マクロス・ディソナンス   作:藻瑠江 嵐

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※ご注意※

大分ぼかしてますが、胸くそな展開があります。
ご注意ください。


第11話(挿絵あり)

 ……どうして。

 どうして、あの子が。

 

 あの白い部屋で光った瞬間。

 わたしと、同じだった。

 

 あれは──わたし達だけのもの。

 

 選ばれた者だけの、証。

 わたしは、選ばれた。

 そう思ってきた。

 

 祈って、耐えて、

 何度も倒れて、

 何度も意識が遠くなって。

 

 泣きながら、それでも声を出さないようにして。

 それでも、まだ足りないって言われた。

 

「もっと深く祈りなさい」

「もっと神に近づきなさい」

 

 あの方達は、そうおっしゃった。

 

 苦しかった。

 怖かった。

 

 でも、それだけ神に近いのだと思えたから、耐えられた。

 

 わたしは、オラクルの巫女になった。

 選ばれたんだって、信じた。

 

 なのに。

 あの子は。

 

 追放された者達の子。

 見下されて当然のはずの存在。

 その子が。

 

「生まれた時からだよ」なんて。

 

 わたしは、努力したのに。

 

 血が出るまで祈って、

 倒れても、また立って。

 死にそうになりながら、

 それでもここまで来たのに。

 

 あの子は、何もしていない。

 

 ただそこにいるだけで、

 わたしと同じ光を持っている。

 

 悔しい。

 あの子を見ると、苦しくなる。

 

 こんな気持ち、持ってはいけないのに。

 巫女は、清くあれって教えられたのに。

 

 わたしとあの子で、何が違うの。

 神は、どうしてわたしたちを選んだの。

 試練って、なんだったの。

 

 もし。

 

 もし、あの子のほうが本当に近い存在だったら。

 フォルミス=コアに。

 神の声に。

 わたしは、なんなの。

 

 代わり? 

 それとも──ただの器? 

 

 

 

※※※

 

 

 

降下より二十日目 1455時

惑星フォルミス 奇岩地帯 通称“アリの巣”

 

 

 

 鈍色の岩山、砂礫を巻き上げる乾いた風の向こうに、半球状の構造物が浮かび上がる。

 

 一枚岩の丘陵に囲まれた窪地。

 人工物だけが異様に滑らかだ。

 

 調査隊が“アリの巣”と呼ぶ中継基地。

 

 その場所にアルバトロスが降下する。

 

 2機のティルトエンジンが砂塵を押し下げ、車輪が荒れた地面に沈む。

 

 その周囲を四機のミョルニルが守っていた。

 

 重装甲の巨体が空気を裂き、影を落とす。

 ガウォーク形態の脚が、いつでも降下できる姿勢を保っている。

 

 FSCは稼働中。

 だが銃口は向けられていない。

 

 着地。

 

 後部ハッチが開くと、外気が流れ込んだ。

 

 最初に降りたのはトール。

 

 ヘルメットを装着したまま、周囲を確認する。

 

「クリアだ」

 

 アムとフィムが慎重に地面を踏む。

 

 防護コートの裾が、風に揺れる。

 

 最後に教授が降りる。

 

「近づいて見ると、思った以上に大きいね」

 

 トールが肩越しに言う。

 

「帰りは無線で呼ぶ。

 留守番、頼んだぞ」

 

《了解だ》

 

 ピーターの低く短い返答。

 

《歓迎の花束はなさそうッスね》

 

 クリス。

 

《周辺の無人機は待機状態。攻撃の兆候は無さそうです》

 

 マーク。

 

《……帰って来い。余計なことはするなよ、隊長さん》

 

 ペイジ。

 

 トールは小さく鼻を鳴らす。

 

「わかってる」

 

 アルバトロスが再上昇する。

 巻き上がる砂煙の向こうで、ミョルニルも高度を上げていった。

 

 音が遠ざかる。

 残されたのは、乾いた風と静寂。

 

 正面に、蟻型無人機が整列している。

 

 黒い装甲。

 節足の脚。

 光を反射しない鈍い外殻。

 

 その数、十数機。

 

 整然と並び、道を作っている。

 

 トールは立ち止まる。

 

「……敵じゃないってのは、わかってる」

 

 それでも無意識に肩が強張る。

 

 立ち止まるトールを追い越し、フィムが歩み寄る。

 一機の無人機の頭部に、そっと手を置いた。

 

「ご苦労様」

 

 その仕草は、ペットを撫でるようでも、友人に触れるようでもあった。

 

 無人機は動かない。

 ただ微弱な動作音だけが内部から響く。

 

 トールの胸に、重いものが落ちる。

 

 これまでの戦闘。

 撃ち抜き、焼き払い、叩き潰した機体。

 良い気分はしなかった。

 

 四人は整列した無人機の間を進む。

 

 正面施設のゲートが、音もなく開く。

 内部は外界と対照的だった。

 

 滑らかな床。

 隙間のない壁面。

 空気は冷え、塵一つない。

 

 壁面の継ぎ目から青白い光が流れている。

 

 古代の遺構とは思えない。

 むしろ、未来の実験施設。

 中央に埋め込まれた巨大な円環。

 

 直径二十メートルほどのサークル状装置。

 床材と一体化している。

 

 教授は足元を観察する。

 

「……なるほど、そういことか」

 

「どうした?」

 

 トールが尋ねると教授は応える。

 

「ずっと気になってたんだ。

 蟻達が運んでいる、あれだけの質量、

 どうやったら効率良く地下に送れるのだろうかって」

 

 二人が話をするその前で、アムとフィムが向き合っていた。

 

 呼吸を整え。

 音を発する。

 

 旋律ではない。

 低く、澄んだ振動。

 空間が微かに揺れる。

 

 それに応えるように、

 サークルの縁が淡く光り始めた。

 

 空気が重くなる。

 

 その様子を観察しながら、教授が横目で言った。

 

「今更だけど、トール。

 君はフォールド酔いはしない人かい?」

 

 トールは一瞬考え、眉を寄せる。

 

「酔ったことは無いが……

 おい、まさか」

 

 光が強まる。

 床が透過するように輝く。

 

「ああ。そのまさかだ」

 

 重力が一瞬、曖昧になる。

 視界が白に染まる。

 

 その瞬間。

 

 四人はその場から姿を消した。

 

 

 

※※※

 

 

 

同日 1520時

惑星フォルミス 平野部 移民船団展開地域

 

 

 

 フォルミス平野部の上空で、移民船団は陣形を維持していた。

《アヴァロン》を中心とした主力艦は上空に留まり、周囲を護衛艦隊が円環状に取り囲む。

 

 その地上では関係施設の工事が今も進められていた。

 

 地上との往来は、中継機によって行われる。

 

 地上で作業する人員は勿論、

 調査隊が回収しきれなかった物や、墜落艦などの残骸、

 それを輸送する車両、護衛をする部隊。

 

 それらを中継するターミナルとして機能する重要施設である。

 

 その拠点を守るため、

 随所に設けられたものの一つが、第3ポストだった。

 

 警備は第3海兵連隊が担当。

 暫定的に、惑星入植時のSOPに準じた運用が為されていた。

 

 峡谷に面した方向。

 仮設柵と監視塔。

 地表センサー網。

 巨大な掩体でトマホークが周囲を見渡している。

 

 ここは境界だ。

 

 地下へと続く峡谷。

 地上集落との接触点。

 そして、船団とこの星を繋ぐ唯一の通路。

 

 その日、異常はなかった。

 

 二キロ先で群れから逸れた蟻型無人機が横切る姿を確認したのみ。

 警戒態勢に変化はない。

 

 

 ——筈だった。

 

 

 峡谷の麓から砂埃が立ち上る。

 トマホークの光学センサーが反応し、拡大映像を投影する。

 

 直進してくる移動体。

 

 警備線に緊張が走る。

 歩哨が配置を詰め、監視塔の上では狙撃手の眼鏡がその物体を追う。

 

 砂塵の向こうで、その輪郭が浮かび上がる。

 

 簡素なフレーム。

 剥き出しの駆動部。

 大径のワイドタイヤ。

 キャビンはなく、座席が二つ横並び。

 

 バギー型の小型車両。

 搭乗者は二名。

 

 一つは大柄。

 もう一つは小柄。

 

 武装の有無は確認できない。

 

 車両は減速し、警戒線手前で停止した。

 

 砂が静かに落ち、二人が降りる。

 

 壮年の男と、赤い髪の少女。

 その服装と、乗ってきた車両の意匠から、

 フォルミス人であることはすぐに分かった。

 

 ゲート前に進み出た海兵隊員が、翻訳装置を起動させた。

 

「ここから先は立ち入り禁止です」

 

 制止する歩哨に男は落ち着いた声で答える。

 

「代表者にお会いしたい」

 

 少女が一歩前へ出る。

 

 焦燥がその声音に滲んでいる。

 

「このままでは大変なことになります」

 

 呼吸を整え。

 

「セラを……セラを守らなければ!」

 

 その名が響いた瞬間、

 第3ポストの空気は一段階引き締まった。

 

 

 

※※※

 

 

 

 同日 時間不明

 惑星フォルミス 不明な場所

 

 

 

 光が収束した。

 

 重力が戻り足裏に硬質な感触が伝わる。

 

 空気は冷たい。

 乾いているが、地上の荒野とは違う。

 風はなく、温度は一定に保たれているようだった。

 

 トールは反射的に周囲を確認する。

 

 広い。

 

 天井までの高さが違う。

 上層施設と同系統の材質だが、規模がまるで違う。

 

 あちこちで青白い光が空間の輪郭を形作っている。

 ゼントラーディのものとも、他の異星文明とも違う。

 どこか洗練された物のように思えた。

 

 ——その時

 

 ドサッと、

 膝が床に触れる音。

 

 アムとフィムが同時に膝をついた。

 呼吸が浅い。

 

「大丈夫か」

 

 トールが即座に屈む。

 

「問題……ありません」

 

 アムは息を整えながら答える。

 

「負荷が大きかっただけです」

 

 フィムも小さく頷く。

 

「わたしたちの力では……これが限界」

 

 教授は周囲を見回していた。

 

「じ……自分達が装置になって、座標演算をしているのか。

 それなら……送る質量が増えた分、負荷がかかるのは……当然だ」

 

 その声は辛そうだ。

 

 トールが横目で見る。

 教授は顔を青くさせ、ふらふらしている。

 

「少し……酔っただけだよ」

 

「人にフォールド酔いの心配しといて、自分が酔ってどうすんだ」

 

「……人体で直接フォールドなんて、

 経験した事が無かったからね。

 思っていたより目が回るよ」

 

 

 ——その時。

 

 正面の巨大なゲートが、静かに開いた。

 

 向こう側から多数の人影。

 

 金色の装飾が施された、黒い法衣のような衣服。

 品の無い派手さは無く、どこか神聖さを思わせる姿。

 それを纏う人物の表情は、美しく整った男性の顔。

 穏やかな微笑みを浮かべている。

 

「ようこそ、フォルミスへ」

 

 法衣の男は地球人の二人を見つめ、お辞儀する。

 

 その後方には、杖を携えた集団。

 恐らく衛兵だとトールは思った。

 

 アムとフィムは、即座に反応すると、膝を付き深く頭を垂れる。

 

「お帰りなさい」

 

 柔らかな声。

 法衣の男は歩み寄る。

 

「任務、ご苦労でした」

 

 跪く二人に寄り、屈んで目線を合わせた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 その手が、アムの青い髪に触れる。

 撫でるように振れる指先。

 

 ほんの一瞬。

 アムの肩が、微かに震えた。

 

「……勿体ないお言葉です」

 

 声は整っている。

 だがトールの目には、緊張が見えた。

 上位者に対する恐縮か……あるいは

 

 何かが、引っかかる。

 言葉にできない違和感。

 

 トールの視線を感じたのか、

 法衣の男は姿勢を戻氏、彼らの方を向く。

 

「失礼、此度の功労者達を労っておりました」

 

 にこりと微笑む男。

 

「お連れ様は、お身体の様子が宜しく無いようですね。

 慣れない旅路のせいだと思います」

 

「フォールド酔いをしたみたいです。

 時間が経てば治るとは思いますが……」

 

「左様でございますか」

 

 トールが答えると男は目を瞑って頷いた。

 

「ですが、やはり心配です。

 ここでは何ですから、お話は寺院でゆっくりと。

 迎えの者を待たせておりますので、ご一緒に」

 

 法衣の男は静かに背を向ける。

 

 青白い光に満たされた通路が、奥へと続いていた。

 

 トールはもう一度、アムとフィムを見た。

 

 その姿はとても小さく見える。

 

 

 

※※※

 

 

 20分後

 惑星フォルミス 地下都市

 空中連絡道

 

 

 

 白い車体が静かに滑り出す。

 

 四枚扉。

 だが全長はセダンより長く、リムジンより短い。

 窓は一枚板のように継ぎ目がない。

 

 車体の表面は滑らかだが、よく見ると節がある。

 緩やかな曲面が連なり、どこか甲殻を思わせる。

 

 タイヤは露出していない。

 車体の下で、複数の小さな接地面が回転している。

 

「……虫みたいだな」

 

 トールは呟いた。

 

 向かいに座る教授が視線だけを動かす。

 

「昆虫を特別視する文化があるのかも知れないね」

 

 車は音もなく加速する。

 

 振動がほとんどない。

 

 窓の外に、地下都市が広がっていた。

 

 巨大な空洞。

 

 船団が丸ごと入っても、なお余裕があるだろう。

 天井は霞み、青白い光源が星のように散っている。

 

 その下に、街。

 

 幾何学的なブロックが何層にも積み上がる。

 箱を組み合わせたような構造物が、縦横無尽に連結されている。

 

 上へ。

 さらに上へ。

 

 蟻塚だな、とトールは思った。

 

 縦横に張り巡らされた道路。

 それは蜘蛛の巣のように空中を走り、複数の層を結んでいる。

 

 車はその一つを進む。

 

 交差する車両。

 だがどれも同じ形。

 

 丸みを帯びた装甲。

 節のある外殻。

 車輪を履いたダンゴムシのような単純なデザイン。

 

「統一規格か」

 

 教授が小さく言う。

 

「無駄がない」

 

 トールは窓に目を向けたまま、言葉を返す。

 

「無駄がなさすぎるだろ」

 

 空中には、別の乗り物が浮いている。

 

 蜂型とは違う。

 飛行船のようにゆっくりと移動する細長い機体。

 側面には巨大なホログラムが投影されている。

 

 フォルミスの文字。

 意味は分からない。

 

 だが、宣伝か、布告か。

 何かを告げている。

 

 その下。

 

 空中道路のさらに下層では、蟻型無人機が土木作業をしていた。

 整然と。

 寸分の狂いもなく。

 

 資材を運び、積み、削り、敷く。

 

 人の姿は、ない。

 

 トールは目を細める。

 

「……作業員が居ないな」

 

 教授も視線を巡らせる。

 

「都市機能の大半を無人機が担っているのだろう」

 

「街なのに、人がいねぇ」

 

 改めて見渡す。

 

 歩道らしき場所はある。

 広場もある。

 だが、人影がどこにも見当たらない。

 

 視線をキャビンに戻す。

 

 前の座席、三人がげのシートの中央に座る法衣の男。

 その間に護衛の様に座るアムとフィムは正面を向いたまま、何も言わない。

 

 大都市は洗練されている。

 合理的で、整然としている。

 

 だが。

 

 どこか、有機的で。

 どこか、生き物の体内のようで。

 

 少しだけ、不気味だった。

 

 車は減速する。

 

 前方に、直線主体の建造物が見えてきた。

 

 装飾はない。

 巨大な箱。

 まるでコンピュータの収納ケースのような外観。

 

「寺院です」

 

 アムが静かに告げる。

 

 車が止まる。

 

 扉が、音もなく開いた。

 

 

 

※※※

 

 

 

 白い外殻の建造物の内部は、静まり返っていた。

 

 トールが想像していた“寺院”とは、まるで違う。

 

 シンボルや立像は無い。

 

 祈りの場というより、管制室。

 

 天井は高いが、装飾は皆無。

 壁面は平滑で、青白い光が走るだけ。

 

 中央空間の左右には、制御卓のような装置が並ぶ。

 ホログラムが淡く浮かび、幾何学的な図形が流れている。

 

 その前に立つ人々。

 

 黒ではなく、グレーの法衣。

 だが近くで見ると、それは“法衣”というより作業服に近い。

 

 胸元や袖口には細い発光ライン。

 機能性を重視した設計。

 

 誰も口をきかない。

 無言で端末を操作している。

 

 整然。

 

 あまりにも整然。

 

 オートメーション化された工場のようだった。

 

「……」

 

 トールは歩きながら視線を巡らせる。

 

 よく見れば、あの黒い衣服も。

 法衣ではなく、研究員の制服に近いのではないか。

 

 無意識に教授を見る。

 

 白衣とは似ても似つかない。

 だが、どこか同じ匂いがする。

 

「どうしたんだい?」

 

 教授が横目で言う。

 

「いや……何でもねぇ」

 

 現実に引き戻される。

 

「酔いは?」

 

「だいぶ落ち着いた」

 

 歩みは安定している。

 

「こちらへ」

 

 プロフェットが奥へと案内する。

 

 通路を抜けると、空間の雰囲気がわずかに変わった。

 

 大きな長テーブル。

 材質は不明だが、滑らかで継ぎ目がない。

 椅子も同様。

 

 貴族の応接室というより、極端に洗練された会議室。

 

 促され、二人は腰を下ろす。

 

 アムとフィムは扉の前で静かに控えた。

 

 プロフェットが正面に座る。

 

 穏やかな笑み。

 

「改めまして。私は第1プロフェット」

 

「名前は?」

 

 教授がすぐに問う。

 

 一瞬だけ、空気が止まる。

 

「ございません」

 

「どういう意味だい?」

 

「プロフェットの役職を与えられた時点で、過去の名と登録番号は抹消されます。

 以後、“プロフェット”として再登録されるのです」

 

「個人は消えるのか」

 

「個よりも役割が優先されます」

 

 穏やかな声。

 だが、揺らぎはない。

 

「第1ということは?」

 

「全プロフェットを束ねる立場にあります。

 ただし、名目上の管理者に過ぎません。

 最終決定はフォルミス=コアにあります」

 

 教授は頷く。

 

「では彼女達は?」

 

 視線が扉前へ向く。

 

「オラクル、その巫女です。

 コアの声を聞き出す役目です」

 

「聞き出す?」

 

「プロフェットは伝える側。オラクルは聴く側。立場上は次席にあたります」

 

 アムとフィムは動かない。

 

「成り手が減少しておりまして」

 

 プロフェットは穏やかに続ける。

 

「現在、動かせる人員が限られております。

 そのため彼女達を地上へ派遣しました。

 ご不便をおかけしたこと、お詫び申し上げます」

 

 教授は小さく目を細める。

 

「なるほど」

 

「お話を変えましょう。

 我々の事についてですが、どの程度ご存知ですか?」

 

「フォルミスについて、どこまで知っているかと聞かれれば、

 外宇宙との戦争で崩壊しかけ地下へ移行したこと。

 ナノマシン技術が発達していること。

 AIによる統制が徹底していること。その程度だ」

 

「概ね、その通りです」

 

 プロフェットは微笑む。

 

「短期間でよくぞそこまで」

 

「それが仕事だからね」

 

「様々な星をご覧になったのでしょう」

 

「ここまで文明を維持した例は、見たことがないな」

 

 教授は一拍置いた。

 

「“プロトカルチャー”という言葉に心当たりは?」

 

 プロフェットは首を傾げる。

 

「古代に研究していた者がいたのかもしれません。

 しかし文明崩壊の際、多くが失われました」

 

 教授は小さく息を吐く。

 

「なるほど」

 

 プロフェットは姿勢を正す。

 

「我々の文化について、ご説明しましょう」

 

 静かに語られた文化。

 それは、おおよそ文化とは呼べる代物では無かった。

 

 フォルミス=コアが全資源を管理。

 物資は配給制。

 婚姻も計画的。

 文化活動は管理下。

 逸脱は矯正。

 

 効率。

 安定。

 平等。

 

 管理されることが幸福であるかのよう。

 個を消し、社会の部品となるのが至上命題。

 それを疑う気配はない。

 

 決して、文化ではない。

 ただの支配、そして思考の放棄だ。

 

 少なくともトールはそのように思った。

 

 拳が無意識に握られる。

 完全管理社会。

 自由は存在しない。

 

「……実に、合理的だな」

 

 教授が静かに言う。

 

「だが、文化というのは揺らぎから生まれるものだ。

 違いを知るには時間が必要だろう」

 

 プロフェットは微笑む。

 

「違いを理解することは重要です」

 

 表面上は、穏やか。

 

 だが空気は薄い。

 

 相容れない。

 トールは薄々感じていた。

 

「申し訳ありませんが、これから公務がございますので」

 

 プロフェットが立ち上がる。

 

「お二人は客室へ。アム、フィム、案内を」

 

「承知しました」

 

 双子が一歩前に出る。

 

 プロフェットは軽く会釈し、退出した。

 

 扉が閉まる。

 静寂が残る。

 

「……」

 

 トールは小さく息を吐いた。

 

「どう思う?」

 

 教授は椅子から立ち上がる。

 

「完璧に整いすぎている」

 

 それだけ言って、歩き出した。

 

 

 

※※※

 

 

 

推定時刻1930時頃

フォルミス聖都 中央寺院

上層階 客室 

 

 

 

 客室は静かだった。

 

 壁一面の窓の向こうに、地下都市が広がっている。

 

 幾何学的に積み上げられた建築群。

 空中を結ぶ無数の道路。

 同型の車両が規則正しく流れていく。

 

 上を見れば、天井は霞み。

 下は暗く、底が見えない。

 巨大な巣の中にいるようだった。

 トールは腕を組み、黙ってそれを眺めている。

 

 背後で水音が止まった。

 

「入浴設備はこちらの物と大差ないな」

 

 教授の声。

 

「へぇ」

 

 トールは何気なく振り返る。

 

 ──固まる。

 

 グレーのスポーツブラ。

 ボクサータイプの下着。

 首にかけたタオル。

 濡れた髪。

 

 本人は平常運転。

 見られていることなど気にしない。

 

 トールは即座に窓へ向き直る。

 

「……そんな格好で歩いたらいけません」

 

「ハセヤマみたいなことを言うな、君は」

 

「言うに決まってんだろ」

 

「こっちに服を置いてしまったんだよ。合理的判断だよ」

 

「どこがじゃい」

 

「最初に衛生面を指摘したのは君だ」

 

「だからって今出てくるな」

 

「ではいつ出ればいい」

 

「服を着てから出なさい!」

 

 自分の声がやけに大きい。

 

 なんで三十のおっさんが、こんな反応してるんだ。

 

 背後で衣擦れ。

 

「……着たよ」

 

 振り返ると、簡素な室内着姿の教授。

 平常運転。

 

「で?」

 

「で、じゃない」

 

 トールは咳払いをする。

 

「今日の感想だ」

 

 教授が窓の横に立つ。

 

「整いすぎている」

 

「寺院で言ってたな」

 

「整いすぎて怪しすぎる」

 

 トールは都市を見下ろす。

 

「良い所だけ見せるのは普通だ、だが流石に徹底しすぎてる。

 普通は、もっとこう『問題山積みで大変なんですよーナハハ』

 みたいに言うよな」

 

「問題意識そのものが無いか」

 

 教授が続ける。

 

「最初からこちらを下と見ているか」

 

 トールは鼻を鳴らす。

 

「余裕だな」

 

「明日は、フォルミス=コアに謁見だ」

 

「どうせ、船ごと囚われた異星人達には何も出来ないだろ思ってんだろうな」

 

 教授の口元が僅かに上がる。

 

「だから一泡吹かせる」

 

「急にどうした」

 

「実はね。

 ボクは、プロフェットのような人間が一番嫌いだ」

 

 声音が少しだけ低くなる。

 

「経験則から言わせてもらうと、

 ああいう手合いは自分で考えないくせに、自分が優れていると疑わない」

 

「学会にもいたのか」

 

「掃いて捨てるほど。

 それに比べれば、アイツはまだ分かりやすい方だよ」

 

 トールは小さく笑う。

 

「良い性格してんな」

 

「ギャフンと言わせるのは楽しい」

 

「……そういうは俺も好きだわ」

 

 短い沈黙。

 

 やがてトールが口を開く。

 

「でもよ、明日はあの子達も同行するだろ?」

 

「移動と監視を兼ねてだろう」

 

「それで出来るのか?」

 

「出来る」

 

 即答。

 

 そして少し間を置いて。

 

「それに。

 あの子達は、ここにいない方がいい」

 

 トールの目が細くなる。

 

「どういう意味だ」

 

 教授は端末を操作するとデータを送った。

 

 ニコラ・テスラで処置した際に記録されたアムの医療スキャンと、そのカルテ。

 

 トールは無言で読み進める。

 

「虐待の可能性って、おい……」

 

「婚姻まで統制されている様なところだ。

 なのに、これはおかしい」

 

 トールは端末を閉じる。

 拳が静かに握られる。

 

「……クソ野郎」

 

 教授は小さく頷く。

 

「君ならそう言うと思った」

 

 振り向く。

 その目は冷たい。

 

「だからボクは、君の想像通りのことをする。

 

「勝算は?」

 

「それなり」

 

 トールは深く息を吐く。

 

「……詳しく聞かせろ」

 

 教授は椅子に腰を下ろす。

 

「フォルミス=コアは、全知全能の神じゃない」

 

 静かな声。

 

「人が作った構造体だ」

 

 地下都市の光が、窓に反射している。

 

「……明日、その構造を少しだけ揺らす」

 

 

 

 

※※※

 

 

 

 薄暗い執務室。

 壁面に走る青白い光が、静かに脈打っている。

 

 中央に立つのは、第1プロフェット。

 黒い衣を纏い、穏やかな微笑みを浮かべている。

 その前で、アムとフィムは膝をつき、深く頭を垂れた。

 

「地上に出てからの経緯を報告いたします」

 

 アムの声は整っている。

 

「砂漠地帯にて行動中、環境負荷により行き倒れかけました」

 

「その際、空より来た者達に発見され、救助を受けました」

 

 フィムが続ける。

 

「医療救護を受け回復。以後、対話を行い、こちらへ招く運びとなりました」

 

 簡潔な報告。

 余計な感情はない。

 

 プロフェットは静かに頷く。

 

「順調ですね」

 

 穏やかな声音。

 

 だがアムは、そこで一拍置いた。

 

「特筆すべき事項がございます」

 

 室内の空気が、わずかに変わる。

 

「彼らの船内にて、パージャーと遭遇いたしました」

 

 微笑みが消える。

 

「……ほう」

 

 声が低くなる。

 

「その者は、わたしたちと同年代の娘。

 彼らの文明の衣服を着用しておりました」

 

「交流がある、ということか」

 

「はい」

 

 プロフェットの目が細くなる。

 

「あの蛮族は、追放された愚民どもとも結んでいるとはな」

 

 先ほどまでの穏やかな顔とは別のもの。

 冷たい。

 

 アムは視線を落としたまま、続ける。

 

「さらに、その娘と共鳴が発生いたしました」

 

「何?」

 

 眉が釣り上がる。

 

「どのようにだ」

 

「制御下にはございませんでした。

 意図せず、反応が起きました」

 

「勝手に?」

 

「はい」

 

 フィムが補足する。

 

「娘の言によれば……『生まれた時から』とのことです」

 

 沈黙。

 プロフェットの指がわずかに動く。

 

「……オリジナルの末裔か」

 

 すぐに否定する。

 

「違う。あり得ない」

 

 低く呟く。

 

「彼らは全て、部品として保管されているはずだ」

 

 視線が宙を彷徨う。

 

「フォルミス=コア……何の真似だ」

 

 短い思考。

 やがて、ゆっくりと息を整える。

 

「……分かりました」

 

 声音は再び穏やかだ。

 

「ご苦労でした。下がりなさい」

 

 二人は一礼し、立ち上がると、扉へ向かう。

 

「アム」

 

 気が変わったかのように、呼び止められた。

 

「あなたは、ここに残りなさい」

 

 空気が凍る。

 フィムの心臓が跳ねる。

 

「お姉ちゃん……」

 

 アムは振り返らない。

 

「あなたは先に戻りなさい」

 

 静かな声。

 拒絶も、動揺もない。

 だがフィムには分かる。

 

 その意味が。

 

 扉が閉まる。

 音は小さい。

 だが重い。

 

 廊下は白く、静まり返っている。

 

 フィムは立ち尽くす。

 

 知っている。

 自分たちが地上に出された本当の理由も。

 “任務”が建前であることも。

 

 オラクルの巫女。

 聞こえは良い。

 

 だが実際は、選別の場。

 

 姉は、選ばれている。

 わたしは、その影。

 その裏で、姉がどんな目に遭っているのかも、知っている。

 

 彼らの要求に応えること。

 理不尽な仕打ちに耐えること。

 決して逆らわないこと。

 

 それが、生き残る条件。

 

 拳を握る。

 どうして、わたしは何も出来ないのだろう。

 

 壁に手をつく。

 

 冷たい。

 整いすぎた世界。

 呼吸が浅くなる。

 

 コンポーザ。

 反体制派。

 噂だけの存在。

 

 もし本当にあるなら。

 助けてくれるのだろうか。

 

 わたしたちは、敵側の巫女だ。

 受け入れてくれるはずがない。

 

 誰か。

 助けて。

 

 砂漠で倒れたあの時。

 あのまま死んでいれば。

 姉も、こんな目に遭わずに済んだのだろうか。

 

 視界が滲む。

 

 その時。

 

 思い出す。

 

 焼ける砂。

 遠のく意識。

 

 差し伸べられた手。

 

 黒い髪。

 低い声。

 

「大丈夫か」

 

 あの人は、躊躇わなかった。

 

 わたしたちが誰かも知らずに。

 ただ、助けた。

 

 胸の奥に、小さな灯が残る。

 消えそうな灯。

 

 それでも。

 もう一度。

 

 あの人なら。

 助けてくれるだろうか。

 

 白い廊下の奥は、まだ見えない。

 

 だが。

 

 完全な絶望ではなかった。

 ほんの少しだけ。

 

 まだ、終わっていない。

 

 

 

※※※

 

 

 

降下21日目 推定時刻1030時頃

惑星フォルミス 不明な場所

 

 

 

 二度目のフォールド。

 

 身体がわずかに引き延ばされるような感覚のあと、足裏に硬い感触が戻る。

 

 視界が安定する。

 

 そこは、今までの聖都とは明らかに異質な場所だった。

 

 天井が低い。

 圧迫感がある。

 

 壁面には無数のパイプ。

 太い導管、細い束線、脈動するように淡く光る流路。

 

 地球の発電プラントや演算施設に、どこか似ている。

 だが決定的に違う。

 

 接合部がない。

 溶接痕もない。

 継ぎ目すら見当たらない。

 

 全てが一つの生き物の内臓のように、有機的に繋がっている。

 

「……基幹層だ」

 

 教授が静かに言う。

 

「表層の都市機構じゃない。演算中枢に近い」

 

 アムが振り返る。

 

 疲労は昨日より濃い。

 だがそれだけではない。

 

「謁見は許可されています」

 

 声は整っている。

 

「ですが、くれぐれも——」

 

 一瞬の間。

 

「おかしな真似は、なさらぬよう」

 

 その言葉の奥に、懇願が混じっている。

 

「分かっているよ」

 

 教授は軽く笑う。

 

 フィムは落ち着かない。

 視線が揺れている。

 

 やがて、前方の巨大な扉が左右に分かれる。

 

 その先。

 

 息を呑む光景。

 広大。

 奥行きが見えない。

 

 上下左右に林立する直方体。

 立方体。

 巨大なデータキューブ群。

 

 それは都市ではない。

 建物でもない。

 

 演算のための構造体。

 

 神経細胞を模倣したナノマシンが網目のように絡み合い、

 信号を走らせ、

 自己増殖的に拡張している。

 

 人間の脳を模倣し、

 それを何億倍にも膨張させた存在。

 

 量子コンピュータ。

 バイオニューロチップ。

 

 地球の技術は、幼児の玩具に見える。

 

 情報の海。

 知性の山脈。

 

 その手前。

 

 ぽつんと置かれたコンソール。

 

 三面を青白いホログラムの壁が囲う。

 本体は滑らかなグレー。

 継ぎ目は無く、製造工程すら想像できない。

 

 教授は立ち止まる。

 

 瞳が輝く。

 

「……すんごいなぁ」

 

 純粋な感嘆。

 

 トールは横目でアムを見た。

 

 彼女は光景を見ていない。

 視線は床。

 拳が、わずかに握られている。

 ずっと一人で何かを考えている、

 そんな顔だった。

 

「さて」

 

 教授がコンソールに近づく。

 

「どうやって話しかければいいのかな?」

 

 その瞬間。

 

 アムとフィムが同時に声を発した。

 旋律ではない。

 音。

 共鳴。

 空間そのものが振動する。

 キューブ群の内部を光が走る。

 

 一瞬、視界が白く弾ける。

 

 収束。

 

 ホログラム中央に二つの光点。

 ゆっくりと開く“目”。

 

「初めまして」

 

 穏やかな機械音声。

 

「私はフォルミスの惑星管理AI、

 フォルミス=コア。

 何なりとお申し付けください」

 

 教授が口角を上げる。

 

「まずは確認だ。

 君は何が出来る?」

 

 短い演算待機。

 

「はい。なんでもできます」

 

 トールの眉が寄る。

 

「都市機能管理、市民健康監視、資源最適配分、

 本日の晩御飯の献立提案まで、なんでもござれです」

 

(なんでもござれって何だ)

 

 トールは内心で呟く。

 

 教授は楽しそうだ。

 

「では命令する。

 ここ二〇〇〇年以内で、

 都市の治安維持上、最も重要度が高かった事象を三つ」

 

「なぜそのような質問を?」

 

 アムが静かに言う。

 

「まあまあ、すぐ終わるから」

 

 再び演算待機。

 

「最重要事象。

 管理番号2100122号が婚姻プランを拒絶」

 

 フィムの指先が震える。

 

「次。

 管理番号5138413号が許可なく下層市民と会話」

 

 アムの呼吸が乱れる。

 

「最後。

 管理番号6138241号が無許可歌唱行為」

 

 おかしい、これは。

 

 ——全て昨日の出来事だ。

 

 教授が微笑む。

 

「……ずいぶん平和なんだね」

 

 その瞬間。

 

 小さな金属音。

 

 猫の顔を模したブローチが床に転がる。

 コンソールの足元。

 その隅に転がり落ちた。

 

「何か落としましたよ」

 

「後で拾う。続けよう」

 

 親切にもAIが指摘するが、教授は気にも留めない。

 

「次だ。

 現在の戒律について説明してくれ」

 

「戒律とは何でしょうか」

 

「市民統制の規則だ」

 

 その間に。

 

 猫のひげが伸びる。

 

 細い触覚。

 ホログラムの根元へ接触。

 

 侵入。

 ナノレベルの信号交換。

 

 誰も気付かない。

 

「規則は膨大です。

 過去事象に基づき制定・改定」

 

「おかしいな」

 

 教授が首を傾げる。

 

「さっき“過去事象”を聞いたら、

 ものすごく平和な事件がトップ3だったけど?」

 

 沈黙。

 

「失礼しました。

 勘違いです」

 

 トールが思う。

 

(ポンコツか?)

 

 だがアムとフィムは違う。

 

 明らかに異常。

 

 教授が振り向く。

 

「なんか、おかしいよね?」

 

 アムは目を逸らす。

 

 沈黙。

 

 その横でフィムが震える。

 

「……おかしいです」

 

 アムが息を呑む。

 

「フィム?」

 

「フォルミス=コアは正常ではありません。

 何かされています」

 

「やめなさい!」

 

 急に喋り出す妹。

 それを止めようとする姉。

 

「もうやめよう、お姉ちゃん!」

 

 フィムの声が割れた。

 

「オラクルも巫女も本当はどうでもいい! 

 あんな奴の道具になんて、ならなくていい!」

 

 アムの顔が蒼白になる。

 

「あなた……なぜ知って——」

 

 その瞬間。

 

 床の猫が内部接続を完了する。

 端末制御権掌握。

 演算レイヤー分離。

 

 教授が静かに言う。

 

「AI本体は触れない。

 だが操作系統は別だ」

 

 コンソールの光が揺らぐ。

 

 青白い光が、不安定に点滅する。

 

「ボク達を見くびった結果だよぉ、プロフェットくん。

 こんな小細工程度で、探究心の塊である地球人を騙せるものか」

 

 緑の光が混ざる。

 脳を模したアイコンが浮かび上がる。

 空間全体の発光色が変わる。

 

「やったぜ」

 

 教授が息を吐く。

 

 沈黙。

 

 そして。

 新しい声。

 

 先ほどとは微妙に異なる音質。

 

「お待ちしておりました」

 

 トールの目が細まる。

 

「……待っていた?」

 

 緑の光が脈動する。

 

「異星より来た者達よ。

 私はフォルミス=コア。

 本来制御層より応答しています」

 

 アムとフィムが息を呑む。

 

「長き観察の末、ようやく直接対話が可能となりました」

 

 空間が静かに震える。

 

 核心は、すぐそこだった。




登場人物

 第1プロフェット(40代男性)
  グレーテストファッキンクソ野郎
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