ニチアサ世界に居ていいタイプじゃないやつが主人公の話   作:Revak

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第2話

 

「ブラックジャールの幹部を一般人が倒したぁ?!」

 

 昼過ぎのマグロナルドにて。少女三人が軽食を食べていた。

 

 テーブル席に座るは全員が魔法少女だ。

 

 虹川ゆり。つい最近魔法少女になった者。

 変身時とは違い全員黒髪黒目のよくいる日本人らしい容姿をしている。

 

 残る二人はゆりよりも早く魔法少女として活動していた者たちだ。

 魔法少女スターサファイア事蒼月 澄羽(あおつき すみは)。変身時はサファイアのような青い髪と瞳をし、青い少女服を纏う。

 冷静沈着という言葉が合いそうな性格をしている。

 

 最後の一人はスタールビー。本名暁朱音だ。

 魔法少女はルビーのごとく燃え盛るような赤い髪に瞳を持ち、赤い少女服を纏う魔法少女だ。熱血系の外見をしていてそれにふさわしく熱血系の性格をしている。

 

「うん。黒い肌の、身長の高い人……多分、私たちの誰よりも強い」

 

 神妙な顔でゆりはそう告げた。

 

「魔法少女より強い一般人って、それ悪の怪人じゃないのか?」

 

 朱音がそう疑問を口にする。

 

「それはないんじゃない? 悪側だとしたら幹部のラビットジャークを倒したのが意味わからなくなる」

 

 そう返すのは澄羽だ。

 

「その人、一度会ってみる必要があるルね」

 

 そう発言したのは三人を魔法少女にした天界から来た妖精ククルだ。

 可愛らしい姿をしたぬいぐるみのような姿をしている。背中には天使の翼が小さいが生えている。

 手のひらサイズのぬいぐるみサイズである。

 妖精という異物が居ても店内は騒ぎになっていない。これは妖精ククルが持つ認識阻害の力だ。

 これのおかげで魔法少女たちは本当の姿を見られず悟られることなく魔法少女として活動できるのだ。

 人類の科学を超えた力なのでマスメディアからも逃げ続けられている。

 こうしてマグロ内で魔法少女としての話をしても疑問を持たれないのも認識阻害のおかげだ。

 

「あってどうするの?」

「そりゃもちろん、一緒にブラックジャールと戦ってもらうんじゃない?」

「……それが出来ればいいけど」

 

 澄羽としては謎の第三者の登場をよく思っていない。

 この一ヵ月三人で悪の組織と戦っていたのだ。いきなり乱入者は困るのである。

 敵か味方かわからない第三勢力。これが敵方のスパイという可能性もあるのだから。

 

 そうして三人と一匹で頭を悩ませているとマグロ内に客が一人入ってくる。

 いらっしゃいませーという店員の元気な声がしてゆりは思わず入口を見た。

 

「あ」

 

 そこにいたのは朝ラビットジャークを倒したと思われる男──不破が居た。

 

 不破は筋骨隆々の外見をしている。

 身長二百二十センチ。丸太のように太い手足。

 肌は紫に近い黒。髪は黒で瞳は青い。

 タンクトップにジーパンというラフな格好をしている。肩掛けのバッグを一つ下げている。

 顔つきはワイルド系とでもいうのだろうか。野性味あふれている。

 

 不破はカウンターに行くとマグロのハンバーガーを上から順に全部頼んだ。持ち帰りではなくイートインで。

 店員は大量の注文にビビることなく受け入れた。

 

「ゆり、あの人が?」

 

 小声で澄羽がゆりに問いかけた。

 

「うん。朝あった人……ここでも会うなんて……」

 

 注文を済ませた不破は適当なテーブル席に座った。客が少ないのでテーブル席でも問題ない。

 

「どうする? 話しかけるか?」

 

 ワクワクとしながら朱音が問いかけた。

 

「ここで話しかけるのは不味いわ。まずは相手の素性を調べましょう」

「どうやって?」

「……着いて行って相手の家を調べてみましょう」

「まるで探偵見たい」

 

 ふふ、と三人は笑った。

 不破は聴覚も鋭いが聞く気がないので三人の会話を聞いていない。

 少し待つと頼んだハンバーガーの山がテーブルに運ばれてくる。

 

 不破は適当にハンバーガーを掴んで袋を開けて食べ始める。

 

「す、すごい量食べるね……」

 

 不破の趣味は食道楽だ。

 高い物からジャンクフードまでまんべんなく食べる。

 魔神の体なので満腹という概念がなく食べたそばから魔力というエネルギーに変換できるのだ。

 そのためいくら食っても体形が変わらない。といっても自分の意思で男にも女にも美人にも老人にもなれるが。

 

 バクバクと食べる姿に三人は戦慄する。糖尿病まっしぐらのドカ食いである。

 だが不破は服の上からでもわかる筋肉を持つ。

 その筋肉を維持するための食事なのだろうかと三人は疑問を抱いた。

 

「……」

 

 一匹、ククルだけは怪訝な目で不破を見ていた。

 

 

 

 三十分もすると不破は食事を終えテーブルを立った。

 トレーを片付けて店を出ていく。

 

 三人は慌てて自分たちもトレーを片付けて店を出て不破を追った。

 

 不破はどこか目的地があるのかすたすたと真っすぐと歩いていく。

 三人は電柱に隠れながら不破を追っていく。

 

(……つけられているな)

 

 そして聴覚が鋭い不破は店を出てからついてくる足音に当然気が付いた。

 さてどうするか、面倒だし殺すかと思考が物騒な方に向かっていく。

 だがどこか冷静な部分が現代日本で殺したら面倒なことになると告げてくる。

 

 はぁ、と不破はため息を吐いた。

 

 くるりと振り返りゆりたち三人が隠れている電柱に向かって声を上げた。

 

「ついてきてるのはわかってる、俺に何の用だ?」

 

 ──あかんバレてる。

 三人は慌てた。あたふたとどうしようとわちゃわちゃした。

 ククルがボクに任せてと言い三人についてきていた妖精ククルが代表として出てきた。

 

「……なんだお前」

 

 不破は出てきたマスコット妖精を見て疑問を口にせざるおえなかった。

 不破は一応魔力やら神力やらの感知能力を持っている。

 その感知能力が正しければ目の前のよくわからないやつは神聖存在側だ。不破の天敵である。思わず拳に力が入る。

 

「初めましてル。ボクはククル。魔法少女を手助けする妖精ル!」

 

 きゃぴーんとククルは笑顔を振りまいた。

 不破はそれに毒気抜かれて肩の力を抜いた。

 

「……そうか、で。俺に何の用だ?」

「実は朝、貴方がラビットジャークと戦っていたのを目撃したル。だから、貴方が何者か気になってるル!」

「……まぁ、そうか。気になるわな」

 

 不破としては納得した。

 突如現れた第三勢力だ。気にならない訳がない。

 だからといって己が何かするのも違うと不破は感じる。

 不破としては勝手に戦って勝手に滅んでろとしか思わない。世界を移動できる力を持つ身からすればこの世界が滅んだならば別の世界に行くだけなのだ。

 更に元来この世界の住人でない自分としてはこの世界の問題に首を突っ込む気もない。この世界の危機はこの世界の者がどうにかすべきである。

 他所の世界の者にやらせようとしてきたからこそ不破は元召喚された世界を滅亡寸前まで追い込んだのだから。

 

「俺は別世界から来た魔神だ。だがまぁ、この世界で悪逆を成すつもりはないし、お前たちに協力する気も邪魔する気もない。好きにやってろ」

 

 だから俺は帰るぞ、と不破はくるりと振り返った。

 

「待ってください!」

 

 それに待ったをかけるのはゆりだ。

 はぁ、と不破はまたため息を吐いた。

 

「なんだ?」

「私たちと共に戦ってくれませんか? この世界をブラックジャールから救うために!」

「知らんがな。ブラックジャックだが何だが知らんが勝手に戦って勝手に滅ぼしてろや。一般人の俺に構うんじゃねぇ」

 

 しっしと不破は虫を払うように手を振った。

 

「待って。力ある者の責務として、その力を善行に使うべき。私たち共に──」

「あ゙?」

 

 澄羽の言葉に不破は声に怒気を込めた。

 魔神の怒りの声に三人と一匹は震えた。

 

「力があるからってなんだ? 世の中の金持ちは素寒貧になるまで貧乏人に金を与えないといけないってか?」

 

 不破の怒気に全員動けない。

 

「違うだろう。力ある者に責務など生じえない。起こるとすればそれは己の力で何かを成したときだけだ。俺は何もしてないぞ。何も責任を持ってないぞ。それでも力を振るえというのなら──殺すぞ餓鬼ども」

 

 不破は肩から力を抜いて拳に力を込めた。

 殺気が放たれる。

 

 これまで戦ったことはあっても殺しに来る相手が居なかった三人は恐怖に打ち震える。

 涙が出て、腰が抜けて、またから尿が出て失禁する。

 

 数秒たち、不破はまたもため息を吐いた。

 

「……餓鬼相手に何言ってんだが。餓鬼だから一度は許してやる。だがもう二度と俺に関わるなよ。次来たら殺す」

 

 そうして不破はジャンプし空の彼方へと消えていった。

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