元自衛隊員、学園都市で教師になる  〜今を生きる者のアリア編   作:風間しんや

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第十四話

第十四話

彼らの作戦は、狙い通りに成功した。

まず信也先生とアリウススクワッドが前面に立ち、敵を引きつける。

一定時間の交戦によって戦場を十分に荒らした後、戦力は意図的に二手へと分けられた。

信也先生の率いる部隊は混乱の隙を突いてベアトリーチェ・エコーの背後へ回り込み、

白石の部隊は正面から圧力をかけ続け、ユスティナ聖徒会の注意を引き受ける。

その結果、両者の間には無視できない距離が生まれ、

爆発によって崩落したビル群が、その隔たりを決定的なものとした。

ユスティナ聖徒会とベアトリーチェ・エコーは、完全に分断された。

 

その分断による影響は物理的に確認される

「白石先生!敵の動きが!」

カズサが叫んで告げる

白石が敵の動きを確認すると、ユスティナ聖徒会はまるで酔っ払いのような千鳥足になり命中率も先ほどよりも酷くなっていた 

「……敵へ一斉攻撃!一気に叩く!」

そう白石が叫ぶと彼、彼女らは「了解!」と応えた

 

 同時刻、ベアトリーチェ・エコーにも変化が訪れる

「先生、敵が!」

アマリアがそう叫ぶと先生はベアトリーチェ・エコーの前に違和感を感じる

 ユスティナ聖徒会と同じようにまるで幽霊のような姿をしたものが数体起き上がってきたのだ

「……っ!スクワッドのコピーか!サオリ、アマリア、セラフィナ、リラで対応を!」

 と先生が叫ぶと

「教官!」

 とアマリアが叫ぶ

 それに先生はアマリアのほうを見ると

「私たちに任せてください」

 アマリア、セラフィナ、リラの三人がそろって真剣な顔で言う

 先生は少しの間アマリアの目を見たあと、決心し告げる

「……分かった、だがアリスを上空援護に回す」

 と言うとアマリアは静かに頷き、その場を離れていくのだった

「アリス、空から三人の援護を」

 と先生が言い、アリスは「分かりました!」と答えた直後

「…………まぁ、不必要かもしれないがな」

 と付け足すのだった

 

 アマリア、セラフィナ、リラの三人はそれぞれ動く

 セラフィナを先頭にリラが続き、アマリアは直立でスコープを覗く

 セラフィナは一つの銃で約180度に展開する敵へ銃弾を当てていく

 しかしそれでもスクワッドのコピーの一体は突き進んでくる

 セラフィナはそれをクルリと避け、リラは引き金を引き攻撃を与える

 怯んだところにアマリアが数発の弾丸を撃ち込む

 スクワッドのコピーの1体が倒れるとアマリアはハンズフリーで告げる

「セラフィナ、リラは左右へ展開をアリスさんは私と二人の援護に」

セラフィナ、リラ:「了解!」

 アリス:「了解です!」

 アマリア達の対応は素早く一瞬のうちにスクワッドのコピー体は倒される

「次が来る前に攻撃を!」

 アマリアがそう告げると先生はすぐさま指示を出す

「全員攻撃開始っ!」

 一斉に攻撃が放たれ、その勢いにベアトリーチェ・エコーは怯む

「奴が怯んだっ!そのまま押し通せっ!」

 

 彼がそう叫んだ直後、「声」が響く

 

「コレハ「救済」デアル」

 

 その声には聞き覚えがあるが、しかし違和感のある声だった

「この声……」

「まさか……」

 アリウススクワッドにはとても聞き馴染みの声だった

「「マダム」……っ!」

 サオリがその名を口にする

 「コレハ「救済」デアル、救済ハ既ニ実行サレテイル」

 「反証ハ、許可サレナイ」

 その声に一同は固まる

先生はハッとしてハンズフリーで誰かに連絡を取る

「おい、どういうことだ黒服っ!」

 それをドローンの映像で確認していた黒服もどこか興味深そうな顔で見ていた

「私にもわかりませんが……先ほど申し上げたように、アレには彼女の残滓があります、それで自我を持った……と思われます」

信也は何も言わず通話を切り、ベアトリーチェ・エコーを睨む

すると信也が腕に抱えた「シッテムの箱」の電源が付く

「先生!ベアトリーチェ・エコーのエネルギーが増大しています!注意してください!」

 アロナが忠告をする、それに彼は

「分かった」

 とだけ答える

「全員、攻撃続行!」

 それを聞き、攻撃を再開するサオリたち

それにベアトリーチェ・エコーは

「邪魔ヲスルナ、救済ハ「選択」デハナイ、「必然」デアル」

 その言葉に信也は固まる

「(確かに、以前の発言と似ているな、だが、少し違うようにも感じる)」

 信也はそう考えながら指揮を取る

「火力を一点集中!」

 「エネルギーが増大しているということは、そのエネルギーでの誘爆も狙える!」

 それを聞き、彼女たちは「了解!」と答える

さらに攻撃が増す中、ベアトリーチェ・エコーは語り続ける

「恐レルナ。滅ビハ「優シイ」」

「痛ミハ過程。結果ハ安寧」

「抗ウホド、救イハ深イ」

 その言葉に全員が顔を顰める、しかし信也は叫ぶ

「とんだ宗教理念だな!」

「痛みは過程だが……お前のように消耗品のように扱うような痛みは違う!救済でも何でもない」

 しかし

「制度ハ「恐怖」ノ産物」

「救済ハ、恐怖ヲ要セズ」

言葉を発するたびにベアトリーチェ・エコーのヘイローが消えかかった電灯のようにノイズ混じりになる

信也:「制度が恐怖の産物……か、確かにそうだが制度は「枷」じゃない」

 そう言うと

「……「枷」ヲ必要トスル存在ガ、「自由」ヲ語ルナ」

「我ハ拘束サレナイ」

ベアトリーチェ・エコーは両腕を天に伸ばすように広げ、告げる

「故ニ、正シイ」

その言葉に信也は少し呆れる

「今になっても、そこにアリウスは含まれないか……」

先生はそう呟く

 

その言葉に、わずかな“間”が生まれた。

ベアトリーチェ・エコーのヘイローが、不規則に明滅する。

「……アリウス……」

思考にノイズが走る。

ベアトリーチェ・エコーの視線が、初めてアリウススクワッドへ向く。

「アリウスハ……失敗例……」

その瞬間、空気が凍る。

サオリが歯を食いしばる。

 

だが次の瞬間、声が歪む。

「否定……否定……訂正……」

ヘイローが激しくノイズを走らせる。

「救済対象……含有……率……上昇……」

「矛盾……発生……」

ベアトリーチェ・エコーは頭部を押さえるように片手を当てる。

「我ハ……正シイ」

「……正シク……在ラネバ……」

信也は静かに言う。

「お前は“救済”を語るくせに、誰も見ていない」

「数字と理屈でしか、選別していない」

「それは救いじゃない。ただの切り捨てだ」

その言葉にソレは沈黙する。

次の瞬間――

エネルギーが爆発的に跳ね上がる。

「矛盾ヲ排除スル」

「選別ヲ開始スル」

上空の空間が歪み、巨大な光輪が形成される。

アロナが叫ぶ。

「先生!高密度収束反応!広域殲滅型です!」

信也は叫ぶ。

「散開!だが退くな!ここで止める!」

ベアトリーチェ・エコーは静かに告げる。

「救済ハ、拒否サレナイ」

だがその声の奥に――

ほんのわずかに震えが混じっていた。

 

 

 

 

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