ニチアサ世界に居ていいタイプじゃないやつが主人公の話   作:Revak

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第3話

 

「無様にやられたな、ラビットジャーク」

 

 魔王城──魔界に君臨する最大の城。

 千メートルを超える城であり城其の物が一つの街と呼べるほどに広大だ。

 

 その最上階の玉座の間にて。五人の男女が集まっていた。

 

「も、申し訳ありません、サタナエル様」

 

 そう床に伏せながら発言するは不破に殺されたはずのラビットジャークだ。

 頭を脊髄事引き抜かれ死んだのは事実だ。だがブラックジャールの首領魔王サタナエルの力で復活したのだ。

 

「簡単にやられるなんて、四天王の面汚しだよねー」

 

 そうクスクス笑うのは四天王の一人ルシフェルだ。

 紫色の髪と瞳を持ち、少女らしい体躯を持っている。

 黒いコートに身を包み背中からは黒く染まった天使の翼を生やしている。

 

「そう笑う事はないんじゃない? ルシフェル」

 

 援護するのは九尾の狐。玉藻だ。玉藻も四天王である。

 露出の多い着物を着用し胸はでかくて腰は細くてケツはでかいという端的に言うとエロイ体をしている。

 金色の髪に会うように金色の狐の耳と尻尾が生えている。しっぽは九本生えている。

 

「情けないことだ」

 

 そういうのは巨体の男だ。

 牛の頭に岩のようにごつごつの肌を持つ男だ。体躯は三メートルはある。

 重戦車という言葉が合いそうな重量感を持っている。

 四天王の一人アドラメレクだ。

 

「してどうする? 魔王様。その……不破とかいう男」

 

 ブラックジャールの諜報力は高い。

 サキュバスなどの淫魔に風俗業をさせ、利用客から情報を吸い取ったり、株や投資をして株主総会に出るなどしているのだ。

 更には地上で探偵事業を差せている部下もいる。情報とは力だと知っているのだ。

 そして不破は目立つ容姿をしているため多少探れば本名と職業ぐらいは簡単にわかるのだ。

 

「殺すべきじゃない? わらわたちの邪魔をするのなら死あるのみよ」

 

 そう不敵に笑うのは玉藻だ。

 

「それに賛成だ」

 

 そう告げるのは魔王サタナエルだ。

 

「玉藻。其方が行き不破という男を殺してこい。手段は問わない」

「畏まりました、魔王様」

 

 にやり、と玉藻は笑みを浮かべた。

 

 

 

 ■

 

 

 不破と魔法処女たちが住まうこの都市月影市は広大だ。

 海こそないがレジャー施設は多数あり、水族館もプールもある。

 そのうちの一つ野外不破に不破と不破の部下であるアニエスは来ていた。

 

 公園のバーベキュー場でバーベキューセットをアニエスが広げる。

 

 アニエスは魔族の女だ。

 人間から魔族に転化させられた存在である。人間だったころの記憶はない。

 父親は目の前で不破が殺し、母親は目の前で魔族の慰み者にされた後食い殺された。

 アニエス自身も魔族に色々とR18の事をされた後、目についた不破に魔族として強制的に転生、転化させられたのだ。

 不破の力で記憶は不破に都合の良い方に書き換えられている。盗賊に襲われ死ぬところだったのを不破の力で魔族にしてもらい助けてもらったと。

 そのためアニエスは不破に対し絶対的な忠誠を誓っている。死ねといえば即座に自害し適当な男とセックスしろと言えば喜んで股を開くだろう。

 

 アニエスは金髪赤目のヨーロッパ系の美人だ。女で出るところは出てて胸は二度見三度見されるぐらいには大きい。

 アニエスは嬉々としてバーベキューセットを準備する。

 

 今日は不破が唐突にバーベキューセットしたいと思ったので昼食をバーベキューで済ます予定である。

 

 炭火を起こしウィンナーやら牛タンやらカルビやら焼いていく。

 

 不破は黙々と食べていく。食べながら話すような間柄でもないので無言である。

 

 周囲の客は無言だけど楽しんでるのだろうかと思いながら遠巻きに見ていた。

 

 アニエスが持ってきた食材の半分を焼いたころ。雷鳴が響いた。

 

 なんだ、と不破とアニエスが市民と同じ音がした方を向けばそこには奇妙な集団が居た。

 

 一人はブラックジャール四天王の一人玉藻。残るは戦闘員ブラックマンたちだ。

 ブラックマンは黒いマネキンそのものの姿をしており胸にブラックジャールのマークが彫られている。

 戦闘力は低い方だが銃弾を受けても動き続ける不死性を持っている。破損が八割を超えないと消滅しないのだ。

 頭を砕こうが胸を砕こうが破片が動き人を襲い続ける習性を持つ。

 倒すには魔法少女の魔力でかけらもなく消し飛ばすのが有効だ。

 

「なんだ、あいつら」

 

 不破が変な集団だなと眉をひそめているとバーベキュー場に居た客がその場を放って逃げ出した。

 

「ブラックジャールだ! 逃げろぉぉぉぉお!」

「いや! いや! 死にたくない! 死にたくない!」

「お母さん! 置いてかないで!」

 

 悲鳴がこだまする。

 不破は気にせず食事を続けた。

 

 玉藻がどこからか拡声器を取り出した。

 

「えー! 不破泰二! ここにいるのはわかっている! 出てきなさい!」

「あ?」

 

 不破は己の名が呼ばれたことに驚いた。

 仕方がないな、と食べていたものを無理矢理に飲み込み食器をアニエスに渡す。

 

「あいつらどうにかしてくる。ここで待ってろ」

「畏まりました」

 

 不破は面倒だ、と愚痴りながら玉藻の方へ歩いて行った。

 

 距離にして二十メートルの間で不破は玉藻の前で止まった。

 

「で、望通り来てやったぞ、何の用だ」

「貴方を殺しに来たわ」

「……それはお前自身の意思か? それともブラックジャックの意思か?」

「ブラックジャックじゃなくてブラックジャールですわよ! もちろんブラックジャール首領のご意思ですわ」

「そうか──なら死ね。無駄に無様に死に絶えろ」

「ふふ、やってみなさい! 行きなさいブラックマン!」

 

 不破は言葉に魔力を込め発言した。

 

「"死ね"」

 

 その一言で充分だった。

 玉藻は死に屍となり風化して消えた。ブラックマンも死に塵となって消えた。

 

 不破が持つ魔法能力だ。不破は発言した言葉を現実に出来る魔法を持っている。

 極論死ねといえば相手は死ぬし消えろと言ったら存在が消える。燃えろと言えば燃えるし凍れと言えば凍るのだ。

 欠点としては格下専用なところだろうか。うまい具合に言葉を調整しないと反動でダメージを追う。

 これは不破の身が持つ力ではなく不破が居た世界の魔法がそうだったのだ。

 本来の使い方は世界に火球を作るよう命じ作った火球を飛ばすなどで攻撃する。そうすれば反動は来ない。

 

「あ?」

 

 不破は死体から魂が即座に消えたことをに気づいた。

 不破の視力はいい。数値的にもいいが力の流れだったり魂などが観測できる。

 その目で見れば玉藻の魂が即座に消えたのが目に見えてわかった。

 

(たしかあのウサギ仮面野郎を殺した時もこうだったな)

 

 はて、この世界の住人は死ぬと即座に魂が消えるのだろうかと不破は疑問を抱く。

 不破が居た世界では死んでもしばらくは魂が残る。その間は蘇生の奇跡が通じるのだ。

 この世界特有の現象か、はたまたブラックジャールの者だけの現象か。不破には分らなかった。

 

 まぁいいかと捨て置いて、不破はバーベキューの続きに向かった。

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