白銀のドラム王国に別れを告げ、黒舟(ヘカテ)号は一路、砂漠の国アラバスタへと舵を切った。シズは二十人の医師団から現代医療の粋と「魂を繋ぐ果実」の研究成果を譲り受け、その表情にはかつてない自信が宿っていた。
出航から最初の夜明け。
空が紫からオレンジ色に溶け始める、最も静かな時間。アレンは連日のサウナ特訓(という名の搾取)による筋肉痛でふと目を覚ました。
アレン「……あー、だっる。体がバキバキだわ……」
喉の渇きを覚えたアレンは、キッチンへ向かうついでに、早朝の冷気を吸おうと甲板へ出た。昨夜、女神から脅し取った「無限フルーツ」のビニールハウスからは、甘い香りが漂っている。
アレン「……ん?」
アレンが見聞色の覇気を意識せずとも広げると、ヘカテ号の影に隠れるようにして並走する、一隻の小ぶりな軍艦の気配を察知した。
アレン「……海軍か。この時間に臨検の準備かよ。せっかくみんな寝てるのに、騒がしくされたら俺の立場がないんすよね」
マキナが起きれば、また「修行だ」と槍を振り回すだろう。リースやライカに捕まれば、朝からサウナ直行だ。エリスに見つかれば「最低」と罵られる。
アレン「……よし。みんなが起きる前に、暇潰し程度に片付けるか」
アレンは『斬月』を背負い直し、雷速で空へと跳ね上がった。
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軍艦の甲板では、若き海兵たちが「夜明けと共に奇襲をかけるぞ」と息巻いていた。だが、彼らの頭上に、漆黒の死覇装を翻した男が降り立ったことに気づいた者はいない。
アレン「おはよーございます。朝早くから精が出ますね」
「なっ、何奴だ!? どこから……」
アレン「……あー、名乗るほどのもんじゃないっす。ただの『通りすがりの電池』っすわ」
アレンは欠伸を一つ。右手を軽く突き出した。
アレン「**『3000万ボルト・放電(バリア)』**」
バチィィィン!! と、軍艦の周囲に蒼白い電磁壁が展開される。海兵たちの銃や剣が磁気で吸い寄せられ、使い物にならなくなる。
「ひ、ひぃっ! 悪魔の実の能力者か!」
アレン「暇潰しなんで、あんまり時間はかけないっすよ。……これ、新技のテストにちょうどいいか」
アレンは『斬月』を抜き、刀身に漆黒の覇気と、凝縮された雷撃を纏わせた。昨夜マキナに言われた「威力の凝縮」を試す絶好の機会だ。
アレン「**『月牙・残雷(ざんらい)』**」
放たれたのは、巨大な月牙ではない。細く、鋭く、空間を切り裂くような一直線の黒い雷光。
それが軍艦のメインマストを、そして船体の中心を、豆腐でも切るかのように音もなく真っ二つに両断した。
アレン「……あ、やりすぎた。沈んじゃうな、これ」
アレンは慌てて、海兵たちが海に投げ出される前に、近くの救命ボートを電磁力で引き寄せ、彼らをそこへ放り込んだ。
アレン「じゃ、海軍のお偉いさんに伝えといてください。『朝の安眠を邪魔するな』ってね」
アレンはそれだけ言い残すと、夜明けの光の中に消えていった。
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数時間後。ヘカテ号のダイニングルーム。
ユリナの作った、焼きたてのパンと無限イチゴのジャムの香りに包まれ、メンバーたちが続々と集まってきた。
ユリナ「アレン、あんた今朝妙にスッキリした顔しとるな。さては勝手にメロン食ったな?」
アレン「失礼っすね。俺はただ、朝の散歩をしてただけっすよ」
エリスがジト目でアレンを見る。
エリス「My heart tells me... あんたの心、さっきから『隠し事をしてる時のワクワク』が漏れてるわよ。……最低。また何かエッチなことでも考えてたんでしょ!」
アレン「冤罪っすよ!!」
その時、見張り番をしていたキースが、一束の書類を手に飛び込んできた。
キース「みんなー! マジでヤバい! ニュース・クーが持ってきたんだけど、ウチらに懸賞金がついたよ!」
マキナ「……懸賞金? まだグランドラインに入って間もないのにか」
マキナが書類を受け取り、テーブルに広げる。
そこには、今朝アレンが「暇潰し」をした軍艦からの報告と、ウィスキーピーク、ドラム王国での騒乱を統合した海軍本部の決定が記されていた。
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**●船長:『死の舞踏』マキナ**
**懸賞金:8,000万ベリー**
(「ロックスの残党を疑わせる覇気と槍術。危険度S」)
**●戦闘員:『雷鳴の死神』アレン**
**懸賞金:6,500万ベリー**
(「軍艦を一撃で両断する雷撃と黒き斬撃。今朝の主犯」)
アレン「お、俺だけ二番目に高いじゃないっすか! しかも主犯って……」
「やっぱりあんたじゃない!!」エリスの氷弾がアレンの額を直撃する。
**●航海士:『暴風の半裸(?)』ライカ**
**懸賞金:3,000万ベリー**
**●船大工:『妖狐の工匠』リース**
**懸賞金:2,800万ベリー**
**●斥候:『情報の毒蜘蛛』キース**
**懸賞金:2,500万ベリー**
**●コック:『鉄拳の女帝』ユリナ**
**懸賞金:2,200万ベリー**
**●船医:『細胞の魔女』シズ**
**懸賞金:1,500万ベリー**
**●新メンバー:『氷の狙撃手』エリス**
**懸賞金:1,200万ベリー**
(「ドラム王国での戦闘が確認された新人」)
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エリス「……Wait!! なんで私が一番低いのよ! しかも『新人』って、私の方が女神に先に送られたのに! I'm so angry!!」
エリスが手配書を握りしめてプルプルと震える。
キース「いいじゃんエリスちゃん、懸賞金がついたってことは、一端の海賊として認められたってことだよん☆」
キースが能天気に笑うが、マキナの目は鋭かった。
マキナ「……合計で2億7,500万。新人にしては跳ね上がったな。……海軍は本気で我々を『芽のうちに摘む』つもりだ」
マキナがアレンを見る。
マキナ「アレン。お前の暇潰しのおかげで、これからの航海はさらに険しくなるぞ。……覚悟はできているな?」
アレン「……あー、だっる。……でも、まぁ。安い首だと思われるのは癪っすからね。アラバスタに着く頃には、倍にしてやるっすよ」
リース「……ん。アレン、有名人。……お祝いに、今夜はサウナ三倍盛り」
アレン「だからなんでそうなるんすか!!」
死神海賊団、全員が賞金首。
この事実は瞬く間に世界を駆け巡り、43年前の荒ぶる海に、新たな嵐の予感を告げることとなった。
目指すは砂漠の国、アラバスタ。
そこには、この懸賞金すら霞むような、歴史の巨大な闇が待ち受けている。
マキナ「全速前進だ! 私たちの名を、海軍の記録に深く刻みつけてやる!」
マキナの号令と共に、ヘカテ号は朝日に向かって突き進む。
アレンはエリスの「最低!」という怒声を聞き流しながら、次なる戦いへと心を昂らせていた。
転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?
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その他(他作品とのクロスオーバー)
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