ONE PIECE 死神伝   作:ぐちロイド

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第25話 アレンの告白:女帝を戴く理由夕食の宴:前世の正体

砂漠の夜は、昼間の酷暑が嘘のように急速に冷え込んでいく。

『ヘカテ・ランナー』の側面にタープを張り、ユリナとシズが「無限フルーツ」とアラバスタの地元の干し肉を使ったシチューを煮込んでいる間、アレンは車輪の傍らでマキナと二人、焚き火を見つめていた。

 

パチパチとはぜる火の粉が、マキナの冷徹な美貌を赤く照らす。

 

 

 

マキナ「アレン。……さっきの話の続きを聞かせろ。お前のいた世界の『拷問が合法』という狂った理(ことわり)もそうだが……何より、お前のその、女性に従うことを厭わぬ性質の根源をだ」

 

マキナが酒瓶を傾け、アレンに問いかけた。アレンは砂をいじりながら、自嘲気味に息を吐く。

 

アレン「……あー、大した話じゃないっすよ。……ただ、俺の親父が、救いようのないクズだったってだけっすわ」

 

マキナ「クズ、か」

 

アレン「ええ。酒、ヤニ、パチスロ……ギャンブルに溺れて、家族の金は使い果たすわ、暴力は振るうわ。典型的な『社会のゴミ』でしたね。……でも、そんなクズを文字通り『物理的に再教育』して、会社を立ち上げて家族を養ったのが、お袋だったんっすよ」

 

アレンの脳裏に、真っ赤なスポーツカーのボンネットに座り、血濡れの鞭を片手に微笑む母親の姿が浮かぶ。

 

アレン「お袋は正しかった。強くて、合理的で、容赦がなかった。だから俺は、自分の中に『男の支配者』に対する不信感があるんっすわ。……酒やギャンブルに溺れる男よりも、目的を持って冷徹に、時に美しく統治する女性の方が、よっぽど信用できる。……だから俺は、マキナ様を船長と認めてるんっす」

 

マキナ「……フン。私への忠誠は、母親への投影というわけか。面白い」

マキナは口角を上げ、アレンの髪を乱暴に撫でた。

 

マキナ「良いだろう。お前のその歪んだ忠誠心、私が飽きるまで使い倒してやる」

 

---

 

 

ユリナ「ほな、飯できたでー! 今日は特製『砂漠のイチゴシチュー』や!」

 

ユリナの元気な声が響き、全員が焚き火を囲んで車座になった。

 

トロトロに煮込まれた肉と、女神印のイチゴが意外なハーモニーを奏でる料理に舌鼓を打ちながら、アレンがふと思い出したように口を開いた。

 

アレン「……ところで。俺の話はしましたけど、皆さんの『前世』って、ぶっちゃけ何やってたんですか? まだ詳しく聞いてない気がして」

 

その言葉に、食事の手が止まった。

焚き火の明かりの中で、死神たちの「かつての姿」が語られ始める。

 

リース「……ん。……私は、**近未来のサイボーグ技師**。……自分の体も半分機械。……でも、心を持たない兵器ばかり作る世界に嫌気がさして、最後は自分の工房ごと自爆した。……ここなら、好きなものが作れる」

 

リースが狐の尻尾を揺らし、スープを啜りながら淡々と語る。

 

ライカ「ウチはね、**傭兵**やってたよ!」

 

ライカがパンを齧りながら身を乗り出す。

 

ライカ「戦場を風のように駆け抜けて、一番強い奴の首を取るのが仕事。……でも、平和になった瞬間に居場所がなくなっちゃってさ。女神に誘われた時は『戦い放題』って聞いて二つ返事だったんだ!」

 

キース「僕は……**情報屋のハッカー**だったかな」

 

キースが苦笑いする。

 

キース「国家機密を盗みすぎて、暗殺者に囲まれたところで……気づいたらこの姿。……まぁ、可愛いから満足してるけどねっ☆」

 

ユリナ「私は……普通の、**料理専門学校の学生**やったわ」

 

ユリナが優しく微笑む。

 

ユリナ「でも、極道の家系でな。料理中にカチコミに来た奴らをフライパンで全員ボコボコにしてたら、不審火に巻き込まれて……。次は平和に料理したい思てたのに、結局この船長(マキナ)や」

 

シズ「……私は、**戦地医師**でした」

 

シズが伏し目がちに言う。

 

シズ「どれだけ治しても、次の日にはまた傷ついて運ばれてくる兵士たちを見て……。魔法でもいいから、一瞬で傷が消えればいいのにって、ずっと思ってました。……だから、プラプラの実の能力は、私の夢そのものなんです」

 

---

 

 

 

最後に、アレンの視線がエリスに止まった。

エリスは器用にスプーンを動かしながら、少し顔を背けた。

 

エリス「……何よ。私は、別に大層な過去なんてないわよ。……イギリスの、**由緒ある貴族の娘**だっただけ。……でも、10歳で日本に放り出されて、礼儀作法だの何だの、籠の鳥みたいな生活を押し付けられて……。自分の力で自由に生きたいって、ずっと思ってたわ」

 

エリスがシアン色の瞳を焚き火に向ける。

 

エリス「……だから、氷の銃を手に入れた時は、最高の気分だった。……誰にも邪魔させない、私の聖域を守れる力が欲しかったの。……まぁ、あんたみたいな最低な男に、隣を歩かれるハメになったのは誤算だけどね!」

 

アレン「……あー、だっる。やっぱりみんな、一癖も二癖もある奴らばっかりっすね」

 

アレンが空を見上げると、アラバスタの満天の星空が広がっていた。

拷問の英才教育を受けた男、自爆した技師、戦場を追われた傭兵、暗殺者に狙われたハッカー、極道の娘、絶望した医師、そして自由を求めた貴族。

 

アレン「……バラバラだけど、最強っすね、俺たち」

 

マキナ「フン……。当然だ。私が集めた駒だからな」 

 

マキナが最後の一滴を飲み干し、立ち上がった。

 

---

 

 

 

夕食後、アレンがヘカテ・ランナーの運転席で休憩していると、エリスがコンコンと窓を叩いた。

 

エリス「……Wait. あんた、さっき『女性の方が信用できる』って言ってたわよね」

 

アレン「ええ、言いましたけど」

 

エリス「……My heart tells me... 今のあんたの心、嘘はついてないみたいね。……少しだけ、あんたの過去に……同情してあげてもいいわよ。……その、親父さんに振り回されて、大変だったわね」

 

エリスはそう言うと、持っていた予備の毛布をアレンの膝に放り投げた。

 

エリス「……風邪、引かないようにしなさいよね。……明日も、あんたの運転に命を預けてあげるんだから。……感謝しなさいよ!」

 

アレン「……サンキューっす、エリスさん」

 

エリスが赤面して走り去るのを見送り、アレンは毛布の温もりに包まれた。

前世の重苦しい記憶が、この砂漠の夜風と共に、少しずつ浄化されていくような気がした。

 

だが、安らぎは長くは続かない。

 

リース「……ん。アレン、一週間の休暇中だけど、寝る前の『放電マッサージ』は別腹。……行くよ」

 

アレン「リースさん!? だから許可してないってば!!」

 

ライカ「あはは! ウチも混ぜてー!」

 

アレン「ライカさんまで!!」

 

砂漠の真ん中、ヘカテ・ランナーの車内は、今夜もまた別の意味で「拷問」の舞台へと変わるのだった。

 

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転スラの二次創作主人公でやって欲しい種族は?

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