元自衛隊員、学園都市で教師になる  〜今を生きる者のアリア編   作:風間しんや

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第九話

第九話

ミレニアム 人工キヴォトス人調整施設

「私達に用事があるという話でしたが、何ですか?」

 アマリアは尋ねる

「隊長……信也先生が不在ですがあなた達の一刻を争うため簡潔に説明します」

 榊 原は端末を片手に説明をする

 「あなた達の肉体維持のための調整を行います」

そう言われるとアマリア達はハッとする

「あなた達のために労力を結集して作り上げました、みんなあなた達を想って作りました」

 と彼女が言うと榊 原の背後に控えていた救護騎士団、救急医学部そして他の生徒達は頷く

「…………」

 それにアマリアは泣きそうになるもこらえ「ありがとうございます」と答える

 それを聞くと榊 原は手を動かし「こちらへ」とアマリア達を招く

 アマリアたちは仕切り板の向こうで衣服を外し、

調整液が満たされた円筒型の機器へとゆっくり身を沈めた。

透明な液体が肌を包み、心音だけが静かに響く。

潜る前、リラは隣のセラフィナに「苦しくない?」と尋ねたが、

セラフィナは微笑みながら「大丈夫」と短く答えた。

 

 彼女達が調整機器に入ると全員が所定の場所に着く

「ではこれより〝オペ〟を行います」

 榊 原はそう告げた

 それに呼応し生徒達が機器を操作する

「第一次薬剤パイプ注入開始します」

「酸素濃度、規定値を維持」

 救急医学部、救護騎士団の生徒達の声が矢継ぎ早に聞こえる中

榊 原も指示を飛ばす

「患者のバイタルは常に警戒を、異常が確認された場合は報告とマニュアルによる対応を」

 その中でも生徒達の声が届く

「薬品、患者への浸透率9パーセント、バイタル正常」

 順調に進むオペ、

 

 それを受ける中アマリアは思う

「(みんな……私達の事を)」

 そこに先生の言葉がよぎる

『…………アビドスの皆がどう思っているのかわからないけど……彼女達も他の皆も苦労してここまでやってきたんだ、その〝痛み〟、〝苦しみ〟が分かるから、それを背負うアマリアを助けたんじゃないかな』

 そう、みんなが皆いろんな嫌なことを経験して、背負ってきた

 それが分かるからこうして力を尽くしてくれる

「(私達も……背負えるのかな……)」

 

「第三次薬剤パイプ接続、注入開始!」

 生徒達は尚も報告を続けていた

 

 そこまでは――

 

 

「患者3名バイタル維持…………待ってください!No.2――セラフィナさんのバイタル異常!」

「No.2、機器内の酸素濃度規定値を下回っています!」

「No.2、直結の酸素パイプに損傷確認!」

「セラフィナ本人からの呼吸拒絶も確認!」

 矢継ぎ早に告げられた事実は場を凍らせる

「機器だけでなく本人も……!」

 榊 原は驚くがすぐに指示を飛ばす

「No.2オペ緊急停止、患者の排出急いで!医療班、待機!」

 榊 原がそう告げると待機していた救護騎士団と救急医学部の医療班が出てくる

 調整機器から排出されたセラフィナは咳き込む

「ゲホッゲホッ」

 医療班は急いで彼女を担架に載せていく

 

「続けますか?」

 とユウカは榊 原へ尋ねる

「……仕方ありません、No.2以外のオペ続行、以降No.1、No.3のバイタル異常および調整機器の異常が確認された場合全てのオペを強制停止とします」

 榊 原はそう告げる

「エンジニア部に早急の修理を伝えてきます」

 とユウカは告げてその場を去る

 その後は問題なくオペは完了した

 

 数時間後

ミレニアム自治区内病院

 先生はある病室を訪れていた

 その病室のベッドにはセラフィナがいた

「……あ、先生」

 セラフィナは何事もなかったかのように言うが先生はどこか悲しそうな顔をしていた

 しかしセラフィナはそんな事をお構いなく言う

「いや〜まさか呼吸ができるなんて思わなかったなぁ、危うく死にかけましたよ」

 と彼女は笑って言うが先生はさらに悲しい顔をする

「……セラフィナ」

 震えたような声で言う先生にセラフィナはまるで見かねて言う

「……どうせいつかは死ぬんです、私達はそれが普通よりも早いだけ、そんな人の死を、それも他人の死を悲しむなんて、あなた一体何なんですか?」

 それは極普通の質問にも思えた

 

 人はいつかは死ぬ、それならばなぜ延命処置や手術などをするのか

 

 その答えは複数あるが先生はこう答える

「君は、君達はまだ子供だ……未来があるそんな君達を殺したくはないし、殺させない」

先生はそう告げた、しかし

「何をふざけたことを言っているんですか!」

「未来?」

セラフィナは吐き捨てるように言う。

「そんなもの、私達にはありません」

「私達はただ戦うために作られただけです」

「戦場で死ぬか、使えなくなったら処分されるか」

そこで初めて声が揺れる。

「それなのに……」

「希望なんて……持てるわけないじゃないですか……!」

 

 するとセラフィナは涙をこぼす

「なん……で……」

彼女は自分の頬に触れる。

「なんで……私……泣いて……」

 するとセラフィナを優しく何かが抱きしめる

「……ごめんね、」

 と先生も涙を浮かべて呟く

 それにセラフィナも耐えきれなくなり先生を力強く抱きしめ、声を上げて泣いた

 

 翌日、調整機器の修理が終わり再度セラフィナの調整が始まる、彼女も少し顔色が良くなり進むようにその調整液へと体を浸した 

 

 

 

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