電子制御の00レコード   作:コドコド

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TUNE5 謎の車

すると後ろから猛スピードで一台の車が迫ってきた。

「ん…?」バックミラーに一筋の光が見える。

見た感じFCと同じリトラクタブルライトの車だ。

力強いエンジン音を響かせ、迫ってくる。

すると、ネルの車にピッタリ張り付いた。

ピカピカとライトを照らしてくる。パッシングだ。

ここでのパッシングはレースの申し込みである。

「受けて立ってやる!」意気揚々とネルはアクセルを踏む。

レース開始だ。

この時のFCは約350馬力。四輪駆動。戦闘力には申し分ないチューンだ。

200㎞、210㎞と速度が上がっていく。

しかし、そんなFCをその車は軽々しく抜いていった。

何とその車は顔面は180SX(ワンエイティーSX)だが、後ろはシルビアの車だ。

「なんだ…あれ…」唖然とした表情になる。

アイボリーの車体が夜の闇に消えていく。

しかし、ネルも諦めない。「負けてたまるかよ!!」

周りの一般車両を使い、追いかける。

それをしても尚、車は離される。

時速は300km前後、20〜30m先に相手はいる。

ギアを6速に入れて更に速度上昇を試みたが、速度は少ししか伸びない。車のタイアの接地感に違和感があった。 

「ボンッ!!」左側から音が聞こえる。

また、焦げたゴムの匂いが車内に広がる。

「なんだコレ…!重いっ…!!」ハンドルが取られる。

恐らく、左側のタイヤがバースト(破裂)した。

それを感じ取った途端に即座にスピードを落とすが、スピードの落ち具合に無理がある。その時に、サイドブレーキを引いて止まるのを試みた。すると車体がスピンし前輪から火花が散る。

また、後輪も左側がバーストした。スピードが少し乗ったまま、

50m滑走していた。車が止まり、周りを見渡す。夜が深まる時間帯。トラックが多い。ネルは発煙筒を焚き、ひとまず車内でまった。「あの車を倒してぇ…。」悔しさと共にそんな気持ちがこみ上げてくる。すると、遠くから1台のバンがこちらに来て止まった。

「ネル、大丈夫?」そう言ったのはなんと先生だった。

「なんで…先生が…?」少し困惑した顔で言う。

「まぁ良いから乗りな、車運ぶから。」

FCの後輪をスペアタイヤに替え、バンの後ろに補助輪をつけ、車を乗せる。

エンジンをかけ、動き出す。

「…。」ネルは助手席で頬杖を付きながら外を眺める。

「なぁ先生。車同士で顔面を交換ってできるのか?」ネルが聞く。

「まぁ出来るよ。限られた車同士だけどね」

「今日事故が起きる前にレースしてたんだ。顔面が180で後ろがシルビアだったんだ。」それを言った途端先生の目が変わる。

「それってもしかして、アイボリーっぽい色だったりする?」

食い気味に言う。

「あぁそうだけど…。先生、なにか知ってるのか…?」

「それ…多分俺の友達が乗ってた奴…だと思う。」

少しつっかえながら言う。

「じゃあ先生の友達が乗ってるのか?」

「いや、それは絶対にない。」完全に否定した。

「なんでだ?」

「俺の友達はあの車で事故って死んだ。」

「えっ…?」ネルは困惑する。

それに続いて先生は言う。

「俺の友達は少しこの界隈では有名な人だった。スピードでもテクニカルでも覇者だった。でも、箱庭峠でレースしてる時に盛大にクラッシュして、転がり落ちた。車は廃車か廃車にならないかのラインだった。そして当の本人は搬送中に死んだ。とそんなかんじかな。」

「じゃああの車は誰かが乗ってるんだ…?」ネルの中で謎が深まる。

「まぁでもあの車は解体された筈だから、多分たまたま一緒だったんだろうね。」

「そうだな。」少しモヤモヤしながらひとまず納得した。

縦浜ベイブリッジを渡ると、窓からミレニアム地区の夜景が見える。高速で走っているときには見えない、綺麗な景色。

運転しながら横目にネルを見る。

その時のネルはいつもみたいに頬杖をついていたが、表情は落ち込んでるような、悲しいような顔をしていた。

先生はネルの頭に「ポン」と手を乗せた。

「……ッ!! なッ!なにしてん…だよ。」

赤面になりながら言う。

「……。」先生はそのまま頭を撫でた後、車をネルの家まで走らせた。 

「車はどうにかするから、気にしないで。」

「うん。」コクリと頷く。

ネルが車から降りる。

「ありがとな!」ネルは手を振る。

手を振り返して車を走らせ、先生はシャーレに戻った。

シャーレに戻るとまず、FCを補助輪から降ろした。

そしてジャッキに乗せた後、16インチのホイールを注文した。

少し仮眠を取った後に、自分の車(スズキKEI)に乗り、シャーレを後にした。

「あの車…まだ残っていたのか?…」ネルが言っていたことを思い出す。

先生はそのまま車を走らせると、手入れがされていない旧道まで来た。

草木が生い茂る中に車が2台入るかぐらいの車庫がある。

「バタン」車を車庫の手前に止めると、車から降りた。

「確かここに…鍵が…」植木鉢を、持ち上げる。

すると少し錆びた鍵が見つかる。

「ガチャッ」シャッターの鍵を開ける。

「ガラガラガラ…」シャッターを開けると、埃を被った車がある。「よし。もし本当にあの車が存在してるなら、俺もやらなきゃ。あの車を…絶対倒す。ネルと共に。」先生の中には闘争心が燃え上がる。

《続く》




車の解説室!
・スズキKEI 
スズキKEIは、SUVの走破性と軽自動車のコンパクトさを掛け合わせた、クロスオーバーSUVの先駆けとなった車です。
ブルアカでケイちゃんが実装された際にネタにされていました。

・180sx
180sxは姉妹車の「シルビア」とともに、日本のドリフト文化を語る上で欠かせない名車として、生産終了から25年以上経った今でも世界中で絶大な人気を誇っています。 こいつは1代で消えました。

・シルビア 
シルビアは、180SXのベースとなった日産の伝説的なFRスポーツクーペで、180SXとは「兄弟(姉妹)車」の関係にあります。
有名なのはs13〜s15で 今でもドリフト競技に用いられます。
よく、s14型の前期と後期が「らき☆すた」の柊姉妹と似てると話題になります。

コトリの解説室!
今回は〜?
顔面スワップについて!
顔面スワップとは、既存の車から別の車に顔を移植することを言います!しかし、姉妹車だったり共通のパーツじゃないと大きな改造が必要になります!この作品の中に出てくるのは、180SXとシルビアが融合した"ワンビア"と呼ばれるカスタムカーなんです!その逆の"シルエイティ"は日産から正式に発売されたりと1980〜1990年代の当時のカスタム文化は面白いものが多いんです!
《次回、サーキット》
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