魔法少女リリカルなのは~Extreme Heart~ 作:nakazero
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
そう叫びながら、ジュエルシードの暴走態はなのは達に向かって突っ込んできた。
咄嗟になのははユーノを掴むと、空高くジャンプした。
「うわあああああああああああああああああああああああ!!」
掴んでいるユーノが叫んでいるが、なのははそれを無視して地上から10メートルの地点で制止する。
「あれ?」
またまたユーノが言っているが、これも無視してなのはは相手を見る。
暴走体は、突っ込んだ先にあった木々をなぎ倒すことでようやく止まったようで、同時に自分たちを探すかのように辺りを見渡し始める。
「まだ戦闘経験は浅い感じだね・・・」
(そのようですね)
相棒と会話をしながら、なのはは相手の様子を伺う。
先程の体当たりといい、辺りを伺う様子といい、まだ戦うには経験がなさ過ぎる。
「はぁ・・・」
なのはは一人ため息をついた。
これなら、以前に戦ったあの白熊のほうが幾倍も、やりがいがあったのだが・・・
「あ・・・あの――?」
と、ここでようやくなのはは、右手に抱えているユーノを思い出した。
「あぁ、ごめんね。急なことしちゃって。」
「い、いえ!」
そう言うがユーノ自身、かなり驚いていた。
(一回のジャンプで10メートル近く飛ぶって、どういう鍛え方をしたらなるんだ?!しかもそこから、魔力も使わず静止するなんて・・・・)
ユーノは、今自分を抱えている女性に一種の恐怖を覚えた。
「ユーノ君。ちょっと肩に乗っててくれないかな?」
「え?・・・・うん。」
なのはの言葉に従い、ユーノはなのはの右肩に移動する。
「ありがとう。じゃ、始めようか。」
そう言うと、なのはは左手を胸に持っていき、眼を閉じる。
「何を・・・・」
そう言おうとして、ユーノは固まった。
何故なら、胸にあるなのはの左手が徐々に光り始めたからだ。
その色は、美しいと思えるくらいの桜色。
やがて拳が見えないくらいの量になると、なのははゆっくりと眼を開き、その光を見て満足そうに頷く。
「うん。これくらいでいいかな?」
(十分です。それだけあれば、ここ一帯全てを覆うことが出来ます。)
「ありがとうエクス。」
そう言ってなのはは、光を纏った左手を天高く突き上げた。
その瞬間、左手を纏っていた光は空高く一つの光となって飛んでいった。
飛んでいった光は、やがて何かに当ったかのように止まり、そのままドーム上になって公園一帯を包み込む。
「これって、結界魔法?!」
「違うよ。結界は結界だけど、これはその上の次元結界魔法だよ。」
「じ・・・・次元結界?」
聞きなれない単語が出てきて、混乱するユーノ。
だが変化はそれだけでは終わらない。
囲んだドーム内は、黄金の粒子を撒き散らしながら、周囲を包んで姿を変えていく。
そして、内部は荒野のごとき姿へと変貌した。
辺りを見て呆然としているユーノを見ながら、なのはは暴走体に視線を移す。
さすがに、これだけの事をすれば相手も気付いたらしく、暴走体はなのはのいる位置を睨みつけている。
だが、それが既に手遅れであると気付くべきだったであろう。
あるいは、最初の体当たりの際にそのまま逃亡すればよかったであろう。
だがおろかにも、暴走体はそれをしなかった。
ただそれだけのことだ。
「さてと・・・・」
もはやチェックメイトの状態だ。
なのはは右の人差し指を暴走体に向ける。
暴走体もそこから何かを感じたのか、手から無数の触手を出して襲い掛かってくる。
だが何度も言うが・・・・
既に手遅れなのだ・・・・
「ディバインバスター。」
なのはのその言葉と共に、指から小さな桜色の球体が生まれ、やがてそれは暴走体に向けて放たれた。
人を丸々飲み込むほどの大きな光となって・・・・
「・・・・・」
ユーノは呆然と、その光景を見つめていた。
なのはが放った小さな球体はゆっくり大きくなり、やがて暴走体を軽く覆うほどの大きさとなって、暴走体を飲み込んだ。
相手の声の暇すら与えずに・・・
そのまま光は地面に激突し、まるで隕石が落ちたかのような巨大な爆発とクレーターを残した。
クレーターの中央には暴走体がなくなったことで、露になったジュエルシードが浮いていた。
「エクス。シード封印。」
(イエス・マイマスター!)
なのはの言葉と共に、なのはの首にかけてあるエクスが煌くと、ジュエルシードはエクスに吸い込まれていき、やがて吸収された。
(回収完了。お疲れ様ですマスター。)
「ふう・・・エクスこそお疲れ様。」
そう言うとなのはは、指をパチンと鳴らした。
その瞬間に、張ってあった次元結界が解除され、辺りは元の公園へと姿を戻した。
「さて・・・」
なのはは肩に乗っているユーノに視線を向ける。
「ユーノ君。なんでジュエルシードを探しているのか、事情を説明してくれないかな?」
「うん・・・・」
ゆっくりとユーノは頷いた。
「でも・・・その前に、君の名前を聞かせて欲しいんだ。」
意を決したように、今度はユーノがなのはに問いかける。
「うんいいよ。私の名前はなのは。高町なのはっていうの。宜しくね。」
「うん・・・こちらこ・・」
そう言って握手しようとしたユーノだが、急に固まってまじまじとなのはを見る。
そして数秒間の間があって・・・
慌てて、なのはの肩から降りて、地面に着地する。
「なのはって!あの・・・・・・・星輝姫(スター・ライト・クイーン)って言われるあのなのは?!」
「あぁ・・・・私ってそんな風に広まってるんだ。」
ユーノから呼ばれた名に、なのはは軽く頭を抱えた。
ホントはそんな名は、呼んで欲しくないのだが、今回は仕方がない。
そうなのはは思うことにした。
一方のユーノにとっては、
(どうしよう?!あの伝説の高町なのはに逢えるなんて!!)
と頭はパニック状態になっていた。
高町なのは
ユーノにとって、いや魔法に携わる者なら、なのはの名はこの名を知らぬ者はないほどの有名人なのだ。
何故そんなに、なのはが有名になったかというと・・・・
時空管理局の一個師団をたった一人で相手にし、一撃で完勝。
独自の新しい魔法体制を確立させ、その数はゆうに千を越えている。
更には、その身に大いなる力を宿しているといわれており、管理局との一戦以来の戦闘では負けたことは一度もないといわれているからだった。
無論、それだけ才能持った人物を管理局が見逃すはずもなく、何度かアプローチをかけたが、結果は失敗におわっている。
神出鬼没の為、現在の所在は不明とされ、逢うことすら困難と言われていることがそれに拍車を掛け、まさに伝説の魔導士と呼ばれる人となっていた。
それほどの人物が目の前にいるのだ。平然でいられるはずはなかった。
「まぁその話はまた今度にして、とりあえず事情を話してくれないかな?」
そう言われたの、ユーノはこの世界にきた経緯を話し始めた。
「なるほど。つまり、自分のせいでジュエルシードが散らばってしまったから、その償いにねぇ・・・」
「はい・・・」
話し終えたユーノは俯き、なのはは考えるように首をかしげた。
「あのさユーノ君。」
「はい何でしょうか?」
「どうして管理局や他の人とかと協力を頼まなかったの?」
「それは・・・・」
なのはの問いにユーノは口篭もる。
それをみたなのはは、深くため息をついた。
「ユーノ君さ、どうしてそう無茶をしようとするの?人間一人でできることなんて、結構少ないもんなんだよ。」
その言葉にユーノは唯黙るしか出来なかった。
もし誰かに協力を頼むなりしていたら、ここまでの怪我をすることもなかったのだ。
そう思うと、自分が不甲斐なかった。
(僕は、なんて・・・・)
自分を責め始めるユーノを見て、なのはは、また大きなため息をついた。
どうやらユーノは、自分を責めるタイプのようだとなのはは判断した。
「まぁユーノ君。そこまで気にするほど大事にはなってないし、良ければ手伝うよ。」
なのはの言葉にユーノの眼が驚愕に見開く。
「え?どうしてですか?」
「だって此処には私の家族や、守らないといけない人たちがいる。だから手伝うの。」
「そうですか。」
そう言うとユーノはなのはを見る。
視線に気付いたなのははユーノに柔らかな笑みを見せる。
(この笑顔を守れるようになりたい!)
その笑みを見て、ユーノは心にそう誓った。
「あぁ。それとユーノ君。」
「何ですか?」
「後でもう一説明して貰うからね!」
「はい?」
その後高町家で、ユーノが家族全員相手に事情を話すことになり、ユーノが苦労するのだが・・・・
これはまぁ余談だろう。
次回は簡単やキャラ紹介の予定です。
ではまた