! 呪霊が気づいた時にはすでに目の前にいた。
だが、
(そうくることはわかっていました! だからこれを準備しておいた)
「これで終わりです! 『
『地雷風』……地面の下の空気を圧縮し、敵がその上を通った時と同時に爆発させる呪霊の拡張術式
それを呪霊は自身の目の前に設置し、霧矢が駆け出した瞬間に発動させた。
ノータイムで爆発するその地雷は避けることが不可能であり、領域を用いずとも必中必殺の一撃。
それによって霧矢は倒れる……はずだった。
(っ!? ……いない! 一体どこへ……っ!)
「『黒閃!』」
霧矢の拳が呪霊の背中に突き刺さった。
「なっ……! いつの間に後ろにっ!」
呪霊の取った判断は決して間違っていなかった。霧矢があのまま真っ直ぐに突っ込んで来れば、間違いなく霧矢は致命傷を負っていただろう。
どれだけ速くとも、ノータイムで発動する『地雷風』の回避には間に合わない。
ならばどうするか、霧矢はそれを『空間転移』によって切り抜けた。
現在自分がいる位置と呪霊の半歩後ろの位置の座標を入れ替えるという高度な結界術の運用方法。
本来呪符等を利用して座標の指定を必要とするがここは霧矢の領域内。座標の指定は容易である。
それによって彼は呪霊の後ろに移動して背後から攻撃をすることに成功した。
二度目の黒閃、霧矢のボルテージが上がる。
(もう止まらない! 掌印どころか呪印すら描かせない! あの時みたいなヘマはしない!)
「『黒閃!』」
「ガハッ!」
三度目の黒い火花が散る。
これにより霧矢は反転術式の使用を再開。加えてアウトプットを可能にした。
正のエネルギーをまとった必殺の一撃が呪霊の身体を打ち抜く。
「『黒閃!』」
「ガハッ……!? こんな……はずでは……」
四度目の黒い火花が散る。それと同時に呪霊は塵へと化し、直後、霧矢の領域は崩壊した。
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呪術高専東京校の医務室にて。そこには霧矢の目覚めを待つ同級生2人と元担任がいた。
「あ、起きた。おはよう霧矢〜」
「よっ」
「おはよう霧ちゃん!」
「ん……五条先生……? それに金次と綺羅羅……?」
(確か俺は……特級呪霊と戦って、それで……)
「先生、俺何日寝てましたか?」
「そんなに寝てないよ。2日と少しくらいかな?」
「霧ちゃん良かったよ〜。心配したんだよ?」
「そんなにか? 運ばれてきた時はほとんど傷治ってたぞ?」
「金ちゃん、霧ちゃんが傷負って帰ってきたの見たことある?」
「……ほとんどねえかも……」
「でしょ? それくらい相手は強かったってワケ! わかってないなあ金ちゃんは」
「うぐっ……でも霧矢が負傷するくらいの呪霊だろ? てことは特級じゃねえか」
どうなの五条先生。と金次は五条先生を見る。
「まあそうだね〜。霧矢が戦った呪霊は未登録の特級呪霊。残穢と破壊規模から推測するに『嵐』への畏怖から生まれた呪霊って感じかな」
「嵐……だから風を自在に操っていたのか……」
「それに加えて領域も使ってくるときた。特級呪霊でもかなり上澄の方だよ」
「そんなに強いのを霧ちゃんは祓ったの!? スゴイじゃん!」
「そう! だからよく頑張ったね霧矢。お疲れ様」
そう言って五条先生は俺の頭を撫でてきた。
「先生。俺、領域展開できるようになりましたよ」
「マジかよ!?」
「マジマジ、大マジだよ金次」
「スゴイじゃん! じゃあさ、お祝いしよっ!」
「お、いいねえ〜ならここはグッドルッキングガイの五条先生が奢って煎じよう〜」
そう言って2人で盛り上がる綺羅羅と五条先生。金次も楽しそうだ。
『失礼しまーす』
「霧矢〜、大丈夫か〜? お見舞い品買ってきたぞ〜」
「おかか」
「あ、霧矢先輩。目が覚めたんですね! おはようございます!」
「おはよう霧矢。もう怪我治ったのか?」
それぞれ挨拶をしながら入ってきたのは1年生の4人組。
「おはようパンダ、棘、憂太、真希。もう怪我はほとんど治ってるよ。お見舞いありがとう」
「それよりあの2人はなんで盛り上がってるんだ?」
「俺が領域展開できるようになったからさ、五条先生の奢りで焼肉連れてってくれるらしい。4人も来る?」
『
「だそうですよ五条先生〜。この際みんなで行きませんか?」
「仕方ないなあ……硝子〜、もう霧矢動いてもいい?」
「別にいいよ。それより五条、私も焼肉行く。もちろん五条の奢りな」
そう硝子さんが言うと五条先生はうんうん唸りながらも渋々オッケーを出した。
ちなみに行ったのは叙◯苑。五条先生の財布はすっからかんになったそうだ。
次回、天与呪縛編最終回。多分、きっとめいびー
【改加演築の補足】
術式効果の一つに相手の情報を改変とありますが、これにはかなりの制限があります。
まず、呪力操作及び術式に関しては一切改変することができません。
原作の日車vs虎杖戦で術式・呪力操作の剥奪は術師にとって致命的と言われていたからですね。
術式が改変されたり、呪力操作の精度が改変されてしまったら相手はまともに戦えなくなります。よってこれは問答無用で必殺効果に該当します。
次に『その場から自分で動くことができなくなる』というプログラムですが、これはあくまで相手を拘束するだけであって何かしら攻撃を与えるわけではありません。
なんなら簡易領域等でいくらでも対策はできますし、術式の使用も普通に可能です。
ですからこれは必殺効果には該当しないというわけです。
そしてこれは呪霊限定ですが、呪霊の呪力を正のエネルギー、反転術式で使用する呪力に改変することは出来ません。(術師などの人間相手は可能です)
これの理由は言わずもがな、呪霊相手には必殺だからですね。必殺効果が付与されていないので相手にとって必殺になる改変は自動的に出来ないようになってます。
じゃあなんで必殺効果を付与しなかったのこの三輪の兄貴はって考えられると思うんですけど、
というのもこの領域、本来霧矢程度の呪力量じゃ、どうあがいても展開できないんですよね。
まあ簡単に言ってしまえば領域内でのみ発動する『超人』、構築したプログラムか自身のイメージかという違いはあれどほとんど一緒なわけです。
しかも本家と違って自分のメンタルに左右されないというものですね。
そこまで強い効果を持っているならそれを使用するために莫大な呪力量を消費する。というものがないと本来は釣り合わないと思うんですよね。(え?高羽?あれはまあバグみたいなもんだから…)
ですが霧矢の呪力量はそこまで多いわけではありません。なので必殺効果を付与しないことで領域展開に使う呪力量を減らしました。
ですから色々と制限のついた領域になってしまったわけですね。うん、不便だね(小並感)