砂漠の国アラバスタを目前に控えた、熱気混じりの海域。
黒舟(ヘカテ)号の周囲には、水平線を埋め尽くすほどの帆影がひしめき合っていた。
キース「……マキナ様、報告。右、左、前後……完全に囲まれたよ。ザッと数えて**50隻**。昨日ついた懸賞金に釣られた、ハイエナみたいな賞金稼ぎの大軍団だね」
キースがマストの上から、楽しそうに指を鳴らした。
アレン「……あー、だっる。1隻沈めただけでこれかよ。海軍の報告、盛りすぎなんじゃないっすか?」
アレンが『斬月』の重みを肩で感じながら、甲板に降り立つ。
マキナ「ふん……。ちょうどいい、退屈していたところだ」
マキナの口元に、残虐な美しさを湛えた笑みが浮かぶ。
マキナ「これだけの数だ、ただ散らすだけでは芸がない。……**『狩り』の勝負**をしようではないか」
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ライカ
「勝負?」
ライカが身を乗り出す。その瞳には、戦闘狂の輝きが宿っていた。
マキナ「一番多く沈めた者が勝者だ。勝者は、敗者全員に対し**『一つずつ、どんな命令でも下せる』**ことにしよう。……どうだ?」
その瞬間、船内の空気が一変した。
リース「……ん。どんな命令でも? ……アレンを、一週間サウナに監禁するのも、あり?」
リースの狐耳がピンと立ち、冷徹な計算が始まる。
ライカ「何でも!? じゃあ、ウチが勝ったらマキナ様を一日中抱き枕にしてもいいってこと!? 燃えるぅぅー!!」
ライカの風が、期待で激しく渦巻く。
エリス「……Wait!! ちょっと、そんな不純な動機で戦うなんて……っ。でも、私が勝てば、アレンの『ラッキースケベ』を禁止する命令が出せるわね……! My heart tells me... これ、負けられないわ!」
エリスが『フロスト・レクイエム』を抱きしめ、頬を染めながら参戦を表明する。
マキナ「アレン、お前はどうする?」
マキナの問いに、アレンは不敵に笑った。
アレン「……勝ったら、一週間、俺を一切の雑用と特訓から解放してもらうっすよ。……全力、出させてもらいますわ」
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マキナ「スタートだ!!」
マキナの号令が轟くと同時に、ヘカテ号から六つの影が爆発的に飛び出した。
ライカ「**『カゼカゼ・大嵐(テンペスト)』!!**」
ライカが両腕を広げると、海面に巨大な竜巻が発生し、左翼の3隻を空中へと巻き上げた。
ライカ「あはは! 1、2、3隻目、ゲットー!」
リース「……甘い。……**『蛇尾丸・咆哮』**」
リースが振るう刃が蛇のように伸び、逃げ惑う2隻の船底を一瞬で貫き、内部から破壊する。
リース「……4、5。……アレン、後ろ」
アレン「わかってますよ! **『月牙・乱舞』!!**」
アレンが放つ漆黒の雷撃斬が、十文字に重なり合い、正面の5隻をまとめて縦に両断した。
アレン「これで10隻! 効率重視で行くっすよ!」
一方、マキナは最短距離で敵の旗艦へと踏み込んでいた。
マキナ「……雑魚が。道を開けろ」
彼女が槍を振るう必要すらなかった。放たれた**「覇王色の覇気」**が、船上の数百人を一瞬で気絶させ、船をコントロール不能に陥れる。
マキナ「……15、16、17。……まだ足りんな」
エリスも負けてはいない。
エリス「Don't touch me! 私のイチゴの安眠を邪魔しないで! **『フロスト・レクイエム・氷河葬(グレイシア・レクイエム)』!!**」
彼女の放った極大の冷気弾が、後方の10隻がひしめき合う海面ごと凍結させ、船の動きを完全に止める。身動きの取れなくなった敵を、エリスは確実に「無力化」してカウントを稼いでいった。
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勝負が中盤に差し掛かった頃、アレンは気づいた。
(……このままじゃ、マキナ様やリースさんに負ける。……やるしかないか、あのクソ女神から聞き出した『ゴロゴロ』の真骨頂……!)
アレンの全身から、青白い雷光が消え、漆黒の覇気と混ざり合った「黒い放電」が周囲を覆う。
アレン「……本気、出すっすわ」
アレンの姿が消えた。雷速を超えた移動。
次の瞬間、残された20隻の軍団のど真ん中に、巨大な「黒い球体」が出現する。
アレン「**『6000万ボルト・黒雷(ヘカテ)』……!!**」
ドォォォォォォォォォォォォォォン!!!
空が割れるような轟音。漆黒の雷が四方八方に走り、接触した船を分子レベルで分解していく。一撃で15隻が消滅。アレンの瞳には、かつての「凪」はなく、圧倒的な暴力への恍惚が宿っていた。
アレン「あはは……! 最高の暇潰しっすね、これ!!」
その光景を見ていたエリスが、見聞色でアレンの心の音を拾い、思わず身震いした。
エリス「……My heart tells me... 今のアレンの心、真っ黒……。怖いけど……でも、なんだか、凄く頼もしく見えちゃう……最低!」
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海には木っ端微塵になった船の残骸と、命からがら逃げ出す小舟しか残っていなかった。
夕闇が迫る甲板。キースがニヤニヤしながら集計結果を発表する。
キース「発表するよん!
第6位、シズちゃん! 0隻(怪我人の手当て優先)
第5位、ユリナさん! 3隻(フライパンで殴り沈めた)
第4位、エリスちゃん! 8隻
第3位、リースちゃん! 10隻
第2位、マキナ様! 14隻
そして……第1位!! 15隻をワンパンで持っていった、アレンくーん!!」
アレン「……よっしゃあ!!」
アレンがガッツポーズ。マキナは悔しそうに鼻を鳴らし、リースは無表情のまま耳を垂らした。
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アレン「……約束っすよ。勝者は、敗者全員に一つずつ命令できる」
アレンが不敵な笑みを浮かべながら、膝をつくメンバーたちを見下ろした。
アレン「……さぁ、アレン。何を命じる。……脱げと言うなら、一応聞いてやるが」
マキナがどこか挑戦的な目でアレンを見上げる。
アレン「……いや、そんなことしたら俺の命がいくつあっても足りないんでね」
アレンは指を一本立てた。
アレン「まず、マキナ様。……明日から一週間、俺への『特訓』は禁止っす」
マキナ「……チッ。いいだろう、約束だ」
アレン「次、リースさんとライカさん。……一週間、俺をサウナに連れ込むのは禁止。あと、寝てる時に部屋に侵入するのもダメっす」
「……ん。……一週間、長い。……死ぬ」リースが絶望する。
「えぇー! つまんないの!」ライカがブーイング。
アレン「そして……エリスさん」
アレンがエリスの前に立つ。エリスは「ひゃんっ」と声を漏らし、Jカップの胸を隠すように縮こまった。
エリス「な、なによ! 私に変なこと命令したら、女神に言いつけてやるんだから!」
エリス「……命令っす。……明日、アラバスタに着いたら、俺と一緒に『デート』……じゃなくて、買い出しに付き合ってください。……二人きりで」
エリス「………………え?」
エリスの思考がフリーズする。見聞色でアレンの心を読み取ろうとするが、そこにあるのは「たまには普通に楽しく過ごしたい」という純粋な願いだった。
エリス「……Strawberry...。いちごオレ、奢ってくれるなら……行ってあげても、いいわよ。……感謝しなさいよね! 最低!」
エリスの顔は、これまでのどの氷弾よりも熱く赤く染まっていた。
リース「……ん。アレン、策士。……一週間の自由を使って、女を落としに来た。……怖い」
ライカ「あはは! アレンくんも隅に置けないねー!」
死神海賊団、アラバスタ上陸前夜。
凄惨な戦いの後とは思えない、甘酸っぱくも騒がしい夜が更けていく。
明日、彼らが降り立つ砂漠の地には、新たな陰謀と、そしてアレンの「束の間の休日」が待ち受けていた。
マキナ「全速前進だ。……アレン、デートに遅れるなよ?」
マキナの冷やかし混じりの号令が、夜の海に響いた。
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