ダンジョンに炎柱がいるのは間違っているだろうか   作:kursk

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正義の代償

アストレア・ファミリアが闇派閥に対する攻勢を本格化させたのは、リューが加入して数か月が経った頃だった。

 

レベル4の杏寿郎、レベル3のアリーゼと輝夜を軸に、ライラ、ノイン、リューを含む他の団員の大半がレベル2に到達し、リューだけがまだレベル1――とはいえ、その実力はレベル2に匹敵するか、場面によっては凌駕していた。

ファミリア全体の戦力は、半年前とは比較にならない水準に達していた。

 

ライラがより積極的な攻勢に向けて動き出したのは、それだけ戦力が充実し、闇派閥主力と衝突しても十分に対処できると判断したからだった。

 

「団長。作戦会議をしたい」

 

ある夜、会議室に杏寿郎、アリーゼ、輝夜を集めたライラは、テーブルにオラリオの地図を広げて、口を開いた。

ランプの灯りが、地図に刺された赤い印を不吉に照らしている。

赤い印は、ライラの情報網が突き止めた、闇派閥の拠点の可能性のある場所だった。

 

「団長や輝夜はうすうす気が付いていたかもしれないが、これまでは、本当にやべーかもしれない拠点への踏み込みは、ガネーシャ・ファミリアに委ねてきた。正直に言って、戦力が足りなかったし、レベル1の団員が多いうちは、リスクが大きすぎた」

 

ライラの栗色の瞳が、地図の赤い点を一つずつ指で辿った。

ダイダロス通りの奥。廃倉庫群。地下水路の分岐点。

 

「でも今は違う。杏寿郎がレベル4、アリーゼと輝夜がレベル3。アタシも含めて、他もだいたいレベル2になった。今なら、危険なところにも、リスクをとって踏み込める。闇派閥の中規模拠点でさえ、制圧できるだけの力がある」

 

「……つまり、より積極的に闇派閥の本拠地への強制捜査をするってこと?」

 

アリーゼが確認した。碧い瞳が真剣だった。

 

「ああ、そうだ。情報の確度が高い場所から順に潰していく。ギルドやガネーシャ・ファミリアとの連携も取りつけてある。後ろ盾はあるぜ」

 

ライラはアリーゼを見つめ返しながら、淡々と続けた。

 

「ただし、覚悟はしておけ」

 

声のトーンが、一段落ちた。

 

「闇派閥の拠点ってのは、巡回で出くわすチンピラとは次元が違う。何が出てくるか分からねー。見たくないものを見ることになるかもしれない。正直、こんだけ戦力が充実してなかったら、アタシもやろうとは絶対に言わない。それくらい、やべーってことは肝に銘じておいてくれ」

 

短い沈黙があった。

会議室のランプの炎が、微かに揺れ、複雑な影を作った。

 

「やろう」

 

杏寿郎が言った。

迷いのない、明瞭な声だった。

炎の瞳が、地図の赤い点を見据えている。

 

「俺たちがここにいる理由は、弱き者を救け、正義を為すためだ。見たくないものから目を背けていては、守れるものも守れない」

 

輝夜が、無言で頷いた。

アリーゼも、拳を握り締めた。

 

こうして、アストレア・ファミリアの活動は、今まで以上に、暗黒期の闇に踏み込んでいった。

 

 

 

 

最初の数回は、空振りだった。

ライラの情報に基づいて踏み込んだ倉庫は、もぬけの殻だった。

闇派閥がいた気配――使い古された薬品の瓶、焦げた紙片、壁に刻まれた意味不明の印――は見つかるものの、人の姿はない。

情報が古すぎたのか、敵が先手を打って拠点を移動したのか。

 

「くそ、また空だ」

 

ライラが唇を噛んだ。

軍師としての矜持が、空振りのたびに軋んだ。

 

「焦るな、ライラ。情報を集めているのは、向こうも同じだ。根気比べだな!」

 

杏寿郎が励ました。

四度目の踏み込みも、結果は同じだった。

ダイダロス通りの奥深く、入り組んだ路地の果てにある廃屋。中は空っぽで、かすかに薬品の臭いだけが残っていた。

 

五度目。

北地区の外れの、地下水路へ続く隠し通路。

ライラの情報網の中でも、とりわけ確度の高い情報源から得た座標だった。

 

杏寿郎が先頭に立ち、炎を灯した刀で暗闇を裂いた。

石造りの階段を降りていく。水の匂い。黴の匂い。そして――もう一つ、別の匂いが混じっていた。

甘ったるい、鼻の奥に絡みつく、腐敗と薬品が混ざり合った臭気。

 

「……止まるな。進め」

 

杏寿郎の声が、低く響いた。

先頭を歩く杏寿郎の背中が、一瞬だけ強張った。

しかし、すぐに歩を進めた。止まれば、後ろの団員たちが不安になる。

団長が止まってはならない。

 

地下水路の一角に、粗末な木の扉があった。

扉の前で、杏寿郎は気配を探った。中に闇派閥の構成員がいるか。罠が仕掛けられていないか。

全集中の呼吸で感覚を研ぎ澄ませる。扉の向こうに、微かな呼吸音が――。

 

杏寿郎が蹴り開けた。

中を見た瞬間、アリーゼの呼吸が止まった。

部屋は狭かった。石壁に囲まれた、地下の一室。

湿った空気と、薬品と、血の匂いが充満していた。

 

部屋の隅に、小さな身体が横たわっていた。

幼い少女だった。

服は引き裂かれ、身体のあちこちに痣と傷が残っている。四肢は不自然な角度に折れ曲がり、爪の何枚かが剥がされていた。

 

瞳は半ば開いたまま、虚空を見つめていた。

もう、何も映していなかった。乾いた唇が、半ば開いている。

最期に何かを叫ぼうとしたのか。それとも、叫ぶ力すら残っていなかったのか。

石の床に広がった黒い染みは、かつて血だったものだ。すでに乾いて、壁の色に溶け込みかけていた。

 

アリーゼは、見なければよかったものを見てしまった。

少女の首に巻かれていた首輪の痕跡。繋いでいたのだ。まるで犬のように。

そして、少女の身体に残された痕跡の数々が、この子がどのような目に遭ったかを、残酷なまでに雄弁に物語っていた。

 

アリーゼの口から、声にならない声が漏れた。

碧い瞳が、限界まで見開かれている。

脚が震え、膝が笑った。

胃の中のものが、喉元までせり上がってきた。

壁に手をついて、必死に堪えた。

堪えなければならない。仲間の前で崩れるわけにはいかない。

でも、碧い瞳から零れ落ちる涙だけは止められなかった。

 

杏寿郎は、黙って少女の傍に跪き、自分の羽織をかぶせた。

せめて、これ以上誰の目にも触れさせないように。

それから、小さな身体を、丁寧に、壊れ物を扱うように抱き上げた。

炎の瞳は何も語らなかった。

ただ、きつく噛みしめられた唇からは、血が滲み出た。

 

別の部屋からは、麻薬漬けにされてぼろぼろになった母親と、その腕に抱かれた幼子が発見された。

母親の瞳の焦点は合わず、口元からは涎が垂れ、何を聞いても反応しなかった。

腕だけが幼子を抱き締め続けていた。意識がなくても、腕だけは子を放さなかった。

幼子だけが、細い声で泣いていた。

母に呼びかけるように。あるいは、応えてくれない母を責めるように。

その泣き声が、石壁に反響して、いつまでも消えなかった。

 

杏寿郎たちは、マリューによる簡単な治療の後に、少女の遺体と生きている親子を担いで、地下水路を後にした。

帰路、誰も口を開かなかった。

石畳を踏む足音だけが、夜のオラリオに響いていた。

 

 

 

それは、始まりに過ぎなかった。

ライラの情報をもとに、強制捜査を重ねるごとに、闇派閥の残した爪痕が次々と暴かれていった。

空振りは相変わらず多かったが、当たったときの光景は、そのたびに団員たちの心を削った。

 

ある突入では、闇派閥を掃討したあとで、鎖で壁に繋がれた子供たちを見つけた。

身寄りのない子供を攫い、闇市で売り捌くための「在庫」だった。

子供たちの目は、虚ろだった。助けに来た杏寿郎たちを見ても、怯えるだけで、声を上げることすらしなかった。

 

闇派閥に寝返った冒険者との戦闘も経験した。全員がレベル2の冒険者だった。

かつては、まっとうなファミリアに所属し、何らかの理由で道を踏み外した者たちだった。

 

「アストレア・ファミリアか……! 正義の味方気取りが!」

 

先頭の男が、短剣を抜いた。

目が血走っている。薬物の影響か、瞳孔が異様に開いていた。

 

杏寿郎は刀を抜かなかった。

レベル4の杏寿郎にとって、レベル2の敵は脅威ですらなかった。

 

「投降しろ。無駄な抵抗はやめろ。怪我をせずに済む」

 

杏寿郎の威圧が、廃倉庫の空気を震わせた。

しかし、男たちは投降の呼びかけに応じることなく、一斉に襲いかかってきた。

 

それは戦闘と呼べるようなものではなかった。

拳が振るわれるたびに、男たちの身体がくの字に折れ、次々に白目を剥いて崩れ落ちた。制圧は、十秒で終わった。

 

闇派閥との戦いの常として、戦闘そのものは問題にもならなかった。

しかし、倉庫の奥を調べたとき、アリーゼは膝から力が抜けそうになった。

奥の部屋には、大量の薬物と、それを精製する道具と、帳簿が残されていた。

帳簿には、取引の記録が克明に記されていた。

 

「少女 八歳 金髪 五十万ヴァリス」

「少年 六歳 褐色肌 三十万ヴァリス」

 

値段がつけられていた。子どもたちの命に――値段が。

 

アリーゼは帳簿を握りしめた。

紙が皺になるほど、強く。

碧い瞳に映った文字は、黒いインクのはずなのに、赤く見えた。

 

「アリーゼ。それはギルドに引き渡す証拠だぜ。……破るなよ」

 

ライラが、静かに声をかけた。

 

「……分かってるわ!」

 

アリーゼは帳簿をライラに渡した。

指が震えていた。

 

 

鎖で繋がれた子供たちが見つかった夜。

杏寿郎は団員を労い、温かい食事を用意させ、一人一人に声をかけてから、自室に戻った。

そして、誰にも見えない場所で、拳を壁に叩きつけた。

石壁に、赤い染みが滲んだ。

 

肉体の痛みなど、問題ではなかった。

耐えられないのは、救えなかった命の重さだった。

もっと早く動いていれば――。

あと一日早ければ――。

 

壁の染みを袖で拭い、何事もなかったかのように廊下に出た。

果てしない怒りを胸中に抑え込み、無理やりに笑顔を作った。団員たちの前では、常に笑顔でなければならない。

 

 

――だが。

杏寿郎が母との誓いや団長としての責任感をバネに、立ち直れたとしても、10代の多感な少女たちに、同じような対処ができるはずもなかった。

 

 

最も深く傷ついたのは、アリーゼだった。

 

あの幼い少女の遺体を見た夜から、アリーゼの笑顔が崩れた。

いつも通り笑おうとしても、笑顔から太陽のような明るい煌めきが消えた。

唇の形は同じなのに、碧い瞳の奥の光が、薄くなった。

それは、花が枯れる前に、まず色から褪せていくようなものだった。

 

実際――。

アリーゼは夜、眠れなくなった。

布団に入って目を閉じると、瞼の裏にあの少女の顔が浮かぶ。

半ば開いた瞳。乾いた唇。不自然に折れ曲がった指。首に巻かれた首輪の痕。

振り払おうとしても、映像は消えずにこびりつく。

 

朝が来ると、鏡の前に立って笑顔を作る練習をした。

碧い瞳を細めて、口角を上げて、いつもの明るい声を出す。

「おはよう!」と元気よく。「今日も頑張ろう!」と溌溂と。

鏡の中の自分の笑顔を見て、アリーゼは思った。

うまく笑えている、と。

しかし、それは笑顔ではなかった。笑顔の形をした、仮面だった。

 

夕食の席で、冗談を言わなくなった。

以前のアリーゼなら、輝夜とリューの口喧嘩に横から薪をくべて燃え上がらせ、笑いながら仲裁した。

輝夜の毒舌に笑い、リューの生真面目な怒りに同情しつつ、最後には全員を笑わせて有耶無耶にする。

それがアリーゼの役割だった。

ファミリアの太陽。みんなの気持ちを軽くする、碧い炎の明かり。

 

今は、輝夜とリューが喧嘩をしても、アリーゼは焦点の合わない目で虚ろに微笑むだけだった。

笑うことへの罪悪感が、喉元で声を押し殺していた。

正義を掲げながら、救えなかった。間に合わなかった。

笑うたびに、あの少女の虚ろな瞳が碧い瞳の裏側に張りつく。

――お前が笑っている間に、私は死んだ。

そう言われている気がした。

 

 

杏寿郎が心配して抱きしめてくれるときだけ、アリーゼは我に返ることができた。

今までなら、辛いことがあったら、遠慮なく自分から抱きついていた。兄の体温を感じながら、ぎゅっと抱きしめられることで、温かい気持ちになることができた。

けれども、今では、自分から抱きつくことにさえ、罪悪感を感じるようになっていた。

杏寿郎はスキンシップの機会を増やしてくれたが、それだけでは足りなかった。

 

アリーゼが落ち込むにつれ、ファミリアの空気は確実に重くなっていった。

 

 

 

輝夜は、別の形で蝕まれていた。

 

拠点を制圧し、闇派閥の残虐な痕跡を目の当たりにしても、輝夜の表情は変わらなかった。

切れ長の瞳は相変わらず凪いでいたし、状況分析は冷徹そのものだった。証拠の取り扱いも、被害者の搬送も、輝夜は淡々とこなした。

あの地下室で少女の遺体を見たときも、輝夜は眉一つ動かさなかった。

子供たちを鎖から解放するとき、手が震えることもなかった。

戦場では誰よりも冷静だった。

 

むしろ、冷静すぎた――。

 

五条家で育った輝夜は、こうした光景を知っていた。

知っているどころではなかった。

彼女の父は、暗殺、破壊工作、情報操作、脅迫、買収など、権力を維持するためのあらゆる汚れ仕事に手を染めていた。

政敵を消す。邪魔な商人を潰す。従わない者を無理やり調教する――。

それが、五条家の素顔だった。

 

輝夜は長女として、幼いころから、そうした光景を見せられ、ときには自分でも手を汚した。

最初に父に地下牢へ連れて行かれたのは、八歳のときだった。

 

「輝夜、こちらへ来なさい」

 

父の声は、いつも穏やかだった。

穏やかで、理知的で、品のある声。客間で茶を点てるときと、地下牢へ降りるときと、まったく同じ調子で話す人だった。

長身で、整った顔立ち。輝夜の美しい顔や切れ長の目は、この父から受け継いだものだった。

 

石段を降りると、地下牢は薄暗かった。

松明の灯りが石壁を照らしている。

奥に、一人の男が縛りつけられていた。

顔は腫れ上がり、元の顔立ちが分からない。

着物は血に濡れ、肩が不自然な角度に垂れている。脱臼しているのだろう。

男の口から、低い呻き声が漏れていた。

 

八歳の輝夜は、その光景を見て、身体が凍った。

声が出なかった。逃げたかった。父の着物の裾を掴んで、ここから出たいと懇願したかった。

しかし、足が動かなかった。恐怖で動かなかったのではない。

父の手が、輝夜の小さな肩に置かれていたからだ。

穏やかな、しかし逃げることを許さない重さで。

 

「この者は、五条の秘密を他家に売ろうとした」

 

父の声は、穏やかだった。

地下牢の悲惨な光景と、その穏やかさの落差が、幼い輝夜の心をひどく蝕んだ。

 

「裏切りには、代償が伴う。これが掟だ。輝夜、よく見ておきなさい」

 

「お父様……あの人は、死んでしまうのですか」

 

八歳の輝夜は、震える声で問うた。

 

父は微笑んだ。

賓客相手に茶を点てるときと同じ、穏やかな微笑みだった。

 

「死にはしないよ。死なせては意味がない。死は一度きりだが、痛みは何度でも与えられる。痛みにうめく姿が、他の者への見せしめになる」

 

輝夜は、吐きそうになった。

でも、吐かなかった。

五条の者は、吐いてはならない。弱さを見せてはならない。

八歳の少女は、唇を噛み、瞳を閉じず、父が見せるものを見た。

 

 

それからも、輝夜への教育は続いた。

 

十歳のとき、父は別のものを見せた。

ゴジョウノ家の裏庭には、表からは見えない離れがあった。

美しい庭園の奥に隠された、小さな棟。

窓には格子がはめられ、扉には内側から開けられない錠が下ろされていた。

 

中にいたのは、若い女だった。

かつては美しかったであろう顔は、もはや生気を失っていた。

ぼんやりと虚空を見つめ、涎を垂らし、時折うわ言のように何かを呟いている。

 

「この女は、五条の商売に横やりを入れようとした商家の娘だ」

 

父は説明した。相変わらず、穏やかな声で。

まるで庭の花の品種を説明するかのように。

 

「彼女の父親が我々に従わなかったので、娘を預かった。なに、彼は三日で屈服したよ。これが、人質の効果だ、輝夜」

 

父は耳元で囁くように説明した。

 

「お父様、この人はどうなるのですか?」

 

十歳の輝夜は、震える声で尋ねた。

父はにっこりと笑って、彼女の頭を優しく撫でた。

 

「こんなのでも、欲しいという物好きはいてね。商談の際に役にたってくれたよ」

 

その答えを聞いたとき、輝夜の心の中で何かが凍った。

感情の表面に薄い膜が形成されていく。自分を守るための氷の膜だった。

これ以上、感じないように。輝夜の冷静さの原型だった。

 

「人は壊れても、利用価値がある。覚えておきなさい」

 

「……はい、お父様」

 

輝夜は頷いた。

完璧に平坦な声、完璧な無表情で。

十歳にして、輝夜は五条の能面を完成させた。

 

十二歳のとき、輝夜はもう何を見ても動じなくなった。初めて人の命を奪ったのも、そのころだった。五条の女が使う最大の武器――毒の体液――を用いるまでもなく、普通の殺しだった。

輝夜は訓練通り、淡々と朝敵を暗殺した。

父はそれを「成長」と呼んだ。傑物の妹には劣るにしても、輝夜も成長している、と喜んでいた。

 

輝夜は、それを壊死だと思った。

心の一部が死んだのだ。感じなくなったのではない。感じる部分が、壊死したのだ。

 

そして――。

朝廷に対する革命が起きた夜、輝夜は出陣を命ぜられ、朦朧とする意識のなか、友を斬り捨てた。

意識を取り戻して、自分が仕出かしたことに気が付いたとき――。

枯れていたはずの輝夜に、最後の感情が灯った。

それは、輝夜が生まれつき持っていた善性の――最後の煌めきだった。

その光に導かれるまま、輝夜は刀を手に家を出た。

 

 

そして、今――。

闇派閥の拠点で、鎖に繋がれた子供たちを見たとき。

薬漬けにされた母親の虚ろな瞳を見たとき。

幼い少女の壊された身体を見たとき。

 

極東で毎日のように見てきた地下室の情景が、拷問される者たちの悲鳴が、洗っても洗っても消えない血の臭いが鮮やかに蘇った。

アストレア・ファミリアの明るい空気を吸うことで、忘れようとしてきた絶望が、ふたたび滲み出してきた。

 

輝夜は父に褒められる程度には、心を殺すことに長けていた。

だから、表面上は、いつもの仮面を完璧に維持していた。

 

ただ、夜の飲酒量が増えた。

眠る前の一刻だけ、あの地下牢の映像から逃れたかった。

父の穏やかな声から逃れたかった。

「これが五条家だ」という言葉から逃れたかったのだ。

けれども――どれほど酒に溺れようとも、悪夢からは逃れられなかった。

 

 

最初に気づいたのは、ライラだった。

小さな軍師の目は、絶望の臭いにひどく敏感だった。

きっかけは些細なことで、台所の酒瓶の減りが早いといった程度のものだった。

それから、輝夜から、時々、ひどい酒の臭いがした。

 

「輝夜。最近、飲みすぎじゃないか」

 

ある夜、ライラが輝夜の部屋を訪ねた。

輝夜は極東系ファミリアから買った畳の上に座り、月明りをアテに杯を傾けていた。

透明な液体が、杯の縁で揺れている。

 

「そうか?」

 

輝夜は涼しい顔で応じた。

 

「アタシの目を誤魔化せると思うなよ。酒瓶の減り方を確認してあんだよ」

 

ライラが輝夜を睨みつけた。

 

「さすがは軍師様だな。酒の消費量まで監視しているとは」

 

「当然だ。お前の影響は、お前が考えている以上に、大きいからな」

 

輝夜は、杯の中の酒を見つめた。

透明な液体に、自分の顔がぼんやりと映っている。

切れ長の瞳。整った顔立ち。五条の血が造り上げた、美しい仮面。

父によく似た顔だと、今更ながらに思った。

この顔で微笑めば、あの貴族的な笑みが再現できるだろう。

その事実が、何よりも気持ち悪かった。

 

「……勘のいい奴は嫌いだ、ライラ」

 

「見てりゃ分かるぜ。団長だって、たぶん気づいている。副団長は自分のことで手一杯みてーだが」

 

ライラは輝夜から視線を外さなかった。

 

「そうか……」

 

輝夜は杯を干した。

喉が鳴る。

空になった杯を畳の上に置いて、輝夜は言った。

 

「何、心配するな。少なくとも、ネンネなリオンや副団長よりは世間を知っているつもりだ」

 

「……そうか」

 

ライラはそれ以上は追及しなかった。

代わりに、懐から小さな包みを取り出した。

 

「チーズだ。つまみがないと胃を壊すぞ」

 

輝夜は、包みを見て、微かに目を細めた。

慇懃な仮面が、ほんの少しだけ緩んだ。

笑みとは呼べない程度の、けれど確かな温度の変化。

 

「……世話焼きだな」

 

「これもアタシの仕事だよ。戦力の管理も含めてな」

 

ライラは、部屋を出た。

廊下で振り返ることはしなかった。

輝夜がどんな顔をしているか、見なくても分かっていた。

 

 

輝夜の飲酒量の変化は、ライラ以外の団員にも徐々に気づかれるようになった。

早朝の台所で、空の酒瓶を片付けるノインが首を傾げた。

リューですら、廊下ですれ違った輝夜からかすかに酒の残り香を嗅ぎ取って、空色の瞳を曇らせた。

 

リューは、喧嘩相手の輝夜にどう声をかければいいのか分からなかった。

この不器用なエルフは、人の心に踏み込むことが苦手だ。

正義の話なら正面からぶつかれる。鍛錬の話なら真剣に議論できる。

しかし、人の傷に触れる言葉は持ち合わせていなかった。

だから、黙って、輝夜の部屋の前にエルフの薬湯を置いて去った。

翌朝、杯が空になっていた。

それを見て、リューは少し安堵した。

 

それ以降、誰も、輝夜に直接は問わなかった。

杏寿郎だけが、堂々と話しかけた。

 

「輝夜。今度の非番の日に、市場に買い出しに行かないか。屋敷の酒が切れかけている」

 

「……わざわざ私を誘うのか」

 

「うむ。輝夜の好みは輝夜にしか分からんからな。酒の銘柄は、俺には区別がつかん!」

 

杏寿郎は、いつもどおり屈託のない笑みを浮かべた。

その笑みに、詮索の色は一切なかった。

 

「……そうだな。いい酒を探そう、杏寿郎」

 

輝夜の凍り付いた仮面の奥で、何かが微かに疼いた。

温かさなのか、痛みなのか、輝夜自身にも判然としなかった。

ただ、この男は眩しいくらい、いつも真っすぐで、何があろうと己の道を見失わなかった。

弱きを救け、強きを挫き、黙って耐え忍んで、仲間を勇気づけてきた。

その炎の光だけが、暗闇を彷徨う輝夜の道標となっていた。

 

 

 

非番の日は、珍しく穏やかな天気だった。

雲の薄い、水色の空がオラリオの街並みの上に広がっている。

風は乾いて、心地よかった。初夏の手前の、肌に馴染む風だった。

 

杏寿郎と輝夜は、並んで大市場に向かっていた。

非番とはいえ、杏寿郎も輝夜も刀を腰に佩いていた。

闇派閥の脅威がある以上、完全な無防備は許されない。

 

杏寿郎は、市場への道すがら、機嫌よく話していた。

 

「この間、マリューが鉢に花の種を蒔きたいと言うから、一緒に土を入れ替えたんだがな……。途中から、リオンも手伝ってくれたが、土をこねる力加減が分からなかったらしくて、鉢を三つも割ってしまった。エルフの森では、花の種など植えたことないから仕方ないのだろう」

 

「あのポンコツ妖精のことだ。鉢ではなく花壇ごと壊さなかっただけましだ」

 

「はっはっは! 厳しいな、輝夜は!」

 

杏寿郎が朗らかに笑った。

その笑い声が、朝の通りに響く。道行く人が振り返るほどの、大きくて真っ直ぐな笑い声だった。

輝夜は、その笑い声を浴びながら、仮面の奥で小さく息を吐いた。

この男と一緒にいると、いつもペースを乱され、封じ込めてきたはずの感情があふれ出そうになった。

 

 

大市場に着くと、輝夜は迷いなく酒屋に足を向けた。

極東の酒を扱う店は、大市場の中でも限られている。

その中でも、輝夜が選んだのは、路地裏に近い小さな店だった。

 

「この店は初めてだな」

 

杏寿郎が物珍しそうに店内を見回した。

微かに酒精の匂いが漂っている。 

 

「ここの主人は極東の出だ。舌は確かだぞ」

 

輝夜は棚を物色しながら、手慣れた所作で瓶を手に取った。

酒を買い終え、二人は大通りを離れて、裏道を歩いた。

人通りは少なく、静かだった。

 

「輝夜」

 

杏寿郎が、不意に歩調を緩めた。

 

「少し、遠回りしていかないか」

 

輝夜は、杏寿郎の横顔を見た。

笑っていた。いつもの笑みだった。

しかし、その笑みの奥に、いつもとは微かに異なる気配があった。何かを伝えようとしている目だった。

 

「……構わないが」

 

輝夜は頷いた。

 

杏寿郎は、城壁沿いの小道に折れた。

オラリオの外壁近くの、さらに人気のない道だった。

 

しばらく、無言で歩いた。

杏寿郎の足音と、輝夜の足音が、交互に石畳を叩く。

 

「輝夜」

 

杏寿郎が口を開いた。

声のトーンが変わっていた。

朗らかさは残っている。しかし、その下に、真剣な気遣いが感じられた。

 

「最近の君のことが、気にかかっている」

 

輝夜の歩みが、少し乱れた。

 

「何のことだ。私は何も変わっていないが」

 

「ああ、変わっていない。それが気にかかる」

 

輝夜は、微かに目を細めた。

 

「あれだけの光景を見て、何も変わらない人間は、二種類しかいない。何も感じない者か、感じたものを全部閉じ込めている者か。君は前者ではなかろう」

 

「……買い被りだな」

 

「買い被りではない。俺は君をそれなりに見てきた」

 

杏寿郎の声は、穏やかだった。

穏やかだが、真っ直ぐだった。

逃げ道を塞ぐのではない。逃げる必要がないのだと、伝えるような声だった。

 

「酒の量が増えていることも、鍛錬で力が入りすぎていることも、俺は知っている」

 

沈黙が、二人の間に落ちた。

城壁の蔦が風に揺れている。

鳥の声が、どこか遠くで鳴いていた。

 

輝夜は立ち止まった。

杏寿郎も、立ち止まった。

 

「……私のことを見すぎでございますねぇ、団長殿。もしや私に欲情されたので?」

 

輝夜は、リューを揶揄うときのように、慇懃な言葉遣いをした。

本心を隠すための鎧だった。

リューだったら、気持ちの悪い話し方をするなと怒ったかもしれない。

しかし、杏寿郎はそんなことではペースを乱されなかった。

 

「団員のことをしっかり見るのも、俺の仕事だ」

 

杏寿郎は、輝夜の正面に立った。炎の瞳が、真っ直ぐに輝夜を見た。

輝夜は、その目から視線を外せなかった。

杏寿郎の瞳が、輝夜の仮面の奥を覗き込んでいた。

 

「なぜ――」

 

輝夜の唇が、問いを紡いだ。

紡ぐつもりはなかった。勝手に溢れ出した言葉だった。

 

「なぜ、そこまで私のことを気にかける。私は――」

 

言葉を探した。

自分を正しく表現する言葉を。

 

「――穢れた女だ」

 

声は、静かだった。

いつもの慇懃さも、からかいの余裕も、剥がれ落ちていた。

 

「五条の血が流れている。人を壊す術を知っている。人を操る術を知っている。この手は――」

 

輝夜は自分の右手を見つめた。

白い、細い、しなやかな手。

この手に何が染みついているか、輝夜はよく知っていた。

 

「――この手が清いはずがなかろう。なぜ、そんな女のことを気にかける、団長?」

 

杏寿郎は、黙って聞いていた。

そして、全部聞き終えてから、口を開いた。

 

「輝夜」

 

声は、静かだった。

 

「君は穢れてなどいない」

 

断言だった。

揺れも、迷いも一切なかった。

 

「過去に何があったか、俺は知らない。五条の家の暗い噂は、耳に入っている。だが――」

 

杏寿郎の炎の瞳が、午後の光を受けて琥珀に透けた。

 

「それでも、君ほど気高く美しい魂を、俺は知らない」

 

輝夜の呼吸が、止まった。

 

「……何を、言っている」

 

声が、掠れた。

美しいと言われたことは、生涯で数えきれないほどある。

五条の女は、端正な顔立ちで知られていた。

客人たちは輝夜を見て「なんと美しいお嬢さんだ」と言ったものだ。

けれども、杏寿郎は外見のことを言っているのではなかった。

よりにもよって、毒で薄汚れた心の内をさして、美しいといったのだ。

 

「美しさなど、表面的なことにすぎない。きっと、私の外見を見て、勘違いしただけだろう。男は女の顔と胸と腰しか見ないからな」

 

輝夜にとって、それは自嘲だった。

 

「輝夜、話を逸らすな」

 

杏寿郎の声が、輝夜を遮った。

 

「俺は君の外見を問題にしていない。君の心のありようが美しいと言っているのだ」

 

輝夜の切れ長の瞳が、揺れた。

 

「君の過去に何があったのかは知らない。たぶん、闇の中を生きてきて、ひどいことに手を染めることもあったのだろう。だがな、輝夜。それでも君は、今、正義の側に立っている。五条の血に飲まれず、暗い過去に膝を折らず、俺たちの仲間として、ここにいる。正義の旗の下で闇派閥と戦い、人を守り、仲間を導いている」

 

「……それは、ただ――」

 

輝夜は反論しようとした。

――ただ実家が嫌で逃げてきただけだ。正義に惹かれたのではない。消去法で選んだ道だ。崇高な動機などない。

 

そう言おうとした。

しかし、声が出なかった。

杏寿郎の瞳が、まっすぐに輝夜を見ていたからだ。

その瞳が、嘘を許さなかった。

 

杏寿郎は続けた。

 

「この暗い時代の絶望、君は、過去の記憶に苛まれ、闇派閥の拠点で見た人の醜さに苦しみ、夜ごとに酒で記憶を薄めながら――」

 

輝夜の肩が、微かに震えた。この男は、全部見抜いていた。詳しいところまでは知らないだろう。それでも、何かを察していた。 

 

「――それでも朝になれば立ち上がって、完璧に鍛錬をこなし、市民と仲間を救ってきた。心のなかで泣きながらも、歯を食いしばって立ち続けている。その気高さに、君の人間としてのありように、俺は心打たれていると言っているのだ、輝夜」

 

城壁沿いの小道に、風が吹いた。

蔦が揺れ、輝夜の漆黒の髪が風に靡いた。

 

輝夜は、動けなかった。

ひた隠しにしてきた己の罪と弱さを、この男は見抜いた。そして、それを「気高い」と呼んでくれた。

 

「杏寿郎」

 

輝夜の声が、震えた。

 

「お前は……お前という男は……」

 

言葉が見つからなかった。

このファミリアに来てから、言葉には不自由しなかった。

慇懃な皮肉も、鋭い分析も、リューをからかう軽口も、自在に操れた。

なのに、今この瞬間、適切な言葉が一つも出てこなかった。

 

あとに残ったのは、ただの十五歳の少女だった。

父の影に怯え、過去の闇に苛まれ、それでも正義の光にしがみついている、一人の少女だった。

 

切れ長の瞳から、一筋の涙が頬を伝った。

 

「――っ」

 

この顔を、涙を見せまいとして、慌てて顔を背けようとした。

 

――その瞬間、温もりが輝夜を包んだ。

 

杏寿郎の腕が、輝夜の肩を抱き寄せていた。

強い腕だった。炎の呼吸で鍛え上げられた、鋼のような腕。

その腕が、今は限りなく優しく、輝夜の身体を包んでいた。

 

「泣いていい」

 

杏寿郎の声が、頭の上から降ってきた。

低く、温かく、揺るがない声だった。

 

「俺は団長だ。団員が辛いときに支えるのは、俺の仕事だ。だから、辛くなったら頼れ。泣いたっていい――よく頑張ったな、輝夜」

 

輝夜の身体が、杏寿郎の胸に引き寄せられている。

杏寿郎の体温が伝わってきた。

熱かった。この男の身体は、炎のように熱い。

五条の屋敷では、こんな風に抱きしめられたことはなかった。

父の手は冷たかった。母の手は覚えていない。

人の体温で温められた記憶が、輝夜にはなかった。

 

「君は頑張りすぎだ、輝夜」

 

杏寿郎の手が、輝夜の漆黒の髪を撫でた。

大きく不器用な手だった。

その手が優しく頭を包んだ瞬間、輝夜の中で何かが決壊した。十年分の涙が、堰を切って溢れ出した。

 

嗚咽も、叫びも、なかった。

ただ、涙だけが、切れ長の目から止めどなく流れた。

 

輝夜は杏寿郎の胸に顔を埋めた。

白い指が、杏寿郎の羽織を掴んだ。

溺れる者が浮き木に縋るように、力を込めて。

 

「君は――」

 

杏寿郎の声が、なおも続いた。

輝夜の黒髪を撫でながら。

 

「強く、美しく、素晴らしい団員だ。かけがえのない仲間だ。君がいなければ、このファミリアは成り立たない。俺一人では、アリーゼも、リオンも、ライラも、誰も守れなかった。君が隣にいてくれたから、俺はここまで来られた。俺は――君のことを人として尊敬する」

 

輝夜の肩が震えた。

十年の悲しみと孤独が、涙となって杏寿郎の上着を濡らした。

すっぽりと包み込んでくれる杏寿郎の体温が、輝夜の仮面を崩し、精神を丸裸にした。

輝夜は声を上げて号泣した。

 

 

どれほどの時間が経ったか。

輝夜は、杏寿郎の胸から顔を上げた。

切れ長の瞳は赤く腫れ、涙の痕が頬に残っていた。

漆黒の髪が乱れ、仮面は完全に外れていた。

十五歳の少女の顔が、そこにあった。ただの輝夜がそこにいた。

 

「……杏寿郎」

 

声は、掠れていた。

 

「乙女の泣き顔を見たのだ」

 

輝夜は、杏寿郎の羽織を掴んだまま、見上げた。

腫れた瞳の奥に、新しい光が灯っていた。

 

「――責任は取ってくれるのだろうな?」

 

杏寿郎は、一瞬だけ、目を瞬かせた。

それから――太陽のような笑顔を浮かべた。

あらゆる闇を灼き尽くす、煉獄の炎のような笑顔だった。

 

「もちろんだ」

 

迷いのない声だった。

 

「ファミリアの団長なら、誰だってそうする。団員の涙に責任を持つのは、当然の務めだ。遠慮はするな、輝夜。いつでも、何度でも、俺の胸元で泣いていい。いつでも受け止めるぞ!」

 

胸を張って、堂々と、杏寿郎は言い切った。

輝夜は、くすりと笑った。

 

「……ああ、そうか」

 

輝夜は呟いた。

 

「団長の務め、か」

 

切れ長の瞳が、杏寿郎を見上げた。

涙で濡れた睫毛の奥で、情念が脈動しはじめた。

少女が、一人の男を見つめるときの、抑えきれない渇望の光だった。

 

「団長なら誰でもそうする、か。ふふ……そうだな。お前は、そういう男だ」

 

輝夜の唇が、弧を描いた。

泣いた後の赤い目と、その笑みの温度の落差が、えも言われぬ艶を生んでいた。

 

「ならば、遠慮なくたっぷりと甘えさせてもらうとしよう。――覚悟しておくことだな、団長殿」

 

杏寿郎は、その視線の意味に気づかなかった。

いや、半分は気づいていたかもしれない。

 

しかし、それが何を意味するのか、杏寿郎は考えないことにした。

 

「うむ。いつでも頼ってくれ!」

 

その返事を聞きながら、輝夜は、杏寿郎の胸元から離れた。

名残を惜しむように、ゆっくりと。

 

「さて。酒を持って帰らねばな。ぬるくなる」

 

輝夜は、何事もなかったかのように、路上に置いた酒の包みを拾い上げた。

 

しかし――。

その横顔は、ほんの僅かに紅かった。

 




輝夜の過去は全て創作です。
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