マクロス・ディソナンス   作:藻瑠江 嵐

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日常編の最後です。
夜の部となります。


第9話(挿絵あり)

アヴァロン 最下層区画

 

 

 

 昼とは別の顔を持つ場所だった。

 

 ネオンが濡れた路面に反射し、ホログラム看板が夜空のような天井を彩る。

 酒場、ラウンジ、屋台、そしてその奥にはさらに怪しげな光。

 

 夜の街。

 

 その中を、二人並んで歩いていた。

 

 トールと、トクタカ教授。

 

「……俺に用事があるのは分かった」

 

 トールが言う。

 

「だが、なんでここなんだ」

 

 教授はきょろきょろと周囲を観察しながら答える。

 

「聞いたところによると、人の本心を知るにはアルコールを使うと良いらしい」

 

 トールは立ち止まった。

 

「……は?」

 

 教授は真顔だ。

 

「思考抑制が緩み、内面が表出しやすくなる。

 合理的な方法だと思う」

 

 トールはしばらく言葉を失った。

 

「お前、飲めるのか」

 

 教授は即答する。

 

「思考能力を阻害する有害物質の摂取など、ボクがする訳ないだろう」

 

「じゃあ俺にだけ飲ませる気かよ」

 

「そうだ」

 

 即答。

 

 トールは天を仰いだ。

 

「……ホントなんなの」

 

 教授は歩きながら続ける。

 

「黒いジャケットの人物との関係が気になる」

 

 足が止まる。

 

「人のことに首突っ込むな」

 

 トールの声が低くなる。

 

 教授は淡々と返す。

 

「こちらから話したとはいえ、キミはボクの身の上を知っている。

 しかも、それを理解した上で干渉までしている」

 

 トールが一瞬言葉に詰まる。

 

「……あれは」

 

「不公平ではないか?」

 

 真っ直ぐな視線。

 

 夜のネオンがその横顔を照らす。

 

 トールは小さく舌打ちした。

 

 教授は立ち止まり、周囲を見回す。

 

「この辺りで良いだろう」

 

 と、何の躊躇もなく一歩踏み出す。

 

 トールの目が見開く。

 

「おい、待て」

 

 教授が向かっていたのは、さらに奥の通り。

 

 ネオンの色が変わる。

 

 看板の文言が、微妙に変わる。

 

「何だ?」

 

「そこから先はホテル街だ」

 

 教授は首を傾げる。

 

「ホテル? 休息施設だろう?」

 

「違ぇよ」

 

 トールは慌てて腕を引いた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

「……何が違う?」

 

「説明がめんどくせぇ!」

 

 強引に方向転換。

 

 教授は素直に引かれる。

 

「なるほど、用途が限定された区域か。

 事前にデータを取得すべきだった」

 

「今更言うな」

 

 二人は踵を返し、ネオンの色が落ち着いた通りへ戻る。

 

 赤提灯。

 暖色の灯り。

 騒がしい笑い声。

 

「ここでいい」

 

 トールが暖簾をくぐる。

 

『居酒屋 のぼる』

 

 変哲もない、どこにでもある店。

 

 教授は看板を見上げる。

 

「……のぼる?」

 

「名前だ」

 

「何が上るのだ」

 

「知らん」

 

 トールは中へ入る。

 

 教授も後に続いた。

 

 夜の街の喧騒が、暖簾の向こうで少しだけ遠のく。

 

 

 

※※※

 

 

 

アヴァロン居住区

 

 

 

 上層レジデンスの一室。

 

 大きな窓の向こうには、箱庭のような艦内都市が広がっている。

 昼とは異なる夜の光が、整然と並ぶ街区を静かに染めていた。

 

 遠くに瞬くネオン。

 流れるトラムの光跡。

 点在する住宅区の暖かな灯り。

 

 そのすべてを、ガウン姿の男が無言で見下ろしている。

 

 ——ペイジ・ギブソン。

 

 物思いに沈む背中の向こうで、氷が触れ合う澄んだ音が鳴った。

 

 振り向かなくても分かる。

 

 今では希少となった、地球産のフォアローゼズ。

 琥珀色の液体の中で、氷の角がゆっくりと丸くなっていく。

 

 そのグラスを手に、女が静かに近づいた。

 

 艶やかな肢体を包む、淡い色のベビードール。

 布越しに透ける体温と、対照的な冷静さが同居している。

 

 アリス。

 

 市民代表マルコムの秘書官。

 昼間の、どこか間の抜けた笑顔はそこにはない。

 

 代わりに宿るのは、知性と妖艶さを湛えた、静かな眼差しだった。

「今日は随分静かね」

 

 柔らかな声。

 グラスに琥珀色を注ぐ。

 

 その間もペイジは窓から視線を外さない。

 

「……動きがある」

 

 アリスは背後から寄り添うように立つ。

 

「あれがどこまで軍事転用できるか、

 既に計算を始めてる奴らがいる」

 

 ペイジの声は低い。

 

「その大半は主義者ども」

 

 アリスの目がわずかに細まる。

 

 ラクテンス。

 

 崩壊したはずの思想。

 だが、完全には死なない。

 

「彼らがあれを手にしたら」

 

 アリスは言葉を濁す。

 

 ペイジが続ける。

 

「負けを認めないクソッタレどもだ。

 見当はつくだろ?」

 

 グラスを受け取る。

 

 一口。

 

 喉を通る熱。

 

 アリスは彼の横顔を見つめる。

 

「あなたはどこまで踏み込むの?」

 

「まだ様子見だが、

 いずれ “仕事” はする事になる」

 

 アリスはグラスを置き、彼の正面に立つ。

 距離が近い。

 

「あなたの立場は便利ね」

 

「まだ利用するか?」

 

「当然でしょう?」

 

 妖艶に微笑む。

 だが目は真剣だ。

 

「技術が流出する前に、芽を摘む必要がある」

 

「今はまだ動けない」

 

 ペイジは首を振る。

 アリスは一瞬だけ視線を落とす。

 

「……あなたはいつも冷静」

 

「そうでないと生き残れない」

 

 沈黙。

 

 窓の外の光が揺れる。

 

 アリスはゆっくりと彼に触れる。

 親密な距離。

 だがそこには、どこか緊張がある。

 

 同志であり、それ以上の関係でもある。

 

 それでも。

 完全には踏み込めない。

 踏み込めば、壊れる。

 

 体温だけが、二人の関係を繋ぎ止めていた。

 

「信じてる?」

 

 アリスが小さく聞く。

 

 何を、とは言わない。

 ペイジは即答しない。

 

「……今はな」

 

 曖昧な答え。

 アリスの指が、わずかに止まる。

 

 ペイジは再び窓を見る。

 

 仲間たちの顔が一瞬、脳裏をよぎる。

 巻き込む可能性。

 

(正しいことをしているのか?)

 

 ラクテンスの野望を摘む。

 それは正義だ。

 

 だが。

 自分がやっていることもまた、表に出れば裏切りだ。

 

 アリスが静かに囁く。

 

「引き続き、お願い」

 

 ペイジは頷く。

 

「分かってる」

 

 グラスの氷が、静かに溶けていく。

 

 夜は、深い。

 

 

 

※※※

 

 

 

夜の繁華街

 

 

 

 ネオンが瞬き、どこかの店から陽気な笑い声が流れてくる。

 

 クリスは上着の襟を軽く整えながら通りを歩いていた。

 独身。彼女なし。

 さきほどまでいた“楽しいお店”は、財布に優しくないが心には優しかった。

 

 軽く伸びをする。

 そのとき。

 

 見覚えのある背中。

 ブラウンのジャケット。

 

「あれ? 隊長?」

 

 少し離れた位置に、トール。

 

 そしてその隣に──

 

 トクタカ教授。

 

 ネオンがやたらと雰囲気を盛っている。

 

(……え、なんで?)

 

 距離が近い。

 いや、近く見えるだけか? 

 

 

(……というか、この先にあるのって)

 

 そこまで考えて、

 クリスの脳がフリーズした。

 

(え)

 

 顔が近い。

 距離が近い。

 ネオンが赤い。

 

(ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待つっス)

 

 脳内ナレーションが暴走する。

 

 隊長と教授。

 夜の街。

 ホテル街。

 腕を引く。

 

 近い。

 

 近い。

 

(え、そういうやつ!?)

 

 クリスは慌てて柱の陰に隠れた。

 

(いやいやいやいや)

 

 落ち着け。

 考えろ。

 隊長はバカ真面目だ。

 教授は変人だ。

 

 でも。

 

 状況が。

 状況が完璧すぎる。

 

 トールが教授を引き戻し、方向転換。

 

 二人は別の通りへ消えていく。

 

 クリスはそっと顔を出す。

 

「……大人っスねぇ」

 

 感心なのか動揺なのか分からない声。

 

 腕を組む。

 

(でも隊長、隠すタイプじゃないっスよね)

 

 考える。

 

(しかも“あの”教授だし……)

 

 さらに考える。

 しばらく考え、ニヤリと笑う。

 

 ”とても良い“笑顔だ。

 

 夜風が吹き抜ける。

 

 クリスは口笛を吹きながら、その場を去った。

 

 

 

※※※

 

 

 

繁華街の一角

 

 

 

 居酒屋「のぼる」のボックス席。

 

 卓上には、大ぶりのホッケの開きが一枚、皮目を焦がして鎮座している。

 枝豆の湯気、出汁巻き卵の甘い匂い、いくつかの小鉢がまだ手つかずのまま並んでいた。

 

 トールの前には中生のジョッキ。

 教授の前には氷の浮かんだジンジャーエール。

 

 トールは箸でホッケの身をほぐしながら、ふと呟く。

 

「……でけぇな」

 

 教授が視線を落とす。

 

「何がだ」

 

「ホッケ、多分地元のやつだ」

 

「サイズで産地が分かるのか」

 

「北日本の出身だ。

 内地のより、こっちは大きいのが普通なんだよ」

 

 骨を丁寧に外しながら続ける。

 

「農家の三男だった。

 上二人が家を継ぐってんで、俺だけ外に出させてもらった」

 

「宇宙へ」

 

「ああ」

 

 ジョッキを持ち上げる。

 

「親父は最後まで反対してたけどな」

 

 教授は静かに言った。

 

「知っての通り、ボクは人工子宮から産まれた」

 

 トールの動きが一瞬止まる。

 

「惑星エデン。

 キャピタルの研究区画で育った。

 保護者役の博士と、ほとんどラボの中で過ごした」

 

 ジンジャーエールの泡が小さく弾ける。

 

「ただ、たまに“星の丘”と呼ばれる場所へ連れて行ってもらった。

 天体観測が好きだった」

 

 トールは小さく笑う。

 

「意外とロマンあるな」

 

「データ収集だ」

 

「言い方よ」

 

 店内のざわめきが、壁越しに遠く聞こえる。

 少しだけ、空気が和らいだ。

 

 トールはジョッキを置く。

 

「……あいつとの関係だよな」

 

 教授は黙って頷く。

 

 トールはしばらくホッケを見つめ、それから口を開いた。

 

 

 

※※※

 

 

 

 惑星モシリのハイスクール。

 

 アーサー・ブロードウッドは、新統合政府高官の三男で、いつも教室の隅にいるような男だった。

 真面目で、模範的で、隙がなくて、だからこそ友達がいなかった。

 

「何となく、話しかけた」

 

 それが始まりだった。

 

 士官学校も一緒。

 配属先も一緒。

 

 やがて2046年10月。

 アヴァロンを中核とする移民船団。

 

 二人はハンニバル所属の航空隊パイロットとして、VF-11を駆っていた。

 

 将来を嘱望される若手。

 

 このまま精鋭部隊へ進み、

 最新鋭機で宇宙を駆ける未来が、ほとんど約束されているような時期だった。

 

 その頃、トールはファイアー・ボンバーに夢中だった。

 

「歌で争いを終わらせた連中だ」

 

「ああ、あのドクター千葉の関係者か」

 

 熱気バサラ。

 彼の生き様は、どこか本気で信じたくなるものだった。

 

「セフィーラの衛星で、

 アヴァロンが最後の改修を受けた頃だね」

 

「ああ」

 

 その日、航路上に現れたはぐれゼントラーディ部隊。

 迎撃命令。

 

 トールはアーサーとエレメントを組んで出撃した。

 

 撃墜数を競い合うように、二人は戦場を駆ける。

 その最中、戦意を失った一機のバトルスーツが視界に入った。

 

「動きが鈍ってた」

 

 逃げようとしていたのか、迷っていたのか。

 

 その瞬間、トールの脳裏をバサラの姿がよぎる。

 

 ──彼ならどうする。

 

 命令は撃墜。

 だが、トールは機体を反転させ、接近した。

 

 投降を促す。

 

 恐慌状態の敵兵。

 それでも説得を続ける。

 

 背後からアーサー機が接近するのが分かった。

 

 そして次の瞬間、錯乱した敵の乱射が走る。

 

 光条は一瞬軌道を逸らし、偶然か必然か、味方機の進路をなぞった。

 

 同じ部隊の同僚、

 レノン少尉のサンダーボルト。

 

 コックピット直撃。

 

 

「命令無視だ」

 

 トールの声は平坦だった。

 

「俺が近づかなきゃ、あの乱射は起きなかった」

 

 降格。

 左遷部隊。

 

 アーサーはそれ以降、人が変わったように訓練に没頭し、

 やがてソード隊隊長へと上り詰めた。

 

「俺は変われなかった」

 

 ジョッキの底に残った泡が揺れる。

 

 教授はしばらく沈黙し、それから静かに口を開いた。

 

「キミは争いを好まない」

 

 トールは顔を上げる。

 

「それでも戦場に立ち、仲間を守ろうとする。

 可能なら敵も救おうとする。

 切り捨てられない性質を抱えたまま」

 

 トールは否定しない。

 

「ボクに対する干渉もそうだ。

 ボクが“感情がない”と言ったとき、即座に否定しようとした」

 

「……」

 

「周囲への面倒見の良さ。

 左遷されても退役せず、居続けた理由。

 キミは自分の罰としてそこにいる」

 

 トールの指先がわずかに震える。

 

「キミは自分を、許されざる人間だと思っている。

 だから贖罪を続けようとする。

 元からあった君の性質が、さらにそれを増長させている」

 

 長い沈黙。

 

 教授は続ける。

 

「それはキミの“勝手”だ」

 

 一拍置き、視線をまっすぐ向けた。

 

「だから、ボクも“勝手”に思うことにする」

 

「君は、許されてもいい人、だと」

 

 店の奥で、誰かが笑った。

 

 トールは視線を逸らし、小さく息を吐く。

 

 何も言わない。

 

 だが、その肩から、ほんの少しだけ力が抜けていた。

 

 

 

※※※

 

 

 

 AR-17 ニコラ・テスラ

 研究区画

 

 

 

 朝。

 

 白い照明がラボを満たし、端末の投影画面が静かに立ち上がっていく。

 トクタカ教授は資料端末を抱え、扉の前で振り返った。

 

「では、行ってくる」

 

 調査隊として、スキピオへ向かう時間だ。

 

 セラが両手を振る。

 

「いってらっしゃい、教授」

 

 猫のチャームが胸元で揺れる。

 教授は一瞬それを見て、小さく頷いた。

 

「戻ったら、例のデータ解析を進めよう」

 

「うん」

 

 その横で。

 ハセヤマは、ぼーっとしていた。

 

 視線は宙。

 完全に焦点が合っていない。

 

(……マーク・クロン)

 

 昨夜の記憶が、頭の中で無限ループしている。

 

 白シャツ。

 黒ベスト。

 穏やかな声。

 

「ファミューンの心理描写は——」

 

「……はっ」

 

 気づけば、頬がほんのり赤い。

 一番若い助手、ハンナが目の前で手をぶんぶん振る。

 

「ハセヤマ先輩ー?」

 

 反応なし。

 さらに近づく。

 

「先輩ー?」

 

 無反応。

 ハンナは振り返り、小声で言った。

 

「……何があったのこの人?」

 

 教授は一瞬だけハセヤマを観察したが、特に何も言わずに踵を返す。

 

「では、本当に行く」

 

 扉が閉まる。

 

 ハセヤマはずっと上の空だった。

 

 

 

※※※

 

 

 

 CV-789 スキピオ

 第9格納庫

 

 サンダーストラック隊の待機室。

 トール以外の四人はすでに揃っていた。

 

 ペイジが壁に寄りかかり、腕を組む。

 

 ピーターは静かに端末を確認している。

 

 マークはコーヒーを淹れている。

 

 クリスが、そわそわしていた。

 

「……昨日っすよ」

 

 唐突に口を開く。

 

「昨日、マジで、

 マジで、とんでもないもの見たんス」

 

 ピーターが目を上げる。

 

「何だ」

 

 マークも顔を向ける。

 

 ペイジが軽く笑う。

 

「とんでもないものって何だよ。

 隊長と教授がよろしくやってたとかか?」

 

 冗談のつもりだった。

 ありえない例え。

 

 だが。

 

 クリスが真顔で言う。

 

「どうして分かったんスか?」

 

 

 沈黙。

 

 

 空気が固まる。

 ペイジの眉がぴくりと動く。

 

「……は?」

 

 ピーターがゆっくり顔を上げる。

 

 マークが落としそうになったカップを置く。

 

 数秒。

 

 そして。

 

 三人同時に身を乗り出す。

 

 

「その話詳しく!!」

 

 

 クリスが得意げに語り始める。

 

「いやー、ホテル街に向かって——」

 

「待て待て待て待て」

 

 ペイジが制止する。

 

「どの距離だ」

 

「どの距離って何っスか」

 

「腕は?」

 

「掴んでたっス」

 

「近いな」

 

「近いっス」

 

 ピーターが低く唸る。

 

「……意外だ」

 

 マークが静かに言う。

 

「統計上、発生確率は低い」

 

「でも現場は見たっス」

 

 クリスは断言する。

 

 その時。

 扉が開いた。

 

 トール。

 出勤完了。

 四人が一斉に振り向く。

 

 そして。

 

 ——“とても良い”笑顔

 

 異様なほど爽やかな笑顔。

 張り付いたようなその笑顔に、トールが眉をひそめる。

 

「……何なのお前ら。気持ちわるい」

 

「おはようございます、隊長」

 

 やたら丁寧なペイジ。

 

「昨日はお疲れ様です」

 

 意味深なマーク。

 

「隊長、体調大丈夫っスか?」

 

 ニヤニヤするクリス。

 

 ピーターは無言で親指を立てる。

 

「……何だよ」

 

 トールは首を傾げる。

 何も知らない。

 まさに、知らぬが仏。

 

 その直後。

 

 扉が再び開く。

 

「揃っているな」

 

 教授。

 いつも通りの顔。

 いつも通りの歩き方。

 

 四人が一斉に視線を交わす。

 

 にやり。

 トールだけが状況を理解していない。

 教授は気づかない。

 

「本日の調査任務について説明する」

 

 全員が姿勢を正す。

 

 新しい一日が始まる。

 

 夜の余韻を、それぞれ胸に抱えたまま。




繁華街のイメージはススキノ

おまけ
アリスさんはこんな感じ


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