元自衛隊員、学園都市で教師になる 〜今を生きる者のアリア編 作:風間しんや
第十話
それから2日後
「さてみんな、ついに計画も最終段階だ、彼女達の肉体維持のための方法が分かったわけだし、これでもう一つの目標に挑戦できる」
先生はそう告げる
もう一つの目標――それは
「彼女達を本物のキヴォトス人にする」
アマリア達は人工的に作られた存在、そのため肉体の維持のために調整が必要だったが、もし本物の、調整も要らないそんな存在になれればどうだろうか、そんな体になれば調整も必要なく自由に生きることができる
それが先生の考えだった、無論それへの反論者はいなかった
「隊長……信也先生、それでしたら何名かの生徒さんにDNAの提供を求めます、主に髪の毛、唾液、血液それらがあればキヴォトス人の組織構造などを解析できます」
と榊 原は言う、それに先生は尋ねる
「それは無論、研究のために使うな?」
静かながらも圧のある言い方だった
「はい、決して他の用途での使用は致しません」
榊 原は真剣に答える
その質問の意図が分からなかったセリナは言う
「先生、榊 原さんはそんな人ではないです!」
と他の生徒も文句を言いそうになるが、
「これは日本とキヴォトスでの取り決めだからな、もちろん、僕も榊 原を疑っているわけじゃないが、そういう決まりなんだ、分かってくれ」
と先生は告げる
その意味が分かった者がいたわけではないが、少なくとも榊 原を疑っている訳ではないことだけは伝わった
最後の計画が始まった時 それは現れた
ある日の朝シャーレで朝食を摂っていた先生、すると執務室の扉を勢いよく開けて入ってくる人物がいる
「黒服?どうしたこんな朝から」
と少し面倒くさそうに言う先生
すると黒服は顔を上げて言う
「フランシスが動き始めました!」
それを聞き先生は驚く
「奴が!今度は何を」
そう尋ねると黒服はテレビを着ける
ちょうど何やら中継を行っていたようだ
「現在、ゲヘナ自治区上空です、見てください、突如として現れた謎の敵の集団はゲヘナ自治区へ攻撃を行なっております!風紀委員会が総力を挙げて対応しておりますが果たして大丈夫なのでしょうか!?」
それを見ていた先生、彼は静かに告げた
「行くぞ」
ゲヘナ自治区戦闘区域
ゲヘナ風紀委員会は今、その謎の敵と交戦していた
「全員気を抜かないで攻撃を続けて」
風紀委員会委員長――ヒナは委員へそう告げる
風紀委員会の持てる全ての戦力を動員しての対応だが敵が敵だった
「敵、尚も進撃!足止めできません!」
生徒の一人が叫ぶ
攻撃しても増える敵の数へのさらなる対処にヒナが考え始めた頃
その敵の集団に直撃ながらも高威力の攻撃が当たる
ヒナが驚いているとヘリのローター音とキャタピラの走行音がする
その方向を見ると〝そこにいた〟
「ヒナ!待たせてごめん!」
その声が聞こえヒナは安堵する
「先生……」
そうヒナがこぼしていると先生は先頭の74式戦車(改)から降りてくる、そしてその後方から付いてきていたアビドス対策委員会も続いて来る
「状況は?」
先生が尋ねるとヒナはハッとして戦場の方を見る
「謎の敵と交戦しているけど動きを抑えるのが手一杯」
ヒナの報告を聞き、先生は頷く
「分かった……風紀委員会は後方で補給を」
先生がそう告げると、ヒナは頷き風紀委員を下げる
先生は無線を掴み、口を開く
「各車各機、攻撃用意……撃て!」
短く告げられた指示、その短さでは指示できないほどの攻撃が放たれる
74式戦車(改)3両、雨雲号3機からなるその砲弾とミサイルの雨はその敵へ降りかかる
その威力は計り知れなく一瞬にしてその敵の集団の姿は見えなくなる
「…………」
先生は静かにそれを見ていた
しかし
「……!、全車後退!」
そう叫んだ時には遅かった
黒煙の中から金切り声のような声が響き窓ガラスが割れ、先生達は耳を塞ぐ
その間に前線にいた隊員達は銃撃や爆発に巻き込まれる
その光景に呆気にとられていた先生
「……!?」
言葉を失っていると
そこにはフランシスがいた
「フランシス!」
拳を握りしめる先生、しかしそれを自制する
「なにやら、
「……っ!!」
「貴様の国では物にも魂が宿る、などと馬鹿げた考えを持っているようだが……馬鹿らしい。殺戮兵器が感情など持つはずがない」
その言葉に体が動きかける先生だが、それをホシノが止める
「っフ、生徒に止められるとはな」
とフランシスは言うと
「さて、我は帰らせてもらう」
そう言い残すとフランシス、そしてその敵は姿を消す。
直後、先生の胸元の無線から通信が入る
「…………小……隊長……報…………告、します…………負傷者……多数…………行動可能な物は無く…………死亡者はなし…………以上です」
途切れ途切れの中入ってきた通信は被害報告だったがあの攻撃に相応しない被害だった
それを聞いて対策委員会は顔を少し明るくするが、先生はまだ怒りに満ちていた