魔法少女リリカルなのは~Extreme Heart~ 作:nakazero
「いやー強くなったな、なのは。」
「そうかな?わたし的にはまだまだだと思ってるんだけど・・・」
「あれでまだまだって・・・・」
あの決闘から少しして士郎が目を覚まし、久々に家族全員の食事をとっていた。
「ねぇアリサちゃん。私達ってここにいていいのかな?」
「私に聞かないでよ・・・自分でも困ってるんだから。」
何故か、アリサとすずかがいることを除いてはだが・・・
本当はあの決闘の後、直ぐに帰ればよかったのだが、桃子が二人を食事を誘い、それを二人が了承したので、現在に至っている。
と
「にゃはは、ごめんね二人とも。」
先ほどまで、父親と話をしていたなのはが二人のもとにやってきた。
二人は改めて、なのはの姿をよく見る。
自分たちと比べると、凄く大人のような感じに二人は感じていた。
すらりとした体格、凛とした整った顔に二人はただ見惚れてしまう。
「いえ、元はといえば私たちの方こそ助けて貰って、ありがとうございます。」
すずかがなのはに頭を下げてお礼を言う。
それを見たなのはは苦笑する。
「にゃはは、別にお礼なんていいよ。それに私たち同い年なんだし、なのはでいいよ。」
「そう、じゃあよろしくなのは。すずかって呼んでね。」
「わたしもよ、アリサでいいわ。」
「うん!よろしくすずかちゃん!アリサちゃん!!」
三人は握手し友達となった。
こうして時間が過ぎていった。
それから時間がたち、アリサたちも迎えが来たため帰っていき、なのはは自分の部屋でのんびりしていた。
「・・・・久しぶりだな。こうして部屋でのんびりするのも・・・・」
そういいながら、なのはは窓から星空を眺めていた。
窓から見る空は、なのはがいた無人世界と比べるとあまり綺麗には見えなかった。
「・・・・・・・・・・」
無言で星空を見上げるなのは。
しかし、彼女の頭の中では別の作業をしていた。
マルチタスク
複数の作業を並列にして行う作業方法である。
士郎と決闘したときも、食事をしていたときもなのははマルチタスクをしていた。
彼女の頭は現在、星空を見るのに一割、残りの九割をあらゆる条件を設定を想定した摸擬戦に使われている。
内容は劣勢から、または不利な状況からのありとあらゆる可能性を想定して行っている。
普通ならあっという間に、脳がパンクしてしまうほどの情報量を、なのはは難なく処理していく。
「・・・・ふぅ」
しばらくすると、さすがに疲れてきたのか、なのはは小さくため息をつく。
今までしてきた摸擬戦の数は、軽く万は超えていた。
とはいえ、今までの長旅の疲れもあり、ベットに寝転がると、自然と力が抜け、なのはの意識は夢の中に落ちていった。
第六話 日常と非日常
ピピピピ!
「うーん・・・・・」
目覚まし独特の電子音が部屋に響き、なのははゆっくりとベットから起き上がる。
「もう、こんな時間かぁ・・・・」
欠伸をしながら、よろよろと起き上がり、鞄から服を引っ張り出す。
出したのは、上下の桜色のジャージ。
それを着ると、なのはは腕時計を着け、時間を見る。
時間はまだ朝にもなっていない午前4時
日もまだ出ていない時間帯である。
外を見れば、外もまだ暗い。
「よし・・」
それを確認すると、なのはこっそりと部屋をあとにした。
家を出て、玄関前に出ると、なのははゆっくりと準備体操を始めた。
「いちに、さんし・・・」
自分で掛け声を出しながら、なのはは、その後柔軟、筋トレといった、体操を行っていく。
筋トレも、腕立て、腹筋、スクワットを各500回を三セットこなす。
普通なら、並みの運動家でも、ここまですれば息も上がる量だが、なのはは汗一つかかずこなしていく。
「これで・・・・おわりっと」
最後のスクワットも終え、なのはは時間を確認する。
時間は4:50を過ぎていた。
今なのはがしていたのは、日ごろからしている日課だった。
昔は、もっと量があったのだが、身体の成長に合わせてその量も落ち着き現在はこうなっている。
「そろそろ、みんな起きるかな・・・」
そう呟くとなのはは家の中に入って行った。
高町家の朝は早い
喫茶店であるがゆえ、両親が起きるのは大体5時ごろから起床する。
「うーん・・・・時間ね」
今日もいつものように、桃子は起床する。
昨日、ようやくなのはに会えた事で、心にもゆとりがもてた所為か、体はいつも以上に軽かった。
「準備・・・始めないとね」
そう呟くと、となりで寝ている士郎を起こさないようにベットから降り、寝室をあとにする。
階段をおりリビングへ歩いて行く。
と
「あら?」
リビングが妙に明るい
まだ、朝日が昇っていないのにも関わらずに
良く見ると、電気が灯っているためだと気づくのに、桃子は数分を要した。
「誰か起きているのかしら・・・・」
そう思って、桃子はリビングの扉を開けた。
まず目に飛び込んできたのは、目の前にテーブルだ。
テーブルには、誰かが作ったであろう、サラダ、トースト、コーヒーなどの朝食が人数分準備されていた。
「一体誰が・・・・」
そう言ったときだった。
「あぁ・・・・おはようお母さん。」
台所からなのはがヒョコっと顔を出した。
「なのは?!これ・・・全部あなたが?」
「うん・・・・ほんとはもっとこった物作るつもりだったんだけど、時間がなかったから、これ位しか出来なかった。」
そう言いながら、なのはが台所から出てくる。
なのはの恰好は先ほどのジャージ姿に、桃子が使っているエプロンを着ていた。
「これじゃあ・・・私のすることはないわね・・・」
桃子が苦笑しながらそう言った。
「そんなことないよ。」
それを聞いたなのはは、ゆっくりと桃子に近づき彼女を抱きしめる。
「なのは・・・」
「私の所為で、お母さんを、みんなを苦しめてしまってごめんなさい。でもこれからは、ちゃんとみんなの傍にいるし、何かあっても必ずみんなに話すよ。」
そう言われ、桃子の眼から涙が溢れる。
昔は、子が親に抱きつくような抱擁だったが、今では背が同じぐらいになっている。
それがわが子の成長だと思うと、堪らなくうれしくて仕方がない。
「さぁ・・・・ちゃちゃっと終わらせましょうか・・・」
桃子は涙をぬぐって、なのはに微笑む。
「うん!!」
なのははそう言うと、残っていた朝食の準備を始めたのだった。
それから、時間が経ち、家族も全員起きてきて、高町家は一家久しぶりの朝食をとった。
なのはの朝食は家族から太鼓判を押されるほど高評価だったようで、そのまま翠屋の朝メニューとして採用された。
そして・・・・時間が過ぎ、翠屋がお昼の休憩に入った時だった。
「なのは、学校はどうするつもりだ?」
士郎の一言で翠屋で手伝いをしていたなのはの動きが止まった。
「うーん、私としてはなのはには通ってほしいんだけど・・・」
「俺も、母さんの意見に賛成だ。」
桃子が娘としては当然通うべきだと主張し、恭也がこれに賛成。
「でも、今のなのはの姿はどう見たって、中学か高校生に見えるから、少し時を待ってから通った方がいいと私は思うんだけど・・・」
姉の美由紀は少し待ってからでもいいのではという意見が出た。
ちなみに士郎の意見はというと
「なのはの人生だ。だからどうするかは、なのはが決めればいい。」
中立を取ったものだった。
「・・・・・・・・・」
全員がなのはに視線を送る。
なのは、少し考え込むように下を向くが、すぐに顔を上げた。
「私は・・・・・」
「旅をしてきて、いろんな事を知って、学んで、体験してきた。だからこの経験が活かせる事を私はしていきたい。だから・・・・」
「学校は通わなくていいと?」
士郎の問いになのはは頷く。
「今の私は、少なくともお姉ちゃん並みの知識は持ってる。だからしばらくは大丈夫だよ。」
なのはは士郎達を見る。
全員の表情は、あまり納得がいかない様子だったが、やがて全員がしっかりと頷いた。
少なくとも、なのはの意見を聞き入れてくれたようだった。
「だがなのは、これだけは覚えておいてほしい。確かに心身共に成長したとはいえ、お前はまだ小学生と変わりない年齢だという事は忘れないでくれ。」
士郎の言葉になのはは、静かに頷いた。
「はぁ――――・・・・・疲れた。」
部屋に戻るや否や、なのははベットに倒れこんだ。
元々、旅をしていたなのはだが、喫茶の様な店の手伝いはした事がなかったので、予想以上に気疲れしていた。
と
(マスター。疲れているところ、申し訳ないのですが・・・・)
「エクス?どうかした?」
首に下げられている虹色の宝石、エクスがなのはに語りかけてきた。
(先ほど、ここから三キロ離れた公園にて魔法反応を感知しました。)
魔法
その言葉を聞いただけで、なのはは忽ち飛び起きた。
先ほどまで、疲れていたような顔は吹き飛び、真剣な表情でエクスからの報告を聞く。
(反応は二つ確認しました。1つはデバイス所持者による物、もうひとつは現在解析していますが・・・・・残念ながら不明です。)
「ん・・・・わかった。それだけわかれば十分だよ。」
そう言うと、なのははベランダに出て周りに誰かいないか確認する。
「誰もいないね・・・・・。とはいえ帰ってきて早々に問題ごとか・・・」
(あなたは大抵、良くない事に関わりますからね)
「それ・・・結構気にしてるんだよ。」
さりげなく、失礼な発言をしたエクス。
それを聞いたなのはは苦笑しながら返事する。
「さてと・・・・・行く?」
(元より、マスターはそのつもりでしょう?)
「にゃはは・・・バレてた?」
そう言いながら、なのはは魔法陣を展開する。
(座標位置指定・・・・・準備完了。)
「家族には・・・・後で、知らせないとね・・」
そう呟きながら、なのはの姿はベランダから消えた。
それから数分後
「反応は・・・・ここから?」
(はい。)
なのはは反応のあった公園に来ていた。
そこは、規模としては大きな公園で中央には大きな池があり、なのはも旅立つ前は、両親と共によく来ていた所だった。
しかし、夜になっても、人がいる時が多いのだが、今は何故か、誰もいないひっそりとしている。
「もしかして、結界が張ってあるのかな・・・」
(その可能性は高いですね。)
魔法とは、いろいろとした定義があるが、なのはが知っている魔法とは、体内に存在するリンカ―コアと呼ばれる魔力を生み出す器官を使うことで使用するもので、結界とはその魔法の一種である。
主に、周囲への被害拡大や魔法の存在を隠すために使用されることが多い。
「使った人の特定はできる?」
(少々お待ちください)
なのははエクスに使用者の特定を頼んだ。
魔力には人の指紋と同じように、人それぞれの特徴が存在し、その為同じものは存在しない。
もし、その場に魔力が残っているなら、使用者の特定も可能になる。
(解析完了しました)
「どうだった?」
と、どうやらエクスの解析が完了したようだ。
(ビンゴです。解析結果から申しますと、使用者はユーノ・スクライアという少年です。どうやらジュエルシードと呼ばれるロストロギアの回収のために、ここに来たようです。)
ロストロギアとは、それそのものが世界の崩壊を招くかもしれない代物で、管理局と呼ばれる組織が管理・保管している。
(さらにわかった事のなのですが、ジュエルシードは使用者の願いをかなえるのですが、それ自体が不安定の為に、暴走するみたいですね。)
「そのユーノ君って子は、今どこにいるの?」
なのはは周囲を見渡しながら問いかける。
(待ってください。どうやらまだ、公園内にいるようですね。)
「そう・・・・どこかわかる?」
(こちらへ・・・・)
なのはの目の前に、桜色の光球が出現し、茂み方へと向かっていく。
なのはもその光についていく。
しばらく歩くと、前方に何かが倒れているの発見した。
「この子がそうなの?」
(はい、どうやら変身魔法を使って、姿を変えているようですが、間違いありません)
エクスの言葉を聞きながら、なのはは改めて、倒れているものに目を向ける。
倒れていたのは、フェレットに姿を変えたユーノ・スクライアだった。
ゆっくりと近づき、そっとユーノの体に触れる。
体のあちこちに傷や痣がみえた。
「どう?」
(心配ありません。魔力を限界まで行使したのと戦闘のダメージが大きかった所為でしょう。マスターの治癒魔法で十分治療できます。)
「わかった。」
そう言うと、なのははユーノに右手をかざし、治癒を始めた。
なのはの手から、光の粒子が溢れだし、ユーノへと降り注ぐ。
粒子に触れた傷口や痣が、ゆっくりと消えていき、最後には何もなかったかのように、綺麗になくなっていた。
「う・・・・・うーん」
やがて、ユーノが微かに動き、ゆっくりと瞼が開いていく。
「ここは・・・・」
「気がついた?」
眼を覚ましたユーノに、なのはは優しく問いかける。
「えっと・・・・あれ?僕は確か、怪我をして・・・・」
「怪我なら、私が治療したんだけど・・・・どこがまだ痛むところあるかな?」
フェレット姿のユーノは治癒された自分の姿を驚きの表情で見渡す。
「いえ・・・・全然大丈夫ですけど。治療してくれてありがとうございます。」
ユーノはなのはを見ながら、ゆっくりと質問に答えた。
「そっか、よかった。」
そう言うと、なのはは胸を撫で下ろす。
そんななのはを、ユーノは不思議そうに見つめていた。
「あの!」
「ん?」
突如ユーノの方から、口をひらいた。
「あなたは一体誰なんですか?どう見ても管理局員には見えないんですか・・・」
「あっ!そうだったね。私の名前は・・・・」
なのはが自分の名前を言おうとした瞬間
「・・・・っ!!」
突如なのはの表情が強張り、後ろに振り向いた。
「え?どうした・・・」
ユーノも驚いてなのはを見るが、当のなのはは後ろを向いたまま動かない。
ユーノもその視線を追って・・・・・
言葉を失った。
二人の視線の先には・・・・・・
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
形は人間の様だが、その姿は不安定の様で、所所波打っている。
色は黒色で覆われ、肌は鱗の様に見える。
そんな、化け物が自分たちの前に現れたのだ。
「さっきのジュエルシード・・・・」
後ろから聞こえるユーノの言葉を聞きながら、なのははその化け物から視線を外さない。
そして・・・・
不敵の笑みを浮かべたのだった。