「ありがとうございました〜」
気の抜けた挨拶をして客を捌いていくただいまの時刻13時半。俺はまだ一端の学生だから土日しかアルバイトをする時間がない。だからこうやって近場のファミレスで働いている。ここは意外と時給が高くておいしい。知り合いが来る可能性を考慮してもここ一択だ。
「ったく、今日はいつにも増して人が多いな…」
だが今日はいつにも増して異常だった。たまにあるんだ部活終わりの学生がちょくちょく来ることが。どこの席も学生の団体が騒いでてうざい。おいそこ他の席にいくな。てか知り合いなら近くにいとけよ。
正直今の俺はいつも以上の人を相手していて疲れていたと思う。思っていた以上に厨房まで行って戻るのに体力を削がれ、学生たちの異常な騒ぎに身も心も辟易していたんだろう。
だからだろうか?
男子学生たちが出て行ってしばらくした後。
カランカラン
「いらっしゃ____」
俺は客の1人から目が離せなかった。物静かそうで清楚の塊みたいな、銀髪が歩くたびに靡いて綺麗だった。ほかの周りにいた女子たちには目も暮れず失礼と分かりながらも体が動かなかった。
自分の体温が上がるのがわかる。
ありがちで、嘘みたいで、自分には一生かかっても起こることのないことだと思っていたことが今、起きた。
所謂、___一目惚れというやつなのだろう…
「おーい白楽、案内頼む〜」
「っ、はい!」
いけないいけない。今はバイト中、働かないとクビになってしまう。高校生には金がいるのだ。
俺はなるべく平静を装いながら今入ってきた女子高生の所に向かった。
「いらっしゃいませ〜あちらの席にお座りください」
「あ!ありがとうございまーす!」
1番元気そうな金髪の子が返事を返してくれた。てかよく見ると全員顔面偏差値高すぎだろなんだそれ俺にも少し分けてくれ。
「あのー、なんか付いてます?」
「あぁいえいえ、その服、月の森女子学園の生徒さんですよね?」
危ねぇぇぇぇ!平静を装ってすぐこれか?!馬鹿か!流石に不審者が過ぎるぞ白楽葵!
「いやーこういうお店初めてで。やっぱ珍しいですか?」
「まぁここまで来る人はいないでしょ」
横にいたツインテールの子がツッコミを入れてた。まぁ確かにこの店から月の森まで結構な距離があった筈だから本当に珍しい。
「っと失礼しました。こちらへどうぞ」
立たせたままだったから案内して一言。
「ご注文がお決まりになったらそこのベルを鳴らしになってください」
俺は早足でその場を去った。今も店の中には客がいる。忙しくないわけでもない。けれど。
「どれ食べる〜?」
「わたしはカレーにしようかな!ましろちゃんは?」
ましろちゃんって言うんだ…
「やっぱ可愛いな」
「どうした?」
「いや!?なんでも?!」
「じゃあ私はこのパスタにしようかな…」
今日はつくしちゃんが『いいお店知ってるから食べに行こ!』って言われてこの店に来たけど店内の雰囲気も店員さんも優しそうで良かった。ここなら他のお店よりはマナーに気を巡らせなくてもいいかな?
「けど瑠唯も七深ちゃんも来れなくて残念だったな〜」
「まぁまぁ、あの2人分もあたしたちで楽しんじゃお!じゃあもう呼んじゃうねー!」
透子ちゃんがベルを鳴らしてすぐさっきの店員さんが来てくれた。
「ご注文はいかがなさいますか?」
「私はこのカレーライス!」
「あたしはこのハンバーグ!」
「あ、私はこの…パスタで」
店員さんは一泊置いて
「ありがとうございます、カレーライス、ハンバーグ定食、カルボナーラのパスタがお一つずつでよろしいですね」
「はーい!問題なしでーす」
〜十数分後〜
「お待たせいたしました〜カレーライスにハンバーグ定食でございまーすとそしてカルボナーラでございます」
そこに出されたカルボナーラを見て緊張の糸が切れてしまったようでグウーとなってしまった。
私は恥ずかしくて咄嗟に「すいませんっ」と謝ったが「お気になさらず」と言ってくれた。やっぱり優しいなと思いつつ、出されたカルボナーラに手をつけた。