元自衛隊員、学園都市で教師になる  〜今を生きる者のアリア編   作:風間しんや

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第十一話

第十一話

サンクトゥム・タワー会議室

「では、先の戦闘での被害報告から」

 先生は端末を片手に告げる

 

[ゲヘナ風紀委員数名に怪我人

 

自衛隊員負傷者多数

 

自衛隊使用兵器多数大破

 

その他ゲヘナ自治区内の建物損傷、倒壊]

 

 その被害は先のヴァルグラント連邦との戦闘時に比べれば比較的小さい被害であったが

 

「自衛隊員負傷者多数」

 

 生徒の代わりに前線に出た自衛隊が被害を被った

 これは少し場に衝撃を与えていた

「現在、隊員は手当てを受けているが、本土からの追加要員、追加補給無しでは次の敵襲来に対応は厳しいものとなる、元から戦闘なんて想定していないからこの程度の被害で済んだのが幸運なくらいだ」

 と先生は告げる

「日本からの追加要員はいつ頃到着予定ですか?」

 ユウカは尋ねる

「およそ7日後、いつでも出動できるよう待機させてはいるが、こう何度も部下を動かすとなると上に怒られるかもな」

 と先生は少し苦笑いしながら言う

「そうなってくると、つまり」

「私達くらい……ってこと?」

 誰かがつぶやく

 それに先生は渋い顔になる

 

 

 その頃日本本土

「小隊長が俺等をお呼びだってのに!」

「出撃禁止令なんて無視して行きましょうよ!」

 隊員が叫ぶ

「今は気を抑えろ!仕方あるまい、政府とキヴォトス間での取り決め上そう何度も自衛隊が入ると各国がうるさいんだ」

 今にも飛び出しそうな隊員を静止させるのは臨時小隊長を務める白石だった

「ですが!」

 と別の隊員が声を張り上げるが

「少しは静かにしてろっ!」

 と白石が振り向くと同時に隊員達は逃げ去る

 

 そんな事が起こっているとも知らずにいるキヴォトスにて

「それで……黒服、フランシスの出してきたアレについて何か分かったか?」

  先頭の席に座る先生はその斜め右の席に座る黒服へ尋ねる

「分かりません」

 と黒服は答える

「……そうか」

 と先生が言うと、黒服は口を開く

「……ですが、あの姿……見間違えでなければ…………」

 と言う黒服の言葉にその場の一同が視線を向ける

 

 

 

「ベアトリーチェ……に見えました」

 

 

 

 その言葉に一部の者は同様する

「奴が!?だが…奴はもういないんじゃ!!」

 先生が声を荒げて言う

「……私もその場で彼女が消えるのを目撃していますから、彼女がここにいるというのを不思議に思いましたよ……」

「不思議なものです、存在していること自体がおかしいというのに」

 と黒服も自身で口にしながらも、疑問があるようだった 

「……しかし、ベアトリーチェがフランシスと手を組んだのか……」

先生が言うとリンが

「それはあまりよろしくない状況なのでは?」

 と呟くが

「だが一つだけ予測はつく」

 と先生は言葉を紡ぐ

「奴、または〝奴ら〟の目的はおそらくキヴォトスの崩壊かまたは【色彩】だ、となれば護るところは分かりやすい…………」

 と先生は語りながら会議室の電気を消し遮光カーテンを広げる

 そして会議室の中央にあるリンや黒服が座っているテーブルにDU地区のホログラムが映る

「ま、おおよそだが…………」

 と先生は指差し棒でDU地区の中央にそびえ立つそれを指す

「ここサンクトゥム・タワーだ」

 それに一同が驚くがリンは

「確かにここの制圧はキヴォトス全体の制圧のそれと同じ意味を持ちますが……再度戦闘となれば保つかは……」

 DU地区は先の戦争で最も激戦区となった都市だ、いまだに工事が行われており、まさに復興途中であった

「何よりも先の一件からだいぶ経つけど各学園の戦力も疎ら(まば)よ、この前の総力戦みたいなのは厳しいと思うわ」

 とヒナも資料を見ながら言う

 ゲヘナは何よりもついさっきまで戦っており疲弊している、それに加え戦争による疲労も相まってか今キヴォトスはいつにも比べて平和であり静かだった

 静かなことはシャーレにも各学園にもヴァルキューレ警察学校にとってもとても良いことではあるが、だが今はその静けさは不要と言える

「……となると短期決戦、あるいは」

 と先生が考え始めると

 

「何やらお困りのようですね?」

 全員がその声の方を見ると3人の生徒がいた

 その三人を見て先生は言う

「アマリア、セラフィナ、リラ!」

 元ヴァルグラント連邦の人工キヴォトス人――アマリア、セラフィナ、リラがいた

「あなたたち、病室で待機するように言ったでしょ!」

 とユウカは言うが

「散歩くらいは良いですよね?」

 とアマリアは答える

「もう回復はしてきたんだ……」

 と先生は呟く、それにアマリアとセラフィナは少し照れモジモジする

「「は、はい……」」

 返答も先程のユウカに答えた時とは打って変わってすこし弱々しかった

 

 場を仕切り直しアマリア達も加え再度ベアトリーチェの作戦会議を始める

「――以上が、敵および現在のキヴォトス全域の再編成状況だ、見ての通り非常に分が悪い」

先生はアマリア達に分かりやすく説明をしていた

「なるほど……」

 とアマリアが言うと

「けど、先生の隊員達で何とかならないの?」

 とセラフィナが尋ねる

「今、部下の大半が先の戦闘で怪我を負って動けない……しかもその半分は今、呼びたくても呼べない」

 と先生は少し詳細を濁しつつ言う

「……ってなると、私達が行くしかないわね」

 とアマリアが告げるとそれに一同は驚く

「あなた達本気ですか!?」

「先生は危険な道は絶対選ばないわ!」

 様々な声が飛ぶがアマリアとセラフィナは言う

「ええ、そうね……先生は危険な道は選ばない」

「だから私達はそれを信じるの」

 その二人から発せられた言葉はこれまでの彼女たちから出てくるような言葉ではなかった

「!!」

 それには先生も驚く

 が、少ししてその言葉の意味に気づく、自分がこれまで彼女たちに説いてきた〝あるべき姿〟

 

 そして彼女達は続ける

「怖くないわけじゃない」

「でも、それでも——」

 

「別に死にに行くわけじゃない、このキヴォトスに住む人たちを」

「守りたいから……」

 彼女達が放った言葉に自然と拍手が起こる

 彼女達の成長は大きかった、そしてそれはおそらく新たな〝大人〟への一歩であったとも言える

信也はただ、彼女たちを見ていた

 そして少しすると、自然と先生は涙を流した、それは自分の言葉が届いていたことにだ

それは、自分が信じたものが間違っていなかった証だった

 少し離れたところでアマリアの成長に感心していたサオリ、ふと先生へ視線を向けると泣きそうにしており、彼をそっと誰もいないところへ連れていき彼が泣き止むまで側にいた

  

 

 

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