冬の海域特有の突き刺すような冷気が、黒舟(ヘカテ)号の船体をじりじりと冷やし始めていた。次なる目的地は極寒の冬島、ドラム王国。
リース「……ん。マキナ様からオーダー入った。全員分の最強防寒具。アレン、手伝って」
船の下層にある工作室で、リースが狐の尻尾を気だるげに揺らしながら、クラクラの実の能力を起動させる。
アレン「俺、また電池っすか……。まぁ、冬島でみんなが凍えるのは勘弁だし、やるっすけど」
アレンはリースが作り上げた特殊繊維の織機に手を触れ、ゴロゴロの実の電力を流し込む。
アレン「……2000万ボルト。……『熱線織り(サーモ・ウェーブ)』」
リース「……よし。これでアレンの電気に反応して発熱する『自立型加熱死覇装』ができた。……仕上げは私の能力。ガシャコン、っと」
リースの能力で、素材が一瞬にしてスタイリッシュな防寒コートや厚手の死覇装へと姿を変えていく。数時間に及ぶ集中作業の末、全員分の装備が完成した。
リース「……終わった。アレン、汗だく。……大浴場、行こう。今日は私も、エリスを連れて行く予定」
アレン「……あー、マジで助かるっす。一刻も早く、この熱気を洗い流したい……」
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アレンは一足先に大浴場の暖簾をくぐった。
広大な湯船には、リースのこだわりで「電気風呂」の装置まで完備されている。アレンは周囲に誰もいないことを確認し、真っ裸で豪快に湯船に浸かった。
アレン「……はぁぁぁ……生き返る……。混浴だなんだって毎日騒がしいけど、たまには一人でゆっくり……」
アレンは目を閉じ、湯気に包まれながら思考を休めていた。昨日までの戦いや、マキナとの密談、そして新メンバー・エリスの加入。
アレン(エリスさん、見聞色で心読めるから、俺の煩脳も筒抜けなんだよな。気をつけねぇと……)
そんなことを考えていた、その時。
カラカラ、と小気味よい音を立てて、浴室の扉が開いた。
エリス「Wait! ちょっと、リース、ライカ! なんでこんな広いお風呂なのに、わざわざ今なのよ!」
エリスの声が響く。彼女はリースとライカに両脇を固められ、バスタオル一枚の姿で連行されてきていた。
リース「いいじゃん! 裸の付き合いこそ、チームワークの基本だよ!」
ライカ「……ん。エリス、そんなに隠さなくていい。……ほら、先客もいるし」
エリス「え……?」
湯気の向こう側、悠々と手足を伸ばして浸かっている赤髪の男と、エリスの視線が真っ正面からぶつかった。
アレン「……あ、お疲れっす、皆さん」
アレンは驚かなかった。というか、この数日間の「ラッキースケベの呪い」と「強制混浴」の連鎖によって、もはやこの程度のシチュエーションでは心臓が動じなくなっていた。
エリス「…………えっ?」
エリスの時間が止まる。彼女のシアン色の瞳が大きく見開かれ、顔面がみるみるうちに『フロスト・レクイエム』の冷気すら溶かしそうなほど真っ赤に沸騰していく。
エリス「What the...!? Why!? な、な、な、何故貴様がここにいるのよぉぉぉーーー!!」
エリスの悲鳴が浴室内に木霊する。彼女は咄嗟に持っていた洗面器で自分の豊かなJカップを隠すが、隠しきれるはずもない。
エリス「Don't look! あっち向いてよ、このデリカシー・ゼロ男! 最低! Unbelievable!」
パニックになるエリスの隣で、リースが感情の起伏がない声で淡々と告げた。
リース「……エリス、落ち着いて。……言い忘れてたけど、この船のお風呂は基本、混浴だよ? ……アレンを追い出すのは、マキナ様の決定に背くことになる」
エリス「……えっ? 混浴……? 決定……?」
エリスが絶望的な表情でライカを見る。ライカは既に羽織を脱ぎ捨て、完璧な全裸スタイルで湯船に向かって走り出していた。
ライカ「そうだよー! 船長命令、逆らったらお仕置きだよ? ほらアレン、詰めて詰めて! ウチも入るから!」
アレン「おわっ、ライカさん、ダイブ禁止っすよ!」
バシャーン! と豪快な飛沫が上がり、アレンの隣にライカが並ぶ。リースもまた、無造作にタオルを脱ぎ捨て、アレンの反対側に密着するように座り込んだ。
リース「……ほら、エリスも。……アレン、今日は頑張ったから。……背中、貸してあげて」
アレン「……はいはい。……エリスさん、嫌なら向こうの端っこでもいいっすよ。俺、見ないように努力するんで」
アレンはそう言いながらも、見聞色でエリスの「心の音」を感じ取っていた。彼女の心は今、パニックと、恥じらいと……そして、自分を避けないアレンに対する「少しの安心感」が複雑に混ざり合っている。
エリス「……I can't believe this. この船、本当におかしいわよ……」
エリスは涙目になりながらも、逃げ場がないことを悟り、おそるおそる湯船に足を入れた。アレンから一番離れた端っこ……に座ろうとしたが、リースにグイと引き寄せられ、結局アレンの正面に近い位置に座らされる。
リース「……ん。これで全員、いい湯。……アレン、電気。……少しだけ流して。肩こりに効くやつ」
アレン「……了解っす。……微弱電流、1000ボルト。マッサージモード」
バチバチ……と心地よい電気がお湯を伝わる。
エリス「……あっ。……これ、すごい……」
エリスの体の強張りが、アレンの放つ絶妙なリズムの電気によって解きほぐされていく。
エリス「……あ、あんた、意外と器用なのね。……My heart tells me... あんたの今の心、全然エッチなこと考えてない……。ただ、私たちの疲れを取りたいって……そんな音しかしないわ」
アレン「……当たり前っすよ。作業でヘトヘトなんす。……おっぱいより、安眠っす」
エリス「……やっぱり最低! それはそれで失礼でしょ!」
エリスが頬を膨らませてお湯をパシャリとアレンにかける。しかし、その瞳にはもう敵意はなかった。
湯気に包まれた死神海賊団の夜。
混浴というカオスな空間は、新メンバー・エリスを確実に「毒」していく。
エリス「……ねぇ、アレン。……今度、私の背中も……その電気で、ほぐしなさいよね。……感謝しなさいよ?」
アレン「……あー。喜んで」
北風の吹く海上、黒舟(ヘカテ)号の心臓部は、誰よりも熱く、そして騒がしく燃え上がっていた。
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