アルバーナ王宮、最上階。
豪華絢爛な装飾が施された謁見の間は、アレンから放たれる青白い電光と、クロコダイルが操る乾いた砂が衝突し、バチバチと静電気の弾ける不快な音に包まれていた。
クロコダイル「……クク、雷か。希少な能力だが、砂漠で砂を相手にする愚かさを教えてやろう」
若きクロコダイルが右手を掲げると、大理石の床を侵食するように砂が渦を巻く。
アレン「……あー、だっる。砂遊びなら公園でやってほしいんっすよね」
アレンは刀――『斬月』を背負ったまま、抜こうともしない。それどころか、ポケットに手を突っ込み、だるそうに指先から火花を散らすだけだ。
アレン「**『3000万ボルト・稲妻(サンダーボルト)』**」
アレンが指を鳴らすと、天井から降り注いだ雷撃がクロコダイルを直撃した。だが、男の体は砂と化して受け流される。
クロコダイル「無駄だと言ったはずだ、小僧!」
アレン「……無駄じゃないっすよ。ほら、そこ。ちょっとガラスっぽくなってますよ?」
アレンが指差す先、落雷の超高熱によって、クロコダイルの体の一部がキラリと硬質な光を放つ。アレンはそれを見て、まるでお手玉でもするかのように小さな雷玉を次々と投げつけた。
アレン「避けて、当てて、溶かす。……これ、意外と暇潰しになるっすわ」
クロコダイル「……なめるなよ、貴様ぁ!!」
若きクロコダイルの顔に屈辱の色が混じる。未来の七武海となる男が、同年代の少年に「お遊び」の練習台にされているのだ。
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二人の小競り合いを、冷徹な瞳で見つめていたマキナが一歩前へ出た。その瞬間、謁見の間の空気が数トンもの重圧に変わったかのように重くなる。
マキナ「……アレン。遊びすぎだ。下がっていろ」
アレン「えー、まだいけるっすよマキナ様。こいつ、結構粘るから面白くて」
マキナ「……黙れ。死神がネズミ相手に時間をかけるな。見苦しい」
マキナが槍『灰塵』を静かに構える。彼女から溢れ出す漆黒の覇気が、槍の穂先をどす黒く、そして鏡のように鋭くコーティングしていく。
クロコダイル「……ッ!? その『色』……武装色の覇気か!」
クロコダイルの瞳に、初めて真の「戦慄」が走る。彼は咄嗟に周囲の砂をすべて集め、巨大な防壁を幾重にも築き上げた。
マキナ「……**『灰塵・一文字(いちもんじ)』**」
マキナが槍を横一文字に振るった。
それは、斬撃というよりも「世界の断絶」に近い一撃だった。
ドォォォォォォォォォォォォォン!!
轟音と共に、クロコダイルが誇った数メートルの砂の壁が、バターを熱したナイフで切るかのように綺麗に真っ二つに割れる。覇気を纏った衝撃波は、実体化したクロコダイルの胸元を正確に捉えた。
クロコダイル「が、は……っあぁぁぁぁ!!?」
クロコダイルは叫ぶ暇さえなかった。
マキナの放った一撃は、王宮の壁を貫き、アルバーナの空を裂き、完璧な弧を描いてクロコダイルを遥か彼方の砂漠の地平線へと弾き飛ばした。
視界から消えるその軌跡は、まるで流れ星のように美しく、そして残酷だった。
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静まり返る王宮。
壁に空いた巨大な穴から、砂漠の夜風が虚しく吹き込んでくる。
コブラ王は、自国の近衛兵が束になっても敵わなかった「砂の死神」が、たった一振りの槍で消し飛ばされた光景に絶句していた。
アレン「……ふぅ。……マキナ様、相変わらず手加減が下手っすね。あいつ、死んじゃったんじゃないっすか?」
アレンが首をすくめながら歩み寄る。
マキナ「……生かしてはある。死神の気まぐれだ」
マキナは覇気を解き、槍を収めた。
シズ「あの、マキナ様……!」
シズがおそるおそるマキナの顔を伺う。
シズ「……追いかけなくていいんですか? あの方、この国の裏側を知る重要人物でしたよね。キースさんに追跡させて、身柄を回収すれば、ロックス海賊団のさらなる情報も……」
キース「……そうだね。僕がいまから飛んでいけば、まだ息の根を止めるなり、連れ戻すなりできるけど?」
キースが影に溶け込みながら提案する。
だが、マキナは背を向けたまま、氷のように冷たい声で切り捨てた。
マキナ「……不要だ」
シズ「……え?」
マキナ「……一度底を見せた小悪党に、二度目はない。あのような『砂』を回収して、我々の船に載せる価値など微塵もない。……生きていようが死んでいようが、奴の野望は今この瞬間、私の槍によって砕かれた。……それで十分だ」
マキナの言葉には、圧倒的な強者ゆえの傲慢さと、それ以上に揺るぎない「審判」が込められていた。一度敗北を味合わせた相手を、もはや脅威とも、情報源とも見なさない。それがマキナという女帝の流儀だった。
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リース「……ん。……マキナの言う通り。……あの砂、もう味がしない。……アレンの方が、まだ噛み応えがある」
リースがアレンの腕に絡みつきながら、虚空を見つめて呟く。
アレン「……あーあ。せっかくの強敵候補だったのに。……でも、マキナ様がそう言うなら仕方ないっすね」
アレンは窓の外、クロコダイルが消えていった夜空を見上げた。
アレン(……まぁ、原作じゃあんなに大物になる男だけど……。この時代のマキナ様に比べりゃ、ただの生意気なガキだったってことか)
エリスがアレンの肩に手を置き、ホッとしたように溜息をついた。
エリス「……My heart tells me... あの男の音、消えちゃったわね。……怖かったけど、マキナ様がいてくれてよかった。……アレン、あんたの遊びのせいで長引いてたら、私が先に凍らせてたわよ! 最低!」
アレン「……ハイハイ。悪かったっすよ、エリスさん」
コブラ王がようやく震えを止め、マキナの前で深く膝を突いた。
コブラ「……感謝、致す。我が国を救ってくれたのは、海賊の貴殿らだ。……この御恩、ネフェルタリの家名にかけて一生忘れぬ」
マキナ「……恩に着る必要はない。我々はただ、不快なネズミを掃除しただけだ」
マキナは窓の外を指差した。
マキナ「……王よ。明日からは、お前が自分の力で雨を降らせろ。……次に私が来た時に、この国がまだ乾いているようなら……その時は、王座ごと叩き潰してやる」
コブラ「……はっ。心得た!」
アルバーナの夜空に、微かな湿り気を含んだ風が吹き始める。
歴史の裏側で、若きクロコダイルという巨大な芽が摘み取られた瞬間だった。
死神海賊団。
彼らの通る道には、秩序も混沌も、ただ等しく「無」へと還っていく。
アレン「……さて。……一週間の休暇、まだ残ってるっすよね? マキナ様、明日は砂漠の隠れオアシスでバカンスといきませんか?」
マキナ「……良いだろう。アレン、お前が『車』を出せ」
アレン「……あー、やっぱり運転は俺なんっすね……。だっる」
夜明けの光が、アルバーナの王宮を白く染め上げていく。
死神たちの旅路は、アラバスタを救ったという英雄譚など微塵も気に留めることなく、次なる混沌へと向かって爆走を再開するのであった。
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