スタッ
ヴン…ッ
麟「到着っと…」
小鈴
「ようやくこの時が来ましたね!」
麟「ああ。さーて…阿求の奴を、ギャフン!と言わせてやろうかな」 スッ…
コンコンッ
ガララッ
婆や
『はい、どちら様で…あ、華月様に小鈴様。おはようございます』 ペコリ
麟「おはよう婆や。阿求の奴は居るか?」
『もちろんおりますとも。貴方様が阿求様に会って以降、阿求様は多少ではありますが、元気を取り戻されたようで…』
麟「なら…あともう少しあいつの背中を押してやるだけだな」 スッ
『その容器は…?』
麟「阿求の為に作ったスープだ、こいつを温める為の火鉢的なのを少し借りたいんだが」
『それでしたら、私めがその汁物を温めて器に1杯分をお部屋にお運び致しましょうか?』
麟「すまない、頼んでもいいか?」
『かしこまりました。それではどうぞお上がりください』
麟「邪魔するぞ〜」
小鈴
「お邪魔します〜」
コンコンッ
阿求
「はい…?」
麟「ちーっす、三河屋でーす」
小鈴
「チョット!?」
ペシッ!!
麟「アダッ」
阿求
「…(汗)」
サーッ
麟「イテテ…おっす阿求。元気してっか〜?」
小鈴
「おはよう阿求」
阿求
「お、おはよう小鈴…。麟さん、今日は何の御用でしょうか…?」
麟「約束通り、お前の呪縛を解き放つスープを作ってきた」
阿求
「スープ…?まさかとは思いますが…そんな汁物1つで、私の体調が治ると思っているんですか…?」
麟「ああ、きっと1週間も飲み続ければ治るだろ」
阿求
「え…」
コンコンッ
『華月様、スープをお持ちしました』
麟「おっ、ありがとう婆や。今受け取るよ」
サーッ
『どうぞ、気をつけてお持ちください』
麟「サンキュー婆や、あとは俺に任せてくれ」
『かしこまりました』 ペコリ
サーッ
パタンッ
麟「ようやく温まったみたいだ。ほらよ阿求、俺達が頑張って作った最高の漢方スープだ」
コトッ…
阿求
「これが…私の為に作ってくれたスープ…」
小鈴
「そうよ!私と麟さんで見つけた情報と、美鈴さんの知識、そして賢者様達が集めてくれた最高の材料で作り上げたスープなんだから!」
麟「今のお前の体調に一番ピッタリなスープだよ」
阿求
「ただのスープ1杯で…今の私の身体が快方に向かうわけ…」
小鈴
「ちょっと阿求…!」 ガタッ
麟「まあ落ち着け小鈴…」
フワァァァァァァァ…
阿求
「(スンスン…)うん…?」
麟「!」
(あの反応、佛跳墻の香りに気がついたか?)
阿求
(何…?この言葉では表現しにくい、複雑で
「もしかして…このスープから…?」 スッ…
カチャ…
小鈴
(阿求がスープを手に取った…!)
フワァァァァァァァ…
阿求
「(スンスン…)やっぱり…この香りはこのスープから香るものだわ…。このスープ…なんて深く美しい琥珀色なの…しかも濁りが一切無く透き通っているわ…。一体どんな方法を使えば…こんなにも美しいスープが作れるのかしら…」
麟(飲め…そのまま少しでもいいから飲め…!)
小鈴
(早く飲んで…阿求…!)
阿求
「(カチャ…)だめ…この香りを嗅いでしまうと、勝手に手が動いて…」 スッ…
チュルッ…
麟・小鈴
「「…!」」
阿求
「…」
ゴクッ…
麟・小鈴
(飲んだ…!)
阿求
「…」
小鈴
「ど、どうかな?阿求…」
阿求
「…っ!」
麟「あ、阿求?」
阿求
(ズッ!ズッ!ズッ!)
小鈴
「ちょちょちょっ!?阿求!?」
麟「そんな一気に飲まずにゆっくり味わえ!?」
阿求
「だってこのスープ…とても美味しすぎるんですもの!」 ズッ!
麟「そ、そうか?それならまあ仕方ない…のか?」
小鈴
「そ、それでももう少しゆっくり飲みなさいよ?」
阿求
「このスープ…今まで味わった事のない美味です…!弱りきっていた身体の芯に生気が吹き込まれて揺さぶられるような気が、
麟「そういえば小鈴達が飲んだ時も、そんな感じだった気がしないか?」
小鈴
「そ、そうでしたっけ?そうだとしたら少し恥ずかしいなぁ…///」
阿求
「麟さん、このスープはなんというスープなんですか?」
麟「そのスープの名前は佛跳墻、中国という外の世界で飲まれている高級な漢方系スープといったところかな?」
阿求
「佛跳墻…聞いた事がない名前ですね…」
麟「ま、こんなスープ、幻想郷では絶対に飲む事が出来ないであろうスープだからな。恐らくこの幻想郷で生きていても、1回耳にするかしないかレベルの存在だ」
阿求
「で、でも…麟さんと小鈴はこのスープを見つけたんですよね?」
麟「ああ、見つけたよ。永遠亭の書物庫からな」
阿求
「永遠亭で、ですか?」
小鈴
「阿求の身体を治す為に、何か食事系で方法がないかって探していた時に見つけたのが、この佛跳墻だったってわけよ」
阿求
「そうだったのね…。でもこのスープ、一体どんな材料を使ったらここまで素晴らしい味を…?」
麟「…ちょーっとそれは企業秘密でって言いたくなるくらいには、大変だったかな」
小鈴
「そうですね…これは私と麟さん達だけでの秘密にしとくべき内容ですね」
阿求
「そ、そんなぁ」
麟「せめて言えるとするなら、外の世界にまで行って材料をかき集めないと作れないとだけは教えておくよ」
阿求
「あ…この幻想郷のタブーに触れるほどなんですね…」
麟「まあそんなところだ。とりあえずスープを1杯飲んだ感想はどうだ?」
阿求
「心なしか…少し身体が軽くなった気がします?」
麟「そいつはよかった。そんじゃ残りのスープを1日に必ず1杯飲めば、お前の身体も快方に向かうだろうな。とりあえず1週間程度の分は作ってあるから、ゆっくり飲みな」
阿求
「そ、そんなに作ってくれたんですか!?」
麟「頑張って材料集めしてたら、そんなに出来ちゃった☆」
阿求
「そ、そうですか」
麟「よし阿求もスープを飲んで元気を取り戻し始めたし…(スクッ)俺達はお暇させてもらうとするか」
小鈴
「そうですね。あとは婆やさんにあのスープを毎日1杯飲ませるよう、お願いすればいいだけですもんね」 スクッ
麟「だな。んじゃ阿求、俺達はここいらでお暇させてもらうから、お大事にな」
小鈴
「お大事に〜」
スタスタ
阿求
「ま、待ってください麟さん!」
麟「(ピタッ)ん?」
小鈴
「(ドスンッ!)アイタッ!?」
麟「あ、ごめん小鈴。で?どした阿求」
阿求
「あ、貴方が私の容態を見に来て頂いた時から聞きたかったんですが…どうして麟さんは私の為にここまでしてくれたんですか…?今回のスープ作り…話を聞く限りではタブーを犯してまで材料集めをしたんですよね…?私なんかの為に…どうしてそこまで…」
麟「…まあ…その…なんだ?俺は、
阿求
「私に死なれては…困る…?」
麟「お前は幻想郷で唯一、
阿求
「…!」
麟「と、とりあえずだ!俺はまだまだこの幻想郷で生き続ける。だからその生きた証を、まだまだお前には書き記し続けて欲しいって思っただけの事よ。そんじゃな!」 スタコラサッサーッ!
小鈴
「ちょっ!?部が悪くなったからって逃げるように行かないでくださいよ!?そ、それじゃあ阿求お大事に!」 バビューンッ!
シーンッ…
阿求
「…」
『『だからその生きた証を、まだまだお前には書き記し続けて欲しいって思っただけの事よ』』
阿求
「自分の生きた証を、書き記し続けて欲しい…か。…ふふっ♪果たしてその言葉には、どんな意味が含まれてるのかしら…?」