アルバーナの動乱が収まった翌朝。アレンの「ヘカテ・ランナー」は再び砂漠を爆走し、港町ナノハナの岸壁で待つヘカテ号へと帰還した。
砂塵にまみれた車体を、リースが能力で瞬時にクリーニングしていく。アレンは運転席から降り、灼熱の太陽を睨みつけた。
アレン「……あー、だっる。マキナ様、昨日オアシスでバカンスとか言いましたけど……冷静に考えて、中止にしません?」
アレンが項垂れながら提案すると、甲板で日除けを設置していたライカとシズも大きく頷いた。
ライカ「そうだよぉ! ウチも楽しみにしてたけど、よく考えたらウチら、泳げないじゃん!」
ライカが口を尖らせて風を操る。彼女は『カゼカゼの実』の能力者だ。
リース「……ん。……砂漠のオアシス。……水深が3メートル以上ある場合、転落すれば私の回路はショートし、心停止する。……リスクが高すぎる」
リースが無機質な瞳で計算結果を弾き出す。彼女も『クラクラの実』。
シズ「……はい、私も賛成です。……プラプラの実の能力で浮かび上がることもできませんし、何より、溺れている皆さんの介抱をする私が、先に溺れる未来しか見えません……」
シズが泣きそうな顔で訴える。
アレンは自分の掌に火花を散らせた。
アレン「俺もっすわ。……ゴロゴロの実を食ってから、水を見るだけで体が強張るんっすよね。……もし俺が水没して、無意識に2億ボルトなんて放電してみなさいよ。オアシスの魚はおろか、一緒に泳いでる非能力者の皆さんも含めて全員、感電死して特製人間シチューの出来上がりっすよ」
エリス「それは困るわね……。せっかくのアラバスタの思い出が、大量殺戮現場になるのは御免だわ」
助手席から降りたエリスが、やれやれと首を振る。
一方で、この船には悪魔の実を食べていない「強者」たちもいた。
マキナ「ハハハ! 軟弱だな、アレン。……私はいつでも海に飛び込めるぞ。……槍を杖にして海底を歩くのも一興だがな」
マキナが余裕の笑みを浮かべる。彼女の覇気は、海という制約さえも超越しているように見えた。
ユリナ「ウチも泳げるで! むしろ海ん中で魚を素手で捕まえて、そのまま刺身にするのがコックの醍醐味やんか」
ユリナが腕まくりをして笑う。
キース「僕も大丈夫だよーん☆ まぁ、水に濡れるとせっかくの可愛さが台無しになるから、あんまり入りたくないけどねっ!」
キースがウインクをする。
そして、エリス。
エリス「……私も、一応泳げるわよ。……イギリスにいた頃は、夏に湖で泳ぐこともあったわ。……でも、あんたたちが溺れるのを見ながら泳ぐなんて、悪趣味なことはしたくないわ。……最低だし!」
アレン「……結局、半分がカナヅチじゃ、バカンスなんて成立しないっすね」
アレンは『ヘカテ・ランナー』のエンジンを切り、メンバーを船内の作戦会議室へと促した。
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ヘカテ号のリビング。
冷えた無限イチゴのジュースが全員に配られ、マキナがテーブルの中央に世界地図を広げた。
マキナ「……アラバスタでの『掃除』は終わった。……さて、次はどこへ舵を取る。……アレン、お前の意見を聞こう」
アレンは冷たいグラスを額に当てながら、地図の一点を指差した。
アレン「……ここ、**『ウォーターセブン』**っすね」
リース「ウォーターセブン? ……ん。……造船の島」
リースの耳がピクリと動く。
アレン「そうっす。……ヘカテ号は最強の船っすけど、これからの新世界に向けて、もっと根本的なメンテナンスと改造が必要っす。……それに、あの女神から脅し取った無限フルーツのビニールハウスも、もっと船体に馴染ませたいし。……あそこの職人たちの技術を、リースの能力と融合させれば、この船は本当に『空を飛ぶ』ことだって可能になるかもしれない」
マキナ「……空を飛ぶ、か。……悪くない響きだ」
マキナが目を細める。
アレン「それに、ウォーターセブンは『水の都』っす。……泳げない俺たちには毒っすけど、水門のシステムや独自の交通網は、一見の価値がある。……そこで船を最強に仕上げてから、ロックスの本隊を本格的に探し出すのが一番効率いいと思うんっすわ」
ライカ「賛成!」
ライカが手を挙げる。
ライカ「新しい島! 新しい風! どんな強い奴がいるか楽しみ!」
エリス「……Wait. 私も賛成。……水の都なら、きっと素敵な服屋さんもたくさんあるはずよね。……アレン、また荷物持ち、命じてあげてもいいわよ。……感謝しなさいよね!」
エリスの言葉に、アレンは「あー、だっる……」と呟きながらも、どこか楽しそうな表情を隠せなかった。
翌朝。
アラバスタの国王コブラと、その臣下たちが見送る中、ヘカテ号はナノハナの港を離れた。
砂漠の国で手に入れたのは、莫大な食料と、王族からの信頼、そして「ヘカテ・ランナー」という新たな兵器。
リース「……アレン。……一週間の休暇、そろそろ終わる。……明日から、特訓再開」
リースがアレンの肩に手を置く。その手の感触は、心なしか昨日よりも少しだけ柔らかい。
アレン「……あー、やっぱりそうなるんっすね。……でも、まぁ。ウォーターセブンに着くまでに、もう一段階、電力を高めておくっすわ」
マキナ「……良い心がけだ、アレン。……全速前進だ! 水の都へ、死神の旗を掲げて進め!」
マキナの号令が響き、ヘカテ号は青い海へと滑り出した。
アレンは甲板に立ち、遠ざかる砂漠の国を見つめる。
アレン(……ウォーターセブンか。……あそこには、若き日のアイツらがいるんだろうな。……まぁ、誰が出てきても、今の俺たちの敵じゃないっすけど)
アレンの指先から、バチバチと小さな火花が散る。
それは、次なる冒険への期待か、あるいは迫り来るロックスの影への警戒か。
アレン「……さぁ、行くっすよ。……最高の船に、仕上げてもらいにな!」
死神海賊団。
砂漠の闇を払い、次は水の都へ。
彼らの進軍を止めるものは、もはやこの海には存在しないかのように、ヘカテ号は波を切り裂いて加速していった。
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