灼熱の太陽が照りつけるアラバスタ。アレンが造り上げた黒鉄の獣『ヘカテ・ランナー』は、砂塵を巻き上げながら砂漠の深部へと突き進んでいた。
アレン「……なぁ、マキナ様。この国、表向きは平和な砂漠の王国っすけど……空気が重すぎると思いませんか?」
アレンはハンドルを握りながら、見聞色の覇気を広域に展開していた。彼に伝わってくるのは、乾いた風の音だけではない。民衆の心に澱(おり)のように溜まった「不信」と「飢え」の感情だった。
マキナ「……フン。表があれば裏がある。この国の『裏側』を覗きに行くぞ、アレン。死神がただの観光客で終わるわけにはいかんだろう」
マキナの冷徹な一言で、一行は正規のルートを外れ、地図にも載っていない廃村へと向かうことになった。
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辿り着いたのは、砂に半分埋もれた小さな村だった。かつてはオアシスの恩恵を受けていたのだろうが、今や井戸は底まで干上がり、家々の壁は熱砂に削られて骨組みを晒している。
リース「……ん。……水の反応、ゼロ。……生命維持に必要な水分が、このエリアから完全に消失している」
リースが車から降り、無機質な瞳で周囲をスキャンする。
ライカ「ひっどいね……。これじゃ、戦う力どころか、逃げる体力も残ってないよ」
ライカが顔をしかめる。彼女が操る風さえも、この場所では死を運ぶ熱風にしか感じられなかった。
アレンたちは村の中央にある、今にも崩れそうな石造りの建物を覗いた。そこには、痩せ細った老人と子供たちが、力なく身を寄せ合っていた。
アレン「……おい、爺さん。ここは王国の直轄地じゃないのか? なんでこんな惨状になってるんだ」
アレンが声をかけると、老人は濁った瞳をゆっくりと向けた。
「……王様、か……。コブラ王は慈悲深いお方だった。……だが、3年前から雨が降らなくなった。降るのは、王都アルバーナだけだ。……巷では、王様が『ダンスパウダー』を使って、他の土地の雨を奪っているという噂が流れている……」
アレン「ダンスパウダー……。雨を呼ぶ粉っすか。……そりゃまた、古臭い陰謀っすね」
アレンは前世の記憶を掘り起こす。この時代でも、その手の「冤罪」は王族を貶めるための定番だった。
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エリス「My heart tells me... この爺さん、嘘はついてないわ。でも、その『噂』を流している奴らの声が、この村の裏側に響いてる」
エリスが銃剣を構え、村の外れにある廃屋を指差した。
エリス「……そこに、何かいるわ。ドス黒い、悪意の塊みたいな音がする」
アレン「……あー、だっる。早速お出迎えっすか。……マキナ様、どうします?」
マキナ「生かしておく必要はない。だが、情報は吐かせろ」
マキナの許可が下りるや否や、アレンは電磁加速(リニア・ステップ)で廃屋へと踏み込んだ。
「うわあああ!? なんだお前ら!!」
中にいたのは、王国の兵士の服を着た数人の男たち。だが、その瞳には忠誠心など微塵もなく、下劣な賞金稼ぎのような光が宿っていた。
エリス「……あんたたち、王の兵士じゃないわね。……その死覇装……じゃないわ、その服の下に隠してる刺青、見せてもらいましょうか」
シズが背後から回り込み、プラプラの実の能力で男たちの衣服を「剥ぎ取った」。
男たちの肩には、数字と紫の奇妙な紋章が刻まれていた。
アレン「……『バロックワークス』。……いや、まだその前身か」
アレンが男の一人の首を掴み、壁に叩きつける。
アレン「おい、誰に頼まれてこの村でデマを流してた? ……俺の母親は拷問のプロでね。俺もその英才教育を受けてるんだ。……言っておくが、俺の手加減は『死なない程度』が一番得意なんだわ」
アレンの指先から、微弱な電流が男の神経を直接焼き始める。
「ぎゃあああああああ!! あ、あいつだ! クロコダイル……じゃなくて、まだ若ぇ……砂漠の死神と呼ばれてる野郎だ!!」
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アレン「砂漠の死神……? 奇遇っすね、俺も死神って呼ばれてるんっすわ」
アレンが冷たく笑う。男の話によれば、まだこの時代のクロコダイルは七武海にすらなっていない、一介の海賊に過ぎない。だが、すでにアラバスタの闇に食い込み、王国を転覆させるための地盤を固め始めていた。
リース「……ん。……この国の『裏側』は、人為的に作られた絶望。……雨を奪い、民を煽り、内乱を誘発させる。……合理的だけど、趣味が悪い」
リースが男たちの懐から、王国の印章を偽造した書類を見つけ出した。
ライカ「これを国民に見せれば、王への不信感は爆発するねー。……アレンくん、どうする? これ、燃やしちゃう?」
ライカが指先に旋風を宿す。
アレンは一瞬迷ったが、背後で静かに様子を見ていたマキナが歩み寄ってきた。
マキナ「……燃やす必要はない。……アレン、この偽造書類を持って、王都アルバーナへ向かうぞ。……コブラ王に会う。……我々がこの国の『掃除』を引き受けてやると交渉するのだ」
アレン「……マキナ様、それって……」
マキナ「……この国を支配するつもりはない。だが、この『裏側』を支配しているネズミの顔が気に入らん。……死神の縄張りでコソコソと策を弄する輩には、死を持って償わせる」
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村を出て、再びヘカテ・ランナーを走らせるアレン。
ミラー越しに見える廃村は、アレンが残した「無限フルーツ」と水を手にした住人たちの、微かな希望の光に包まれていた。
アレン「……マキナ様。俺、やっぱり甘いっすね。……さっきの男たち、結局殺さずに放り出しちゃいましたよ」
マキナ「……お前の甘さは、時として毒にも薬にもなる。……だが、あの『クロコダイル』という男、お前と同じ『18歳』前後の若造だという。……同世代の対決、楽しみではないか?」
アレン「……18歳っすか。……そりゃまた、生意気な盛りっすね」
アレンは加速ペダルを踏み込んだ。
ヘカテ・ランナーのライトが、漆黒の砂漠を切り裂いていく。
この国の裏側を見てしまった以上、もう後戻りはできない。
エリス「……Wait. アレン」
助手席のエリスが、アレンの手の上にそっと自分の手を重ねた。
エリス「……あんたの運転、さっきから少し震えてるわよ。……怖いなら、私が手を握っててあげてもいいわよ。……勘違いしないで! ハンドル操作を誤られたら、私が死ぬからよ! 最低!」
アレン「……サンキューっす、エリスさん。……おかげで、100万ボルト分くらい勇気が出ましたわ」
アレンが笑うと、後部座席から「あはは! じゃあウチらも握ってあげるー!」とライカとリースが身を乗り出してきた。
アレン「だから! 運転の邪魔だって言ってるじゃないっすかぁ!!」
アラバスタの裏側に潜む闇。
若き日の砂の王と、転生した死神たち。
歴史の歯車は、ヘカテ・ランナーの爆走と共に、原作とは異なる未知の結末へと向かって加速し始めた。
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