ヨシタカは本来の自室でぐっすりと寝ている。私はリビングにいてもつまらないからという理由で散歩させてもらっている。家の鍵は空けておいてくれるとのことだ。この国はずいぶんと治安が良くて泥棒なんて、ほとんど入ってこないから本当はあまり鍵をかける必要すらないのだそうだ。
魔法で周囲に誰もいなことを確認し、久しぶりに空をとんでみる。
今度彼が仕事が休みの日、この世界のことを勉強させて貰う予定だ。
7000円近くチャージされたICカードがある。それで自由に買い物ができるだろうか?数字の概念は割とすんなり頭に入った。
ひらがなは全て頭に入ったから彼から借りたスマートフォンでどこに何があるのか検索が可能だ。有名なコンビニエンスストアの名前も彼から教えてもらった。
適当に何かおいしそうなものを買って彼を喜ばせてみようかな。私が成長すれば彼も喜ぶだろうし。
私はローソンというコンビニエンスストアに入って、適当にお菓子と飲み物を買ってみた。
交通系ICカードで決済を済ませて、ひっそりと家に帰る。
どれから食べようか迷ったあと、とりあえず緑茶を飲んでみることにした。
優しい渋みが口のなかに広がる。
その後にチョコレートを一つ食べてみた。
甘いけれど、彼とデートしたときに食べたケーキのほうが美味しい。それに一人で食べるのはなんだかさみしい気がした。
隣の部屋で健やかに寝ている彼の寝息に耳を傾けてみる。深く眠っているみたいね。
うん、やっぱり、封を切ってしまったチョコレートだけど残しておこう。一人で食べるのは寂しいから。
彼の本棚に漫画という本がある。少し見せてもらったけどふりがなが振ってあるから読みやすい。これを読ませてもらおう。
内容はずっと小さな星で、悪の侵略者と戦っていた少女のもとに、戦士と巫女がやってきて、悪を打ち払い、皆で平和に暮らしました。
という、非常に陳腐な内容なのだが、なぜか最後の話は心が温まるものがあった。
漫画を読み終わった私は何故か眠くなって、リビングで横になり意識を落とした。
どれくらいの意識を落としただろうか、どこからか「行って来ます」の声が聞こえて、目が冷めた。
気づいてみれば、彼が寝ていた布団で寝かされている。
カーテンを開けると外は夜で、時計の針は22時を回っていた。
私は体を起こして玄関に行ってみる。鍵がかけられていなかった。多分、私が自由に出られるように。彼の行動に甘えて玄関を出てみる。夜の空気を感じながら私の体は別のコンビニエンスストアを目指していた。彼と一緒に何を食べるのか考えながら。