ニチアサ世界に居ていいタイプじゃないやつが主人公の話 作:Revak
翌日。不破はカフェに呼ばれていた。昼の三時頃である。
カフェに入って席を見る。そこには中学生三人組が居た。隣には浮遊する妖精ククルもいる。
「あ、こっちです!」
そう手を挙げるのは虹川ゆりだ。はつらつな笑顔である。
不破はしかめっ面のまま席に行く。
女子中学生と二十を超えた男の合瀬。見られたら通報ものだが問題ない。
妖精ククルの認識阻害の力で正しく見られることはないので通報はされない。
不破は三人が座っているのと反対側に座る。
「今日はありがとうございます!」
「……よろしく」
「よ、よろしく」
上から順にゆり、澄羽、朱音だ。
澄羽は不破にも負けないぐらい不機嫌そうな顔をしている。
「……よろしく」
不破はぶっきらぼうにそう言った。
「まずは自己紹介した方がいいと思うル」
ククルが暗い空気を変えようと発言した。
「はい! 私は虹川ゆり、十二歳! 魔法少女になってまだ一か月の新人です!」
「……蒼月澄羽。一年前に魔法少女になった十二歳」
「暁朱音だ。私は十三歳だ。よろしく」
「……不破泰二だ。二十二だ。よろしく」
不破のは嘘である。
異世界で二十年ぐらい魔神として君臨していたので実年齢は四十を少し超えた程度になる。
だが肉体年齢と精神年齢は魔神になった二十のころから変わってないので間違ってはないともいえる。この世界での戸籍も二十で作りこの世界で暮らし始めて二年経っているので。
「で、だ。あのブラックジャールとかいうやつらの拠点を教えてくれれば俺が勝手に皆殺しにしてくるが」
その台詞に澄羽は眉を潜めた。
「……一人でブラックジャールを倒せると?」
「倒せる。理由は単純だ。今この瞬間にこの世界が滅んでない、征服されてないのが証拠だ。俺一人で地球破壊ぐらいなら余裕で出来る。現時点で地球が無事な時点でブラックジャールは俺以下の戦闘力しか持ってない」
地球を壊せるという発言に三人と一匹は目を見開いた。
そしてそれが真実だと知る。
不破が持つ能力の一つ、『全意思疎通』この能力はあらゆる相手との意思の疎通を可能にする。言語体系が全く違う相手どころか言語を持ってない相手とすら意思の疎通を可能にする。
更に相手の意思が裏表関係なくわかるという能力もあり相手の嘘を見抜くことも可能にする。
欠点として自身の意思も裏表関係なく伝わるので嘘を言っても相手に嘘だとわかるのだ。その反面事実を言えばそれが相手に事実だと伝わる。
その力で三人と一匹は不破の発言を真実だと知った。
「……残念だけど、三人もボクもブラックジャールの拠点がどこにあるか知らないル」
「嘘だな」
ククルの発言に嘘だと不破は断じた。
その言葉にククルはバツが悪そうな顔をした。
「え、嘘なの?」
そういうのはゆりだ。
「えーと……」
ククルはそっぽ向いた。
「嘘言うなら拷問してでも真実聞きだすぞ」
「ブラックジャールは魔界という異世界に居るル。だけど魔界に行くのは不可能ル」
不破の台詞にククルは襟を正して口を開いた。
「なんでだ?」
「理由は二つあるル。一つは魔界への行く手段である魔界ゲートが封印されているのと、魔界は高密度の魔力に覆われていて人が行くと即座に死んでしまうル。まぁ魔法少女に変身しておけば大丈夫ルけど、一時間も居れば体調が悪化するル」
「俺の体は魔神だから肉体的疾患とは無縁だから問題ないな」
不破はそう言った。事実である。
病も毒も無効化し骨が折れようと即座に再生するのが不破の魔神の体だ。魔界の魔力でどうにかなるやわな体ではないのである。
「なら問題は魔界に行く手段ね……何かないの?」
「あるのは今のところ天界の魔界ゲートだけしかないル。だけどそれも封印することでブラックジャールが現世に大量に転移してくるのを防いでる関係上封印を解いて攻めに行くのは厳しいルね」
「そっかぁ……」
うーんと三人は頭を悩ませた。
「俺は空間移動系の能力を持ってる。空間の座標さえわかれば勝手に転移出来るぞ」
「……それは天界による封印よりも強力ル?」
「知らんがまぁ破壊は出来るだろ」
「破壊はダメル! 世界が混沌に陥るル!」
「駄目か……」
「ねぇ、なんで天界は魔法少女を戦わせてるの? 魔界を封印できるなら天界の戦力だけでどうにかなったんじゃない?」
そう問いかけるのは澄羽だ。
「どうにかなってないル。天界は今も魔界でブラックジャールと戦争中ル。ブラックジャールの方が戦力が余っていて地上侵攻も同時にしようとしてきて、それに対処できる天使が居ないからしょうがなく地上から人材を見繕って戦ってもらってるル。それが魔法少女ル」
「……天界も大変なんだな」
ククルは天使ではなく妖精という天使の下の階級だ。それでも人の力を覚醒させるぐらいのことは出来るため地上に派遣されている。
ブラックジャールの侵略は地上全体に及んでいた。
世界各国にランダムな時間に侵略してきていたのだ。それをたった二人の魔法少女で食い止めていたのだ。
それが最近はこの月影市にしか侵略を行っていないが。
「なら、その戦線に私たちも加わるのはどう?」
澄羽がそう発言した。
「それは危険ル! 魔界は居るだけで危ないし、戦線に加われば死ぬこともあるル!」
「俺が居れば問題ないだろ、雑魚がいくら来ても意味ないしな……いや、そもそも俺一人前線に加わればそれで済む話だな」
「む」
不破の台詞に澄羽が眉を潜めた。
「ずいぶんと自信家だけど、貴方本当に強いの? 口から出まかせじゃないの?」
「……まぁ、そういわれてもしょうがないが……どう俺の力を見せようか」
さてどうしたものかと不破が頭を悩ませ始めるとじゃあ、と朱音が立ち上がった。
「模擬戦しようぜ! それで白黒はっきりわかんだろ!」
「……殺さない自信がないんだが」
「私たちだって負けてやる気はねぇぜ!」
「いいね、模擬戦、しようよ!」
ゆりも乗り気になり、しょうがないなと澄羽も同意した。
まぁ最悪死んでも魂あれば魔族に転生させれるからいいか、と不破も了承した。