アラバスタの乾燥した熱風から一転、ヘカテ号の周囲を包むのは、塩気を孕んだ瑞々しい潮風だった。
水平線の向こうから、巨大な噴水のように海中からそびえ立つ島――造船の聖地「ウォーターセブン」がその姿を現した。
アレン「……あー、やっと着いたっすか。これだけ水に囲まれてると、能力者としては生きた心地がしないっすね」
アレンは甲板の端で、海面を見下ろしながら呟いた。
リース「……ん。……水の匂い。……精密機械には、湿度が大敵。……アレン、私の部屋を乾燥させて」
リースが無機質な瞳でアレンを見上げる。
アレン「俺は除湿機じゃないんっすけど……まぁ、いいっすよ。後でな」
ヘカテ号が巨大な水門を抜け、青いレンガが敷き詰められた美しい運河へと進むと、そこには活気に満ちた職人たちの怒号と、ハンマーを叩く小気味よい音が響いていた。
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一行がヘカテ号を停泊させたのは、島の外れにある「トムズ・ワーカーズ」の看板が掲げられたドックだった。
そこには、巨大なカクサンボウの魚人であるトムが、豪快に笑いながら木材を運んでいた。
トム「ハッハッハ! どん(DON)とデカい船が入ってきたな! おい、アイスバーグ! 客人だぞ!」
アイスバーグ「わかってるよ、トムさん。……おいおい、何だあの船。見たこともない設計だ」
まだ10代後半のアイスバーグが、工具を片手にヘカテ号を見上げて絶句していた。
アレンはタラップを降り、だるそうに頭を掻きながら彼らに近づいた。
アレン「……おはよーございます。ここが世界一の船大工、トムさんのドックで間違いないっすか?」
トム「ああ、そうだ! 私はトムだ! どん(DON)と胸を張って言えるぞ! お前さんたち、この珍しい船を直したいのか?」
アレン「直すというか、**『魔改造』**してほしいんっすわ。……マキナ様、どうぞ」
アレンが道を譲ると、マキナが悠然と歩み出た。その王者の風格に、若きアイスバーグは思わず息を呑む。
マキナ「……トムと言ったな。この船、ヘカテ号を『新世界』のあらゆる極限状態に耐えうる最強の盾へと作り変えてもらいたい。……報酬は望むだけ出そう」
アイスバーグ「……最強の盾、か。面白いことを言うね、あんた」
アイスバーグが船体を詳しく調べ始めた。だが、すぐに彼は異変に気づく。
トム「……待て。この外装……木材でも鉄鋼でもない。分子構造が安定しすぎていて、今の加工技術じゃ傷一つつけられないぞ。どうやって作ったんだ?」
リース「……ん。……私が作った。……不満?」
リースが一歩前に出た。彼女の手が微かに光ると、手近な端材が瞬時に複雑な歯車の形へと「クラフト」される。
アイスバーグ「なっ……! 能力者か!?」
リース「……『クラクラの実』。……構成を組み替える。……でも、私の技術には『伝統』と『物理的な遊び』が足りない。……トム、あなたの『魂』をこの船に混ぜたい。……共同作業(コラボレーション)を、依頼する」
リースが頭を下げると、トムは一瞬呆気にとられ、その後、腹を抱えて笑い出した。
トム「ハッハッハ! 能力者と船大工の共同作業か! どん(DON)と面白いじゃねぇか! アイスバーグ、修行だ。この嬢ちゃんの精密さと、俺たちの豪快さをぶつけて、世界に一隻しかない化け物を造り上げるぞ!」
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アレン「話が早くて助かるっす。……じゃあ、俺からの注文もいいっすか?」
アレンが懐から、アラバスタでの移動中に書き溜めていた新たな図面を取り出した。
アレン「……これ、**『外輪駆動(パドル)と電磁ブースターのハイブリッド』**っす。凪の海でも関係なく、俺の雷を動力にして時速100ノット以上で爆走できるようにしたい。……あと、例の『ヘカテ・ランナー』をそのまま格納して、緊急発進(カタパルト)できるデッキも欲しいんっすよね」
図面を見たアイスバーグの顔が、驚愕で引き攣った。
アイスバーグ「……おい。これ、物理法則を無視してないか? この出力を出したら、普通の船体なら振動で空中分解するぞ!」
アレン「そこをリースの能力で補強するんっすよ。……無理をどん(DON)と通すのが、船大工の意地でしょう?」
アレンがトムの口癖を真似してニヤリと笑うと、トムは親指を立てた。
トム「その通りだ、少年! どん(DON)とやってやろうじゃねぇか!」
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エリス「Wait! ちょっと、改造するのはいいけど、私の部屋のクローゼットを削るのは禁止よ! あと、イチゴのビニールハウスに潮風が入らないように完璧な気密性を持たせてちょうだい!」
エリスが割り込んできて、アイスバーグに細かい注文を突きつける。
アイスバーグ「わ、わかったよ、お嬢さん。……ったく、海賊の船にしては注文が細かすぎる……」
アイスバーグは呆れつつも、その目は職人としての情熱で燃えていた。
アレン「シズ、ユリナさん。……しばらくここに滞在することになるっすけど、食料の買い出しとかよろしくっす」
シズ「はい、アレンさん! 職人さんたちのための栄養剤も作っておきますね!」
ユリナ「ほな、ウチは世界一のスタミナ飯でも作って、トムさんの胃袋掴んだるわ!」
死神海賊団の賑やかな空気に、トムズ・ワーカーズの面々も自然と巻き込まれていく。
アレン「……マキナ様、これで船は最強になる。……次は、ロックスを正面から叩き潰す番っすね」
アレンが横に立つマキナに囁く。
マキナ「……ああ。……この水の都で、我々の牙をさらに研ぎ澄ませるぞ。……アレン、お前は動力を担当しろ。一分一秒たりとも休むことは許さん」
アレン「……あー、やっぱり俺は電池扱いっすか。……だっる」
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その日の夜。
ドックには煌々と明かりが灯り、リースの放つ蒼い光と、トムの振るうハンマーの音が心地よいリズムを刻んでいた。
アレンは運河のほとりで、夜風に吹かれながらエリスと二人、並んで座っていた。
エリス「……ねぇ、アレン。……この島、すごく綺麗ね。……でも、マキナ様の言う通り、ここを離れる時は、私たちはもっと恐ろしい『死神』になってなきゃいけないのよね」
アレン「……そうっすね。……エリスさん、怖気づいたっすか?」
エリス「バカ言わないで! 私の『フロスト・レクイエム』があれば、ロックスだろうと何だろうと凍らせてあげるわ。……ただ、あんたが先に壊れないか、見張っててあげるだけよ。……最低なんだから、あんたは」
アレン「……サンキューっす。……さぁて、明日から地獄の突貫工事っすわ。……トムさんの『どん(DON)』に負けないように、俺もバリバリ働くっすよ」
水の都ウォーターセブン。
伝説の船大工と、異世界の知識を持つ死神たち。
歴史に名を刻む「神の船」の再誕に向け、静かな運河に熱い槌音が響き続けていた。
その頃、ドックの物陰では――
?「……おい。あのアレンとかいう男、あいつの雷……オモチャの改造に使えないかな?」
若き日のフランキー(カティ・フラム)が、ガラクタを抱えながら目を輝かせてアレンを観察していた。
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