透き通る世界の闇医者は人の呪い(現在 改訂の可能性あり) 作:宙は空である
ここから少しずつ、主人公の価値観が見えてくる話になります。
このマヒトは「善人になりたい」タイプではなく、 善悪よりも「長く、楽しく」を優先する性格です。人を助けることもありますが、それは必ずしも善意からとは限りません。 ちなみに根っこの部分は善よりなので、生徒を助ける行動は多々あります。
第1話〜第3話を読み返してみて、
マヒトが想定以上に「善人」に見えてしまう描写が多かったことに気づきました。
そのズレを、ここから少しずつ修正していくつもりです。
相変わらず駄文ですが、
温かい目で読んでいただけると幸いです。
―ブラックマーケット入口付近―
「おい、そこのお前、止まれよ」
路地裏に入った瞬間、後方から複数の足音、
カツアゲスケバン集団に囲まれた。
どうやら、ここはこいつらの狩場らしい。
「一応、日も沈んでるんだけどさ。君たち、退勤とかないの?」
「なに訳のわからねぇこと言ってんだ!
さっさと持ち金全部出せよ!」
数は大体十人弱、周囲の魂の感じからして伏兵はいないかな
正直、虫の魂を改造する技、長いから改造昆虫でいいや
改造昆虫は魂の燃費、呪力消費量ともに悪いからあまり交戦したくないんだけど、
さっきの実験がどれくらい意味を持つのか、試してみたくもあったし、
トントンかな
とりあえず隙を作るかな
「……わかったよ。ちょっと待ってて。今出すから」
そう言って、ポケットの中から大量の改造昆虫を取り出す。
「ほいっ」
スケバンに向かってそれらを投げる。
スケバン集団のちょうど中心あたりに来た時、
改造昆虫は事前に仕込んだ通りに膨張し、破裂した。
「っな!?」
改造昆虫の見た目は、非常に石に似ている。スケバンからしたらいきなり石が爆発したんだ、驚くよな。
こいつらの神秘をまとった攻撃は、俺にとってはかすっただけでも致命傷だ。
なら――攻撃させる前に潰せばいい。
そのための、隙。
「無為転変」
俺は次々とスケバンに触れ、行動不能にしていく。
同時に、ある命令を与えた改造昆虫たちをばらまく。
「っつ……!」
当然、正のエネルギーに触れた掌は焼けるように痛む。
だが、消失した魂は他の魂で補えばいい。
今すぐ気にするような損失ではない。
すると、一人のスケバンが声を飛ばす。
「おい! 離れろ!」
「あいつに触れられた奴らが気絶してる!
距離を取れ!」
うん。
これだけ数がいれば、頭が回るやつが一人くらいはいるよな。
俺は強めに踏み込むことで、地面を揺らす。
今までばらまいていた改造昆虫達には二度目の刺激で特定の形に変形するように作り変えている。
ズアッ
次の瞬間、改造昆虫達がスケバン生徒の行く手を阻むように乱立し、絡み合い、壁を形成していく。
「なっ!?」
壁がスケバンたちを包囲した。
「もう、距離は取れないね」
残ったスケバンに近づき、触れる。
無為転変。
気絶。
気絶。
気絶。
「ク、クソっ、化け物が!」
最後の一人がこちらに向かって銃を乱射する。
俺はそれをそばにあった電柱に手を伸ばし、つかむ。
伸ばし切った手をもとに戻すことで回避する。
「これで終わりかな」
手を戻すときに生じた勢いを使って、電柱を踏切板の代わりにする。
目標はもちろん最後の一人のスケバン
「ちょっと、まっ____」
スケバン生徒の顔にマヒトの手のひらが触れた。
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「……壁四枚に爆弾で五十六匹、か。
分かってたけど、燃費悪いね、コレ」
手に残った改造昆虫を、指先で転がす。下水道での試運転で分かっていたが、あまりにも魂の燃費が悪い。ついでに呪力消費量もバカ。今ので、全体の1割の呪力を消費した*1。
「改造人間なら、こうはならないんだろうけど……」
やれば、できる。一番簡単にできる。
なんなら、倒した生徒をそのまま利用しているから環境にもいいSDGsの達成だ*2。
だが、生徒を改造人間に変えた瞬間、
俺は世界の敵になる。
まぁ、そうなれば俺がこの世界で長く楽しむことはできなくなる。
天敵どもが討伐隊でも組んで、俺を駆除しに来るだろう。
……考えるだけで胃が痛い。
「やっぱ、魂の操作精度を上げるしかないか」
そのために、闇医者になる。
とはいえ。
「なんで、ただブラックマーケットに行くだけで戦闘になるんだ?
治安、悪すぎでしょ……」
出発前に持ってきていた改造昆虫は、八十匹ちょうど。
次、スケバン集団と接敵したら今回みたいにはいかない。
「……あんまり、やりたくないけど」
身体の形を、小さなコウモリへと変えていく。
自分を小さくするということは、
核を隠す場所を減らすということだ。
この状態で、生徒の流れ弾がたまたま俺にあたるなんてことが起きれば――即死。
「なるべく、目立たないルートで行こうか」
流石に、この状態で目立とうと思うような図太い精神は持ち合わせていないため、高度を出来るだけ高く、夜の色に溶け込むようにブラックマーケットの市街地へと飛び立った。
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しばらく飛んでいて分かったことだが、
「ブラックマーケット、マジでうるさいな」
一応、もうすでに良い子は寝る時間だ。
にもかかわらずこの町はいまだに自重を知らない。
ブラックマーケットだからいい子がいるわけないだろって?
うるさい
まぁ、悪いところばかりではない。
正直、今の状態から着陸するとなるとどうしても音が響くため、この喧噪はいいカモフラージュになるだろう。
先ほどから目をつけていた空き家、廃ビル、廃倉庫が乱立している地域に降り立つ。
「意外と見つからなかったね」
町の喧騒のおかげかな
「さぁて……根を張れそうな空き家、探しますか」
できれば診療所っぽい空き家がベストだが……。
「え? 不法占拠ですか?」
なんて声も聞こえてきそうだが、ここはブラックマーケットだ。
管理者がマネーロンダリング*3してるような場所に、
ルールも何もあるわけないだろう。
郷に入ったら郷に従えというやつだ。
そんなことを考えながら、空き家を内見していく。
最初に目についたのはいかにも診療所といいう見た目の場所だ。
他店の正面はガラス張りで、今は枯れてしまっているがもともとは観葉植物が置いてあったことが予想できる。
空き家なので、多少の汚れや傷もあるが、気にする範囲のものではない。
ここで闇医者を始めれば、素晴らしい歩み出しができるだろう。
だが、
「裏口、逃げ道がない……」
出入口が一つしかないこれは致命的な問題だ。
よって却下。
今回の家に俺が求めることは主に3つ。
1つ目は逃げ道があること。
2つ目は患者を寝かせるベッドがあること。治療は無為転変で行うため、医療器具は必要ない。
3つ目は空気がいいことだ。
呪霊になってから明確に居心地がいい場所と悪い場所が発生している。
しばらくの間、お世話になる場所だ。なるべく居心地がいいほうがいい。
目的に沿った家を探していく
6軒ぐらいに見て回った。
次で、7軒目だ。
「おっ、ここいいじゃん」
外装は空き家にしてはきれいな状態だろう。
室内は机と簡易的なベッドが置いてあった。
一件目の診療所っぽいところまでとはいかないが、かなり闇医者向きだろう。
裏口もある逃走にはもってこいだろう。
そして何より、
「空気がいいね」
おそらくここは何かいわくつきの場所なのだろう。
呪霊は負のエネルギーの集積であるため、人が恐れてる場所は必然的に居心地よく感じる。
そんなことを思いながら、内見を進めていくといかにもな畳の部屋があった。
部屋の真ん中には人形が置かれていた。
「ふーん、これは髪伸び人形?」
記憶が正しければこれはブルアカのレベルアップ素材、破損した髪伸び人形だろう。
まあ、多分こいつがここをいわく付き物件にした原因だろう。
空き家に不自然に置かれた人形、怪談話にはもってこいだ。
裏口、患者用のベッド、溜まった負の感情
「ほぼ完璧だろ」
まだ、電気つくかとか、水道とっているかとかは確認していないが、俺は呪霊だし関係ないかな。
看板になりそうな板を拾い上げ、
そこに「闇医者」と書き上げる。こういうのはシンプルに言ったほうがいいだろう。
「これを入口に立てかければ……準備OKだね」
そう言いながら、マヒトは上機嫌に入口へと向かった。
……いわく付き物件ならまず人来なくない?などの疑問は抱かずに
次の話からしばらく、オリジナルキャラクターが登場します。
ただし、この章限定のキャラで、
レギュラー化や原作キャラとの入れ替わりはありません。
あくまでマヒトの物語を動かすための存在ですので、
その点だけご了承いただけると助かります。
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