元自衛隊員、学園都市で教師になる  〜今を生きる者のアリア編   作:風間しんや

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第十七話

第十七話

 

 翌日

シャーレオフィス 自習室

臨時拠点として使われているシャーレで、執務室が連邦生徒会が使用しているため、信也と白石は自習室で彼らなりの草案を考えていた

夜通し考えていたからか二人の顔にはクマができ、白石については上体を逸らしながら眠りについていた

 その横で重い瞼を何とか開けてユウカと話す信也

「これはっ……!」

 ユウカはその草案に驚く

直後、先生はバタンと机に突っ伏して眠ってしまった

 

 その日の昼下がり

 シャーレオフィス 教室

そこにはキヴォトスにある全学園の代表生徒が集まっていた

その場で、信也の言葉に生徒の一人が首を傾げる

「形式的学園……?」

 信也は頷く

「ああ、名称は「ユニオン学園」」

 その言葉に、その場の空気がわずかに張る

そこに白石が補足する

「形式的学園、要は「平時」には実体を持たず、しかし非常時に限り、キヴォトス全学園を「一つのクラス」として統合するものです」

「統合……つまり中央集権化ですか?」

 別の生徒が鋭く言う

「恒常的なものではないよ」

 信也が即座に否定する

「発動は限定的、連邦生徒会及び連邦捜査部シャーレが機能不全に陥った場合、または3学園以上が共同で「非常事態」を宣言した場合のみ」

そう信也が説明する中、白石が端末の資料を投影する

 

《発動期間:原則72時間》

《延長には代表会議過半数の承認が必要》

 

「歯止めもある」

と信也は言う

「無制限の権力じゃない」

 

 そう言った後、反対の声が上がる

「ですが」

「非常時の指揮権が事前に選定された学園に移る。これは序列を生んでしまいます」

その発言の後、沈黙が流れる

指摘は正しかった 

 

 白石が静かに告げる

「序列ではありません。「適正」です。

「医療に強い学園」、「軍事に強い学園」、「情報戦に強い学園」。それぞれ「役割」が違います。」

 そう言うも

「それでも、“上”とみなされるのでは?」

「みなされるだろうな。だが、「見なされることを恐れて、何も決めない方が危険」だ」

 信也が言う

 

 白石は次のスライドを映す

 

《人工キヴォトス人特例条項》

 

 「先の戦争で保護した「3名」の身分問題も、この枠組みで解決可能だ」

 「無国籍問題ですね」

 と説明に納得する生徒

「ああ、「ユニオン学園所属」という形式を与えることで、「居住」・「教育」・「医療」を保障。ただし「無制限移動」は認めないものとする。一定期間ごとの審査制により可能とする」

 

「自由でもありませんが、かといって拘束でもない……ということですね」

 とユウカが補足する

 

 「そうだ、これは保護と責任の均衡なんだ」

 と彼が言うと何かを言いかけた生徒たちは口を閉じる

 

 「そしてだが……指名手配生徒……例えば、「七囚人」彼女たちも書類上、登録される」

 それにざわめきが起こる

「犯罪者も“クラスメイト”にするんですか!?」

 それはごもっともな質問だった、しかし

「「書類上」は、な?」

「排除もしませんが、かといって免責もしません。「有事」の際にどう動くかは本人たち次第です」

と白石が告げる、信也は立ったまま、ゆっくり視線を巡らせた。

「ユニオン学園は、学園を消す組織じゃない」

間を置く。

「枠を与える組織だ」

ざわめきが走る。

「風紀委員会があるから、街は無法地帯にならない。

それと同じだ」

腕を組んでいた代表が口を開く。

「だが、連邦に準ずる機関を置くということは……主権の一部を預けるということだ。そこまでの必要があるのか?」

信也は頷いた。

「必要になった」

その一言で、空気が固まる。

「今回の混乱は、誰かの悪意だけで起きたわけじゃない。

善意が、穴になった」

沈黙。

「だから俺たちは、穴を塞ぐ。

力でじゃない。構造で」

別の代表が机を叩く。

「だがそれは、統制だ。将来、牙をむく可能性は?」

信也は少しだけ笑った。

「牙を持たない制度は、誰も守れない。だが牙だけの制度は、いずれ誰かを噛む」

視線を落とし、続ける。

「七囚人も、クラスメイトだ」

ざわめきが変わる。

「排除は簡単だ。だがそれでは、同じことを繰り返す」

窓の外で、鉄骨が打ち込まれる音が鳴る。

「1945年以降、人類は“話し合う”と決めたらしい」

一瞬の静寂。

「それが正解かどうかは知らない。だが俺たちは、その延長線上にいる」

机に置かれた資料を軽く叩く。

「発動条件は明文化する。監査も置く。連邦生徒会は絶対権力にならない」

反対していた代表が、ゆっくり息を吐く。

「……歯止めをかけられるなら、私は反対しない」

数秒の沈黙。

議長が確認する。

「ユニオン学園構想――条件付きで承認。異議は?」

誰も手を挙げない。

ハンマーが鳴る。

その音に重なるように、外でクレーンが唸る。

街はまだ未完成だ。

「はぁ〜長かった……」

彼は会議の終わり際そう呟いた

 




オマケ

ユニオン学園

虚妄のサンクトゥム攻略戦、ヴァルグラント連邦国との戦争などを経験したキヴォトスはそこからある欠点を導き出した。
その欠点は各学園間の連絡ネットワークの脆弱性、緊急時の団結力の欠如であった
これを連邦生徒会、連邦捜査部シャーレは早期的に解決するべき問題とし、即席で構築でき、且つ先の戦争にて保護した元人工キヴォトス人3名のキヴォトスにおける身分の保護が可能な法的措置としてこれまでに類を見ない「形式的学園」と言う括りとして

ユニオン学園

を制定した、ユニオン学園はキヴォトスにある全ての学園およびその自治区を「1つのクラス」とし平常時ではなく非常時にその効力を発揮する
超法規的組織としてある連邦捜査部シャーレ以上の権力があり
緊急時シャーレまたは連邦生徒会がその力を発揮できない場合臨時としてあらかじめ決められた学園が指揮権を行使し、その脅威に対応可能である
また、ユニオン学園における特例として人工キヴォトス人は所属する学園であればどこにでも行くことが可能であるが何度も行き来できるわけではなくあくまで一時的な措置としてこれが適用されている
またユニオン学園にはキヴォトスにて指名手配されている生徒も書類上登録されているが犯罪者と言う扱いとなる


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